IS〔インフィニット・ストラトス〕 〜買われた少女の物語〜   作:アリヤ

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お久しぶりです。ようやく書くことが出来ました。

というか2か月ぶりなんですね……なんかすみません。

正直仕事が始まって執筆する時間もほとんどなくなってしまいましたので、良くて2か月ペースになりそうです。

さて、今回の話ですが……多分すぐに気付いたと思うのがサブタイ。

サブタイは毎回付くわけではありません。ヒロインたちの過去に関わる話があると付くことになります。ってなわけで今回は鈴ちゃん回です。

それではどうぞ!!



あと感想なんですが、全部返すことは多分しないと思います。すみません


第五話 episode of memories 凰鈴音

「ど、どうしてあんたが!?」

 

 凰鈴音は今起きているこの状況が理解できないでいた。

 今日は休日ということもあり、久しぶりに日本の町を見てみたいと思って、鈴は目的もなく適当に歩いていたのだが、途中で変装しているのがバレバレな女性に話しかけられた。最初は適当にあしらって離れようと思ったのだが、想像していたよりもしつこかったので、話だけでも聞くことにした。

 鈴は彼女の後についてくと、人気のない路地裏に連れてこられた。路地裏に連れてこられた時には、いつでもISを起動できるようにして彼女に攻撃を仕掛けられるように準備していたが、変装していた彼女が正体を表したときには驚きを隠せなかった。

 鈴が驚いた目の前の彼女-―篠ノ之束は鈴の知り合いでもないし、テレビの画面で束を見た程度だった。鈴の友達の知り合いではあるが、鈴にとっては赤の他人でしかなかった。

 

「あれ~ もしかして、私が鈴ちゃんに会いに来たのかさっぱり解ってないような顔をしてるね?」

「鈴ちゃん!?」

「あれ、もしかしてダメだった?」

「い、いえ、そういうことではないんですけど……」

「ん~?」

 

 初対面なのに馴れ馴れしく思えたが、鈴にとってそれは予想外だった。

 昔、束と知り合いである友達から束について興味本意で聞いたことがあったが、その時聞いたときの性格と違いすぎた。友達から聞いていた話だと、一部の人間しか興味がなく、興味がない人間は冷たいと言っていた。

 しかし目の前にいる束は、誰がどう見ても初対面である鈴に興味を持っているように思えた。興味を持たれるような記憶は鈴のなかでは思い付かないが、共通な点があるとしたら一つだけあった。しかしそれは、束が興味を持つ理由として考えられないことで、どうして興味を持たれたのかさっぱり解らなかった。

 

「まぁ、とりあえずこの辺りにしよっか。自己紹介は別にしなくても良いよね?」

「えっ!? あっはい、大丈夫ですけど……」

 

 さっきまで友達感覚のように接してきたと思いきや、突然空気が一変したことに思わず驚いた。さっきから完全に束のペースに乗せられているなと鈴は思ったが、自分のペースに合わさせる必要があるわけでもないし、そもそも束のペースを見ていて、自分のペースにする自信はまったくなかった。

 

「さて、まず何から話そうか」

「あのー、話が見えないのですが……第一、あたしと束さんと話すような内容が一つも思い出せないのですけど……」

「んー? 私と鈴ちゃんが共通で話せることと言えば一つしかないでしょ?」

 

 その言葉を聞いて、鈴は束が自分に会いに来た理由をすぐに理解した。確かに赤の他人ではあるが、二人に共通していること――共通している人物がいた。束の知り合いで、鈴が束について聞いたことがあった友達――織斑一夏のことしか考えられなかった。

 

「一夏を見つけたのですか!?」

「確かにそのことについてなんだけどさ……さっきから気になってたけど、私に対する言葉遣いは別に気にしなくてもいいよ」

「え? いや、それよりも一夏のことなんですが!!」

 

 自分に対する言葉遣いに気になった束は、友人と話すような会話で良いと鈴に言ったが、鈴はそれよりも一夏のことで何かを知っている束から、情報を聞き出したかった。

 鈴が出来る範囲で情報を調べまくっていたが、何一つ一夏の情報は出てこなかった。だからこそ、一夏のことについて何か知っているような雰囲気を出している束から、いち早く話を聞きたかったのだ。

 

「それは後で連絡するよ。それと、これから連絡取り合うことになるから、登録しておいてね」

「取り合うって、もしかしてあたしに手伝わせるつもりですか?」

 

 連絡を取り合うという事は、一夏の事で束は何かをしようとしているのではないかと鈴は想像したが、鈴としては正直ありがたかった。篠ノ之束という強力な協力者がいるとなれば、一夏を見つけ出すことはあっという間に近づけると思ったからだ。

 一方の束はやはり鈴が自分に対する言葉遣いに気になってしまった。昔ならば気にもしなかったことだったが、一夏が行方不明となってからは今の自分を改めなおそうと思った。一夏を助けるためにも、協力してもらえるには同等な立場でなければ難しいし、協力者を一方的に興味ないように接したら誰もが付いてこないだろう。だからこそ束は過去の自分を改善し、上下関係なく接したいと思っていたので、鈴の言葉遣いに気になってしまうのだ。

 

「……まぁ、そっちはゆっくり直してゆけばいっか。私がそうだったように、いきなり言われても難しいことだし……とにかく、そういうことだからこれからよろしくね」

「は、はぁ」

「それじゃあ、詳しくはまた後日連絡するね。今日は鈴ちゃんに会いに来ただけだから」

「え、ちょっと待って!!」

 

 鈴に伝えたいことを伝えると、束はすぐに路地裏から出て行った。鈴はまだ他にも聞いておきたいことがあったので、すぐに束を追いかけようとするが、路地裏を出た直後に見失う。辺りを見渡しても束らしき人物はなく、人がそれほどいるわけでもないのに束の姿を見失ったのには気になった。

 とにかく鈴は今回の束の行動について、全く意味が解らならかった。初対面である束に会ったかと思いきや、突然一夏を見つけたと言われ、用件だけを伝えるとすぐに姿を消した。本当に会いに来ただけというのならば、わざわざあんな雑な変装をして鈴に会いに来る意味がない。何が目的で自分に会いに来たのか、鈴は気になっていた。

 一夏のことを教えるため――たとえそれが目的だったとしたら、別に今日である必要はない。束の力ならば鈴の電話番号なども簡単に調べられると思うし、直接会いに来ることのほうが束にとっては危険のはずだ。一夏を探し始める様になってから鈴は人を疑い深くなり、何にしても思惑があるものだと思い、だからこそ今回の束の行動には意味があると思っていた。

 しかし、今回の束の行動に思惑があるかと言えば、全く持ってなかったりする。そもそも束は自分が思ったままに行動するタイプであるし、思惑があったとしても相手によってするか決めるくらいだ。鈴に会いに行った思惑は一応あるが、電話で会話せずに直接会いに行った理由なんて、鈴の顔を直接見てみたいというだけだった。

 普通の人間ならば、例えば相手がどんな人物なのかというのを調べるために、直接会いに行くというなどの考えが浮かぶ。紙やデータから得た情報というのは第三者から見た主観であり、情報に偏りがあるかもしれない。だからこそ、どういう人間なのか調べるために直接会うという方法を取るだろう。

 だが束は基本的考えない。一々考えているだけで馬鹿らしく思え、直感で思ったら即行動という方法を取っていた。しかしこれは元からあった束の性格ではなく、回りによる影響が原因だった。ISを発表してから束に会いに来る人間は必ず思惑があり、束ねもそれに気づいていた。一々思惑を考えながら話し続けている様子を見ていて、余りにも馬鹿らしく思えてしまい、思惑しながら行動するという事が面倒になってしまったのだ。

 だから鈴が考えていることは、全く以て意味がない事だった。そもそも常識が通じないのが篠ノ之束という存在であり、それを鈴が知らないとはいえでも、唯の深読みしすぎただけだった。

 

「……はぁ、いろいろ聞きたかったけど、詳しくは連絡が着た時に聞けばいっか」

 

 考えただけで答えが見つからないだろうと思ったら鈴は、時間も夕方に近付いてきていたこともあってIS学園へと戻ることにした。後日連絡すると言われたのだから、その時に全て聞こうと思った。束の言い方からして、鈴に一夏の事で協力してほしいように鈴は思えたので、自分の質問には大抵答えてくれるだろうと思っていた。

 しかし、鈴がここまで一夏に拘るのだろうか。鈴は元々親に連れられて日本に来たのが、日本の学校に転入してから数日後には虐められるようになった。きっかけは些細なことで始まり、それが次第に悪化していったが、それを救ってくれたのが一夏だった。

 それ以降、鈴と一夏は仲良くなり、鈴にとっては一夏が日本で初めてできた友達だった。しかし、当時の一夏は双子の弟である織斑春十と比較され、鈴と同じように虐められていた。だがそのおかげで鈴はそれ以降虐められることは次第に少なくなり、その代りに一夏へと虐めの対象になることが次第に増えていった。

 それは中学になった時も一夏が虐められていることは変わらなかったが、それでも鈴はどうにかして一夏を救いたいという気持ちが強くなり、いつの間にか一夏の事が好きになっていた。しかし、その思いは鈴が想像していなかった出来事によって打ち砕かされた。

 第2回モンド・グロッソにて一夏が行方不明になった。誘拐事件が身近で起きるなんて一度も思ったことがないし、他人事のように思っていたくらいだ。さらに言えば、一夏の姉が第2回モンド・グロッソに参加することもあって一夏が市内に居なかったこともあり、一夏が誘拐されたという事に実感が湧かなかった。

 そして実感が湧いたときに、ようやく自分は何も一夏にしてあげられることがなく、今の自分では一夏を救う手伝いすらできないと気付かされた。

 しかし鈴はその誘拐事件が起きてからある事を決意した。たとえどんな好機であろうともすべて利用し、絶対に一夏を救ってみせると思った。

 

 実際、鈴は恵まれていた。一夏が行方不明になった後、鈴のIS適正が高かったこともあって中国に戻ることになったが、鈴にとってはありがたいことだった。中国の代表にもなれば、自分の手で一夏の事を調べられるかもしれないと思い、そのためならば努力を怠ることはしなかった。

 しかし恵まれていたからというが、束が会いに来るのはさすがに想定外すぎた。しかも束が自ら会いに来るとは考えてなく、正体を現したときにはさすがに声を上げて驚いたくらいだ。束が居なくなった今でも夢でも見ているのではないかと疑いたくなり、自分の頬を思わず抓っていた。

 

「やはり夢ではないのね…… 一体、何されるんだろう?」

 

 多分一夏絡みであろうが、救出するだけで納まる気がしなかった。今まで何一つ情報がなく、束によってようやく一夏の手掛かりが掴めるかもしれないくらいだ。絶対に何かある――鈴はどうしてもそう考えてしまった。

 それから鈴は何事もなくIS学園の寮に戻ってくることが出来たが、その日の夜――

 

「……ねぇ、電話鳴ってるよ?」

「本当だ。ちょっと出てくるね」

 

 ルームメイトであるティナ・ハミルトンが鈴の携帯から電話が鳴っていることに気づき、すぐに鈴に伝えた。鈴はティナから携帯を受け取ると部屋から出てすぐに電話に出たが、ちょっと急いで部屋を出たために、誰からの電話なのかを確認せずに電話に出ていた。

 

「はい、どちら様――」

『もすもす鈴ちゃ~ん。今大丈夫?』

「たっ――」

 

 思わず束さんと声が出そうになったが、咄嗟の反応で抑えた。ここで束という名前を言ってしまえば大騒ぎになりかねなく、もしかしたら一夏事で関わっている人間が居るかもしれない。だからこそ束の名前をここでするのは危険で、声を抑えるべきだと鈴は思った。

 それから鈴は小声で束と話しつつ、なるべく人気がないところへ移動することにした。

 

「それで、一体何の用でしょうか? 後日メールで話してくれるのではなかったのですか?」

『……やっぱりその口調どうにかならないかな? それでどうして連絡したのかというと、ちょっと事態が変わっちゃってね』

「どういう事でしょうか?」

『明日、そっちに二人の転入生が来るのだけど、その二人がいっくんに関わっているらしくて』

「……要するに、私がその二人を気付かれない程度に見てほしいと?」

『そういうこと。そういう事だからよろしくね♪』

 

 いっくんという束の言葉に鈴は誰の事だろうと一瞬思ったが、この場で二人が関係している名前を考えれば束が一夏の事を呼ぶときのあだ名だろうと思った。

 とりあえず鈴はなるべく人気のない場所に移動することが出来たので、声をいつもの大きさに戻して話し続けた。

 

「それで、その二人の名前は?」

『結構有名な名前だしいよ。私は知らないけど』

「だから、名前を教えてもらえるとうれしいのですが……」

『う~ん……教えたいところなんだけど、余り名前を覚えるの得意じゃないから覚えてないんだよね。ちょっと待ってて』

 

 鈴は束に言われた通りに待つことにしていたが、電話からキーボードなどを操作するような音が聞こえてきた。数分してその音が聞こえなくなり、その数秒後に束の声が戻ってきた。

 

『あったあった。それじゃあ名前言うね。多分鈴ちゃんからしたら驚くかもしれないけど……』

「なるべく驚かないようにします」

『じゃあ言うよ。シャルロット・デュノアとシルヴェーヌ・デュノアの二人が転入してくるからよろしくね』

 

 そう言ってすぐに、束は鈴との通話を切ったが、その二人の名前を聞いて鈴はここでその名前を聞くとは思いもしなかった――




さて、誰もがあの二人だと思っただろうが、誰がそう言った。

いや、感想の返信で嘘言いましたけど!!

ちなみにラウラの登場はまだ先です。期待してた人すみません。





……余談ですが、シャルロットっていう名前、フランスでは女性の名前としてはやっぱり普通なのね。

シルヴェーヌの名前をどうするか考えていた時にフランスの女性名を調べていたのですが、シャルロットという名前を見つけたのでね。当たり前なのかもしれないけど。(ちなみにラウラもそうでした)
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