フィオレちゃんとアサシンに板挟みにされる俺氏。 作:黒三葉サンダー
高評価や感想が俺が作品を作る速度に比例していく────かもしれない。
だからもっと評価押すんだよほらほら!(暴挙)
与えられた部屋にアサシンと戻り、お互いにゆっくりとした時間を過ごす。フィオレちゃんに襲われかけた日とは思えないくらい平和な時間だ。
いや彼女も普段はおしとやかな淑女の筈なんだが、どうも俺が関わると少しポンコツ気味になりがちだ。
おかしい。前はもっとしっかりした子だったのに!
「どうぞエリー。お口に合うかわかりませんけど」
「ありがとう。そうだ、キミに聞いておきたいことがある」
「はい、なんでしょうか?」
「聖杯のこと。すなわちキミの願いはなんだ?」
アサシンが入れてくれた紅茶を受け取り、彼女も席に着いたタイミングで質問を投げる。
サーヴァントは誰しも願いを持って聖杯戦争に参加している。黒陣営のサーヴァントたちの願いはあんまり覚えてないけど。
確かシャルロットの願いは………
「願い……ですか。そうですね。実をいうと私、叶えたい願いって無いんです」
「ふむ」
だよなぁ。なんで聖杯戦争に参加出来たのかわからないレベルで無欲だよなこの子。いやまぁ人並みの欲はあると思うけど、基本的にいい人過ぎる。
よく呼べたな、俺。
「エリーは何かお願いがあるのでしょう?」
「……あれば良かったんだけどな」
「あら、エリーも無いんですね」
「願いは無いな。でも夢ならある」
「お願いと夢は違うんでしょうか……」
「勿論別物さ。願いは自分では叶えられないものを他に叶えてもらうための手段であり、夢というのは自分で手に入れることが出来る可能性があるものだ。確かに俺には夢がある。でもそれは聖杯無しでも叶えられる可能性のあるものだから、わざわざ聖杯なんていう神秘に願う必要はないのさ」
「へぇ……それじゃあエリーの夢ってなんなんですか?ちょっと気になります!」
「それは……」
興味深げに話を聞いていたアサシンはコロコロと表情を変えながら聞いてくる。
……流石にこれを話すのは気が引けるというか、恥ずかしいというか。しかしそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、純粋無垢な眼で見つめられたら白状するしかない。
「……家族だ」
「家族?」
俺の答えに可愛らしくこてんと首を傾げるアサシンに苦笑する。今もマスクを被っている為、赤くなった顔は見られることはない。
「昔、レン・クラヴェルト・ユグドミレニアという一人の青年がいた。その青年は生まれながらに特異な体質と魔術に悩まされていた。両親には愛してもらえず、歴代の中で最優秀だという理由だけで育てられてきたのだ。ただ魔術師としての生き方だけを教えられていた彼は、そんな生き方に辟易して家を出たのだ。今では彼の弟が家を継ぐことが決定されているだろう。その後、彼は行方不明となった」
「それって………」
「さぁ?彼は今でも生きているのか、もう既に息絶えているのか。それは俺にも分からない。まぁそれでも案外何処かをふらついてるかもしれないけどね。そんな彼と俺の境遇は非常に似ている。俺も家族っていうのに、愛というものに餓えてるのかもしれないな」
「そう、ですか……」
久しぶりに長々と喋ったせいか喉が乾いた。マスクの開閉スイッチを弄り、口元だけ開けて紅茶をいただく。
少し冷めてしまったが、心地の良い香りが鼻を抜ける。
ふむ。家事全般を任せてみても良いかもしれない。
そんなことを考えてたら、突如席をたったアサシンが俺の前まで来ると頭を抱きしめられた。
……は?え?は?
「な、なななにをしているんだ!?」
「大丈夫ですよ。あなたなら絶対に叶えられます。だって私がこんなにもエリーを可愛くおもったんですから」
「は!?可愛い!?キミは一体なにを言っている!?」
「私で良ければご一緒しますからね、エリー♪」
なんだ!?何故こんなことになっている!?幸いマスク越し故に感触は殆ど感じなくて悔し───じゃない!幸いだといってるだろう!?
こんなところ誰かに見られでもしたら─────
コンコン
『先生?今大丈夫ですか?ちょっと相談したいことがあるんですけど』
「!?!?」
「あら?あの声、アーチャーのマスターさんですね。開いてますよ」
「ちょっ!?待て!?」
『その声はアサシンね。先生、入りますよ』
「今は駄目だ!フィオレ!!」
ガチャ
俺の必死の声もフィオレちゃんに届かず、無情にも扉は開かれてしまった。
「………先生?何をしてるんですか?詳しくお話を聞かせていただけますよね?」
あ、終わった……
先生ー!!お気を確かにー!!
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いやいやここは亜種聖杯戦争をだな……?