なんだこの世界……まるで意味がわからんぞ   作:すつぬ

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訓練で忘れてたけど前提督のゴミを売りに行かなくては!

で…問題は……

 

夕立「よろしくお願いしますっぽい」

 

天龍との一戦を終えて、息を整える。そんな時に聞こえたひとつの言葉。彼女に視線を向ける。だらりとやる気のないように木刀を手に持つ彼女に……

 

「あぁっ。よろしくな」

 

そう言って構える。先に動いたのは…夕立であった

 

「!?」

 

昨日よりも速く、鋭い一撃が何個も何個も飛んでくる。

 

「クソっ!あんなアドバイスすんじゃなかったぜ!」

 

前に夕立に言った何気ない一言

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えや夕立はなんでこう何回も俺に挑んでくるんだ?」

 

素振りをしてる夕立に話しかける。彼女は素振りをやめ、こちらに視線を向けて笑顔で答えてきてくれた

 

夕立「提督に褒められるためっぽい!」

 

二パァっとまるで効果音がつきそうなぐらい満面の笑みでそう答えてくれる。そんな夕立に

 

「そっかw夕立は充分凄いよwこれからも頑張ってなw」ナデナデ

 

夕立「っ!ぽいっっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

そう言葉を向けただけ……その言葉を聞いてから夕立は見違えるほど強くなった。

 

「そこっ!」

 

夕立「っ!」スッ

 

「!?消え……いや!後ろか!」カキン

 

木刀と木刀が重なり合う。

 

「っ!おっらぁ!」

 

夕立「!…負けないっぽい!」

 

夕立の長所はどんな体勢からでも受身を取れる所や、異常なスピード……身体能力にある。残像さえ見せる速さに、ピリピリとした緊張感……それが相まって……楽しいっ!

 

近くまで突進してきていた夕立と木刀を再度交える

 

「……楽しぃなぁッ!」

 

夕立「!?」

 

俺が大ぶりに横に振ると、夕立は1回吹っ飛ばされるが軽やかに着地をする。

 

夕立「提督さん……その目っ」

 

「あん?……そんな事より今は真剣勝負……だぞっ!」ブン

 

夕立「っ!?」カキン

 

ノーモーションから一気に距離を詰め、夕立の首筋に木刀を振るうが、既の所で夕立にガードされてしまう…

 

(俺ってこんなに速かったっけ……まぁ……いいやっ!)ズシ

 

夕立「くっ……」スル

 

「おわっと?」

 

するりと木刀をいなして解放される夕立。俺は全体重かけていたこともあり、ぬるりと前のめりになる。

 

夕立「提督さんの目って……黄色だったっぽい?」

 

「………?俺の目は元から黒だぞ?」

 

夕立「…………」

 

なんだ?妙な事を言うな…まぁーそれよりも

 

「……構えよう。仕切り直しだ」

 

夕立「っぽい!」

 

ほぼ決闘のように俺と夕立は構える。俺はポケットからひとつのコインを取り出して

 

夕立「?何をするっぽい?」

 

「あぁwこれが落ちた瞬間に開始にしようって意味だw」

 

夕立「なるほどっぽい……」

 

その言葉を聞いて、コインを弾く、クルクルと空中に舞う中、俺と夕立の視界は恐らくスローモーションになっていただろう。いや、現に俺はスローモーションのように遅かった。そしてコインが、チャリっと地面に落ちた瞬間に

 

「………っ!」スッ

 

夕立「……!?」カラン

 

ほんの一瞬、その一瞬だけで、俺の木刀の先端は夕立の首元スレスレに置かれる。夕立は上段から振りあげようとしていた木刀を停止させ、そのまま手を離す。からんっと木刀が落ちる音がすると両手をそのままにして

 

夕立「……ま、参ったっぽい……」

 

そう言葉を上げた。俺も木刀を地面に落として、夕立の頭をナデナデする

 

夕立「っっ!!」

 

「よくここまで強くなったねwこれでもう大丈夫……あとは今までの事を水上でやるだけだ。何、心配はするなw夕立のここ1週間の努力は必ず報われる。俺が言うんだw間違いねぇーよw」ナデナデ

 

俺の勘はよく当たる…ってじいちゃんに言われたからな…

 

夕立「………ぽい///」

 

「はい?なんて?」

 

夕立「私……頑張ったぽい!!」ダキ

 

「うぼわぁ!?」

 

ゼロ距離からの突進に似た抱きつきをされた…うごっ…臓器が……

 

夕立「提督さん♪提督さん♪ぽいっ!!♪」スリスリ

 

なんかよくわかんないけど良かった……いや本当によく分かんないけど…

 

「頑張ったね…これかも強くなるぞ。夕立」ナデナデ

 

俺な胸に顔をうずくめてる夕立の頭を撫でながらそう言葉を送る。すると笑顔で

 

夕立「ぽいっっ!」

 

元気に答えてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

『で、いつあのゴミ袋を売りに行くのじゃ?』

 

(……はっ!?)

 

あの死闘(仮)から約2日が経ち、現在は書類をちびちびこなしてるなか、そう言われる。

 

(た、確かに……そろそろ売りに行くか……)

 

『もう1週間を放置してるぞ』

 

(うぐっ……く、訓練が楽しくて……)

 

『いいからさっさと行くぞ』

 

(はいっ)

 

そうして、ゴミ袋片手にこの鎮守府から出る時だった。

 

「?君たちここで何してるの?」

 

「「……!?」」ビク

 

「え?」

 

片方が緑髪で腰まで伸びてる子。片方が赤い髪型の子。

 

???「べ!別に何もしてないよ!?」

 

「そうか?にしてはここから出たそうな顔してますけど」

 

???「!?そ、それはぁ……」

 

「ところで君、名前は?」

 

???「わ、私!?そ、そうね…江風だ!」

 

「おぉ。元気がいいですね。そちらの緑髪の子は?」

 

っと、視線を緑髪の子に向ける。彼女はモジモジしたあと小さな声で

 

???「………山風」

 

「山風ね。把握。で?2人は外に出たかったのか?」

 

江風「べ!別に!で、出たいって訳じゃ……」

 

うーむ…確かに育ち盛りみたいな見た目してる駆逐艦だっけか?そんな子達がここの敷地だけってのもなんかなぁ…

 

「…なら、ついてくるか?」

 

「「えっ!?」」

 

「いやー、前任のゴミゲフンゲフン宝物を売って金に変えようかなって」

 

山風「………でも」

 

「あー、無理にとは言わないよ。ただ一緒に来るかい?って訪ねてるだけだからw」

 

そう言うと、2人は顔を見合わせて、ひとつ頷くと江風の方から「同行させてくれ!」と言ってきたので一言「おっけい」っと答え、門を開け、歩いていく。

 

 

 

 

「離れんなよー」

 

少々人混みがある場所に来てしまった。2人は焦りながらも俺の後ろをちょこちょこ着いてきてくれる…あーでも、遅かれ早かれこれは離れるな。

 

「ほら。離れるなよ」ギュッ

 

江風「なっ!ちょっと!」

 

「離れると危ないぞ?いいから捕まってて」

 

江風「うっ………わかった……」

 

「ほら、山風も」ギュッ

 

山風「あっ………」

 

「ほら、着いてきて」

 

っと、目的の場所についた。俺はゴミゲフン、宝物を渡して、少し時間がかかると言うので、ちょうどお昼出しと思い、近くの喫茶店に入る。

 

「ほら、好きな物頼んでいいぞ」

 

江風「……いいの?」

 

「いいよ」

 

山風「……本当に?」

 

「いいよw」ニコ

 

「「じゃー……これっ!」」

 

「……それでいいのか?」

 

「「うんっ!」」

 

「お、おう……」

 

そして、メニューを注文する。俺は野菜パスタで、2人はお子様ランチ……

 

「あの、本当にそれでいいのか?」

 

メニューが届いた時、2人に尋ねてみる

 

「「いいっ!」」ニコ

 

「ならいいか…いただきます…」

 

そう言って手を合わせて、クルクルと巻いて食べていると、目の前の2人はポカーンと見ていた

 

「ん?ゴクン…どうかしたのか?」

 

そう尋ねてみると、いきなり2人は手を合わして

 

「「いただきます!」」

 

「お……ど、どうぞ?」

 

江風「!」ニパァ

 

山風「………」ニコ

 

「???」

 

『今のお主、お父さんに見えなくもないぞ』

 

(は?馬鹿言え。この子達は俺の子じゃねぇーぞ?)

 

『それでもじゃよw』

 

(俺まだ若いんだけどなぁ…)

 

『たかが、20前半じゃろ。ワシには及ばんよw』

 

(たりめぇーだろ!まぁー20前半でも心は少年です☆)

 

『うむ。言動その他諸々含めて確かに少年じゃな。馬鹿な方の』

 

(あぁんっ!?否定はしねぇーが表出ろゴラァっ!)

 

『認めるのかい!それと残念じゃな!表にはでれましゃぇーんw』

 

『あぁっ!?』

 

山風「パパ」

 

「『パパ!?』」

 

「ぱ、パパって俺の事?」

 

山風「うんっ♪」

 

「……どうしてそうなったか説明求めても?」

 

江風「あー…それは私から説明しても…?」

 

「え?あ、お、おう?」

 

そして説明を受けて分かったこと。

 

「わからんっ☆」

 

江風に言われたのはこうだ。親の存在が欲しくて、本などで知識を得ており、その知識から、今の光景、年の差、ありとあらゆる状況でそうなってしまったのだと。もう一度いう。わからんっ☆

 

山風「……だめ?」ウル

 

「うぐっ………で、でも……さ?ほら!俺……提督だよ?君も分かるでしょ?前任に何されたか……だから……ね?」

 

山風「……違うもん」

 

「え?」

 

山風「私がパパって言いたいから言いたいんだもん!!」

 

「うわっちょ!?どうしたの!?」

 

いきなり大声あげないでください心臓止まりそう

 

山風「前の人はゴミでクズでどうしようもない人だったけど!今目の前にいる人は違うもん!」

 

「餅ついてぇぇ!?」

 

『お前がおちつけぇぇ!?』

 

山風「美味しいご飯もくれる、無理に出撃させようともしない…それどころか休みまであるしお風呂も入れる…そんな人の事を嫌いになれないよォ!」

 

「ホワァァァァァッ!?」

 

『壊れたァァァァァっ!?』

 

コホン、取り乱した。すまないっ

 

「……山風、俺のことをそんなにパパにしたいか?」

 

山風「……だめ?」

 

「ダメではない。しかしな、簡単にはいうが…難しいぞ?」

 

山風「……構わない」

 

「………そうかい。それじゃー命令だよ」

 

そう言った時に、山風の顔が強ばる…が、お構い無しだ

 

「………死ぬなよ」

 

山風「……へ?」

 

「俺の娘なんだ。簡単に死んでくれるなよ?w」

 

その俺の言葉に一瞬理解出来なかったのか、キョトンとした顔の山風から一転、理解したのか顔を真っ赤にして

 

山風「は……はい……///」

 

っと言った。

 

「うんwよく言ったw」ナデナデ

 

娘の頭を撫でる。これ重要。子供いないから知らんけど。なんなら年齢=童貞だけど。あ?文句あっかよ

 

それから、まぁーあんなことしたのでそれはそれは痛い人を見る目でしたね。そんな中でも笑顔でお子様ランチ食う山風と江風には苦笑いしか出来なかった。って思ってる俺も普通にパスタ食ってたな。会計した頃にはいい感じの時間になってたので、先程の店に戻る。するとなんか個室の部屋に連れてこられた。ふむ。なかなか緊張感があるじゃないか

 

『(なんだコイツ)』

 

まぁーさておき、気になるのは値段ですね。いくらになったんでしょうか

 

鑑定士「買取額が…7500万円になりますね」

 

…………………ん?今なんて言った?

 

「あの、すいません」

 

鑑定士「は、はい?」

 

「もう一度買取額を聞いても?」

 

鑑定士「は、はい…?7500万円になります……けど…」

 

「………えぇぇぇぇぇぇ!?」

 

鑑定士「!?ど!どうなされましたか!?」

 

「コホン…失礼…で、買取額が7500円と…」

 

鑑定士「万が抜けておりますお客様」

 

「……まじ?」

 

鑑定士「マジです」

 

「アジ?」

 

鑑定士「美味しいです」

 

何だこの鑑定士。めちゃくちゃノリいいぞ。じゃなくって……

 

「それは本当なんですか?」

 

鑑定士「はい。どれも一級品…絵画なんて、これ一つで2000は行きますね」

 

「わっホイ」

 

鑑定士「……でも何故そこまで驚くのでしょうか…これはお持ちになったのはお客様なのですから、持ち主はお客様御本人では…」

 

「あー…これは親父が譲ってくれた品なんだ。何でも、「もう要らねぇーし使い道ねぇーからやるよ!ほれっ!」って」

 

鑑定士「なるほど…お父様が…それで?買い取りますか?」

 

「お願いします(即答)」

 

鑑定士「かしこまりました……しかし、額が額なだけに…」

 

っと、難しい顔をしてしまった。そんな心優しい人に俺はにこやかに笑って

 

「そちらの都合で大丈夫ですよ、別に今すぐ欲しい訳では無いので」ニコ

 

鑑定士「ありがとうございます。そうですね…こちらからお電話したいので…携帯番号なんか」

 

っと、電話番号を教え、今日の所は帰ることにした。

 

「よーっす。待たせたなぁ」

 

男「ねぇねぇ!君たち可愛いね☆俺らと遊ばねぇ?」

 

山風「………」

 

江風「あ、あはは……」

 

「おーい?山風ー?それに江風ー?早く帰るぞー」

 

山風「!……んっ♪」

 

江風「そっ、そういう事だから…」

 

男「まぁー待てよ!」ガシ

 

江風「きゃっ!」

 

山風「は、離して……」

 

男「なぁーおっさんw大人しく「その子達を離せ」……へ?」

 

俺は男の喉元に親指を突き立て、睨みつける。

 

男「ひっ!?」

 

「俺の大事な子達だ……その手をどけろ」

 

男「っ!……話をき「聞こえなかったか?」ぎっ!?」

 

俺は親指を喉元に突き刺していく

 

「その薄汚ねぇ手をどけろって言ってんだ…」

 

男「は!離す離す!」パッ

 

そうして離した時に、俺は江風と山風をこちらに引き寄せ、抱きしめる。

 

「良かった…無事だな。」ナデナデ

 

自然に頭を撫でてしまう。そのまま視線を男に向けて

 

「……」ギロ

 

男「っっ!ひぃぃっ!」

 

男たちは逃げていった……

 

「……はぁ!つっかれた!」

 

チンピラから対面切って喧嘩ふっかけるとか前の俺だったらぜってぇーにしてねぇーな…

 

江風「て、提督!?目!目が!」

 

「ん?目?」パチクリ

 

江風「あ……あれ?も、戻った……」

 

「ん?何のこと?」

 

江風「……いや…なんもない(赤目が……消えてる?)」

 

「そっ?なら行こうか」

 

そうして、手を引っ張って帰路につく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山風「ねぇ、パパ」

 

「ん?どうしたぁ?」

 

山風「♪呼んだだけ♪」

 

「ふっwなんだそれw」

 

私は、握られた手を凝視する。暖かくて、力強いのに優しく先導してくれるパパの手を……

 

山風「ねっ…江風」

 

江風「……?なーに?」

 

山風「江風はパパの事……好き?」

 

江風「なっ!?///あんた何言って!?」

 

「んー?俺がなんだってぇー?」

 

江風「な!なんでもないよ!!」

 

「?そうか?ならいいや」

 

江風「何でそんなこと急に……?」

 

山風「私はね……好きだよ♪パパの事♪」

 

山風が見る提督に対する目は、乙女の少女のように純粋で真っ直ぐであるものだと江風は瞬時に理解した。理解してしまった…

 

江風「………素直でいいな」ボソ

 

山風「?なに?♪」

 

江風「うっ、ううんっ!なんでもないよw」

 

江風は羨ましいと思ってしまった。自分には持てない感情を山風が持ってしまったことに。そして、江風も、提督の背中を見つめる。

 

江風(この人の近くにいたら…分かるのかな)

 

そう、心で静かに思うのだった




山風にパパと言わせたいがために書きました!後悔はしておりません!パパと言わせるための前フリが雑オブ雑とか言わない!はい!

あと、主人公の能力の事ですが全く考えておりません!wまぁー一様整理しときましょうか

青眼=純粋な怒り 能力は不明
黄眼=楽しいと思えた瞬間 能力:スピードと反射神経の向上
赤眼=大切な人を守る時 能力:身体能力の向上、溢れ出る殺意

って感じですかね。あくまで今までの成り行きからですけどw
あーそれと、長々しいタグを『不定期更新』に変えました。月1とかほざいときながらすぐに変えてすいません…ゆるちてw

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