鬼滅の刃 覚悟を背負え   作:アテナ(紀野感無)

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二天屋敷の人に聞いてみた
・好きな事は?
一同「喧嘩なら任せろ(任せてください)」

・今の武蔵ちゃんはどう思う?
「可愛い、強い、養いたいの三拍子が揃ってる」
「おいお前、養うのは俺の役目だ引っ込んでろ」
「何をいう!おれが……」
「いえ私が!」

「師匠はご覧の通り、皆様から可愛がられているので、その辺の心配はご無用です」


拾参(13)・それでも私は宮本武蔵なのですby武蔵ちゃん

「はぁ……はぁ……流石だな。隻腕とはいえ宮本武蔵の名に恥じねえ強さだ」

 

「今日はもう無理だわ……体動かん」

 

「あたりめぇだ。お前まだ治って一月も経ってねえだろ。無理しすぎなんだよ」

 

「身体動かしてないと落ち着かないんですもの」

 

「はは、確かにな。お前に暇だとか落ち着くとかは絶対似合わねえわ。で、どんな感じよ」

 

宇髄は私の左腕ではなく私のそばに落ちている日輪刀を見て言う。

 

「私の体の心配はなしかぁ!あんた怪我人に本気で打ち込んできたくせに!」

 

「お前に体のことで心配する必要すらねえからな。今回ので改めて認識したわ」

 

「さいですか。そーねぇ。試作品としては悪くないわ。流石は代々宮本武蔵に仕える鍛治職人。試作品といえど完成度は凄まじいわ。扱い方も天元のを何回も見てたからすんなり行けたし」

 

「よく言うわ。俺がその型を身につけんのにどれだけ苦労したと思ってやがる」

 

「そもそもアンタみたいに剛力でブンブン振り回す方法じゃないからよ」

 

そもそも天元の日輪刀の形を参考にさせてもらっただけだしね。

でも扱い方は刀の形が似ているからどうしても天元とも似てくる。

 

「……で、これからどうすんだ」

 

「どーしよーかしらねぇ。御館様からはお休みを頂いてはいるけれど、結局体動かしてないと暇なのよね」

 

「だろうな。なら、俺の任務に付き合わねえか?」

 

「?」

 

「俺の嫁を探すっつー任務だ」

 

「いや、それは無理だわ。私個人でいま鍛えてる奴らいんのよ。その子たち見ないと」

 

「お?珍しいな。伊織じゃないんだろ?」

 

「ええ。ほら、柱合会議の時にいたあの子。鬼を連れた隊士。それと他数人。御館様からのお願いもあって目をかけてるのよ。……今はね」

 

「ほーん。お前がそこまで言うとはな。気になってきたわ」

 

「今は大したことないわよ。今はね。私の訓練真面目にやれば下弦程度なら圧倒はできるようにはなるわよ。私が保証するわ。真面目にやれば、だけど」

 

特にあの雷の呼吸を扱う子とかはいつ逃げ出してもおかしくはない。

まあその時はその程度だったと言うことだ。

 

「ま、そう言うわけで嫁救出は悪いけれど自分でやってくださいな。もし手が空いたらその時は手伝うわよ」

 

「おう。そん時は遠慮なく連れ回してやらぁ」

 

「はいはい。それじゃあ私はこれで。今日はどうもありがとね。忙しい中わざわざ。これはお礼」

 

「おう。いつでもこいや。お前とは一度ゆっくり話してみてえしな」

 

天元の横に二天屋敷で取れた果実を置き、炭治郎達の元へ向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

「……で、成果は?」

 

「私の負けです」

 

「そ、手ェ抜いたわけじゃ無いのよね?」

 

「剣に誓って」

 

蝶屋敷には既に伊織と炭治郎、善逸、伊之助がいた。今は昼餉の最中らしい。

 

今の伊織との問答が嘘でないのならいい意味で予想外ね。

 

「アオイ、この後この四人とも借りるわよ」

「は、はい!……師範が、程々に、とだけ言っていました」

「あら、行動先読みされてたか。なら話は早いわ。皆、日輪刀を持って昼餉を食べ終えたら庭に集合」

 

「はい!」「おう!」「え……せっかく解放されたのに?また?」

「了解しました、師匠」

 

天元との訓練で体にガタは来てるが、四人まとめて相手することくらいはなんとかなるでしょう。

多分。

 

 

 

縁側でゆっくりとお茶を飲みながら、想いを馳せる。

私は明らかに、前よりも弱くなった。

 

当たり前と言っちゃ当たり前だが、それでも私にとっては許容ができない。

 

だからこそ今の体になれるよう、体を言い訳にしないよう、訓練を始めた。

 

「けど結局、前ほど動けるわけもなし、と」

 

片腕でも二刀流ができるよう考えはしたけれど、問題は私自身の筋力等の、身体的な問題がほとんどを占めている。

 

 

「……うだうだ考えるのはやめ!私は私なりにやるだけさね!」

 

 

さ、そうと決まればあの子たちを徹底的に鍛えるとしましょう。

 

 

 

 

「じゃあ、伊織からみた3人の感想を、どぞ」

 

「そーですね。息があっているのがあっていないのかよくわかりませんでした。

 

が、皆さんの動きが奇跡的に噛み合った、と言えばよろしいのでしょうか。極々僅かな一瞬でしたが……背筋が凍りました。

 

その結果が私の敗北でした」

 

「ほぉ」

 

それだけ聞くととても頼もしく聞こえる。

一人は無理でも3人なら下弦の鬼は圧倒できる可能性がある、ということだ。

 

今は、だけれど。

願望を言うなら一人で下弦程度は圧倒できるようになってもらいたいわね。

 

「自分の負けを素直に認めてんならそれはそれでよし。例のやつは時間は半分程にしときましょうかね」

 

「……はい」

 

その瞬間伊織の目がゲッソリとしたのを見逃さなかった。

休憩なし打ち込み稽古なだけでしょうに。

 

「それじゃまずは炭治郎」

 

「はい!」

 

「伊織と戦って何か感じたことは?」

 

 

「……改めて自分の実力不足を痛感しました。

実は、煉獄さんに『柱になり皆を支えてやるんだ』と、激励を貰っていたんです。その為に、どんな苦難も受け入れて、努力をしようと思いました。

でも今回の伊織さんとの特訓でいかに自分が弱いのかを思い知りました。そして武蔵さん達がどれほど高みにいるのか。

俺は、今の俺の実力では武蔵さん達と共に戦う以前の問題です。

単なる足手纏い……」

 

あれ、炭治郎てこんなに悲観的ない子だっけ?私の予想通りなら

 

「でも、それでも俺は諦めません」

「それでも君は、諦めない」

 

口に出すと、ちょうど炭治郎の言葉と被った。

やっぱり、予想通りね。

酷く驚かれたが君の人柄を考えると当たり前の答えだよ。

 

「そう思っているならよろしい。善逸と伊之助は?」

 

「……俺は、禰豆子ちゃんを守りたい。その為には、もっと強くならないと」

「俺ァ!つええ奴をぶっ飛ばして俺が一番だと証明したいだけだ!その為にはお前らにまず勝たなきゃいけねえからな!強くなってやるよ!」

 

伊之助はともかく、善逸ですらちょっと覚悟ができていた。

伊織は何をしたのやら。

 

「各々の覚悟は感じました。では、ここから本題です。主に君達に深く関わる事です。伊織、あんたも関係あることよ」

 

「「「「?」」」」

 

「現在、君たちの代で柱もしくは継子になっていないのは君達だけ。伊織は特別だけど。

で、私は御館様からこう言い渡されています。

『君たちを気にかけてやってくれ』と。

今回の特訓も、その一環です。

 

……長ったらしくなったけど簡単にいうと、君達は私の管理下になった、ということです。今朝に御館様から正式に通達されました」

 

「師匠。それはつまり?」

 

「全員私の継子みたいなもんになった、ということ。ビシバシ鍛えるからそのつもりで。特に伊織は鍛え直しさね。私の見立てだとまだまだ上に登り詰めれるから、これまで以上に厳しく行くつもりだからそのつもりで」

 

悲鳴をあげてるのが一人。ゲッソリしたのが一人、やる気に満ち溢れているのが二人。

三者三様の反応で結構結構。手を抜く気はない。

 

「ああ、いい忘れてた。伊織、あんたは近々音柱と共に任務へ出てもらう。まだ予定は未定。音柱曰く女手が複数欲しいらしいから」

 

「はぁ」

 

「現段階で伝えることはこれくらいかね。……さあ、堅苦しい事はやめにして

 

全員日輪刀を構えて。こちとら堅苦しい空気を作って疲れたので、無性に体を動かしたいのです。全員で、かかってきなさい」

 

 

その時の、武蔵の無邪気な笑顔に四人一同、何故か怖くなったとかなんとか。

 

 

 

 

 

「二天ノ呼吸……」

「獣ノ呼吸!」

「ヒノカミ……」

「雷ノ呼吸…」

 

予想通り真っ先に肉薄してきたのは伊織。

幾万回とその技は見ているのでどんな技かはわかる。いなすのも容易い。

けど今回はその後ろと私の左右から飛び込んでこようとしている3人が少し邪魔だ。

本身を抜かせているので変に同士討ちさせると大怪我を負いかねない。

 

普段なら関係なく、死ぬ直前までしばき回すけどそうしたらこっ酷く叱られた挙句にご飯抜きとかいう暴挙をしてくる未来しか見えないので。

 

誰からって?もちろんしのぶからよ。私の生命線はしのぶが握っていると言っても過言じゃないわね。

 

まずは伊織の足を引っ掛ける。転ぶわけなどないがほんの少し姿勢を崩せればそれで十分。

その隙に思い切り姿勢を低くし、右から来ている伊之助の足元に、自らを障害物と化す。

もちろん飛び越えられるが、そんな無防備なのを見逃すわけもない。

 

伊之助の足を右手で掴み、それを左から来ている炭治郎の前に来るよう地面に叩きつける。炭治郎はそれを見て軌道を変えてきたが、伊之助を挟むように立ち回ると攻めあぐねていた。もちろんその間も伊之助の体のどこかを右手で押さえ込み、動けないようにする。

いくら威力の大きく隙の無い技であっても仲間ごと斬るわけにはいかないもんね。

 

こうなってくると大体伊織は私の後ろを取ろうとしてくる。

善逸はこういう集団戦だと技の相性が酷く悪い。だからしばらくは無視しておけばいい。

きっと今も、針の穴よりも小さい僅かな隙を死ぬ気で探してるでしょうから。

 

初代はこの数の比ではない1対多をやって、その上で天下無双の名を知らしめていたのだから、本当に尊敬する。

 

「癖が抜けてないわよ、伊織」

「っ⁉︎」

 

伊織らしい太刀筋をほんの少し軌道を逸らし腹を蹴り飛ばす。

頬に傷が入ってしまったのは私の実力不足。

 

「霹靂一閃!」

 

「ほっ」

 

ほんの僅かな隙があったのか、善逸の霹靂一閃が飛んできた。

音が鳴った時にはもう目視をしようにも遅すぎるので見ずに、音の方向だけで居場所を把握する。

 

思い切り脱力し、膝を抜く。踵を起点に思い切り踏み込み、善逸に向けて体当たりする。

刀は柄で側面を殴り無理やり避ける。

が、結果として羽織ごと伊織の時より深い傷が私の右腕に入った。

 

「……はい、終了。よくやりました」

 

それを皮目に一旦切り上げる。負ける気はしないが、体が悲鳴をあげかけている。

 

「そうさねーー、全員経験が足りない。圧倒的に。3人は特にね。特訓が足りない訳じゃない。死戦を潜った回数が圧倒的に足りない。……だから、ひたすら任務をこなすしかないかもね。技術面は私は教えることはできないから。タイマンならいつでも受け付けるわよ。死にたい……じゃなかった。挑戦したい子はいつでも大歓迎」

 

「師匠、口が滑るという問題ではないかと」

 

「私ができるのは殺す気でぶつかってあげるくらいだから間違っては無いわよ」

 

そもそも、死ぬ可能性のない特訓ほどぬるいものはない。血反吐を吐いて、互いに死ぬ気の特訓が一番効果がある、と思う。

 

私の場合は死ぬ気じゃなくて「絶対に生き残る」の方が強いけど。

 

「あ……そろそろ限界だから、伊織、3人は……任せた」

 

「はい。ごゆっくり体をお休めくださいね。師匠が早死にしたら宮本武蔵の名を継げませんので」

 

「ちょっとは私の体を心配してくれないの?」

「貴女にはどちらかというと貰い手の心配の方が」

「どういう意味よ⁉︎」

 

いちおう杏寿朗と婚姻結んだんだからな!実感いまだにないけど!

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ゛あ゛あ゛。極楽だったぁー」

 

少しガッツリ寝て、散歩がてら温泉に浸かりに行った。

普段は早風呂の方だけど、今日は長風呂をして、体の芯まで温まった。

しかもおうどんまで食べれたということもありかなり上機嫌。

 

 

()()()()()()()()()()()、だが。

 

 

「で、何の用よ」

 

「ひっ……」

 

気配の殺し方的に、ただの一般人だろう。でも、明らかに私を狙っていた。

いきなり前に現れたことにたいそう驚いていたが、敵意を持って接してきた以上、情けなど不要。

 

「おっと、それ以上動かないでね。お前がしていいのは、私の質問に答えることだけ。それ以上動くと、斬るわ。返事は?」

 

首に刀を当て問うと、この男……20歳くらいだろうか?コクコクと涙目で頷いた。

 

「じゃあ質問。何の為に私を尾けてた訳?十秒以内に答えてね」

 

「……っ、ば、化け物に、お前を、連れて、こいって。殺してもいいが、お前には無理だろう、って」

 

「化け物?どんな化け物よ」

 

「目、目が、六つある化け物だ。侍のような、格好をしていた。お、俺は悪くない。俺は……」

 

 

その瞬間、今までにない寒気がした。

上弦の弐や参と対峙したときとは比べ物にならない。

 

それよりも、格上の存在。

 

 

「二天の呼吸・肆ノ型……」

 

「ふむ……悪くない」

 

 

声がしてようやく、後ろをとられていたに気づいた。

振り向きざまに刀を抜くが、そこに声の主は既にいなかった。

 

「悪くない……だが、まだお前は……未熟だ」

 

「……急に出てきたと思ったら何様よ」

 

そいつは、さっきの男をいつの間にか斬り伏せていた。

 

 

……嫌になってくるわね、ほんと。

 

 

「で、何の用よ。今から殺し合いしたいってなら付き合うわよ」

 

「そう……急かすな。今宵は……確かめに来ただけだ。

上弦の鬼二人と立ち会い、生き延びた剣士をな」

 

目の前には、六つの目。そして武士のような格好。腰に帯びているのは刀。

両の眼に刻まれているのは『上弦 壱』

 

気配が今までに出会ったどの鬼よりも濃く、()()()()()()()()()()()()()()ということがはっきりと感じ取れた。

 

この世の神様は、とことん私を嫌っているらしい。

 

こうまでして私の心をへし折りたいのだろうか。

 

「あ、そう。で、感想は?」

 

だから、虚栄を張ることでしか、自分を保てない。

不適に笑って見せるが、未だ寒気は収まっていない。

 

「期待外れ……。その程度で宮本武蔵を名乗ろうとは……。その程度ならば、いずれ死ぬだろう。『痣者』でもないのだからな……」

 

その後、上弦の壱は溜息を一つだけつき、暗闇に消えていった。

 

 

『期待外れ』

 

 

その言葉のとんでもない重圧だけを私に残して。

 

 






大正コソコソ噂話

上弦の壱にとって、無惨の命令は第一なのは分かっているけど、それでも宮本武蔵を討ち取るのは自分の役目だと思っているので童磨達が勝手に武蔵を殺そうとしていたことには怒っているよ。
でも無惨の(以下略)

次は誰目線がいい?

  • 宮本武蔵
  • 毒露シノエ
  • 我妻善逸

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