大事なモノを守るために   作:紀野感無

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2025/9/8 修正


毒露シノエの周りの人に聞いてみた。
・シノエの第一印象は?
しのぶ「眼がまるで蟲だな、と。複眼と言うんですけどね」
カナエ「しのぶをじっと見つめてて可愛かったわ!」
柱の皆様「眼がすげえ」

武蔵ちゃんの周りの人に聞いてみた
・武蔵ちゃんの第一印象は?
先代武蔵「ムッチャ可愛い(親バカ)」
音柱「随分と地味なやつだと思ったな」
しのぶ「すごい毒を吐いてきたのでなんだこいつ、と思いましたね」
カナエ「陽気な人だなーと」
炭治郎「とてもすごい人だなと思った!」
善逸「すごい綺麗な人だな、と。なんていうんだろう…こう、爺ちゃん以外に初めて認められたいな、って思ったんだ。蜘蛛山でやらかしちゃったけど…」



肆・才能の差を見せつけられましたbyしのぶ

「あら、しのぶから手合わせを望むとは珍しい」

「はい。偶にはやってみるのもいいと思いまして」

 

炭治郎君たちが全集中の呼吸・常中を会得してから一週間ほど経ち、伊之助君や善逸君が同じく会得するために特訓している時、家出をしたという武蔵さんが蝶屋敷を訪れた。

 

いい機会だと思い、捕まえて手合わせを申し込んでみると、妙に渋った顔をされた。それに気づかないふりをしながら武蔵さんに問いかける。

 

「武蔵さん、上弦の鬼で且つ鉄製の扇を扱う鬼と戦ったことがあるんでしたよね?」

 

「えー?まあ、うん。あるわよ。それがどうかした?」

 

「…今から、本気であなたに挑みます。ですので、正直な感想を言ってください。その鬼に勝てるかどうか」

 

「あー…そゆこと」

 

何かを悟ったのか武蔵さんは頭をくしゃくしゃとかいた。…相変わらず綺麗な髪をしている。が、本人が何も気にしていないのか時々ボサボサになってるのは本当にもったいないと思う。

 

「手合わせ自体は構わないわよ。ただ…本気で知りたいわけ?」

 

「はい。お願いします」

 

「……。しのぶには悪いけど、無理」

 

「何故ですか?」

 

「聞きたい?」

 

「はい」

 

真剣な目つきの武蔵さんを、同じく真剣な目つきで見つめる。彼女はため息をつきながら、返答してくれる。

 

「しのぶが相討ち覚悟で他の誰にも相談せず、みたいなことになりそうだから、かな」

 

「……」

 

「なんでって顔してるけど、これまで何人も似たような決意を持った鬼殺隊員見てきたから、それくらい分かるわよ」

 

武蔵さんの言葉を聞くたびに、拳を強く握ってしまう。

 

「どうして、そこまで分かってるのに。貴女は……」

 

私の思いを汲み取ってくれないのか、と言う前に武蔵さんは私の言葉に被せてきた。

 

「そりゃあ死んでほしくないからに決まってんでしょう。それにね、しのぶを死なせる為に……言っちゃ悪いけれど、しのぶの自己欺瞞の為に試合をするなんて真っ平御免よ」

 

 

嗚呼、全てを見透かされたらこうも居心地が悪くなるのですね。

 

 

そんな私を気遣う素振りすら見せず、淡々と言葉を紡ぎ続ける。

 

「別に仇討ちが悪いとは言わないわ。憎しみの感情(そういうの)は原動力に違いないもの。でもね……。私は今のしのぶみたいな、自分の命に代えてもって考えが、死ぬほど嫌いなのよ」

 

「……ゃあ」

 

「ん?」

 

「じゃあ、どうしろって言うんですか!私は…私は!」

 

武蔵さんの言い分に思わず感情的に叫んでしまう。

家族のことを……特にカナエ姉さんのことを思い出して。

 

それ以上に理不尽な怒りを武蔵さんにぶつけてしまったのもわかっている。

 

あの時……姉さんを助けてくれたのも武蔵さんだったから。

 

「……カナエのことは悪いと思ってるわ。でもね、しのぶ。自分の命と引き換えなんて考え、早々に捨てたほうがいいわよ。

 

でないと…しのぶも直ぐにカナエの後を追うことになるわよ」

 

「っ!」

 

最後の言葉で思わず真剣で突きを繰り出してしまう。

怒りのまま、武蔵さんの首めがけて。

 

しかし武蔵さんは当たる直前で顔を逸らし、虚空を突いてしまった私の刀の刀身を鷲掴みにすることで無理やり止められてしまう。

 

「危ないわねぇ。最後まで話を聞きなさいよ。……別に侮辱をしてるわけじゃないわよ。

 

ただ私はね、復讐に身を燃やした人間を、生きる目的全てを復讐に費やした鬼殺隊の人間を何人も見てきて、そんな隊士たちが私の目の前で後悔に包まれて死んだのを見てきたのよ。

 

だから、しのぶが心配でならないのよ。あんた…シノエにも隠してるでしょ?死ぬ気でいるのを」

 

「……だからなんですか」

 

「はっきり言うけど私ね、そーいう人に時間はあんまりかけたくないのよ。自分だけの世界で全てを完結させて、自分が死んだ時の周りの辛さを何も考えないような、そんな無責任な考え、ほんっとうに嫌いなのよ。

 

……ま、いいわ。しのぶの望み通り試合してあげようじゃない。そーねぇ……。アイツを真似するのほんっと嫌だけど……しのぶ、ここ扇ある?」

 

「え?ありますが…」

 

「それ二つ用意してちょうだいな。…何をするかは、わかるでしょ?」

 

それを聞いた私は何をしようとしてるのか、理解をしたくなかった。

 

 

 

 

「うー…あんな変態の真似…思い出したくもないけど…背に腹はかえられん。……」

 

扇に硬い木の板を貼って強度をカサ増ししたものを持ちながら武蔵さんは延々と唸っている。嫌ならばやらなければいいのにと思ったが、わざわざやってくれるというのだからここは素直に甘えよう。

 

「……よし。それじゃあ…しのぶ。やろっか」

「はい」

 

蝶屋敷から離れた、辺り一帯に何もない場所で武蔵さんと向き合う。

次の瞬間に武蔵さんの顔が、なんというか無機質な笑みになった。

 

「こんなかんじ…かな。やあやあ!いつでもかかってきなよ!」

「蟲の呼吸…」

「二天の呼吸…」

 

 

 

 

 

 

「うんうん!いい攻撃だったよ!とても速い!……で、そろそろやめてもいい?この真似、もうやりたくない」

「はぁ、はぁ……え、ええ……。私の…負け、です……」

 

結果として、私は武蔵さんに攻撃を掠らせるどころか、息を切らせることすらできなかった。

 

どう攻めてものらりくらりと躱され、時々砂埃を巻き上げられ、仕舞いには扇で()()()()。斬られた、ではなく圧された。普段の武器を使わないだけでなく、こちらを気遣うという余裕ぶり。

 

嗚呼、本当にこの人の才能が羨ましい。私もこの人のように体術、技術、力が秀でてたら。もうちょっとだけ、上背があったら、筋力があったら。

 

「これ、扇使いの鬼の戦い方を私なりの戦い方に落とし込んでるから、あまり参考にしないほうがいいわよ。アレの使う血鬼術は砂埃で代用したけど。

はーーーあ!マジで!あの変態の真似なんてもう二度としない!かーぺっ!」

 

武蔵さんがまだ宮本伊織を名乗り、先代と共に活動をしていた頃に上弦の弐・肆・伍の三体と纏めて戦ったことがあるというが……それでも五体満足で生きているということはそれだけ武蔵さんが強いということなのだろう。

 

「しのぶ、大丈夫?」

「え、ええ…けほっ」

「砂埃吸った?ならちゃんと治療しなよ?」

「…武蔵さん、教えてください。私は…扇を使う鬼に…上弦の鬼に勝てますか」

「……」

 

武蔵さんに肩を貸してもらい蝶屋敷へ帰る途中で聞いてみるも武蔵さんは口を閉ざす。

 

「…相討ち覚悟なんてもうしませんから、教えてくれませんか?」

 

「ほんとに?」

 

「本当です」

 

けどそれでも武蔵さんは渋る。…そんなに信用がないんですかね。

 

初対面で偽りの笑顔なことも見抜かれてますし。武蔵さんは相手の心情を読み取るのが上手いのかしら。

 

「結論から言うと、しのぶ一人だと絶対に無理。

ただそもそもの話、上弦の鬼…特に弐。こいつに関しては柱が一人で勝てる相手じゃないのよ。

上弦の弐は柱複数人でようやく対等になるかならないか。だから、しのぶが無理なんじゃない。一人で勝つのは今の柱全員にとって無理なの。上弦の鬼とやりあうなら最低でも柱二人だと思った方がいいってのが、私や親父殿の見解。はい、これで満足した?」

「…ええ」

 

つまりは、私一人では絶対に復讐は果たせないという事。……どうすれば、いいのだろう。私は……

 

「何でもかんでも一人で背負い混みすぎてるのよしのぶは。シノエとか、他の柱達、隊士達も頼りなさいよ。私はね、もうこれ以上仲間が死ぬのを見たくないし、なにより訃報なんて聞きたくないわよ」

 

それは、カナエ姉さんのことも含んでいるのだろうか。

 

……そういえば、姉さんから武蔵さんのことをちゃんと聞いたことがなかった気がする。いつも屋敷に帰ってきた時は楽しそうに武蔵さんとの話はしていたけれど、あまり覚えていない。

武蔵さんは、姉さんとどんな風に会話をしていたんだろう。

 

 

 

「痛っ…」

「大丈夫?」

 

まさか自分の屋敷で治療される日が来るとは。にしても、本当に武蔵さんは強いなと、そう実感した。

悲鳴嶼さん含めた他の柱たちが手放しに賞賛するわけです(蛇柱の伊黒さんだけは別だが)。

まあ、柱としての行動は伴っていないとよく言われてますけど。

あ、行動といえば……

 

「そういえば…武蔵さん、なぜ家出を?」

 

「親父殿に腹が立ったから」

 

「何故腹が立ったのですか?」

 

「……」

 

「あらあら、私のことはあんなに言っておいて自分のことは何も言ってくれないんですね。屋敷に置いてあげてるんですから教えてくれてもいいですよね?」

 

「……」

 

「そんなにだんまりなら煉獄さんを呼びましょうかね」

 

「だーわかった!わかったから!」

 

相変わらず煉獄さんを呼び出されるのには弱いらしい。

さっきまでの他人に優しい態度が嘘のように顔を赤らめながら武蔵さんは叫んだ。

 

「……。親父殿、しのぶも見たことあるでしょ?」

 

「ええ。何度かこの屋敷にも来られたのを見たことあります。すごい上背があった方ですよね」

 

「そ。6尺(180センチ)くらいはあるの。…今は二天屋敷で引きこもってんだけどね、こないだ屋敷に帰った時に親父殿、まーた酒飲みまくっててね。まあそれはいつも通りだからいいんだけど。

 

親父殿、未だに自分の両腕と左眼を斬った鬼を…讃えてんのよ。それがどーにも腹立たしくてね。まあわかるわよ。自分より強い相手を讃えたくなるのは。でも親父殿の腹立つのは自分で越えようとしないのよ。ぜーーんぶ、私に任せた!とか言いながら…」

 

それから武蔵さんの愚痴がかなり続いた。しかし武蔵さんはよほどお父さんのことが大好きなのがわかっただけでも良しとしましょう。

それを指摘したらすごい赤面したのも珍しかったですね。

 

 

 

 

 

 

翌朝、武蔵さんはもう山に修行に向かったらしい。

どうやら1日山籠りをするらしく、置き手紙にそう書いてあった。

さて…今日は伊織さんが薬を取りに来るそうですから準備をしないと。

 

そういえば炭治郎君達の方は機能回復訓練はどうなってるんですかね。順調ならいいんですけど。

 

「すいませーん。蟲柱さん。7代目の薬をもらいにきましたー」

「はーい」

 

噂をすればなんとやら。伊織さんが到着した。

 

「ご無沙汰してます、しのぶさん。本当は8代目が受け取る所を申し訳ありません」

「いえいえ。家出した経緯も聞いてますので。それで…7代目はお元気ですか?」

「はい。腕がないなら足で持てばいいじゃねえか、とか口で持てばいいじゃねえか、とか意味不明なことを言ってますよ」

「あらあら」

 

相変わらず規格外な方だ。注射器の針が筋肉がありすぎて通らないとかいう凄い人だった。

 

「まあ伊織さんも相当ですけどね」

「私は生まれつき筋肉がつきやすい体質だったので。7代目は全部努力ですよ。私には真似できません」

 

 

 

「---!」

 

 

 

世間話をしながら薬を梱包してると庭から誰かの声が幾つか聞こえる。

 

「…あの声は?」

 

「多分、竈門炭治郎君たちですね」

 

「ああ、あの鬼を連れているとかいう隊士ですね。8代目から聞いてます。なんでも鬼がとても可愛らしい子だって」

 

一体どういう風に伝えたんだろう。彼女が可愛い少年少女が好きなのは姉さんから聞いたことあるけど。

 

「せっかくですし、見ていきますか?」

「はい。鬼に興味はありませんが、竈門炭治郎とやらには興味あります。何度か鴉使って『お前の許嫁候補見つけたわ』って言われてたので」

 

本当に何を言ったんだろうあの人。

 

庭を覗くと予想通り、炭治郎君、善逸君、伊之助君が訓練をしていた。瓢箪に息を吹き込んで破裂させようとしているから、全集中・常中を会得しようとしているのだろう。

 

「懐かしい。刀を持つ前に、まずコレできるようになれって言われました」

「私もカナヲにやらせてましたね」

「ふーむ…確かに可愛い寄りなのはわかる…。いやでもなぁ…どっちかというと師範の方がもらった方がいいのでは…」

 

おっと炭治郎君を武蔵さんの婿に送る気ですか。ですが武蔵さんは多分無理ですよ。

 

あの人、恋愛関係苦手なのに自分の心に決めた人以外眼中にありませんから。

 

「では、そろそろ失礼しますね。7代目のお世話をしないと」

「はい。伊織さんも怪我をしたら来てくださいね。…いや、できるだけ来ないでくださいね」

「わかりました」

 

そうして伊織さんとも別れる。

 

「さて…お昼の用意しませんと。シノエ君も、もうすぐ帰ってくるみたいですし」

 

お館様に呼び出されたらしいが詳しい話は何も聞いていない。…大丈夫だとは思うがあの子は時々変なことを言うから心配だ。

 

「…はっ、いやいや。お館様があの眼を嫌う訳がありません。というよりシノエ君も特に気にしていないはずですし。いや、でも……」

 

 




大正コソコソ噂話
伊織ちゃんの二天の呼吸は岩の呼吸と風の呼吸を元にしてるよ。
しのぶさん実はこの後、後ろからシノエに話しかけられて大慌てしてるよ。

リメイクするなら

  • 今ある話を直に修正していく
  • 新しく一から作り直す
  • やる必要ない
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