・1番辛い稽古はどこ?
「「「「「無限打込み稽古」」」」」
「「「「「岩柱と先代宮本武蔵さんの稽古」」」」」
・強くなってる実感は?
「……ぶっちゃけ、ある」
「鬼との闘いより死に近づいてるからか、なんか恐怖が薄れてきた」
「もう何が辛いのか自分が強くなってるのかどうかすらわかんない」
「下手な鬼数十匹と闘う方が楽だなって……」
柱稽古が始まって二月が経った頃、すっかり人がいなくなった蝶屋敷へ一通の文が届けられる。
「「……」」
「あ、あの…しのぶ様、シノエ様」
「っ、ごめんなさいね。アオイ、受け入れの準備をお願いできるかしら」
「それと他の子達にも説明しておいてもらえる?」
「は、はい!」
ずっと険しい顔をしていた蟲柱・胡蝶しのぶと毒柱・毒露シノエは、改めて通告された内容を反芻していく。
「……どう、思いますか」
「どうも何も…お館様が必要だと考えたのですから、ひとまず会ってみるのが先決かと」
届け人は産屋敷家からであり、その内容は『珠代という薬学に精通した鬼と共に、鬼を人間に戻す薬と弱体化する薬を開発してくれ』という事だった。
これが人間ならいざ知らず、相手が鬼であることで一気に警戒心が強まっていた。
が…
「鬼と手を組むのは心配ですが、仕方ありません。現に、行き詰まっている訳ですから」
「…そう、ですね」
他の柱と比べ時間ができていた2人は、鬼による重症者がほぼゼロになったことから治療をアオイ達に任せ、鬼を人に戻す薬を開発していた。
だが余りにも難航しており、猫の手も借りたい程に研究に費やせる時間が足りなかった。
「…よし、ちょっと軽食を作ってきます。しのぶさんは休んでてください」
「あら、それなら私も…」
「いいですから、休んでてください」
と、シノエに押し切られたしのぶは、言葉に甘えて自室へ戻る。
「今のうちに今日の分飲んでおきましょう…」
そして今日も、しのぶは怨敵を討つために毒を飲む
〜夜〜
「初めまして。珠代と申します。こちらは愈史郎です」
その夜、珠代と愈史郎という2人の男女の鬼が蝶屋敷を訪ねる。
未亡人を思わせる風貌の珠代、だが瞳は紛れもなく鬼のソレで、しのぶとシノエは警戒せざるを得なかった。
「おい。珠代様が挨拶しているんだ。返事くらいしろ」
「…失礼しました。私は胡蝶しのぶ。こちらは毒露シノエ。共に研究に携わってくださる方です」
何度か深呼吸し、しのぶは偽りの笑みを浮かべて丁寧に挨拶を返す。
しかし何か気に障ったのか愈史郎という少年は不機嫌なため息を吐きながらしのぶ達を睨みつける。
「さっさと中へ入れろ。珠代様が貴重な時間を割いてくださってるんだ。時間を無駄にするな」
「愈史郎!」
「冗談です!」
と、愈史郎の言葉に2人してイラッとしてしまったが何とか抑え込み、2人を中へ招き入れる。
念の為しのぶは数歩先を歩き、2人の前をシノエが陣取り案内していく。
「こちらで薬や毒の調合を行っています。また隣の部屋で現在研究を進めています。そして少し奥に『西洋医学室』という部屋がありますが、そちらは基本入らないようご注意ください」
「わかりました」
「ふん、見られたくないものでもあるのか?そもそも、珠代様がそんなことする訳--」
「愈史郎!」
「冗談です!」
愈史郎は事あるごとに珠代を持ち上げつつ2人を煽り、その都度珠代に叱られている。2人も何度か言い返そうとしたが、その度に冷静になれと自身に言い聞かせる。
「…西洋医学では、目に見えない小さな病原体に細心の注意を払っているんです。なんせ体を切り開き直接
「はい、存じています。私も医者の端くれですので。治療器具の一つに病原体が付着した場合、そこから何に伝播しているか分からないので全て使えなくなるんですよね?」
「……仰る通りです。その為、これは貴女達だけに言っているのではなく、しのぶさんも含めた僕以外の全員に言っている事です」
珠代はシノエの持つ技術にも理解を示し、一度休憩をということになり、その間に珠代は様々な質問を2人に投げかける。
内容はしのぶの持つ薬学の知識からシノエの持つ西洋医学と幅広く、2人を唸らせるものも多々あった。
「……珠代さん、1つ、お聞きしたいことがあります」
「はい、何なりと」
中でもしのぶが特に気になったのは『人間を鬼にして治療する』方法について。1番の友人を想いながら、珠代を見つめる。
「では----」
それから数十日が経ち、炭治郎、善逸、伊之助の3人は岩柱及び先代宮本武蔵の元で稽古をしていた。
それ以外にも遊郭、刀鍛冶の里で共に戦った宮本伊織や不死川玄弥も合流していた。
「えっ、伊織さん宮本武蔵の名を襲名するんですか!」
「先代に勝てていませんので、まだまだ先のことですけどね」
「先代って、あの…悲鳴嶼さんと同じくらい上背のあるレンさんの、ことですか?」
「そうですよ玄弥さん。…それはそうと、何故そこまで離れているんですか?横、空いていますよ?」
「ええっ⁉︎いや、そのっ!」
「あと、何故善逸さんは私に肩を引っ付けているんです?食べにくいんですが」
女性経験皆無が故に顔を真っ赤にする玄弥と、なんの躊躇いもなしに伊織にくっ付いている善逸。
そしてなにも気にすることなく焼き魚(炭治郎作)を骨ごと丸齧りしている伊之助。
今日も通常運転である。
「皆様は何処まで進んでおられるんですか?私は来たばかりですので滝行からなのですが」
「俺は、あと岩を押すだけです!」
「がははは!俺もだ!」
「俺も一応…」
「俺は丸太のやつで…」
「ふむ…成程。明日の朝には追いつけそうですね」
「「「はい?」」」「はぁ?」
その後、本当に次の日には岩を押す稽古までやって来た伊織を見た時、炭治郎は尊敬の念を、伊之助は負けず嫌いの気を、善逸と玄弥は少しドン引いていた。
「おーい伊織」
「はい、なんで、しょうか」
「ああ、岩押してんのか。すまんすまん」
「いえ…どちらにしろ、休憩、しようと、思ってましたから」
レンに呼び止められ、岩を押すのをやめた伊織は全身から滝のように汗が噴き出ていた。
少し離れた場所で同じ稽古をしていた炭治郎達も同じで、伊織も含め進捗はあまり芳しくないようだった。
「お前、この後ちょっくら来てくれ。ちと実演してほしいことがある」
「はぁ…なにを、すれば?」
「青竹をささらにするやつ」
「あー…わかりました。すぐ行きます」
「休憩終わってからでいい。そんじゃあな。おまえらも!頑張れよ!」
レンからの激励を受け、善逸以外はやる気を出し、再び稽古へ戻る。
余談だが、青竹をささらにする稽古を見た他の隊士は、『宮本武蔵一族』が如何に規格外かを身を以て知ったらしい。
また更に数日後
我妻善逸と宮本武蔵、先代宮本武蔵の元へとある文が届けられる。
その時の宮本武蔵は風柱曰く、触れただけで斬られてしまいそうな程に怒りを滲ませていたらしい。
「それじゃあ、俺は先に行きます」
「はいよ。私は悲鳴嶼に呼ばれてるからそっち行くわね」
「分かりました。お気をつけて」
「誰に物言ってんのよ実弥。そっちこそ気をつけなよ」
「武蔵さんこそ、誰に言ってるんですか」
今日の柱稽古を終えた実弥と武蔵はそれぞれ目的の場所へ向かう。
実弥は霞柱や蛇柱、先代宮本武蔵との稽古に。武蔵は何故か岩柱から招集をかけられそちらへ向かう。
しばらく鴉の案内に従って道を進んでいると、その先は産屋敷家だった。
「ねえ、もしかして私を呼び出したのって悲鳴嶼じゃなくてお館様?」
『カァー!チガウゾ!元々オ館様ト岩柱ガオ話シサレテテ、ソコニオ前モ呼ブベキダト岩柱ガ判断シタ!』
「はぁ?」
ますます意味わかんないわね。耀哉様と悲鳴嶼の話になんで私がいるのよ。
『トニカク!早ク行ケ!』
「はいはい。わかりました。あ、ついでに伝言いい?」
『アア!』
「しのぶに、明日の昼すぐに行くって言っといて。『例のもの』受け取りに行くって」
『カァー!了解ダ!』
さてはて、一体なんの話なんでしょうかね。
「…………」
「…………」
「ごめんね…こんな……事を、頼んで、しまって……」
「武蔵殿、今日呼んだのは、私1人で判断すべきでは無いと考えた為だ」
「お館様、申し訳、ありません。少しだけ、席を外します」
お館様から語られた内容が、頭に入ってこない。
動揺隠せないまま、私はその場を離れていた。向かう先は----
「お館様、申し訳ありません…。やはり…」
「私こそ……すまないね行冥。酷なことを…頼んでいると、わかっている。だが…君たちにしか…」
ドタバタドタバタ
「ヒナ、どうしたんですか」
「いいですから、来てください」
と、武蔵によって強引に連れてこられたのは耀哉の妻あまね。続けて次期当主の輝利哉、ご息女であるにちか、ひなき、くいな、かなたの4人も武蔵によって集められた。
「武蔵殿…いくら貴女といえど、勝手が……」
「黙って悲鳴嶼。お願いだから、今は黙ってて」
あまねや子供達が座ったのを確認して、武蔵もその場に正座し真っ直ぐ耀哉達を見据える。
「----耀哉様。今一度お聞きします。お答え、くださいますか」
「ああ…勿論、だよ」
「では…5日以内に
武蔵は信じたくないと、そんな声音で耀哉へ問いかける。しかし耀哉は普段通りの声色で返答する。
「
武蔵はギリ…と、血が出そうなほどに拳を握り、悲鳴嶼は涙を流していた。
「囮になる事を、あまね様や輝利哉様達も、承知しているのですか。今、耀哉様は、ご自身とあまね様、にちか様、ひなき様も犠牲になれと、そう仰って、いるのですよ?」
武蔵が見渡すと、あまねと五ツ子の子供達も、神妙な面持ちで頷く。
「〜〜……ッ、本気、ですか。本当に……」
葛藤する武蔵と、その心情を察して更に涙する悲鳴嶼。
だが産屋敷家の者たちは誰1人として涙する事なく、決意に満ちた顔をしていた。
「ヒナ……頼める、かな」
「〜ッ!」
「武蔵殿、お館様のご意向を汲み取るのも、我らの使命…」
「…や」
「?」「ヒナ…?」「ヒナ?」
「嫌だ、つってるんです!」
「わたっ、私は!絶対に嫌です!お館様を犠牲にして鬼舞辻を斬る?確かに後に遺された者の事を考えれば、お館様が死ぬ事でこれまで以上に士気は上がるでしょう!ですが!そんなものが無くとも!」
「武蔵殿、お館様はもう命が永くないのだ。だからこそ…」
「知ってるわよ!私は悲鳴嶼以上に耀哉様、あまね様達と付き合いがあるもの!鬼舞辻の呪いのせいで産屋敷の家系に属する男性は皆、寿命が短いのも!今の耀哉様が生きてる事が奇跡だってことも!」
「……」
「短命であることが、鬼舞辻の、呪いであるのなら!鬼舞辻を斬れば、より永く生きていられる、可能性、あるではありませんか!しかも、犠牲になるのが仕方ない、とはいえ、敢えて犠牲になる者を増やす判断をなさる、などっ!耀哉様らしくもない!そっ、それにっ!」
「ヒナ!もう十分です、十分ですから…」
「あまね様もあまね様です!何故、耀哉様をお止めに、ならなかったのですか!何故…そんなにも私は、私たちは信用がございませんか!」
「それは私も産屋敷としての…」
「産屋敷あまね様としてのお答えならば、それはご立派でしょう!ですが、本当に心の底から!そう思っておられてますか!輝利哉様も、にちか様、ひなき様、くいな様、かなた様も!本当に心の底から…」
「武蔵殿、そこまでだ…」
「私は……鬼のいない世の中を、誰よりも……皆様に……見て…」
泣きじゃくりながらも、思わず身を乗り出していた武蔵を悲鳴嶼が止める。
「はぁ…はぁ……」
「お館様、あまね様……一度、武蔵殿と共に退席させて頂きたく…」
「ああ…ごめん、ね」
「武蔵殿…」
「絶対に、嫌よ。お館様がやめるっていうまで、何度でも、何度でも何度でも、直談判してやるから。これから毎日だって、来てやる」
「……いや、明日から武蔵殿は来ないほうがいいだろう」
「あ゛?」
悲鳴嶼の言葉に、武蔵は思わず怒りを露わにし、詰め寄る。
「もっぺん言ってみなさい。その首、叩っ切るわよ」
「南無…。勘違いするでない。やはり私も、お館様を犠牲になど、受け入れ難い。だからこそ、私がこれから毎日、お館様の元へ通い説得を試みる。だから…落ち着くのだ武蔵殿」
悲鳴嶼の言葉でようやく冷静になった武蔵は、何度か深呼吸を挟み、背を向ける。
「……わかったわ。任せた。…私だと、多分冷静にいられないから」
「うむ…任されよ。岩柱の名に懸けて誓おう。必ず、お館様を犠牲にしないよう説得してみせる」
「ええ、頼りにしてる。それと……悪かったわね。取り乱して、あんな事して」
それだけを言い残し、武蔵は産屋敷家を離れて行った。
大正こそこそ噂話
武蔵ちゃん、もう精神的にだいぶ参ってきちゃってたみたいだよ。でも『宮本武蔵』としての矜持でなんとか持ち堪えてる状態だよ。
ちなみにこの後の数日は柱稽古で実弥がドン引きする程に隊士をボッコボコにしてたみたい。
リメイクするなら
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今ある話を直に修正していく
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新しく一から作り直す
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やる必要ない
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