3/31追記 ↑口が悪くてごめんなさい…
あれからスコッチは口を閉ざしている。
眉を寄せながら何かを考え込んでいるようだ。
僕はそんな彼を視界に入れながら、トンファーの手入れを行った。
スコッチが僕の脅威になり得るとは、これまでの経験から推測するに到底思えないが、彼がこれから何を思い、考え行動するのかに 僕は興味がある。
そうしてスコッチを観察しながら行ったトンファーの手入れが終わった頃に、ようやく、隠れ家の扉が叩かれた。
扉はスコッチに開けさせた。
その時点でこの場所から逃げ出すなら 彼はそこまでの人間であり、僕が自分の人を見る目がなかったと少し落ち込みつつも、ジンと二人だけで黒の組織を爆発しに行くだけだ。
まあ、結果的にはスコッチは逃げなかった。
扉の前に居たバーボンと赤井秀一と共に僕の目の前に並び立ち、ひとり掛けのソファに座っていた僕を見下ろした。
「 まずは自己紹介でもしてみようかい? 」
彼らが揃ってから、何秒、何分かが経過した後、最初に口を開いたのは僕だった。
彼らが、限定的に言えばバーボンが、僕を遮って質問でもしてくれればと考えての言葉だったが、その時は誰も何も話してくれはしなかった為、僕はそのまま自己紹介をするはめになってしまった。
「 これは知ってるだろうけど、僕のコードネームはグラッパ。表では
「えぇ、知っていますよ。その名が偽名だということも」
次に口を開いたのはバーボンだった。
その時の彼はいつもの微笑みを消し去り、瞳に炎を燻ぶらせながら僕を見ていた。
「調べましたよ。ですが、東野出雲という人間は存在しない。
情報を消された痕跡すら見つからない」
「こちらも同じだ。お前に関する情報はほとんど出てくることはなかった」
バーボンに続いたのは赤井秀一。
彼は話を区切り、タバコを取り出す動作をしたが、前に何度か、僕の前でタバコを吸おうとして咬み殺されたことを思い出したのか手を下ろし、また口を開く。
「だが、ただ一つ、お前が組織にスカウトされる以前に ロシアでマフィア潰しをしていたという事は容易く突き止められた」
「 ふぅん、その話か 」
それは僕がこの組織に入る為に起こした出来事だ。隠す必要の無い、知られ広まることに意味があった。
あの時は大勢が死んだが……なに、心を痛める必要も、あの時の出来事に関して深く考える必要も無い。
僕が潰したところは全て“クスリ”を扱っていた組織だからね。あれ以上蔓延させるよりは、これでよかったと僕は考える。
僕が漂っていた大空も、彼の組織となったアサリ貝も、そして僕自身も、ソレを許していなかったから。今でもその考え方は抜け落ちはしない。
「それは僕も知っています。複数のロシアンマフィアが たった一人の手によって壊滅に追い込まれた、と。にわかには信じられませんがね。
そして、それが起きたのは今からおよそ18年前、あなたが見た目通りの年齢で20代半ばだとしても、その時の年齢は10歳ほど。10歳程度の子供に、マフィアという組織が潰されるとは到底考えられませんが──」
「 ──そう、18年か……あの時から 、まだその程度しか経っていないんだね 」
「「!!」」
バーボンの言葉を遮って、僕は一瞬、過去に意識を飛ばした。
「 18年前、僕がマフィアを潰したというのは真実だよ。
あのときの僕は14歳だった、、片割れと離れてから9年経った日に、僕は行動を起こしたんだ 」
「14!! てことは…あんた今32歳か!見えねぇっ
どう見ても20代半ばだろう!」
「……、スコッチ…」
「………」
スコッチの笑いが混じったツッコミによって場の空気を壊されたバーボンと赤井秀一は、そのイケメン面を崩した。
壊された空気の中、僕はゆっくりと立ち上がり、スコッチに手招きをする。
立ち上がった僕に警戒心を向けたバボと赤を置いて、無警戒で近づいてきたスコッチ。
その彼の頭に流れる様な動きで腕を伸ばす。
そして僕はニヤリ と表情を変え。
「 誰の顔が若作りだって? 」
ギリギリギリギリギリ
「イデデデッェ!!」
プロレス技の一種、ヘッドロック。
相手の頭を脇に抱えて締め上げる。極まった場合、こめかみ、または頚部が圧迫され激痛を伴い、やり方によっては 相手を殺すこともできる技。
僕はそれをスコッチにかけた。
彼は僕の腕を外そうと藻掻くが、彼程度の力では僕から逃れることはできない。
「 1、2、3、、 」
「ギブギブギブッ!! ロープ、ロープっ!!」
***
「 腐った魔女と同じにしないでくれるかな 」
「ごめんなさい…」
正座をしているスコッチと、それを見下ろしているグラッパに、バーボンと赤井秀一は唖然としている。
それはそうだろう。組織でも危険人物とされている殲滅屋グラッパが、自分達と同じ正義側の人間といきなり漫才を始めたのだから。
「 フン…、
「んじゃ、俺から。
俺の名前は
素直に名を名乗った諸伏に、バーボンが信じられないものを見る目を向け、僕は心底呆れたようにため息を吐く。
「 馬鹿かい? 君は。君達の立場の人間が、そう簡単に本名を名乗るものじゃないよ 」
「だって、調べはついてるんだろ? そう言うってことはホントに知られてるってことだろ?
いつから知ってたんだ?」
「 …君達を初めて見た時には既に、だよ 」
「なっ!」
僕の言葉を聞いたバーボンが驚いた声を上げる。
眉間に皺を寄せ、いつもの胡散臭い笑みは既に消え去っていた。
「どういうことですか! なぜお前が知っていた!!」
「 今回、 」
声を荒げるバーボン。
僕は静かに、それを遮る。
「…… 今回、スコッチがNOCだとバレた理由を、君達は知っているかい? 」
「「………」」
信じたくないというように皆が口を閉ざす。
「 まあ、僕も知らないんだけどね 」
ガクッ
「知らんのかい!!」
諸伏がシャウトする。ギャグ路線に傾きだしたのは気のせいではない。
「 僕の役目は君の保護だからね。それ以外は片割れに任せてる途中さ 」
「ん? 片割れって協力者のことか?」
「 あぁ、そうだよ。僕にとって、誰よりも信じられる存在だ 」
「へぇ〜、あんたがそんなこと言うなんて珍しいな。どんなやつなんだ?」
「 根本的には僕と同じ様な人間さ。だけど彼は、僕と違って一度、組織に全てを奪われた存在でもある。
彼は今、復讐心を胸にしながら、僕と同じ様に組織の中に食い込んでいる。
彼の目的は組織の壊滅。僕や君達と同じだ。
名前は一応決めてあるけど、あまり使ってはいないみたいだね。彼の偽名は
「西川銀我、、聞かない名だな……」
「 そうだろうね。組織ではコードネームで呼ばれてるし、使ってる名前も別のだからね 」
「って、コードネーム持ちなのかよ、そいつ」
「 言ってなかったかい? そうだよ。
だけど、それを教えることはできないな。彼も危ない橋を渡っているからね。
彼が誰かは いずれわかるだろう。これ以上は話せないな 」
そう言って、僕は話を進める。
「 次は君の番だよ、バーボン。それとも、このまま名乗らずに、組織の人間として僕達に潰されたいかい? 」
「………」
バーボンが僕を睨みつける。
このまま名乗らなくても彼を潰す気は毛頭ないが、彼自身の口から彼の本当の名を知りたいと僕は思う。
何十秒経っただろうか、彼が自らの名を名乗ることはなかった。
「 ……まぁいいさ。僕も本名を名乗ってないからね 」
僕は少し目を伏せながら話し始める。
「
君達が犯罪組織に所属していながらも、その心に輝かせる正義と同じようにね。
その存在を口に出しはしないが、確かにそこに存在するもの……譲れないもの。
それを話すには、それ相応の覚悟と信頼関係が必要だからね。何処かの馬鹿のように 簡単に言う事ができないのも無理はないさ。
だから、今はもう聞かないよ。
いつか、全てが終わった時に、僕達は君達に本当の名を明かそう。
その時に君が、名を教えても良いと思えるような存在として 有ることができる事を 僕は願ってるよ 」
【2】次の小説。BLEACHでの主人公(雲雀成り)の斬魄刀の名前アンケート。解号は「灯(とも)せ」。始解は二本一対のトンファーになる。
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