よし誰もいないな。(自己解決)
「演習訓練だぁ?」
加賀「今日、faxで届いたのよ。」
鈴谷「…これがそのfaxよ。」
そう言って、手渡されたのは、なんか重々しいスタンプが貼られた何か。
「なにこれ?燃やしちゃいけないの?」
加賀「それをやったら国家反逆罪で提督死刑ですよ…」
「うぇーめんどくせ。いいじゃん。……開けなきゃダメ?」
鈴谷「開かなきゃ始まらないわよ……ムカつく事書いてあったら、その時は燃やせばいいのよ」
「なるほど。それは名案だ。」
加賀「……………」スッ
「…冗談!冗談ですから!弓矢こっち向けんな!死ぬ!しぬぅぅっっ!」
「それじゃー…開けんぞ」
鈴谷「はいっ♪」
加賀「んむぅぅっっ!んむぅぅぅっっ!!」
「……あの」
鈴谷「なーに?♪」
「あれは無視で良いんですか?」
鈴谷「提督にいきなり弓具を向けるバカが行けないんです♪」
「おう拘束解いてやれや」
弓具を向けた瞬間の鈴谷は速かった。すぐに両手の手首を叩き弓具を地面に下ろすと、すぐさま足をからませ転倒させると、どっから持ってきたんだって思った紐をぐるぐる巻きにしてソファーに寝かされている。
鈴谷「はぁ…仕方がないですねー…全く、提督は本当に優しいんですね……」
「素早く仲間を縛るような奴に褒められてもちっとも嬉しくないぞ……」
と言いながらも、内心結構面白がってたり
『ドSの才能がお主にはあるようじゃな』
(何を言ってるんだ全く。俺がドSだと?…紳士と言いたまえ)
『お主を紳士と言ったらガチの紳士に怒られかねない』
(それは一理ある。)
『あるんかい』
加賀「はぁ……容赦がないわね…ほんっとに……」
鈴谷「提督の敵になるようならすぐにその首…ぶっ飛ばすです♪」
「おうおう恐ろしいなおい…」
加賀「き、肝に命じておく…わ……」
鈴谷「んふふー♪」
「仲間恐喝してどうすんだよお前…」
加賀が手首を擦りながら立ち上がるが、先程の鈴谷のセリフで違う何かの震えが来ているようだ。分かるぞ。俺もこの鈴谷の笑顔がとても怖い。
加賀「………そ、それより、その封筒、早く開けたら?」
「んあ?そうだな。ビリ…あ、やべ、紙ごと逝った」
加賀「何やってるんですか!?」
「でーじょーぶでーじょーぶ。読めれば無問題だよ。」
加賀「……はぁ…」
「さーてさて内容はー?ないようでぇぇ」
加賀「さっさと読め」スッ
「はいっっ!」
鈴谷「……加賀さん」ニコ
加賀「ひっ!?…で、ですが!今のは提督が!」
鈴谷「武装は……?」ユラ
加賀「はいっ!はいこれで大丈夫よね!?」パッ
鈴谷「提督への謝罪は…?」グラ
加賀「っっっ!!す、すいませんでした提督!」
「……お、おう」
鈴谷「……………」
加賀「…………」ビクビク
鈴谷「……はいっ♪よく出来ました♪」
加賀「………ほっ…」
(……なぁなぁじいさん。ちと質問していいか?)
『…………なんじゃ?』
(正規空母って、重巡洋艦より強いんじゃなかったっけ?)
『…強いのはあくまで索敵や作戦行動に置いての要だけじゃよ。単純な力比べなら、戦艦の次に強いのが、重巡洋艦じゃよ。正規空母はその重巡洋艦と軽巡洋艦の中間…と言ったところか?』
(なるほど……それに、鈴谷は陸の訓練を独自に入れてるから、単純に陸での技術は陸練習入れてる鈴谷や時雨、夕立辺りが1歩先に行ってるのか。)
『……まぁーそれだけではもちろんないんじゃがな』
(ゑ?)
『鈴谷、奴は…改2じゃよ。』
鈴谷「…それで?なんて書いてあったんですか?」
「んあ?あぁ。貴殿に演習を申し込む。日程はーー……まぁーいわば、お前、最近調子なってない?ちと、この世界の厳しさ教えてやるから、カモンカモンって書いてあるな。」
いや実際はもっと丁寧で堅苦しい言葉がづらづら並べられているが、俺でもわかるところを和訳したら今言ったことになる。そう言った瞬間
鈴谷「ふ、ふーん?……死にたいわけ?」
っとおそらくこの紙を送り込んできたであろう方角に向けて武装を展開して発射する瞬間だった。
「まぁー待て待て。超簡単に言えばってやつだよ。もうちっと丁寧だよ」
鈴谷「紙見せてください」
「え?」
鈴谷「っ!いいからっ!見せて!」
っと無理やり取られてしまった。加賀も加わって2人でゆっくりじっくり読んでいた。…その間俺は暇なので、鈴谷に入れてもらったお茶を飲んでいた。キンキンに冷えた麦茶ほど美味いお茶はない。
鈴谷「…………提督」バンッ
「うおっ…びっくりした…なに?」
鈴谷「すぐにこの生意気な司令官…いえ、ゴミを排除しに行きましょう。」
「お前マジで言ってんのか」
加賀「私も賛成です。この不届き者。我らの司令官にとんでもない無礼を……射抜く。例えて急所を外しても射抜く。」
男の急所に矢を………おっとこれ以上は青いツナギを着たいい男がホイホイこちらによってきてしまう。
?「やらないか?」バンッ
「あ、お帰りください」
?「つれねぇーなぁ…ホイホイ」パタリ
鈴谷「……………え?今の…誰ですか?」
「知らない方がいいよ」
加賀「で、ですか司令官…今のは……」
「知らない方がこの世界楽な事がいっぱいあるよ」
鈴谷「で、でも…」
「君たちは何も見ていない。リピート…アフター………『ミー』?」
鈴谷「……私は何も見ていないわ」
加賀「…………そう…ね。何も見ていなかった…わ。」
「よくできました」ニコ
さてっと。つまりはこの先はこの日程までに指摘された6人編成を考えなくてはならないと。…無駄な仕事増やすなよ。いや別にやる仕事も掃除ぐらいしかないから全然いいんだけど。
「それじゃ、メンバーは俺がのちのち決めておくってことでおけ?」
鈴谷「私は出しなさいよ。直々に屠ってあげるわ。」
加賀「司令官、私にも出る権利をください。必ず司令官のお役にたってみせましょう。」
「うん。とりあえず2人とも、顔が近いかな。それと、あくまで対戦は向こうの艦娘とだから、くれぐれも怪我はさせないように。それだけ守れるなら構わないよ」
鈴谷「罪は相手の人間にあります。すぐほふります。」
加賀「3秒で装填…2秒で射出…5秒でヘッドショット……」
「うん。わかってもらってて何よりだよ(諦め)」
とりあえず2人は決まりっと…あ、そうだ。
「ちと気になる事があるからちと席を外すね」
鈴谷「どこに行くのー?」
「妖精さんがいる所。」
鈴谷「そう。行ってらっしゃーい」
「はいいってきまーすっと。」
そうして、ガチャりとドアを開けて、ある場所に向かう。
「てことで、改二がなんだか教えてくれないか?」
俺は工房に足を伸ばして、絶賛作業中の妖精さんに話しかける。
{ふえ?改二の事、提督さん知らないの?}
「全然全く。」
そう言うと、数人の妖精さんがポカーンとした顔をしてしまった。……どうやら、結構初歩的な知識らしい。
「な、なんかすまんね?こんな出来損ないの俺みたいな鎮守府に居てもらって?」
{いえいえそんな!…私たちはここの場所が好きだから、それに何より、提督さんの事が好きだから、ここに居させてもらってるのさ。お礼を言うなら私達の方だよ…。っと、それより、改二の説明だね。ちょっとまっててね}パチン
そう指を鳴らすと、複数の妖精さんが飛んでいくと、奥からガサゴソガサゴソと何かを持ち出してくる。……これは…
「………何だこれ?…ギア…見たいな?」
普通、ギアと言ったらモーターについてる白い奴を思いだすが、妖精さんが持ってきたのは真っ黒で、少し照り輝いている。金属室で、俺の手のひらにずっしりするような重みがあるのが特徴か?
{それは、コアっていう艦娘の子達がパワーアップするのに必要な、言わば素材だね。それで、こっちが}
次は、それこそモーターみたいなのが出てくる。
{これはそのコアを動かす動力源。…凄ーくわかりやすくいえば、先程提督が言ったギアがこのコア。そのギアを動かすために必要なのが、心臓の役割を果たすモーターの部分。}
っと、呼ばれた部品を持ち上げわかりやすく説明してくれる妖精さん達。
「ふむ。なるほどな。ある程度はわかった。…んでも、改二って、改一はどこだよ?過程すっ飛ばしすぎだろ?」
{あーっと……本当に何も知らないの?}
「……あれ?」
どうやら本当に俺は、何も知らないらしい。妖精さんが頭を傾げてしまった。
{……えーとね、改ニにするには、改造って工程が必要になってくるんだ。…練度っていう、分かりやすくいえば皆のレベルかな。基本的には、練度15~30で皆の改造は出来るんだ。そこから改二に出来るのは、限られた艦娘で、更に改造には2回あって…それを行うと改二っていう特殊な改造が出来るんだけど……大丈夫?着いてこれてる?}
「ん?おぉ。ついていけてるよ。なかなか奥深いなぁーって思っててね。」
{……あれ?知らない人が聞くと、結構困惑するような内容だと思うんだけど……}
「任せろ。そういうのには知識があるんだ。」
主にゲームでだけど。元々艦これってのもゲームだし、現実と少しズレていても、ゲームだからねとか、2次元だからねで片付けられる世界だ。…ただ一つ違うのは、この世界がリアルであることだ。ゲームのように「あーあ負けた。んじゃもっかい行くか。」っとは出来ない。何故ならリアルには感情というものが常に付きまとうからだ。……彼女らが俺を警戒していたのも、昔の提督に暴力などを振るわれていたからだ。
……道具は感情を持たない。だが彼女らは感情を持って行動をして、感情で人を好きになり、人を嫌いになる。…つまり彼女らは道具じゃないのだ。感情のままにどこまでも飛んでいける希望の鳥なんだ。俺らのような人間如きには出来ないような勇気を彼女らは持っている。…俺ら提督は、その勇気を借りて、知恵を駆使して彼女らをサポートする。それが提督だと……俺は思っている。
{……そっか。でも良かったよ。…提督が、私たちが思う提督のままで}ニコ
「…?それはどういうことだ?」
{提督はさ、彼女たちをどう思うかな。}
ふわりと俺の前にある机に行くと、ペンチをスラーっと撫で始める。
「…どうって……女の子だろ?人間だよ。」
{っ!…………ふふっ…私も、そして他の妖精さん達も、同じ考えさ。…人間は彼女達のことを道具や兵器と考えてるようだけどね}
「なっ。…その考え、気に入らない」
{ふふっ…私達も同じ意見さ。…だから私達は、どこか違うあんたに…提督さんに、希望を託したのさ。…それがようやく、真だと受け取ったよ。}ニコ
そう笑うと、ふわりと飛翔して、俺の目を見すえる。
{私、私達の妖精の力、全力で提督さんに貸すよ。提督はいつか、すっごい大物になる気がする。だから、私達はそんな提督さんの言わばスポンサーだ。…もちろん、報酬はちゃんと貰うけどね?}
「…ふっ。当たり前さ。働かず者喰うべからず…逆は、違うからね」ニコ
{…うんっ♪…さーてと!最後に本題の改造の件だけどね。……その事には心配はいらないよ}
「へ?何故だ?」
{(やっぱり…知らないんだ。)……ここの艦娘は、少しほかの艦とは違うからね。改造するしないは考えなくていいと思うよ♪}
「え、でも貴重な皆の華々しい瞬間じゃないか?」
{だからこそだよ♪…提督は、いつも通り馬鹿してればいいってことだよ♪}
「おいなんだその人がいつもバカにしてるみたいに…まぁーあながち間違いじゃないから…否定は出来ないが…」
ふっと鼻で笑い、お礼を言って、お礼の金平糖の袋を置いていって、工房を後にした。
夕立「あ!提督さーん!」
「おおっ!夕立、それに時雨じゃないか。なんだ?剣道の休憩か?」
時雨「こんにちわ♪提督。僕達は今はお昼ご飯を食べようって話をしてて」
「あーもうそんな時間かー」
夕立「っ!ね!提督さんも一緒に食べようよ!」
「おっ。いいねー。奢るぞー」
時雨「ちょっと…すいません。急に誘ってしまって…」
「いいのいいの!俺は絶賛暇してたしな」
夕立「それじゃー!しゅっぱーつ!」ギュッ
時雨「あっ……うぅ…」シュンッ
「チラ…ふっ。時雨」スッ
そう言って、時雨に手を差し出す。
時雨「っっ!…うんっ♪…提督…♪」ギュッ
「……ふっ」ニコ
そうして、食堂に歩いていく。
{提督さんは…不思議な人だ…}ニコ
{…首相、聞かなくてよかったんですか?彼の…あーいえ、提督さんの力について…}
{あぁ…ふっ。あの様子だと、おそらく本人自体も気付いてないよ。聞いても逆にヒントを与えてしまうだけさ。ああいう隠れた才能って言うのは、自分で見つけて、気づいて、育てていかなきゃ意味がないのよ}
私達は、彼の後ろ姿を見ていた。…とても不思議なオーラを纏って、とても不思議な力をみにつけた新人の提督…ね。
{長くこうして、工房に身を置いてきたけど…彼のような提督に私たち妖精が心惹かれるって…結構まれよね}
{……そう…ですね。大抵の提督は、私達の事をこき使いますからね…}
{それに、艦娘達が『勝手に改二になる現象』は、どこを探してもここの鎮守府だけだろうね}
{……本当に、聞かなくてよろしいのですか?}
{さっきも言ったでしょ?…自分で気づかなきゃ意味がないって}
{………}
{あの様子だと…すぐに気づくわよ。…艦娘に愛されて、その衝動で艦達が姿形をガラリと変えれば…ね。今で言うと、鈴屋さんや時雨、夕立のように…ね。}
安定のキャラ崩壊。ワクワクすっぞ(!?)