そもそも歴代宮本武蔵で十二鬼月を斃した事のある人いるの?
「下弦って条件付きなら全員あるはずだ。そもそも宮本武蔵を襲名すんのに必要な条件の一つが上弦・下弦問わず十二鬼月を斬る、だからな」
宮本武蔵を襲名する為の条件って?
「おおまかに3つだな。一つ目はさっき言ったように十二鬼月を斬ること。……ま、初代様は上弦だけにしようとしたみたいだが、二代目の時点でほぼ不可能だって結論になったらしいぜ。
そこから紆余曲折あって、宮本武蔵になるには第一に十二鬼月を斬る事。
第二に屋敷の人間全員に認められる…要は二天屋敷の人間全員と連戦して勝つ事。
第三に最後に当代宮本武蔵と真剣で斬り結び、認められる事。
ヒナ?勿論やったぜ。おん、両腕ない俺と斬り合ったぜ。いやぁあれはいつ思い出しても……」
以下数時間に及ぶ為割愛
「【譜面】が完成したァ!お前らァ!勝ちに行くぞォォ!」
宇髄はそう宣言し、上弦の陸・妓夫太郎へ向かって駆ける。
「笑わせるナァァァァ!」
妓夫太郎は今度こそ確実に仕留めるために血鬼術・円斬旋回を発動させ、腕から大量の飛び血鎌を螺旋状かつ宇髄に向かって一直線に放つ。
「壱!」
「アァ⁉︎」
だが宇髄は初撃を弾き飛ばす。
「弐!参!肆!伍!」
それだけでなく、全ての血鎌を弾き飛ばして見せた。
「(円斬旋回を全て弾いただと⁉︎)」
「読めてんだよ!テメェの汚え唄はよォ!」
「(すごい!これなら!)」
これまでにないほど、宇髄は妓夫太郎と拮抗していく。
爆薬を起爆させ、痛手を負わせる。
「ふざけんなよナァァァァ!」
宇髄、妓夫太郎の両者ともに、死力を尽くし、斬り結ぶ。
辺りに血鎌と爆発が撒き散らされ、炭治郎は目で追いながらも中々斬り込めに行けなかった。
「ぐっ⁉︎」
腹を蹴られ、大きく距離を離される。血鬼術が再び発動し、大量の血鎌が宇髄に殺到する。
「風の呼吸・捌ノ型【初烈風斬り】!」
「毒の呼吸・花ノ型【彼岸花弁ノ舞】!」
「ウゼェェェェェナァァァァ!」
その隙に伊織とシノエが懐に入り込む。
妓夫太郎は気付くのが遅れたが、多少の傷や毒は無視し、2人を確実に殺そうと動く。
2対1で互角以下の戦いだったが、2人はそれでも尚斬りかかる。
宇髄もそれに追随することで互角以上に引き上げ、少しでも妓夫太郎を抑え込む。
3人と鬼の攻防は激しさを増していき、辺り一体を次々に破壊し更地にしていった。
だが3人がかりでも互角に渡り合うのが精一杯だった。
「(互角だ、しかも血鎌を出す暇が無くなってる!でもそれじゃダメだ!宇髄さん達は毒を貰ってる、このままだと先に宇髄さん達が力尽きる!俺が、俺が斬るんだ!)」
唯一毒を受けていない炭治郎は自身が頸を斬るしかないと、また3人も炭治郎に託すしかないと、そう考え最善を掴み取るために死力を絞り尽くしていく。
「ッ…」
「ガ…」
「伊織さん!シノエさん!」
「止まるなァ!跳ベェ!」
だが均衡は崩れた。
毒のせいで動きが鈍った隙を狙われてしまい、伊織は脇腹を斬られ、伊織を庇ったシノエの腹を血鎌が貫いた。
炭治郎は悲惨な光景に思わず足を止めてしまったが、宇髄の言葉で我に返り、妓夫太郎へ接近する。
「遅ェんだよ鈍間が!」
妓夫太郎は血鎌を、近づいてくる炭治郎へ向かって思い切り投げつける。
宇髄はそれらから身を挺して庇い、さらに妓夫太郎へ突進することで動きを抑え込む。
炭治郎は今度こそ足を止めず、刀が頸に届く距離まで接近することに成功した。
「がぁっ…」
だが、それでも妓夫太郎は止まらず、炭治郎の顎に鎌が突き刺さる。
「(おしまいだなぁぁ、毒で死ぬぜ!)」
「(斬る!斬る!諦めない!絶対に斬る!)」
しかし炭治郎も同様、決して止まらず、妓夫太郎の頸へ斬りかかった。
「(こいつ!まだ刀を振りやがる、バカが!さっきだって俺の頸を斬れなかった癖になぁぁ!)血鬼術・円斬…」
「二天の呼吸・弐ノ形【穿ち裂き】!」
迎撃しようとした妓夫太郎の腕は、伊織に斬り落とされた。
しかしその傷すら直ぐに再生され--
「毒の呼吸・蜂ノ形【大雀蜂】!」
その背後から、シノエが複数の刺突を繰り出し、毒を叩き込む。
再生を阻害した時間はごく僅か。
だが、その隙に炭治郎の刀は半分以上食い込んだ。
「(もっとだ!もっと力を出せ!腕の力だけじゃダメだ、全身の力を使え!渾身の一撃じゃ足りない!その百倍の力を、捻り出せ!)」
「(なんなんだ!なんなんだこいつらはぁ!何でどいつもこいつも死なねえんだぁぁ!)」
炭治郎の額に、痣が顕れる。
「ウォォォォォァァァア!」
とうとう妓夫太郎の頸は、炭治郎の手によって斬られた。
「やった!やった!頸斬れた!あっちの帯女の鬼も斬れてる!天元様、勝った!」
「はやくみんなを治療しないと…」
「まって、様子が……」
堕姫の頸も、善逸と伊之助により斬られていた。それにより、上限の陸を斃す条件は満たしていた--
はずだった。
妓夫太郎の1番近くにいた宇髄と、離れてみていた須磨、雛鶴、まきをの3人が異変に気づく。
それ以外の炭治郎、伊織、シノエは、息すら碌に出来ておらず、気づいていない。
「(どういうことだ!鬼の体から血の斬撃が!まだ終わってねえ!)竈門!伊織!シノエ!」
宇髄が3人を見るも、僅かながら意識があったのは炭治郎のみ。しかし炭治郎もまともに動けるはずがなかった。
「逃げろォォォォ!」
宇髄の願い叶わず
斬撃の嵐が、周囲一帯を飲み込んだ。
〜翌日 蝶屋敷〜
「カァーー!怪我人!モウスグ!モウスグ!」
「分かりました。みんな、いつ来てもいいようにしておいてね」
「「「はいっ!」」」
「は、はいっ!」
「……コク」
鎹鴉から、上弦の鬼を討伐したと報告が届けられた。
それに最初は喜んでいたが、唯一しのぶだけは険しい顔のままだった。
アオイやカナヲ達が不思議に思っていると、答え合わせをするかのように続けて鴉が重傷な隊士が運ばれることを告げる。
「(シノエ君…無事でいて……)」
「失礼します!治療をお願い致します!」
目を閉じ祈っていると、先行していたであろう隠が蝶屋敷に到達する。
治療が必要なのは6人、内4名の隊士が命が危ういと教えられ、余計にしのぶの心は沸々と煮たっていく。
「土足で失礼します蟲柱様!」
「こちらへ。容体を教えてください」
「音柱様によると、黄色の髪の隊士以外は毒に侵されていました!宮本伊織様と猪頭の隊士、鬼を連れた隊士、そして
そうして運ばれてきたのは意識が無い5人の隊士。
竈門炭治郎
嘴平伊之助
我妻善逸
宮本伊織
そして、毒露シノエだった。
5人はすぐさま治療室へ運ばれる。
中でも1番怪我が酷かった伊之助とシノエから治療される。
しのぶは決して感情を表に出さず、冷静に対処していく。
それとは対称して、共に治療室へ入ったアオイは酷く動揺していた。
「アオイ、シノエ君は任せましたよ」
「そ…ん、なっ、しのぶ様!」
「大丈夫、みんな、絶対に死にませんから。--いえ、死なせませんから」
しのぶは決して笑みを崩さず、動揺しているアオイを宥めて治療は入る。
「(失敗したら、シノエ様が、みんなが…!そんな、できない!私には……)」
「アオイ」
「っ!は、はいっ!」
「落ち着いて。1人でも多くの命を救いたいと、そう願ってシノエ君に頼んだのでしょう?大丈夫、アオイならできるわ」
隠伝いから聞いた宇髄の話によると、毒はもう分解されているらしい。
必要なのは各所にある刺し傷の治療のみ。しのぶがシノエではなく伊之助の治療にあたったのは至極単純で、そちらの方がより重傷だったから。
--というのは、建前だったが、それを決して見せず。またアオイを信用しているからこそ、しのぶはアオイに治療を任せたのだ。
「それに…もしシノエ君や他の子達が死んでしまったら、それこそ消えない後悔が一生の傷と成り、永遠に体を蝕みますよ。それでもいいんですか?」
「ッ…いいえ、いいえ!よく、ありません!」
「なら、できますね?」
「はい!必ず!」
数刻(およそ5時間程度)経ち、後からやってきた宇髄も含めてようやく全員の治療が終了した。
その後のベッドに寝かせる作業などはきよ、なほ、すみの3人に任せ、しのぶとアオイは軽い休憩をとっていた。
しのぶは比較的慣れているからか特段疲れた様子を見せなかったが、アオイは肉体的にも精神的にも疲労が限界を超えて蓄積したのか、未だ震えていた。
「はっ、はっ……」
「アオイ、大丈夫?」
「は、はいっ。大丈夫、です」
「…お疲れ様。アオイのおかげで皆の命を救えた。きっと私だけだと、どうにもならなかったかもしれないわね」
しのぶが頭を優しく撫でると、アオイの目から涙が溢れ出る。
その涙が止まるまでずっと撫で続けた。
「さて、私は宇髄さんに色々とお話を聞かなければならないから。あとは大丈夫?」
「はい。ありがとう…ございました」
「いえいえ。これからも頼りにしてますよ、アオイ」
(鬼手仏心?)
(両親がよく言っていた言葉で。体を切り裂くのは鬼の所業に他ならない、だけどその心は救いたいという仏のような心…だったと思います。仏教の教えが医者の考えに転じたとかだった気がします)
(なるほど、シノエ君にピッタリですね。シノエ君の処置はいつ見ても見事ですから)
(いえ、僕なんかよりしのぶさんこそ、正に鬼手仏心だと思います。僕は、いつもいつも怯えて迷ってばかりですから)
「……シノエ君、どうやら私もまだまだ、あなたの言う鬼手仏心には程遠いみたいです」
しのぶは宇髄の元へ向かいながら、そう呟いた。
元々鬼殺隊に入る前から(両親のおかげで一方的に)面識があったが、同じく両親を鬼に喰われた者同士、同じ時期の選別を突破した者同士、自然と交流は多かった。
そのおかげか彼とは仲良くなり、姉カナエの何気ない言葉で自身がシノエに対して抱いていた特別な気持ちを自覚した。
鬼殺隊である以上、そんな邪な考えを持つのは良くないと、そう考えてきた。
だが、最近その考えを壊されつつあり--
「(だめだめ。そんなこと考えちゃ。私は私のやることをやらないと) 失礼します」
病室に入ると、ベットに寝ている音柱・宇髄天元と看病していた3人の嫁がいた。
一言断りを入れ、しのぶは宇髄と向かい合う。
「改めて、この度は上弦の鬼の討伐、大変お疲れ様でした」
「ま、俺だけの力じゃねえけどな。伊織やシノエ、それにあの4人がいたからだ。しっかしまぁ、ホント運が良かったわ。他の奴らは大丈夫なのか?」
「問題ありません。山場は超えましたから」
「そうか……。にしても悪いな。今回、俺は幾つもの判断を間違えた。毒露シノエも、俺がもっとしっかりしてりゃ、あんな目には合わなかった」
「…大丈夫ですよ。シノエ君も、きっとそんなことは思っていませんから。それよりも、鬼から猛毒を受けたと聞きました。こちらへ来る前に解毒は済んでいるとも。それについて話を聞かせてくれませんか?」
「ああ、ありゃ……」
そうして宇髄の口から語られたのは、鬼の死ぬ間際に大量の血の斬撃が生成され、周囲に放たれた事。
宇髄もまともに動けず、助けれるはずがなかったが目を覚ますと全員無事だった事。
竈門禰豆子の炎--血鬼術--によって治療された事。
「そんなことが…」
「本当に、命の恩人だな。アイツがいなけりゃ、俺も、伊織のやつも、シノエも死んでた」
「宇髄さん達の傷が表面だけとはいえ塞がっていたのも、その禰豆子さんの炎を受けてからですか?」
「そうだ」
「……わかりました。ありがとうございます。それと…改めて、皆さんが生きてて良かったです。お館様も、近いうちにお見舞いに来られるそうです」
その後は軽い問診を行い、2人は別れた。
「あ、あの…師範…」
「ん?どうしたのカナヲ」
私室へ戻る最中、カナヲから話しかけられた。
続きを待ってると、カナヲらしからぬもじもじとした様子で、恥ずかしそうに口を開いた。
「その、私にも。炭治郎や他の人達の…看病を手伝わせて、ください」
「まぁ…」
と、以前から感じていたカナヲの変化を改めて目にし、しのぶは予想通りだったのか穏やかな笑みで頭を撫でた。
「勿論です。…炭治郎君のことが、心配なんですよね?」
「えっ、は、はい…。あっ、でも。炭治郎だけじゃなくて、シノエや、他の人たちも、勿論心配で……その……」
「大丈夫よ。わかってる。それじゃあアオイ……は疲れてるだろうから、すみ達に教えてもらって」
「…!は、はいっ!」
と、パタパタと小走りですみ達の元に向かうカナヲを見送りながら、微笑ましい気持ちに包まれていた。
しのぶから見ても、下弦の伍の討伐の時期からカナヲが炭治郎に心を開いているのは分かっていたが、ここまで好意を寄せているのを見ると、心の底から嬉しくなっていた。
「(シノエ君、起きたらきっと驚きのあまりベットから落ちそうね)」
今も特に怪我の酷かった炭治郎、伊之助、シノエの3人は予断を許されない状況にある。おそらく命の危機は脱しているとは思われるが、何があるかわからない。
カナヲの変化を絶対に見てもらいたい、そのためには絶対に死なせないと。
そう心に強く誓った。
「……そう。伊織が上弦を」
「二天ノ呼吸モ、壱、弐、肆ヲ使ッテタゾ」
「へぇ。風、岩、独自に発展させた風と岩だけじゃなく私のまで」
「本当ニ天才ダナ!刀ヲ握ッタ頃ノヒナヲ見テイルヨウダッタ!」
「そこで私と比較するとか、喧嘩売ってんの?……ま、今日のところはいいわ、羽ちょっと毟るだけで許す」
「カァー!暴力ハンタイ!鴉イジメハンタイ!ソンナンジャ炎柱ニスグ愛想尽カサレルゾ!」
「やっかましいわ!」
大正こそこそ噂話
今回をキッカケにアオイも重症な隊士の治療を任されるようになったよ
(ただし1人だとまだ緊張するみたいで、しのぶかシノエが一緒の時に限るよ)
リメイクするなら
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今ある話を直に修正していく
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新しく一から作り直す
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やる必要ない
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