ジン成り代わりに助勢した者   作:白炉丸

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東雲 5

 体がある程度成長したら組織に目をつけられるように、噂が大きく広がるようにと、立てた策のとおりに動いたけど、まさかこんなにも上手く行くとはね。

 流石は、前世 組織のナンバー3、組織のことをよくわかってるな。

 

 僕もさっそくコードネームをもらえた。

 ‘‘グラッパ’’イタリアの蒸留酒。ロシアの酒じゃないんだって思ったよね。

 ロシアにナワバリを持ち、ロシアンマフィアをいくつも壊滅させたことのある僕のコードネームがイタリアの酒とはいったい……。空きのコードネームがなかったのか?

 

 そしてもう一つは、組織に入るために、本来ならば言わない方がいいだろうことを言ったのかということだ。

 “僕の気に触れたなら”という条件はあるが、これから入る組織に、‘‘君達を壊滅させても構わない’’ ‘‘壊滅させる意思がある’’と宣言した理由、それは彼ことジンとの仲が悪いように見せるためだ。

 ジンは組織に忠誠を誓う、敵対者や裏切り者には制裁をタイプだ。

 そんな彼と、組織を壊滅させると言ったグラッパは仲が良いはずはないと、組織に潜入しているNOCを含めた全員が思うだろう。

 それを狙い、NOCの救済をしやすくする。

 裏切り者絶対殺すマンのジンを相手にするか、そのジンと仲が悪く 組織壊滅を口にしたグラッパの話を聞くか、生きたい者、生きなくてはいけない者はどちらを選ぶのかということだね。

 死にたい者はどうでもいい、死にたいなら死ねばいい、本当に死にたいと思ってる者はそう簡単に自分の意思は曲げることはない、誰がなんと言ってもその心には響くことはない、だからそんな者を助けるつもりはない。

 そもそも、僕らは善意で助けるわけじゃない。

 ただ自分達のやりたい事を成すため、目的を達成するために、能力がある者を拾い上げるだけだ。

 それ以前に、僕達に善意というものがあるかというのも怪しいぐらいだ。 

 

 

*

 

 

名を与えられてから数日後。

 ラムからの任務で組織の邪魔になる裏の奴らを壊滅させてきたグラッパは、他の幹部との顔合わせのためにアジトき来ていた。

 

 

「 てめぇがグラッパだな。

随分と好き勝手に言ってくれたそうじゃねぇか 」

 

 幹部のみが利用できる部屋でグラッパに話しかけてきたのは、まだ背中程の長さの銀髪に灰がかった緑の瞳、なぜか首元がよれているハイネックに黒のロングトレンチコートを着て黒の帽子をかぶっている全身黒ずくめの少年。

 彼は部屋に入りグラッパを視認したとたん、所持していた銃をグラッパに向けた。引き金に指を掛け、いつでも撃てるようにしながら。

 だがそれがなんだと、グラッパは面白そうに目を細めた。

 

「 そう言う君はジンかな 」

 

 グラッパは最初から目の前にいる男がジンだということは知っていた。けれどもあえて問いかけた、ここが見られていることを知っているから。

 

「 だけど、一体何のマネだい? 」

 

 不穏分子を消しに来たんだろうな。

 僕は危険人物として見られている。せっかくの戦力だけど、ラムにとっては僕が死んでも死ななくてもどちらでも構わないのだろう。

 もし、自分の組織に‘‘何かあればあなた達を殺します’’と宣言するやつが入ってきて、なおかつそいつがそれをできる力を持っていたら、なにかしでかす前に始末してやると考えるだろう。僕だったらそんなやつ入れる前に始末するけど。

 そういえばマネした訳じゃないけど、どこかの南国果実もそんなこと言ってたね。あれは警戒されながらも小動物に受け入れられてたけど。マネした訳じゃないよ。

 

 

 

「 この組織に仇なす者は全て殺す。

てめぇは信用ならねぇ。

何の目的で組織に入った。答えろ 」

 

 グラッパに向けガンガンと殺気を当てるジン。

 自身の意に沿わないことを一言でも言った瞬間に、引き金を引いてやる、言わなくても殺してやるという意思が伝わってくる。

 だけど、これはまるで……

 

 

「 まるで肉食動物に怯えてる草食動物みたいだ 」

 

「 なに? 」

 

「 ナワバリを得るために武装する。生きるため常に警戒し、そのための感覚も鋭い。

組織に忠誠を誓っ(群れ)てる時点で君は捕食者じゃない。

僕みたいな肉食動物に食われる、哀れな獲物にすぎないよ 」

 

「 テッメェ! 」

 

 グラッパの挑発(事実ではあるが)に見事に乗ったジンは、グラッパめがけて銃弾を放った。

 銃声が連続して部屋に響く。

 ――1発 2発 3発

 

 しかしそれと同時に、金属同士がぶつかる音が三つ聞こえた。

 

 

「 っ……バケモノめ 」

 

 そう吐き捨てるジンの前で、グラッパは無傷で立っていた。

 何故? 銃弾が外れた?

 ――否、正しくは弾かれた。今ヤツが手にしている一対のトンファーで。

 見えなかった、捉えられなかった、弾く瞬間を。

 だか知っていた、聞いていた、何故ぽっと出のヤツの名が、瞬く間に裏社会に広がったのかを。

 

 今あったように、ヤツはそのトンファーで、いとも簡単に銃弾を弾くことができる。

 拳銃も機関銃も散弾銃も狙撃銃も、ヤツには効果がない。

 見えていないはずの遠距離攻撃が効かないヤツには、近距離攻撃も通用しない。

 一体今まで何千人が、ヤツに返り討ちにあってきたのだろうか。

 

 ヤツの名が広がったのはそれらの力があったからだけではない。

 ヤツがはその力を使って、とあるロシアンマフィアを潰したからだ。

 そのロシアンマフィアは、ロシア連邦内でも5本の指に入る程強大なものだった。

 そのロシアンマフィアを、ヤツは一夜にして壊滅させた。それも、そのマフィアに属していたマフィアも含めて、ロシアにいるもの全てをだ。

 どうやったかはわからない。だかヤツにはそれをできるだけの力がある。

 

 

「 力の差が理解できてないようだけど……まだやるかい? 」

 

「 ……チッ

 

 ……もういいだろう。

 奴等もこいつの実力が理解できただろうよ。

 

 ジンが銃を、グラッパがトンファーをしまった。

 

 すると、部屋の扉がガチャと音を立てて開いた。

 入ってきたのは、金髪でがっしりした体格の特徴的な眉を持っている男。

 

「銃声が聞こえたが、何があったんだ?」

 

 老け顔だが、ジンやグラッパと同年代だろうその男は気配を探るように部屋を見渡したが、見えている二人以外の気配は感じなかった。

 だが、ピリピリしているジンを見る限り、大方そこに立っている見ない顔の男がジンの気に触れることを言ったんだろう。 

 今ここに居る見ない顔と言ったら、今日顔合わせする予定のあいつだろうな、そう思いその男は黒髪の男に話しかけた。

 

「お前がグラッパか?」

 

「 そうだよ。 君は? 」

 

「俺はアイリッシュだ。

お前の噂は聞いていたが……随分と細いんだな」

 

 金髪の男、アイリッシュは、グラッパの全身をジロジロと見ながらそう言った。 あの噂の主が本当にこんなやつなのかと、疑っているようだ。

 

「 なら、試してみるかい? 」

 

 グラッパが目を細めてアイリッシュを見る。

 

「いや、遠慮しておく。 

この組織に入れたってことは実力はあるんだろうからな」

 

 アイリッシュは肩をすくめながらそう答え、その答えにグラッパは、戦う気(やる気)を削がれたようだ。

 

「 ふうん。 じゃあ、僕はもう行くよ。

君じゃ僕に勝てないから、せいぜい無駄なことはしないようにね 」

 

 グラッパはそうジンに言い残し、アイリッシュの横を通り部屋を出ていった。

 

フン

 

 ジンは鼻を鳴らすだけで何も答えずに部屋から出ると、グラッパとは反対の廊下を歩いていった。

 

 

 

 

「まーた()が強そうなのが入ってきやがったな」

 

 アイリッシュが楽しそうにニヤニヤしていると、部屋の外から男がひょこりと顔を見せた。

 

「うん? アイリッシュだけか? 

さっきジンが向こうにおったんやけど、なんや、新人はこぉへんかったんか?

ジン、ごっつ機嫌が悪くなっとったんやけど」

 

 そう言いながら部屋に入ってきたのは、身長が2メートル以上ある、ケツ顎に口髭を持つ大男。こいつのコードネームはテキーラだ。

 

 今日はこいつも含めた4人で顔合わせするはずだったんだがな。あいつらはすぐ行っちまうし。

 

「ああ、面白そうなやつだったな。 

だが、ああいうやつにはあまり近づかない方がいい、お前も気をつけろよ、テキーラ」

 

「なんや分かれへんがわかったわ」

 

 

 まあ顔合わせと言っても絶対に必要って訳じゃねぇし、今日この近くに居た時間のあったやつがここに集まっただけだからな。

 任務を共にする訳でもねぇし、すぐじゃなくても大丈夫だろう。

 てことで、俺は今日あと何もすることねぇし。テキーラ、これからメシ行かねぇか?

【2】次の小説。BLEACHでの主人公(雲雀成り)の斬魄刀の名前アンケート。解号は「灯(とも)せ」。始解は二本一対のトンファーになる。

  • 紫炎雲 しえんぐも 今1
  • 紫炎(焔) むらさきほむら 1
  • 紫雲 むらくも(凍雲あり)4
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