IS〔インフィニット・ストラトス〕 〜買われた少女の物語〜   作:アリヤ

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第一話で本来書くはずの内容が結局第三話にまで伸びた件について。

まさか、原作一巻の部分で四話分も使うとは思ってもなかったよw

予定では第三話の時点で原作二巻の内容に入っている予定だった。

まぁ、予定通りにうまく進まないのは分かっているのですけどねww


第二話

 鈴がIS学園に転入したことによって春十と多少のいざこざがあったが、その日以降は何事も起きずに平和な日々が続いていた。鈴が転入した翌日以降、春十と鈴は廊下ですれ違う程度には見かけていたが、興味がないという雰囲気を互いにだしつつ、どちらかが話しかけることなんて一度もなかった。

 そんな日々の中、授業が終わって日が沈み始めた頃に、鈴は屋上にてある女子生徒と話し合っていた。彼女とは一度話しかけたあと、互いに意気投合して共にいることが増えていた。

 

「そういえば今更かもしれませんが、どうして入学には間に合わずに、転入という形でIS学園に来ることになりましたのですか?」

「本当に今更よね、それ。まぁ、簡単に言えばIS学園に通う事でのメリットを考えていたというか、セシリアには正直どうでもいいことよ」

 

 鈴は彼女――セシリア・オルコットに簡潔に答える。IS学園に遅れて来ることになった理由は鈴個人の問題であり、セシリアに説明する必要はないだろうと鈴は思い、余り詳しく話さなかった。

 

「……わたくしには関係ないことになりますと、鈴さん個人の問題という事でしょうか?」

「まぁ、そうなるわね。それに、聞いても面白くない内容だから聞かない方が良いわよ」

「それでも、わたくしが知りたいと思っても?」

「…………」

 

 思わず言葉が詰まってしまった。そこまでしてセシリアが聞きたいのかという理由が鈴には解らず、何を言えばいいのか瞬時に浮かばなかった。

 別に鈴は一夏の名前を言わずに話しても良いとも考えていた。簡潔に答えたのもセシリアが興味を持つ内容ではないと思っていたからで、ここまでセシリアが詳しく聞いてくるとは考えていなかった。だからこそ鈴は、逆にセシリアが詳しく聞いてくるのか気になり、思わず問い返していた。

 

「……どうして、そんなに気になるわけ?」

「最初は詳しく聞こうと思っていなかったのですが、鈴さんの悲しげな顔をしていましたので、なにがあったのか気になりまして……」

 

 その言葉を聞いた鈴は思わず荷物から手鏡を取りだし、自分の顔を確認した。セシリアの言う通り、鈴の顔は少し悲しそうな顔をしており、その自分の姿を見て鈴は驚き、どうしてこんな顔をしていたのだろうかと思った。しかし、無意識の内に表情がでてしまったのだろうと鈴は考えると、表情にでるほどまでに行方不明となった一夏の事が心配していたと思った。

 

(こりゃ、セシリアも気にするわね……)

 

 一人で抱え込まず、誰かに話して少し気分を良くしたい――そのような気持ちが小さくあったのだろうと思った鈴は、これ以上勿体ぶるようなことはせずに、本当の事をセシリアに話すことにした。

 

「……あたしね、二年前から行方不明になった友達を探しているの」

「ゆ、行方不明ですか……」

「うん。最初はIS学園に通うつもりなんかなかったし中国の方で探そうと思っていたのだけど、よくよく考えたらIS学園に通う方が自由度はあるんじゃないかなと思い、その結論に至った時には、既に入学式に間に合わなかったから、転入する形でIS学園に来たわけ」

「……確かに、代表候補生である鈴さんならば、自国よりは良いかもしれませんわね。わたくしもIS学園に来る以前は自由な時間なんてあまりありませんでしたし」

「そういうこと。それに――あいつがここに居ることもあったから、尚更行くことにしたわ」

「あいつ……というのは織斑春十のことでしょうか?」

 

 セシリアは鈴がいうあいつが織斑春十の事を指しているのだろうと感づき、鈴はそれに頷いた。

 クラス代表決定戦の時、セシリアは織斑春十に負けて今までの事を反省し、男性に対しての価値観が改めるきっかけとなったが、春十に対してはさほど良い印象を持っていない。なんでもできるという考え方が気に食わず、努力して代表候補生まで上り詰めたセシリアにとって、すべてを侮辱されたかのように思えたからだ。もし春十から話しかけられたら多少の会話をするだけで、なるべく距離を取りたいとセシリアは思っていた。

 

「えぇ。あいつが原因で友達が行方不明になったと言っても等しいのよ。だからあたしはあいつを許せない。なんとしてでもあいつには反省してもらいと思っているわ」

「……そういえば、クラス代表戦の初戦は1組のクラス代表と2組のクラス代表の対戦らしいですわね」

「もちろん知ってるわ。だからこそ、そこであいつとけりをつけてやるんだからっ!!」

 

 セシリアは鈴と春十の間に何があったのかまでは詳しく聞かなかった。そこまで細かく聞こうとは元々考えていなかったし、鈴が転入してきた理由を聞けただけで十分だった。

 そして鈴は、クラス代表戦で春十を絶対に打ち負かし、春十とけりをつけるのだと意気込んでいた――

 

 

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 そしてクラス代表戦当日まで何も大きな出来事は起こらず、ついにクラス代表戦当日となる――

 

「ついにこの日が来たわね……」

「そうですわね…… 鈴さん? さっきからわたくしの顔をずっと見ていますけど、何かついているのですか?」

「いや、なんであんたがこっちにいるわけ!? せめて向こうのピットに居るべきでしょ!?」

 

 二組側のアリーナのピットにて、凰鈴音は一組のクラスであるセシリア・オルコットが二組側のピットに居ることにずっと気になっていた。普通、敵側のクラスに居ることがおかしいことである筈なのに、セシリアは平然とクラスメイトのように鈴と話していた。余りの違和感のなさに鈴は最初気にしていなかったが、よくよく考えたらセシリアがここに居ることがおかしいと気付き、思わず口に出していた。

 一方のセシリアは自分がここに居て何がおかしいのかと首を傾げ、鈴がなぜそんなことを聞いてくるのかさっぱり分かっていないような感じだった。

 

「わたくしが、こちらに居るのがおかしいと言うのでしょか?」

「おかしいわよ!! 次の試合は一組対二組でしょ!! 一組であるセシリアが、どうして二組であるあたしの応援をしているのよ!!」

「そういうことですか。確かにわたくしのクラスが優勝してほしいとは思いますけども、相手が鈴さんだと聞いてこちらのピットにくることにしましたの。それに、鈴さんに織斑春十を倒してほしいという個人的な理由もありましたから」

「矛盾しているわよ。それ」

「もちろん、分かっていますわ」

 

 想像していた以上に大した理由ではなかった鈴は内心ため息を吐きつつも、どちらもセシリアの本心だろうと思っていた。たとえ矛盾していようが、セシリアは自分のクラスが優勝してほしいとも思っているし、織斑春十を倒してほしいとも思っていたのだろう。

 そんな事を話し合っていると、セシリアは突然何かを考え始める表示に変わり、鈴もその変化に気付いてどうしたのかと問う。

 

「急にどうしたのよ?」

「……これで本当によろしいのでしょうか?」

「なにが?」

 

 セシリアは鈴の様子を見ながらあることに気になっていた。鈴が織斑春十に対して因縁があるという事は聞いていたが、その因縁の考え方がどのように捉えているのかによって違ってくるからだ。鈴の顔からは把握することが出来ず、もし復讐の為に周りが見えていないという最悪な状態であのならば、どうしても阻止したいところだった。

 一方の鈴はセシリアが一体何を心配しているのかが言葉から理解できず、思わず聞き返していた。しかし、セシリアも答えたところで正確な答えが返ってくるとは思っておらず、聞いてみる意味があるのかと思うが、聞かないよりはましと咄嗟に思い、鈴の聞き返した質問に遠回しに言う事にした。

 

「鈴さんは、織斑春十と戦って何を得たいのですか?」

「得たいって……そこまで大げさな事ではないわよ。あいつには、今までの事を全部反省してもらいたいため。ただそれだけよ」

「それだけなら別によろしいのですけど……」

「なによ、何が言いたいわけ?」

 

 セシリアが何を言いたいのかさっぱり解らず、思わず強い口調で聞き返していた。

 

「はっきり言ってしまいますと、織斑春十に対して復讐したいという気持ちはありませんか?」

 

 それを聞いて鈴はセシリアが何を気にしていたのかようやく理解した。鈴は、春十に反省してもらいたいだけではなく、一夏が行方不明となった原因として復讐したいという気持ちはないかを、セシリアは確認していたのだろうと思った。

 しかし、鈴は復讐したいという気持ちまでには至ってはいない。反省してもらいたいと思っている程度で、別にそれ以上の事は求めるつもりはなかった。反省したところで春十が何か変化するとは思ってもいないが、だからって復讐をするとなれば春十と同類になると鈴は思っていた。それに、反省させたところで一夏が戻ってくるわけでもないし、春十に反省させようとするのも、ただの自己満足なのかもしれないと鈴はセシリアに言われて思い始めた。

 

「……別にあたしは復讐がしたいということは思っていないわよ。けど、あたしがあいつに反省してもらいたいという思いは、正直自己満足かもしれないわね……」

「鈴さん……なんかごめんなさい」

「どうしてセシリアが悲しそうな顔をしてあたしに謝るの? 確かにセシリアに言われて自己満足かもしれないとあたしは思ったけども、事実なんだから悲しそうな顔をする必要はないわよ」

「ですが、わたくしは鈴さんに余計な事を言いましたから……」

「……だから、気にしなくていいってあたしが言ってるの!! 私のことで落ち込まないでよ!!」

 

 セシリアが鈴を気にしていたはずなのに、どうしてセシリアを慰めるような形になったのかと鈴は思い、内心ため息を吐いた。けど、セシリアのおかげで少しは元気づけられ、目的を間違えないように気を付けるべきだと鈴は思った。

 セシリアを慰めている中、そろそろ試合が開始される時刻となったため、鈴は途中で諦めて自分のIS――甲龍(シェンロン)を起動させる。

 

「そろそろ時間みたいだから、詳しいことは後で言うわ。とにかく、今はあたしの試合を観ていなさいよ!!」

「……わかりましたわ」

「それじゃ、少し暴れてきますか!!」

 

 その言葉を最後に、鈴はピットから飛び出して行った。

 そしてその少しした後、試合開始のブザーが鳴り響き、セシリアはピットから試合の様子を見届けるのだった――

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