魔王の妖精聖母は迷宮の奥底へ   作:迷走中

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本日、二回目。


目を覚ましたら、ドハマリしたドエロ同人RPGの主人公のロリエルフの身体になっていた。

 

目が覚めたら、何故か好きなラノベ。ダンまちの世界にいた。

 

 

 

更に自分の身体がドハマリしたドエロ同人RPG【妖精王女 ~白濁の泉に沈む】の主人公、アルディス・リーマ・アルフヘイムになっていた。

 

 

 

俺が目を覚ましたとき、たまたま様子を見に来てベッドの近くにいたヘスティア様は号泣し、ミアハ様とナァーザさんはホッとした表情だった。

 

 

 

俺はどういう状況? と首を捻ると、どうやら俺はあられもない状態で発見されたらしい。

 

はい? とは思ったが、うっすらと思い出した。

 

俺は【妖精王女 ~白濁の泉に沈む】のアペンドが発売されて、新しい√を攻略。なかなか楽しかったが、気分的に一番気に入っている、魔王の聖母√をクリアしたところまで覚えている。

 

 

 

なので、あられもない姿でと聞いて、あのエンドは最後はボテ腹だったよな? と何気無しに腹を見て「あれ?」と、口にするとミアハ様とナァーザさんは沈痛な表情をして、ヘスティア様は俯きながら「ごめん、ごめん」と呟き、俺を抱き締めたまま頭を優しく撫ではじめる。

 

 

 

うん、これは迂闊なことを言わない方が良いな!!

 

 

 

それから、二日後。

 

ミアハ・ファミリアで入院していた俺は退院した。

 

その間に、神ガネーシャと団長のシャクティさんが来たのは驚いた。

 

 

 

俺に会いに来た、名目は事情聴取。

 

 

 

神ガネーシャは俺と顔をあわせて即座に頭を下げた。

 

最初は意味がわからなかったが、治安に関わるガネーシャ・ファミリアが、外から密輸して運ばれた俺には気づかなかったこと、オラリオ内で俺が性的暴行を受けたこと、何より俺とお腹の子供を助けられなかったことなどを謝られた。

 

 

 

気にしないで下さい。と明るく伝えると神ガネーシャはひたすら謝っていた。

 

そこから、俺のことやここへ来る経緯を聞かれた。

 

神に嘘はつけない。

 

なので、オラリオ内部にどうやって入ったか、誰に連れてこられたか? などは、素直に分からない、と答えた。

 

 

 

二人は今後しばらく、見回りを強化すると言って去った。

 

 

 

俺の予想に反して直ぐに落ち着いたので、ヘスティア様とミアハ様と、俺の今後の話になり、身寄りがないなら、エルフのコミュニティに行くか? と聞かれたので、俺は。

 

 

 

「ヘスティア様」

 

「なんだい?」

 

「わたしをヘスティア様の眷族にしてください! 恩を返したいんです!」

 

 

 

この身体なら、冒険者になれるはずだ。

 

なので、俺はヘスティア様に眷族にしてほしいと頼んだ。

 

助けてもらった恩返しもかねてな!

 

 

 

▼△▼△▼△

 

 

 

ヘスティア様の眷族になることをヘスティア様は喜んでくれた。

 

 

 

けど、俺の儚げロリ外見と年齢(ゲームの設定だと○0歳だ)が原因で、冒険者になるのは反対された。

 

なので、「なら、娼婦に」と言いかけて、ヘスティア様に怒られた。

 

 

 

いや、自然と口に出たんだよね。

 

というか、身体が。うん、これもしかしなくても、ゲームの性経験値引き継いでる。

 

身体と子宮がちょっと疼く。

 

 

 

とりあえず、そこからヘスティア様を説得した。

 

ミアハ様に前の団員が残していった木刀を借りて庭で軽く素振りをするとその動きに、ヘスティア様もミアハ様、ナァーザさんも、驚いていた。

 

ま、俺も驚いたよ。

 

身体が覚えている感じはしたけど、まさかここまでとは。

 

でも、おかしなことではない、と俺は思った。

 

 

 

この身体は、六周ゲームをクリアしている。

 

魔王と配下の四天王、他にもボスモンスターを討伐している。

 

 

 

で、俺の動きを見て、ミアハ様とナァーザさんのお墨付きがでて、ヘスティア様も折れた。

 

 

 

現在、ヘスティア・ファミリアのホームの地下室のベッドで恩恵を貰ったのだけど。

 

 

 

「…………アル君」

 

「は、はい、何でしょう? ヘスティア様」

 

「つ、辛かったね」

 

「え?」

 

 

 

そのまま、ヘスティア様は俺を後ろから抱き締めて泣いた。

 

で、ヘスティア様が泣き止んだ後、見せてもらった俺のステータスがこれだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルディス・リーマ・アルフヘイム

 

 

 

Lv.1

 

 

 

 力:I0

 

 

 

 耐久:I0

 

 

 

 器用:I0

 

 

 

 敏捷:I0

 

 

 

 魔力:I0

 

 

 

 

 

《魔法》

 

 

 

【セイント・ランス】

 

 

 

・武器魔法

 

・速攻魔法

 

・神聖属性

 

・破壊または投擲することで消滅

 

 

 

《スキル》

 

 

 

【アイテムボックス】

 

 

 

・アイテムの収納

 

・収納した物の時を停止

 

・容量はレベルに比例

 

 

 

【妖精賢者図書館の鍵】

 

 

 

・魔法スロット数の無効化

 

・魔法による被ダメージの軽減

 

 

 

【妖精王女の風格】

 

 

 

・妖精族に敬意を持たれやすくなる

 

・妖精族に好意を持たれやすくなる

 

・妖精族に守ってもらいやすくなる

 

 

 

【雌妖精の香り】

 

・雄を魅了する

 

・雄を狂化する

 

・任意発動

 

 

 

【マゾ妖精王女】

 

・受けたダメージの一部をマインドに変換、マインドを回復する

 

・一定確率で攻撃者が魅了・狂化する

 

 

 

【肉○姫】

 

・性行為時に経験値獲得

 

・一度に大勢と激しく性行為を行うことで、獲得経験値超域補正。

 

・獲得金銭高域補正

 

 

 

 

 

 

 

「あー……」

 

 

 

思わず、声が出た。これは酷いな。

 

特に最後のスキルは確実に死にスキルだ。

 

 

 

使える魔法とスキルもある。使用頻度が高くなる【セイント・ランス】はゲームの隠し特殊魔法だ。

 

 

 

物語の途中で、敵の罠に嵌まり崖から落ちて武器なしで行動している時に、隠しダンジョンで手に入る特殊な魔法だ。

 

 

 

ゲームでは敵の武器外し(武器を落とす)を食らっても、使用すれば槍を投げない限り武器として使えた。

 

落とした武器を拾うと1ターンかかり、更に敵の速度が速いと妨害で追加ダメージを受ける可能性がある。

 

ゲームでは武器外しをするモンスターと戦う時は重宝した。

 

【アイテムボックス】は感覚的に庭にあるようなちょっと大きめの物置小屋サイズかな?

 

そして、中身が空っぽ! おい、使わなかった高級アイテムどこ行った!?

 

 

 

「あの、ヘスティア様」

 

「なんだい?」

 

 

 

目の赤いヘスティア様に俺は確認を取る。

 

 

 

「わたし、冒険者になっても良いですか?」

 

「あぁ、ただ、ギルドに報告するステータスは魔法だけにした方が良い。スキルのことは誰にも言ってはいけないよ」

 

「はい、ヘスティア様。それと速攻魔法と神聖属性も隠してください、わたしも神の玩具になるのは嫌です」

 

 

 

俺の何気ない一言で、またヘスティア様が泣いた。

 

うん、厄介すぎるぞ。この身体の経歴。

 

 

 

▼△▼△▼△

 

 

 

前世の自分の記憶がない。

 

地球の日本人で、隠れオタクだったのは覚えている。

 

数少ない友人達の顔も名前も覚えている。

 

家族は顔は覚えているけど、家族の名前と自分の顔と名前は思いだせない。

 

 

 

そもそも、何故俺はこの世界に来た?

 

しかも、この色んな意味で危ない身体で……。

 

しばらく考えて、答えが出ないと分かり、俺は考えるのは一度棚上げした。

 

 

 

そうそう、冒険者になって数日が経った。

 

担当者はエイナさんだった。

 

 

 

ヘスティア様と朝イチでギルドに行って、エイナさんに顔と顔を会わせたら、即座に畏まられた。

 

エイナさんも自分でも不思議がっていたが、俺が冗談めかしに「もしかしたら、わたしの亡くなった両親は嘘か本当か分かりませんが、王族だったらしいので、それが影響しているのかもしれませんね」とか言ったら後日、大変な目に遭うことになった。

 

 

 

「ただいま、ヘスティア様」

 

「お帰り、アル君」

 

 

 

ベル君はまだヘスティア・ファミリアには居なかった。

 

けれど、後五ヶ月ほどでモンスターフィリアだ。

 

その数週間前にベルが来ると思う。

 

時期が近付いたら、即座に確保する。

 

 

 

だから、気合い入れて準備をしよう。

 

そう思って、数日後。

 

何時ものようにダンジョンで狩りをして、ギルドから購入した装備の借金の残りが半分になり、ちょっとウキウキ気分な俺の前に、

 

 

 

「すまない、君がアルディス・リーマ・アルフヘイムか?」

 

「え?」

 

 

 

ロキファミリアの幹部であり、エルフの本物の王族。

 

リヴェリア・リヨス・アールヴが立っていた。

 

しかも、彼女の後ろには、取り巻きを引き連れている。

 

取り巻きの彼女達は、困惑した表情だ。

 

 

 

「そ、そうですが、何か?」

 

「間違いないな」

 

「え?」

 

「君がハイエルフだということだが」

 

 

 

え、なに言ってんのこの人? いや、確かにゲームではハイエルフという設定だったけどさ!

 

 

 

「……わ、分かるのですか!?」

 

「あぁ、これでも私もハイエルフだからな。それにハイエルフはいくつか見分ける特徴がある」

 

「そ、そうですか」

 

「それで、出来るなら、少し話がしたい。時間をもらえないか?」

 

 

 

断れるわけがない。

 

と言うか、取り巻きのエルフのお姉さん達の目がギラギラしてる。

 

邪気は感じない。何となく、お世話したいと言っている感じだな。

 

 

 

それから、リヴェリアさんと取り巻きと共にカフェに移動した。

 

 

 

「突然、私の知らない王族のハイエルフが現れた。と、聞いて驚いたよ」

 

「そ、そうですか」

 

「それで、アルディスは何か困っていることはないか?」

 

「お気遣いありがとうございます。ですが、わたしはこの街のエルフのコミュニティに参加していません。ですから、お気になさらずに」

 

「故郷を飛び出した私が言えたことではないが、君も王族だ。色々と気を付けた方が良い。それに」

 

「それに?」

 

「君はまだ○0歳だ。大人をもう少し頼りなさい」

 

 

 

その言葉を聞いた取り巻きのエルフ達が驚きの声をあげた。

 

幼い外見だとは思っていたけど、本当に幼いとは思わなかったらしい。

 

ま、そうだろうな。子供というか、エルフの感覚だと幼児だからな、今の俺は。

 

 

 

「ありがとうございます」

 

「気にするな。昔、手のかかる子供が居たからな」

 

 

 

そこから、俺の過去を聞かれたが、リヴェリアさんの様子から、暴くと言うよりも仲良くしたくて質問をした感じだ。

 

 

 

けど、答えられないので困った俺は神ガネーシャかシャクティさんに聞いてもらうように言って、ボロが出る前にその場を離れた。リヴェリアさん達は不思議そうな顔をしていた。

 

 

 

その二日後、俺がダンジョンで探索をしていると、不意に何者かの視線を感じた。

 

気になって周囲を見渡すが、誰もいない。

不思議に思っていたけど、直ぐに俺への視線が何なのか俺は知った。

 

それは、モンスターとの戦いの途中。

 

「しまっ?!」

 

俺はダンジョンの窪みに足を取られ転倒。

モンスターの重い攻撃が俺を襲い、咄嗟に剣でモンスターの攻撃を防ごうとした瞬間。

 

 

「ウオオオオオオッ!!」

 

鬼の形相で、片手剣を持ったエルフの女性冒険者が、俺を攻撃しようとしたモンスターに突撃し、一撃でモンスターの首を切り飛ばした。

 

「え?」

「御無事でしたか!?」

 

首を切り飛ばされて、灰になるモンスターに驚きながらも、助けてくれたエルフの女性冒険者にお礼を伝えると。

 

「あ、ありがとう」

「いえ、それでは私はこれで」

 

俺が慌てて、彼女の名前を問いかけると彼女は「名乗るほどの者ではありません」と、告げて足早に去っていった。

 

それから、俺はダンジョンや街中で視線を感じ、視線を感じる方向へ視線を向けると、何故かエルフ達が俺を見ていて、俺に見つかるか、声をかけようとすると即座に逃げ出した。

 

俺は彼等彼女等の行動に「な、何なんだ一体……」と、首を傾げることになった。

 

 

▼△▼△▼△

 

 

更に数日後、朝イチで冒険者ギルドで何かクエストがあるかと、確認していると。

 

 

 

「アルディス様」

 

「エイナさん? 別にさ……」

 

 

 

様は要らないですよ。と言いかけて、エイナさんの後ろにリヴェリアさんが立っていた。

 

 

 

「ええっと、何か用事でしょうか?」

 

「ああ、少し良いか?」

 

「はい」

 

 

 

リヴェリアさんの後に俺は付いて行く。

 

別室に移動して、向かいあってソファに座ると、リヴェリアさんが申し訳なさそうに頭を軽く下げた。

 

今部屋に居るのは、俺とリヴェリアさんだけだ。

 

 

 

「シャクティから、話は聞いた」

 

「そうですか」

 

「それと、君のことだが、恐らくだが森を魔剣で焼かれ、混乱していた時期に行方不明になった、王族の孫の可能性がある。あの一件で行方不明になった者も多いからな」

 

「そうなのですか? 両親は普通の生活をしていましたから、実感がありません」

 

「そうか。それと、最近アルディスの周りに、同胞達が居ると思うが」

 

「あ、はい。アレは?」

 

「エルフにとって、ハイエルフは敬うもの。ただ、私はロキ・ファミリアであること、あまり世話されるのが煩わしくてな。人を遠ざけている」

 

「……あぁ、それで、ロキ・ファミリア以外のエルフ達が、近付きやすいわたしの所へ?」

 

「ああ、ただ、君が、オラリオに連れてこられ、どのような目に逢ったのかは限られた者しか知らない。

 

けれど、君が両親が居らず、犯罪に巻き込まれて、このオラリオに来たのは、調べれば察することが出来る。ハイエルフは目立つからな」

 

 

 

あー、両親の居ない幼児とも言える年齢のハイエルフ。

 

しかも、ガネーシャ・ファミリアが俺が来た時期に、オラリオ内で活発に活動していた。

 

怪しいわな。

 

 

 

「それで、リヴェリアさんは」

 

「ロキ・ファミリアに所属している以上、力になれることは限られているが、話くらいは聞ける。それと同胞達がやり過ぎたら私に言え」

 

 

 

叱り飛ばしてやるから。

 

と、リヴェリアさんは言って帰った。

 

 

 

この日を境に視線を感じない日も出てきて、魔法。セイント・ランスをダンジョン内でも、使えるようになった。

 

速攻魔法だから、周りに速攻魔法だと分からないように、それっぽい詠唱を小声で唱えてから、素早く投げつけていた。

 

お陰で速攻魔法とは、バレてはいないみたいだ。

 

 

 

と言うわけで、この日は俺はかなりダンジョンに籠り、経験値稼ぎを行った。

 

 

 

その結果、ホームへの帰還が普段より遅くなり、薄暗い夜道を歩くことになり。

 

 

 

「誰ですか?」

 

「お嬢ちゃん、ハイエルフなんだって?」

 

 

 

気配があからさま過ぎて、素人の俺でも隠れている男達の気配に気づいた。

 

 

 

 

 

「それが?」

 

「俺達と一緒にきてくれねぇかな!!」

 

 

 

男四人組に襲われた。

 

俺は咄嗟に腰に吊るしていたショートソードを抜いて、突進してきた男の手を切りつけた。

 

けれど、

 

 

 

「驚いたな! 手首無くなるかと思ったぜ、流石はハイエルフだ!」

 

「ははっ、けど残念だったな、俺達はレベルは2だ」

 

「お嬢ちゃんのレベルとなまくらな武器、力のアビィリティじゃあ無理だぞ」

 

「さぁ、何処まで頑張れるかな?」

 

 

 

ゲームの記憶、いや?アルディスの記憶? ゲームでは部位破壊はなかった。

 

けど、今の一撃を入れた直後、男の手を切り落とす幻覚を見た。

 

けれど、駄目だった。

 

 

 

「まだよ!」

 

 

 

俺は状況に内心舌打ちをする。男が俺に掴みかかってきた。

 

タイミングを図って、男の顔面にセイント・ランスを叩き込む。

 

 

 

「ぎゃあああああ!!」

 

「馬鹿な!?」

 

「詠唱も無しに?!」

 

「予め唱えておいただけだ!」

 

 

 

意味があるか分からないが、速攻魔法を誤魔化すためにそんなことを叫びながら、俺はその場から逃げ出す。

 

 

 

ヒィヒィ言いながら、時折男達にセイント・ランスを投げつけて、もう少しでギルドと言うところで、

 

 

 

「通行禁止だぜ! この、クソガキ」

 

「きゃっ!」

 

 

 

通路の前と後ろ、挟み撃ちに合い、どちらに魔法を叩き込むか一瞬迷ったのが悪かった。

 

 

 

「手間かけさせやがって」

 

「さぁ、こっちに来い、売り手は決まってるんだ」

 

「そうすれば、こんな街とはおさらばだ」

 

 

 

後ろから羽交い締めにされ、そのまま首を絞められる。

 

苦しい!

 

俺は何とか抜け出そうとして、もがくが。

 

 

 

「暴れるなこのガキ!!」

 

 

 

男に更に首を絞め上げられ。ぶんぶんと左右に振り回されて一気に気が遠くなる、と同時に。あ、マズイ。と俺が思った時には遅かった。

 

俺の下半身が緩み蛇口が開けられた。

 

 

 

――チョロロロッ。

 

 

 

「あっ、このガキ漏らしやがった!」

 

「馬鹿、お前が首を絞めすぎなんだよ」

 

「きったねぇな。お前が運べよ」

 

「いいから、早く行こうぜ」

 

 

 

ヤバイ意識、朦朧としてきた。このまま気を失うのは本当にヤバイ。

 

何とか魔法を放とうと腕を動かそうとした時だった。

 

 

 

「何処へ行くつもりだ? ゴミ共」

 

「あ゛あ゛ん?」

 

 

 

第三者の声が聞こえ、俺を羽交い締めにしている男が声の方へ身体を向けると、そこに立っていたのは月明かりに照らされた白! と見惚れるほど美しい黒髪のエルフ。

 

 

 

――フィルヴィスさんだああぁぁぁ!!!!

 

 

 

「なんだてめぇ、あっちに」

「お、おい、こいつは!」

「黒髪に白い装備品! コイツ、パーティー殺しの【死妖精】だ!」

「なんだと!? あの呪われているって言う!?」

「お、おい、アイツはヤバイ、逃げるぞ!」

 

 

 

男達がそう叫んだときには遅かった。

 

 

 

「『ディオ・ティルソス』」

 

 

 

超短文詠唱により、男の一人が吹き飛んだ。地面に転がった男はまだ生きてはいた。

男達は仲間が一撃でやられるのを見て、即座に仲間を見捨てて逃げることを選んだ。

 

だが、既にその判断は遅かった。

 

 

 

「フィルヴィスに先を越されましたね」

 

 

 

ちょっとゴージャスと言うか、プライドが高そうな感じのエルフは、確か。デュオニュソス・ファミリアの副団長のアウラさん?

 

 

 

「て、てめぇは!」

 

「挟まれた?!」

 

「夜にあれだけ、派手に音をたてれば誰でも気づきますわよ」

 

 

 

大人しく寝ていなさい。

 

自身に近寄った男を杖で殴り飛ばす光景を最後に、俺は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に目を覚ますと、俺は見慣れない部屋にいた。

 

周りを見渡すと、一人のエルフと目があった。

 

 

 

「良かった、目を覚ましましたたのですね、 アルディス様」

 

「えっと、貴女は確かアウラ・モーリエルさん?」

 

「名前を覚えてくださり。光栄ですわ」

 

「わたしはハイエルフらしいですが、リヴェリア様のように由緒正しい訳ではありませんよ」

 

「いえ、お顔を拝見して、貴女様は我らの守るべき尊い御方だと一目で分かりましたわ」

 

 

 

目を覚まして、王族扱いにビビる。

 

あ、そういえば。

 

 

 

「アウラさん、そう言えばフィルヴィスという方は? 出来れば、彼女にも御礼を言いたいのですが」

 

 

 

俺の言葉に渋い表情を作り、「少々お待ちを」と告げて、部屋を出ていった。

 

それから、しばらくして。部屋がノックされ、黒い髪のエルフ。フィルヴィスさん入ってきた。

 

直ぐ後には、アウラと神ディオニュソスが後に続く。

 

 

 

「初めまして、フィルヴィスさん。神ディオニュソス」

 

「御逢いできて光栄ですよ、アルディス・リーマ・アルフヘイム殿」

 

「わたしはハイエルフですが、畏まる必要はないですよ。神ディオニュソス」

 

 

 

原作を知らなかったら、確実に騙されていたな。

 

神酒で自己暗示かけているから、どう見ても善神にしか見えない。

 

 

 

「そして、フィルヴィスさん」

 

「はい」

 

「助けていただき、本当にありがとうございました。アウラさんとフィルヴィスさんには何と御礼を言ったら良いか」

 

 

 

俺が頭を下げると、フィルヴィスさんは「お気になさらず」と一言を言って直ぐに部屋から逃げるように出ていった。

 

 

 

その態度にアウラさんは、不機嫌そうな顔で見送り、ディオニュソスは、フィルヴィスさんのフォローに入る。

 

うん、どちらかと言えば。俺も中身はディオニュソスと似たようなものだ。

 

 

 

女の子の泣き叫ぶ姿、絶望する表情は大好きだ。

 

でなければ、【妖精王女 ~白濁の泉に沈む】みたいなハードなエロ同人RPGにハマらない。

 

 

 

けど、フィルヴィスさんも、レフィーヤも…

 

レフィ×フィルも好きなんだよね。

 

ゲームのあの魔法が使えれば……。

 

 

 

うん、ちょっと頑張ろうかな。

 

 

 

この日、俺はディオニュソス・ファミリアに泊まることになった。

 

 

 

「と、ところで、アウラさん。ちょっとお聞きしたいことが」

 

「何でしょうか?」

 

 

 

俺は耳をと呟き、アウラが俺に耳を寄せてきたので小声で問う。

 

 

 

「わたしの着替えは、誰が?」

 

「わたくしが行いました、御安心を」

 

「御手数をお掛けしました」

 

 

 

いえいえ、とニコニコと微笑むアウラ。

 

うん、かなり恥ずかしいな、これは。

 

 

 

▼△▼△▼

 

 

 

 

 

あれから、数日が経った。

翌朝、俺がホーム帰ると出迎えてくれたヘスティア様がギャン泣きした。

 

で、俺を誘拐しようとしていた奴等の依頼主は、ラキア王国の貴族だと分かった。

 

奴等の依頼は美形のエルフの少女。

 

初めから俺を狙っていた訳ではなかったらしい。

 

けれど、ハイエルフの少女が現れたと聞いて、俺に狙いをつけたようだ。

 

 

 

まあ、どの道エルフを狙っていたのは変わらない。

 

エルフの皆様がマジ切れ中。

 

ただでさえ、ラキア王国に魔剣で森を焼かれて、多くの同胞が犠牲になったのだ。

 

奇跡のように行方不明になったと思われるハイエルフの娘か孫が、オラリオにたどり着いた。

そのハイエルフの少女を奴隷として誘拐しようとしたのだ。

 

同族意識が強くなくても、自分達の王族がそんな目に会えばキレるだろう。

 

 

まあ、だからと言って、何か出来るわけではない。

 

レベルの高い冒険者はオラリオの貴重な人材だ、外に出るにも手続きが必要だしね。

 

不満を漏らしていたエルフ達だったが、直ぐに機嫌がよくなった。なぜ? と思っていたら「そろそろラキアが来る可能性がある。その時に思う存分に殺れ」とギルドのお偉いさんが、エルフ達に言ったとか言わないとか。

 

しばらくの間、エルフ達がギラついていた。

特に冒険者や元冒険者は武器の整備をしたり、気合いを入れて鍛練したりしていた。

 

スキルの力で俺への好感度がブーストしていたとしても、エルフ達の同族意識にちょっとビビることになった一件でだった。

 

 

 

「朝の体操は終わりっと」

 

「アル君、ご飯出来たよ」

 

「はーい、今行きます」

 

 

 

モグモグとジャガ丸君サンドを食べながら、今日の予定について話し合う。

 

 

 

「今日は臨時でパーティーを組む日かい?」

 

「はい、先日アウラさん達と臨時のパーティーを組んだら、他のレベル1のエルフの方達から誘われたんですよ」

 

 

 

神と俺の二人だけのファミリア。

 

俺の身の安全を考えて、他のエルフ達からかなり心配された。

 

 

 

中堅のエルフが多いファミリアから、改宗を勧められたけど、恩神に恩を返していない。それに、わたしはヘスティア様が大好きなんです。と、断ったらヘスティア様が嬉し泣きしていた。

 

 

 

うん、俺はヘスティア様を泣かせてばかりだな。

 

まあ、そんな感じで日々が過ぎていった。

 

 

 

▼△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

「おはようございます。フィルヴィスさん」

 

「お、おはようございます」

 

「というわけで、パーティーを組みましょう」

 

「お、お戯れを」

 

 

 

汗をかきながら、顔を強張らせるフィルヴィスさん。

 

ちなみに、既に数回パーティーに誘っている。

 

理由は、フィルヴィスさんを救済するためだ。

 

 

 

まあ、現状は不可能に近い。けど、あの怪物になったフィルヴィスさんを助けられる可能性がある魔法が一つだけある。

 

 

 

それは、浄化の魔法だ!

 

 

 

処女のトゥルーエンドより、こっちがトゥルーじゃね? と思うような魔王浄化エンドで必要な魔法だ。

 

 

 

正直、覚えられる可能性はかなり低い。

 

低いが、それでもフィルヴィスさん大好きだから、頑張るのだ!!

 

 

 

「前にも言いましたが、方向性は違いますが」

 

 

 

俺はフィルヴィスさんの耳元で囁く。

 

 

 

「身体が穢れているわたしなら、パーティーを組んでも大丈夫だと思いますよ」

 

「と、兎に角ダメです!」

 

 

 

そう言って、走り去るフィルヴィスさん。

 

デュオニュソス・ファミリアで泊まった日に、俺はフィルヴィスさんを初めてパーティーに誘った時に、フィルヴィスさんには即座に断られた。

 

 

 

「また、会いましょうね!!」

 

 

 

だから俺は何故と聞いたら、自分は穢れているとフィルヴィスさんは言ったので、アウラさんも居たけど、この身体が既に男達に穢されていることを教え、笑顔で「方向性は違うけれど、同じ穢れ同士だからパーティーを組んでも、わたしは死なないわ。だから、フィルヴィスさん、わたしとパーティーを組んで」と、言ったらアウラさんとフィルヴィスさん二人に抱き締められた。

 

 

 

どうやら俺の説明が進むにつれ、俺の顔色はかなり悪くなっていき、最後には死人みたいな顔色で笑顔で「パーティーを組んで」は、アウラさんとフィルヴィスさんの心にクリティカルが入ったらしい。

 

 

 

深い溝がある二人が息ピッタリに、

 

 

 

「貴女様は穢れてなど御座いませんわ!」

 

「アウラのいう通りです。私の為に秘すべきことを明かしてくれた心優しい貴女様は穢れていません!」

 

 

 

と言う、二人の励ましが止まったところで、俺がフィルヴィスに「なら、パーティー組んでくれますね!」と笑顔で追撃かけたら、フィルヴィスさんが凄い困った顔をしながら、アウラさんに助けを求め、アウラさんが深い溜め息を吐きながら、俺に「無理強いは駄目ですわ。アルディス様」と言われてその場は引いた。

 

 

 

とりあえず、これで俺とフィルヴィスさんに接点ができた。

 

 

 

うまくいけば、救済出来れば、レフィ×フィルだけではなく。

 

ベル×フィルもいけるかもしれない。

 

 

 

うん、やる気出てきた。

 

あ、そろそろ夕方か、なら上の階層でラストスパートだ。

 

 

 

 

 

「セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランスセイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランス、セイント・ランスセイント・ランス、セイント・ランス」

 

 

 

 

 

ソロの時は、魔力アビリティ上げにひたすらセイント・ランスを投げ続ける。

 

で、魔力が、なくなってきたな。と思ったら。

 

 

 

「こふっ!!」

 

 

 

耐久上げもかねて、弱いモンスターにワザと殴られて、魔力回復。

 

まあ、魔法を使いまくるのは、帰る直前だけにしてるけどね。

 

 

 

ゲームやっていた人間だから、どうしてもソロの時は効率を求めてしまう。

 

それと、ベル君の成長速度って、やはり異常だわ。

 

この身体はスタミナと恩恵があるので、長時間戦っていても平気だけど、効率を高めても限界がある。

 

 

 

普通の経験値上昇スキルがほしい。

 

アレは死にスキルになったし。

 

 

 

地道に鍛えるしかないか。

 

 

 

▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

さて、ベル君が合流する前に、俺は自分の立ち位置をある程度考えることにした。

 

 

 

遊撃とアタッカーのベル君。指揮とアイテム管理のサポーターのリリ。鍛冶師兼戦士のヴェルフ。避け前衛の命《みこと》。支援の春姫。恐らく後半で合流すると思う魔法戦士のリュー。

 

 

 

後はダフネとカサンドラ、アイシャともパーティーを組むだろう。タケミカヅチ・ファミリアの桜花と千草も。

 

 

 

役割的に盾が足りないのかな? 桜花は盾と両手斧を使い分けるから、一人くらい盾を常に装備している方が良いだろう。

それにダフネとカサンドラ、アイシャ、桜花と千草は常にパーティーを組むわけではない。

 

 

 

ベル君はトラブルに見舞われ過ぎなところを考えると、足の遅くなる重い装備はあまり良くないかな。

 

 

ベル君はジョブ的に軽戦士、リューは軽魔法戦士。と言えるだろう。

 

 

ゲームではアルディスのクラスチェンジが出来た。

 

ダンサーなどの特殊な職業もあるが結局は、戦士、魔法使い、魔法戦士の三つから選ぶことになる。

 

√によって敵の弱点が偏るからだ。

 

 

 

「やはり、目指すなら魔法戦士系かな」

 

 

 

ゲームの魔法戦士の最終装備のデザインは戦乙女だったなぁ、可愛いからオーダーメイドの装備品はあんな感じにするか。

 

浄化の魔法も憶える予定だし、見栄えは良いはず。

実際に浄化魔法が覚えらるのかは分からないけど。

 

ちなみに、処女√だとアルディスの最終装備は色気の欠片もないヘビィプレートで、デカイ盾と破邪のメイスで魔王とひたすら殴り合いを行うことになる。

 

しっかりレベルを上げていれば勝てるのだが、脳筋な必殺技の応酬なので、初見では変な笑いが出てしまった。

 

 

 

「ちょっと重めの鎧兜、盾か」

 

 

重すぎる装備は駄目。

けれど、重りとなる装備を身に付けて走り回れば力や耐久、俊敏も上がりやすくなるだろう。

その防具をどうするか。

 

鍛冶師で直ぐに思い浮かぶのは、ヴェルフだ。

でも、ヴェルフとの接触はまだしない方が良い。

ハイエルフがクロッゾと仲良くするのは問題がある。

 

もう一人知っている鍛冶師は、ヴェルフの所属しているヘファイストス・ファミリアの団長の椿だが。

 

ないな。駆け出しに武具作るわけがないし、それに金もない。

 

 

 

となると、俺と同じく駆け出しの鍛冶師を見つける必要がある訳だけど。

 

オーダーメイドのことを考えると女性鍛冶師が良いな。

 

ヘスティア様に経由で、紹介してもらえるか聞いてみよう。

 

 

 

「僕に任せたまえ!」

 

 

俺が聞いてみると、自信満々にヘスティア様は答えた。

ちょっと不安だったけど、ほしい武具のスケッチ(美術はかなり得意)を渡して数日後。

 

「あ、あのはじめまして、エクレアと申します!」

 

鍛冶師と言うよりは、店の看板娘みたいな、鎚を振るえるの? と首を傾げたくなる美少女を紹介してもらった。

 

神ヘファイストスの話だと、才能はあるが容姿と大人しめの性格、それと作る作品のデザインが原因で、肩身の狭い思いをしているらしい。

 

「アルディスです。アルディス・リーマ・アルフヘイム」

 

「あ、あの、このスケッチ。アルディスちゃ、さんが描いたのですか?」

 

「えぇ、飾りのない質実剛健な武具も好きですが、デザインがある方が好きなので」

 

「凄く綺麗な鎧ですね」

 

「ありがとうございます。けど、こんなデザインを作ってと言ったら普通は怒られそうで」

 

「たぶん、それを見越してヘファイストス様は私を紹介したのかもしれません」

 

「それは」

 

 

 

どういう、と聞く前にエクレアは俺にスケッチを差し出した。

 

 

 

「こ、これは?!」

 

「とある女神様が教えてくれた水着を参考に作った、ヒューマン向けの軽鎧、ビキニアーマーです!!」

 

 

 

俺が驚いていると、悲しげにエクレアは語った。

 

 

 

「でも、可愛いのに、誰も買ってくれないんです」

 

「ま、まあ、肌が丸見え……、ん!?」

 

俺はビキニアーマーを再確認する。

このビキニアーマーは、重要箇所は守られている。

盾持ちとして、耐久を上げたい。盾の練習もしたい。ダメージを受けるとマインド回復するスキルがある。

 

「……エクレアさん」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「この鎧いくらですか?」

 

「えぇっ!?」

 

 

 

この日、ビキニアーマーを着たロリハイエルフが爆誕した。

 

 

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