ジン成り代わりに助勢した者   作:白炉丸

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東雲10

 本来なら松田陣平が死ぬはずだった爆弾事件発生から暫くが経つ。

 

 雲雀恭弥成り代わりこと黒の組織 幹部グラッパは、数年行動を共にしたスコッチこと緑川(みどりかわ)(ゆい)、本名諸伏(もろふし)景光(ひろみつ) 警視庁公安部所属の潜入捜査官を連れ、久しぶりに日本に降り立った。

 

 

 

 

「ん〜〜、やっと着いたな。飛行機って何度乗っても肩がこるよな」

 

 空港の前で背伸びをし、数時間ぶりの地面を堪能しているスコッチを尻目に、僕は片手で携帯電話を操作して、未だに姿の見えない白のRX-7を待っている。

 

 

 

「それにしても、急に日本に行くなんて言い出したときには驚いたな。グラッパと組んでから日本で仕事する事なんて殆どなかったしな」

 

「 違う 」

 

「ん?  どうしたんだ、グラッパ」

 

 

 わかっていないスコッチに僕はため息を吐いた。

 

「 呼び方には気をつけなよ、緑川唯 」

 

「あ」

 

 ようやく気づいたスコッチに僕はもう一度ため息を吐く。出入口から離れているとはいえ、こんな誰がいるかわからないような場所で、犯罪組織のコードネームを呼ぶバカが何処にいるんだ。

演じているのかこれが素なのか、任務外ででの彼の緩さは2年程経っても変わることはなかった。

 

 

「わりい、東野(ひがしの)

 

 そう、スコッチは僕の偽名を呼んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

 

 

 

 日本に来てからほんの数日経ったある日。

組織から、スコッチが裏切り者だというメールが携帯に届いた。

そのメールを開いた僕は、携帯電話を2つに折り 川に投げ捨てた後、目星をつけていた廃ビル群に向かった。

 

 

 

*

 

 

 今、僕の目の前では、ライこと諸星(もろぼし)(だい)と、ライの拳銃を奪ったスコッチが対峙している。

 

 スコッチが奪い取ったリボルバーを左胸に当て、自ら命を絶とうとするのを ライがシリンダーを掴むことで止めた。

 

 ライはスコッチに本名を名乗る。

自分はFBIから潜入している赤井秀一。お前を逃がすくらい造作もないことだ、と。

 スコッチがライの言葉を聞き、体から力を抜こうした、その時。

 

 

誰かが大きな音を立てながら階段を登ってくるのが聞えた。

 

 

 階段からの足音に気を取られた赤井秀一の隙を付き、再び自殺しようとしたスコッチの手元に向けて、僕はトンファーを投げつける。

 

 

 ガキンッ! と、鈍い金属音が上がった。

 

 

 トンファーをぶつけられたスコッチの手から拳銃が弾かれる。 弾かれた拳銃はトンファーと共に屋上の床に転がった。

 

 

 

「…は?」

 

 スコッチは呆然としている。彼のその手は痺れたように震えていた。

 

 

 ライは弾かれた拳銃を見た。そして拳銃の近くに見覚えのあるトンファー落ちているのを発見する。

 

 この組織に潜入してからトンファーには嫌な思いでしかない。

この組織でトンファーを武器として使う者は一人だけだ。

 

 

 殲滅屋グラッパ、奴が此処に来ているのか。

 赤井秀一の警戒心が一気に高まる。

 

 

「! グラッパか(まずいどこから聞かれた)」

 

 そう言いながら、トンファーが投げられた方を振り向こうとしたとき、

 

 ビュッ という風斬り音と共にアゴの下にトンファーが当てられた。

 

 

 

 

「スコッチ!」

 

 そして、階段からバーボンも顔を出す。

 

 僕は横目でバーボンを見た後、赤井秀一を睨みつけ、問いかける。

 

 

「 君、何してるんだい? 」

 

「……見てわからんか?裏切り者を始末しようとしていたところだ」

 

「 ふぅん、そういうふうには、見えなかったけど… 」

 

 赤井は殆ど焦りを感じさせずに、いつでも動けるように少し腰を落としている僕を上から見下ろす。

 

 

 

「2人共 、一体何をしてるんですか?」

 

 状況がわからず痺れを切らしたのか、バーボンが近づいてきた。

 

「裏切り者がまだ始末されていないように見えますが…、死んでいないのなら僕にください。情報を抜き取ってあげますよ」

 

 

「 ………必要ないよ 」

 

 僕はそう言いライから離れ、トンファーを回収する。

 

 

「情報はいらない、ということですか? それはどうして?」

 

 

「 スコッチは追い詰められ自殺したと、組織に報告するからさ 」 

 

「「「っ!」」」

 

 

「それは組織への裏切りと取れるが…。

あんたもこいつと同じ、NOC(ノック)、ということか?」

 

「それはそれは、思いがけず良いものが釣れましたね。裏切り者が二人ですか……これはいい報告ができそうだ」

 

「 へぇ、僕にかなうと思ってるのかい? 」

 

 

 僕は甘い考えをしている彼らに殺気を当てる。

 

 

 赤井とバーボン、スコッチは、その場の時間が数秒間止まったように感じた。

グラッパの刺すような殺気に こめかみを冷や汗が伝う。

 

 

 

 

 数秒後、僕は殺気を発するのを辞め、こんな事をしてる暇はないんだ と、口を開く。

 

 

「 組織への報告は君がしなよ、FBI。

それと、死亡偽装は君に任せるよ。ゼロの君なら得意そうだ 」

 

「っ!」 「なっ!」

 

 

 僕は赤井とバーボン、それぞれにそう言った後、君は先に僕と来てもらう と、スコッチに言い、立ち上がっていたスコッチを気絶させ肩に担いだ。

 

 

「スコッチ! グラッパ、一体何を」

 

「 それは後で話す。終わったら二人で来なよ、場所はこの子が知ってるから 」

 

 

 僕がそう言うと、僕の胸ポケットからヒバードが顔を出し飛び立つ。少しの間 空を旋回したヒバードは、バーボンの頭に留まった。

 

「ミードーリー タナービクー ナーミーモーリーノー ダーイナーク ショウーナク ナミーガーイイー」

 

 

 今世では教えたことのないはずが、いつの間にか覚えていた並中校歌を歌い出したヒバードに薄く笑いかけた後、僕はスコッチを担いだままビルの屋上から飛び降りた。

バケモノじみたこの体は結構役に立つ。

 

 

 このままスコッチを雲雀名義でひと階層買い取ったマンションまで連れて行く予定だ。

 

 彼らは僕の下へこらざるを得ない。

彼らの本来の所属場所を知っている僕を、彼らは自分以外の人間に任せられるような性格をしていない。

 

 

 

 彼らが揃ったら話しをしよう。

これからの話を。

 

 僕達の目的を。

 

  僕達の望みを。

 

 

   証明しよう。誰にとは言わないが、運命は変えられるのだと。








こちらは久しぶりの投稿ですね〜
 現在単行本が手元に無いので次がいつになるかは不明です。
(今までもそうだったとは言ってはいけない)

【2】次の小説。BLEACHでの主人公(雲雀成り)の斬魄刀の名前アンケート。解号は「灯(とも)せ」。始解は二本一対のトンファーになる。

  • 紫炎雲 しえんぐも 今1
  • 紫炎(焔) むらさきほむら 1
  • 紫雲 むらくも(凍雲あり)4
  • その他。活動報告のコメントにお願いします
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