フィオレちゃんとアサシンに板挟みにされる俺氏。 作:黒三葉サンダー
……かはっ!?(疲労による吐血)
にこやかに、されど圧を感じさせるフィオレちゃんの雰囲気にマスク内で冷や汗がツーッと流れるのが分かる。
俺の頭はアサシンの胸の中に文字通り埋もれており、こそっとマスクの口元を隠したのはバレてはいないはず。
「せーんせっ。どうしてそんな所に頭を埋もれているんですか?ねぇ先生?」
「違うぞ!これは俺の意思じゃない!断じて俺が自らここに頭を埋めているわけじゃない!」
「……なるほど。そこのアサシンですね?アサシンがやってるんですね?」
「そうですよ。私が自分でやってるのです♪エリーったら可愛くてつい♪」
「だから俺のどこに可愛さがあった!?男は可愛いと言われても複雑な気持ちになるだけだぞ!」
「確かに先生に可愛い一面があることは否定しません。」
「しないのか!?」
フィオレちゃんもアサシンも穏やかに会話してるっぽいが、アサシンはともかくフィオレちゃんの圧を今なおひしひしと感じる!早く放して!?ご機嫌取るの俺なんだよ!?
もう何とか自力で脱出しようと体を動かすが、その度に感じてはいけない柔らかさを感じてしまう!
「んっ……エリー、くすぐったいです♪」
「ばっ!?止めろそんな声出すな!」
「……先生。楽しそうですね?」
「ぐっ、くっ……ぷはっ!こんな状況で楽しめるか!しかもマスク越しだぞ!?こんなの生殺しではないか!?………あっ」
力が緩まった瞬間アサシンの腕から逃れた俺はつい本音を漏らしてしまった!
し、仕方ないだろう!?俺だって男なのだ!!理性の強さには自信があるがそれとこれとでは話は別だ!
しかし反応の無いフィオレちゃんが気になり恐る恐る確認すると、涙目になりながらプルプルと震えていた!
「ふぃ、フィオレちゃん?」
「……いです」
「えっ?」
「ずるいですっ!アサシンばっかり!私も先生を甘やかしたいです!!」
「そっち!?」
「あら?」
半ばやけっぱちのように振り切れたフィオレちゃんの叫びに動揺が隠せない。ほれ見ろ!アサシンもポカーンと呆けてしまっているじゃないか!
しかし今のフィオレちゃんは振り切れモード。止まる気配が見えない!
「アサシンよりも無いかもしれませんけど、私だってあります!」
「そこ主張されても反応に困るから!とにかく落ち着いてくれ!」
「先生ったら私のこと全然見てくれませんじゃないですか!私だって先生にしっかり見てほしいんです!」
「エリー。ごめんなさいね?ちょっとふざけすぎたみたい……」
「あぁもう!落ち着けフィオレ!」
やむを得ない!本格的に泣き出す前にフィオレを引き寄せてぎゅっと抱きしめる。そして落ち着かせるように背中をポンポンと叩いてやる。
「あっ……先生……?」
「よーしよしよし、俺はちゃんとフィオレちゃんのこと見てるからな。キミがリハビリを頑張ってたことも知ってるし、魔術を学ぶ姿勢だって見守ってきた。さっきのは本当に悪気は無かったんだよ。俺も、アサシンも」
「ごめんなさい。まさかそこまで嫉妬されるとは思ってなかったの」
「……本当ですか?」
「あぁ本当だとも。俺がキミに嘘をついたことがあったかい?」
そういってフィオレの瞳を覗き込む。俺は一度足りともフィオレちゃんに嘘をついたことはない……筈だと思う。
最も覗き込んだところでフィオレちゃんからは俺の瞳が見えない訳ですがね!
「……無いです。わかりました。先生の言葉を信じます」
「ありがとうフィオレちゃん」
「フィオレ」
「……ん?」
「フィオレと呼び捨てにしてください。さっきみたいに」
「……分かったよ、フィオレ」
「ありがとうございます♪ふふ♪」
ようやくフィオレちゃん──フィオレを落ち着かせることに成功した、と思いきや。
それは突如アサシンから放たれた。
「んー、エリー。アーチャーのマスターさんにもしてもらったら良いんじゃないかしら?」
「ふぁっ!?」
「それは名案ですね!ど、どうぞ先生!少し緊張しますけど……せ、先生になら……」
「へぁっ!?」
こいつ!落ち着いたと思いきやとんでもねぇ爆弾投げやがった!!
嵌めたなアサシン!?これがキミの暗殺だとでも言うのか!?
しかし彼女にそういった感情は見られず、ニコニコと朗らかに笑っていた。素の善意かよぉぉぉ!!尚更断り辛いし責めらんねぇよぉぉぉ!!
フィオレも少しモジモジしながらも、顔を赤くして両腕を広げてウェルカム状態!流されるなフィオレ!キミは芯の強い女の子な筈なのだ!
「先生……」
「ぐっ!?」
止めろそんな切なそうな顔をするんじゃない!マジでいけない感情になっちゃうだろぉ!?
落ち着け俺!理性最強が俺のモットーだろ!?
はっ!?そうだ!奴は!?ケイローン先生はどこだ!?
ケイローン先生!!助けてくれ!!あなたならこの状況も打破出来る筈だ!!
『すみません、アサシンのマスター。マスターは貴方に会いに行くのを楽しみにしてたのです。どうか理性を強く保ってください』
ケイローン先生ぇぇぇぇ!!?こんなときに頼れねぇなちくしょう!
こうなったら乗り越えてやんよぉ!!
「……それは出来ない。だから、代わりにこれで許してくれないか?」
「ふぁ……」
必殺の頭ナデナデ!俺には撫でポ程のチートはないが、今のフィオレになら効力はある筈だ!あってくれ!
そんな祈りが通じたのか、フィオレは気持ち良さそうに眼を細めてナデナデを受け入れていた。心なしか瞳がトロンとしてきた気がする。
何故だ。乗り越えた筈なのに冷や汗が止まらない?
「せんせぇ……もっと……」
「あっはい」
結果、フィオレは俺のナデナデに嵌まってしまったことをここに記しておくことにする。
どうしてこうなった……?
先生の理性が崩壊しそうだ……!
先生のナデナデはフィオレちゃんにとって撫でポよりも危険なものであった!
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いやいやここは亜種聖杯戦争をだな……?