フィオレちゃんとアサシンに板挟みにされる俺氏。   作:黒三葉サンダー

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ゆけ!欲望のままに書くのだ!!


おかしい!俺の知っているフィオレちゃんと違う!

何故だ……何故こうなった……!

 

「ふふ……見てください先生。全く動かなかった足も、先生のお陰でこんなに動けるようになりましたよ?本当に毎日が充実してます」

 

「そ、それは良かったな。だが俺にはこうして君に押し倒されるようなことをした覚えはないんだけど…」

 

蠱惑的な笑みを浮かべながら囁くように告げてくる少女は確かに可愛らしく実に良いが、如何せん押さえられている両腕、両足がメキメキといっている。恐るべき魔術礼装!

なんとかもがいてはいるものの、礼装ガン積みの少女にマウントを取られ続けている。

 

「私先生には感謝しているんです。ずっと治ることはないと諦めていた私の足を治していただいたことに、魔術師としての生命を終わらせずに済んだことに」

 

「へ、へぇ。それは良かったよ」

 

「はい♪先生と逢えたことは運命だと思ってます♪」

 

や、止めろ!そんな笑顔で顔を近付けてくるんじゃない!頬を赤く染めるな!息を荒げるな!マスクの開閉スイッチをまさぐるな!

俺の知っているフィオレと言う人物はもっとおしとやかで、落ち着きのある女性だったはず!

 

何か落ち度があったのか!?思い出せ……あの時のことを……!

 

 

 

 

───────

────

──

 

 

 

 

俺、レン・クラヴェルト・ユグドミレニアは変わった魔術師であると自負している。

 

魔術師らしからぬ振る舞いと現代技術の併用。果ては交友関係まで多岐に渡るとも言える。生粋の魔術師としての生き方はしていない。

その為だろうか、やがて両親にも見限られ魔術師として期待されなくなった。俺自身いつも冷たく扱ってきていた両親に身限られた所で別になんとも思わなかったのも原因なのかもしれない。少なからず俺の中で人間的に振る舞う自分と他を冷めきった目で眺める自分のギャップに嫌気がさしたりもした。

今やクラヴェルト家は弟が引き継ぐことにほぼ決定されている。それ自体は別に文句はないし、妥当といえる。

 

しかし問題だったのは俺の立場、俺の盾が消える事だった。

 

確かにクラヴェルト家はあまりの魔術回路の少なさと質の悪さに没落した弱小な家系だ。だが俺は、俺だけは違ってしまった。

クラヴェルト家の歴史では過去最大の魔術回路数に質の良さ、そして滅多に見ることが出来ない稀少な魔術属性である[架空元素・虚数]。

 

そう。あの虚数魔術である。間桐桜と同じ魔術属性なのだ。

 

あぁ、言い忘れていた。俺は俗にいう転生者である。別に何らかのお願いをした覚えもなければ、こんな都合の良いステータスを望んだ覚えもない。いやまぁ覚えがないだけでしてるのかも知れないけど。

 

閑話休題。

 

ともかく、このまま後ろ楯がない状態だとホルマリン漬けにされて一生保管されるだけだ。そんな時にふと気付いたのだ。

 

(あれ?もしかしてここってfate/apocryphaの世界じゃね?ユグドミレニアってそうだよな?)

 

と。

 

そう気付いてからは俺は名前を「エリクスィール」と偽り、フルフェイスマスクで顔を隠し正体を隠しながら転々と各地を歩き回った。今では「レン・クラヴェルト・ユグドミレニア」は行方不明になっている扱いだろう。一番はダーニックと関われることだが、最悪セレニケ以外なら誰でもいい。

そんなノリで魔術医師のような真似事を続けていた時に、出会ったのだ。

 

フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアと。

 

俺の噂を聞きつけた彼女は迷いなく俺に接触し、難題を突きつけてきたのだ。

すなわち変質してしまった魔術回路をどうにか出来ないかという難題をだ。

確かに俺の起源との相性を考えれば出来なくはないかも知れないが、ハッキリと言って自信はなかった。

 

だって普通無理じゃね?聖杯に頼もうとしてたレベルでどうしようもない問題じゃん。そんなん一魔術師が出来る範囲超えてるじゃん!

こりゃ精一杯やってみてやっぱり無理でしたって感じで乗りきろうとしたのです。

 

けれど予想に反して結果的に成功してしまったのだ。

 

恐るべし起源特化。恐るべし虚数魔術。俺は不可能を可能にしてしまったのだ!!

いや俺が一番ビックリだわ。彼女も俺もカウレス君も反応出来なかったし。

 

「嘘……!本当に……!!」

 

「な、治ったのか!?治したのか!?」

 

「……うむ………うむ!めでたしめでたし!」

 

その後はほんと大変だった。フィオレちゃんは泣き出すし、カウレス君も涙を流して喜んでくれた。姉弟でお互いを思いやれる関係を羨ましく思いながらも、後ろ楯の話をしたら快く受け入れてくれた。有難いことにダーニックにも話を通してくれるそうだ。

 

そこから俺とフォルヴェッジ家の関係が生まれたのだ。

 

 

 

──────

────

──

 

 

 

……ん?そういえばその時からフィオレちゃんの様子がおかしかった気が……?

 

「その時からかぁぁぁ!?」

 

「ふふ、先生……」

 

「やめろぉ!やめろぉ!落ち着けぇ!」

 

止まる事なく近付いてくるフィオレちゃんの顔と指から逃れる為に何か気を引けるものはないか………!!?

そんな時、壁に掛けられた時計に目が行き俺の頭にピシャリと閃くものがあった!

 

「フィオレちゃん!時間!時間だ!そろそろ集合しないと!」

 

「……………残念です。この続きはまた今度に───」

 

「さぁいこう!すぐいこう!いやぁどんな英霊に会えるのか楽しみだなぁ!」

 

泣く泣く解放したフィオレちゃんの発言を遮って先に部屋を出ていく。

あ、危なかった!あのまま進んでいたら間違いなく事案だった!!彼女のあの目は本気だった!彼女にはヤるといったら必ずヤるという意思の強さがあるっ!!

 

冷や汗を拭いながら、聖遺物を確認し直す。

正直この英霊を出せたとしても戦争には向いてない。でもまぁ、回収出来たのがこれだけだったししゃーなしだ。被ったフルフェイスマスクを調節し、広間へと歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フィオレちゃんと一緒に広間に集合すると、黒の陣営のマスターが勢揃いしていた。ゴルドのおっさんとキチガイねぇさん(セレニケ)、カウレス君が待っており、上ではダーニックとランサーが様子を眺めていた。ロシェとキャスターはいつも通りホムンクルスのところかな?

 

「遅いぞ小僧!」

 

「姉さんに手を出してないな………?」

 

「さっさと済ませましょう」

 

「ごめんなさい、遅れました」

 

「悪いなおっさん!すぐに始めようぜ!」

 

ゴルドのおっさん達に謝ってささっと持ち場につくと、予め用意していた魔法陣の中心に聖遺物である包丁を置く。スーッと息を肺に取り込んで、吐き出す。

そして詠唱を開始した。

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

手向ける色は黒。

降り立つ風には壁を。

四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。

 

閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する。

 

――――告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。

 

誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者。

 

汝 三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

五人の詠唱は無事に成功し、それぞれの魔法陣が光を放つ。

そしてその光の中から五人の英霊が呼び出された。

 

「サーヴァント、セイバー。召喚に応じ参上した。よろしく頼む」

 

一人は大剣を持った、歴戦を思わせる鎧の剣士。

 

「サーヴァント、アーチャー。召喚に応じ参上しました。よろしくお願いしますね、マスター」

 

一人は長い髪の男性で、優しそうな弓兵。

 

「サーヴァント、ライダー!召喚に応じ参上したよ!みんなよろしくね!」

 

一人はピンクのおさげをした青年……青年?青年だよな?

 

「ウー……」

 

一人はドレスに身を包んだ一本角の少女。

 

みんな思った通りの英霊を召喚出来たようだ。そしてこっちは─────

 

 

 

 

「サーヴァント、アサシン。召喚に応じ参上しました!一生懸命頑張りますけど、失敗したらごめんなさいね!」

 

 

 

 

───黒い帽子に白いドレス、傍らに羽の生えた卵のような生物を侍らせた女性だった。その姿はまさに絵画通り。

なんともまぁ朗らかな英霊を召喚出来てしまったようだ。

 

 




(o´・ω・`o)ちかれた………

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  • ジャンヌ(レティシア)こそ至高!
  • 三人のお山のハレムもあるで?
  • いやいやここは亜種聖杯戦争をだな……?

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