けものフレンズ2after☆かばんRestart   作:土玉満

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【これまでのあらすじ】

 ともえちゃんはかつて病気治療の為に『進化』の輝きをその身に宿していた。
 『進化』の輝きの一部を奪った超巨大船型セルリアンは超進化セルリアンとなってともえちゃん達へと迫る。
 陸上での活動をも可能とした超進化セルリアン。
 はたして最恐最悪の敵を相手にかばんさん達は打つ手があるのか…。


【妄想元ネタ紹介】

 実はこの11話が一番最初に思いついた話でした。
 そんな妄想を膨らませてくれた音楽や動画を制作していただいた皆様に心から感謝申し上げます。
 今回はこの場面をこの音楽聞きながら考えました。
 巻頭にて紹介させていただきますのでよかったらご一緒にお楽しみいただければ幸いです。


OPイメージ
https://www.nicovideo.jp/watch/sm34990561
明るい雰囲気のOPソングが素晴らしいです。背景の音ハメとかもめっちゃ好きです。


かばんさんがともえちゃん達と話している場面で流れるBGMイメージ
https://www.nicovideo.jp/watch/sm34900426
この曲を聞いて思い浮かんだのが11話だったりします。素晴らしい曲でオススメです。
曲名は『真実を知るあなたへ』だそうです。
かばんさんなら絶対こうするよなあ、という自分の中のかばんちゃんが成長したかばんさんの物語を出力してきました。
最後までお付き合いいただければ幸いです。


かばんさんがラスボスに挑む時に流れるBGMイメージ
https://www.nicovideo.jp/watch/sm34943667
ケムリクサオープニングのオーケストラアレンジです。
物凄い力作です!ラスボス戦はこの曲をリピートしながら書きました。
曲に文が負けてる気がしないでもないですが物凄くかっこいい曲なんで是非聞いてみていただきたいです!




第11話『ヒトの叡智』

 アバンは前回超進化セルリアンに追われるジャパリバスの場面からスタート。

 タイヤをきしませ超進化セルリアンから逃げるジャパリバス。背後から迫る脅威にかばんさんの手が震えそうになる。

 

「みんな、このまま港湾施設に突っ込むからしっかり掴まってて!」

 

 後ろではアムちゃんがともえちゃんを守るようにギュっとしつつ、イエイヌちゃんが後方から追いすがってくる超進化セルリアンを睨みつける。

 

「時間を稼いで、みんなが来てくれて…それでアイツを倒せるの…!?」

 

 焦ったようなかばんさんの声が小さく響きつつ、OP開始。

(OPイメージは巻頭にて紹介させていただいています。)

 

 

の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の

 

 

 OP後、港湾施設跡に突っ込むジャパリバス。

 長い時間岩場が波で削られて出来た天然の洞窟を利用した港湾施設だ。周囲を天然の壁に囲われて悪天候でも安心な施設だ。

 洞窟内には乾ドックにも出来そうな巨大な停泊所や荷揚げ用のクレーンやその他様々な機械が錆びついて沈黙している。

 かつてシャチが一人住んでいた施設跡であるが今は完全に無人だ。

 

「まずはここにアイツをおびき出して閉じ込めちゃおう。」

 

 ジャパリバスを倉庫のような場所へ駐車すると、そこから移動して操作室と書かれた部屋へ移動するかばんさん達。

 何かの操作盤にボスウォッチを近づけるかばんさん。

 明滅しているボスウォッチ。

 

「ケンサクチュウ…ケンサクチュウ…。施設内設備稼働可能。」

 

 ボスウォッチの言葉に頷き続いてモニターに目をやるかばんさん。

 稼働できる設備は水門に防潮堤に非常用シャッターがある。

 これなら港湾施設を閉鎖する分には問題なさそうだ。

 加えて照明やら荷揚げ用のクレーンやら稼働できそうな設備もあるようだ。

 何か思考をくすぐられて、かばんさんはモニターに見入る。

 

「アイツ、警戒してるみたいでゆっくりこっちに入ってきましたね。」

 

 イエイヌちゃんがこそーっと窓から外を伺っている。それで思考から引き戻されるかばんさん。

 

「うん、ありがとう、イエイヌちゃん。ラッキーさん、そっちはどうかな?」

「この施設の機械ト接続できたヨ。」

 

 既に超進化セルリアンも警戒しながらではあるが港湾施設の中に入ってきている。

 いくら警戒しているとはいえ、設備を閉鎖してしまえば巨大な檻がわりになるだろう。

 あとは非常口から脱出すれば巨大な超進化セルリアンだけはここに閉じ込める事が出来る。

 これなら時間稼ぎになるはずだ。

 

「警戒してるってあのセルリアンもしかして前に待ち伏せされた事を覚えてるのかな。」

「そうかもしれない…。だとしたら学習してるって事だよね…。かなり手強いよ。」

 

 ともえちゃんの言葉に頷くかばんさん。同時にこのまま時間を稼ぐだけでいいのだろうか、という疑念が浮かぶ。

 考えを巡らせる時間はない。

 超進化セルリアンがずしずし、と港湾施設の奥へと入ってくる。

 ともえちゃんはセルリアンには目立つ。いくら身を潜めているとはいえ、見つかってしまうのも時間の問題だろう。

 ならば、やはり時間を稼ぐしかない。

 十分に施設奥まで超進化セルリアンが進んだところで……。

 

「よし、ラッキーさん。今だよ。」

「ワカッタ。水門閉鎖、防潮堤起動。非常用シャッター閉鎖。」

 

―ビーッ!ビーッ!

 

 けたたましいサイレン音を響かせながら水門が閉じて防潮堤が高くせり上がる。

 さらに出入口のシャッターが降りて出入口は全て封鎖された。

 

「港湾施設ノ閉鎖、完了ダヨ。」

「よし、私たちは非常口から外に出よう。これでかなり時間を稼げるはず…。この非常口から外に出られるからアイツに見つからないように静かにね。」

 

 かばんさんのその言葉に口元を抑えてこくこく頷くともえちゃんとイエイヌちゃんとアムちゃん。

 そっと抜き足差し足で非常口へと向かう。

 その三人を見守りつつ、もう一度モニターを振り返るかばんさん。

 そこに浮かぶ文字を見つつ考え、何事かに気づいたように大きく目を見開く。

 そして……。何かを決めたかのように唇を引き結び、ともえちゃん達の後を追うかばんさん。

 残されたモニターは火気厳禁マークのついた施設を映し出していた。

 

 

の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の

 

 

 超進化セルリアンが周囲に響き渡る警告音に戸惑いを見せる中、施設の閉鎖は完了して閉じ込められる超進化セルリアン。

 非常口へと走るともイヌアムの三人。外へ続く長い通路を走り続ける。その後ろでしんがりをつとめるかばんさん。

 

 画面は走る4人を横向きにとらえる。明るい外へと向かう4人。

 ふ、とかばんさんだけが足をとめる。そのまま気づかず外へと走っていく3人。

 

 両手を後ろに回してちょっとの間だけ名残惜しそうに三人を見つめるかばんさん。帽子に隠れて瞳は見えないが口元は笑みの形になっている。

 

 かばんさんは背中の鞄を明るい方へ降ろしてその上に自分の帽子を乗せるとくるり、と背を向けて暗い方向へ一人引き返す。

 

 それに気づかず完全にカメラアウトするともえちゃんとイエイヌちゃんとアムちゃん。

 

 かばんさんは壁に取り付けられた非常隔壁作動装置のレバーを引く。

 3人とかばんさんを別つ隔壁。かばんさんはその隔壁に背をもたれさせる。

 

 

の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の

 

 

「かばんお姉ちゃんは…?」

 

 と外へ出たともえちゃんが周囲を見渡してかばんさんがいないのに気が付くと同時、隔壁が降りる音がする。

 振り返った三人が目にした物は、隔壁の前に置かれたかばんさんの鞄とその上に置かれた二本羽根の帽子だった。

 

「かばんお姉ちゃん!?閉じ込められちゃったの!?待っててね!アムちゃん、この扉壊せる!?」

「がう!」

 

 早速、と言った様子で牙を剥き隔壁に対して構えるアムちゃん。

 しかし、隔壁の向こうからかばんさんの声が聞こえる。

 

(ここでかばんさんがともえちゃん達とお話する場面で流れるBGMイメージがかかる演出でお願いします。巻頭にてBGMイメージを紹介させていただいています。)

 

「待って。私は閉じ込められたわけじゃないよ。自分で残ったの。」

 

 声は聞こえても意味は理解できなかった。

 いや、本当はそれだけでかばんさんが何をするつもりなのか伝わっていた。

 けれど、理解も納得もしたくなかった。

 

「どういうこと?なんで?」

 

 ともえちゃんが隔壁に縋りつくようにして聞く。

 

「みんなが集まってくれても今のままじゃあのセルリアンは倒せない。だから……だから…。」

 

 一度言葉が切れて、その後聞こえた声はハッキリと響いた。

 

「だから、あいつはボクとラッキーさんが倒す。」

「なんで…?みんなで戦おうよ。一緒に戦おうよ!」

 

 ともえちゃんの悲痛な叫びが響く。

 

「ごめんね。この作戦はボクとラッキーさんにしか出来ないんだ。」

 

 返って来た言葉はいつも通りに柔らかかったけれど、それでも決して答えを曲げないだけの意思が見てとれた。

 

「前にさ、みんな一人でもやらなきゃいけない事があるって話したの覚えてるかな?ボクには今日、いまそれが来ちゃったみたい。」

「なんで…。わかんないよ…。ねえ、かばんお姉ちゃん…、お寝坊したって怒らないから。お願いだからここを開けて。」

 

 ともえちゃんの声がどんどん涙声になっていく。

 本当は分かっているのだ。何の為に誰の為にこうしているのか。でも何かを言って引き留めないといけない。その想いだけで言葉を続けるともえちゃん。

 

「ごめんね、ともえちゃん。これだけはボクがやらなきゃいけないんだ。だからごめん。」

 

 だから、扉の向こうから返って来た言葉も予想通りだった。

 

「わたし達じゃ頼りないかもしれないけど一緒に戦わせてください!かばんお姉ちゃん!」

「がう!」

 

 イエイヌちゃんとアムちゃんも隔壁に縋りつくようにする。

 

「ありがとう、イエイヌちゃん。アムちゃん。けどね。どうしてもボクが戦わないといけないんだ。でも皆がいてくれるから安心して戦いにいける。だから後の事はお願い。」

「そんな……やめて下さい。かばんお姉ちゃん!」

「かばん!」

 

 とイエイヌちゃんもアムちゃんも必死な様子で隔壁の向こうに言うが、答えは変わらないのは二人にも分かっていた。

 

「この後伝えられるかどうかわかんないから今のうちに言わせてね。ともえちゃん。イエイヌちゃん。アムちゃん。ボクは幸せだった。大好きだよ。」

 

 これではまるでもうかばんさんが戻ってこないつもりのようじゃないか。

 

「ねえ。ちゃんと帰って来る?」

 

 既にともえちゃんの足元にはいくつもの涙がこぼれ落ちていた。けれどそれでも言葉を紡ぐ。

 

「うん。」

 

 短い返答。

 

「なら待ってる。絶対帰って来て。約束。」

 

 そう。彼女は約束を守らなかった事はないのだ。

 

「うん、約束だね。」

 

 その返事にようやく涙を拭って立ち上がるともえちゃん。

 

「ねえ。ともえちゃん。それにイエイヌちゃんもアムちゃんも。」

「なに?」

「会えてよかった。生まれて来てくれてありがとう。じゃあ………。いってきます。」

 

 背中を隔壁から離したかばんさんの声はもう聞こえない。

 

 

の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の

 

 

 シーンはかわってカメラはかばんさんの足元。通路を戻る様子を映している。

 

「悪いね、ラッキーさん。付き合わせて。」

「ボクまで、置いてったラ、許さなカッタヨ。」

「ごめんごめん。それじゃあ…。二人でアイツを倒そうか。」

 

 静かな足取りで通路を戻るかばんさん。

 

「『石持ち』のセルリアンを倒す方法は二つ。一つは『石』を砕く事。もう一つは……『石』いがいの場所に大怪我をさせる事。」

 

 そのうち取れる方法は現在一つしかない。

 超進化セルリアンの『石』の位置はわからない。だからより難しい方しか選ぶ事ができないのだ。

 

「やっぱり怖いや……けど…」

 

 彼女はいつだって怖くないわけじゃなかった。

 ともえちゃんに出会った時も。その日の夜にセルリアンと対峙した時も。ビーストと出会った時も。

 超巨大セルリアンと戦った時もヒト型セルリアン達と戦った時も。

 いつだって彼女は怖かった。

 

「お前の相手はボクだよ。セルリアン。」

 

 それでも恐怖を乗り越えてなお進んできたのだ。

 ヒトだけが備えたその叡智の名をこう呼んだ。

『勇気』と。

 

(ここでかばんさんがラスボスに挑む時に流れるBGMイメージがかかる演出でお願いします。BGMイメージは巻頭にて紹介させていただいています。)

 

 超進化セルリアンが気配を感じたのかその目をかばんさんの方へ向ける。

 その瞬間に近くの瓦礫へと身を潜めて移動を開始するかばんさん。

 目指す場所は先ほど操作室のモニターで確認済みだ。

 超進化セルリアンはかばんさんの方を振り向いた。けれどそこに何も確認できなかったので脱出の為の作業を再開する。

 大王イカの足先をドリル状にかえて岩盤を削りはじめた。

 

「やっぱりアイツ、状況に応じて進化してる。これじゃ大した時間稼ぎにならない…。けど!」

「ここデ倒すカラ関係ないネ。」

 

 そこから先は身を潜められそうなものはない。

 目指す場所まではまだ遠い。ここから先は超進化セルリアンに身を晒さざるを得ない。

 まずはポケット内に入れていた紙で紙飛行機を作って飛ばすかばんさん。

 超進化セルリアンが動くものを感知してそちらに目を向けた瞬間に物陰から飛び出す!

 大王イカの足ですぐに紙飛行機を叩き落とす超進化セルリアン。

 だが、かばんさんへの反応は一瞬遅れる!

 かばんさんへも繰り出される大王イカの足。しかし、転がり、飛び退り、ギリギリでかわしながら走り前へ進むかばんさん。

 業を煮やしたのか、船部分に数本の筒のようなものを生やす超進化セルリアン。

 その筒の先端をかばんさんへと向ける。

 

「それは知ってるよ。」

 

 筒の先端から黒い水のようなものが次々と発射される。

 が、それはかばんさんを捉える事はない。

 

「それが大砲っていうものだっていうのは知ってるよ。筒の先端が向いてる方しか狙えないってことだってね!」

 

 巧みに射線をずらして弾丸の雨をかわすかばんさん。

 が…。

 着弾した黒い水のようなものが今度はモコモコ、とヒト型をとり始めて次々とフレンズ型とヒト型のセルリアン達が立ち上がっていく。

 

「そ、それはちょっと想定外かなあ…。」

 

 思わず冷や汗が流れるかばんさん。急がないと港湾施設がセルリアンだらけになってしまう。

 そうなれば移動すらままならない。

 進路上のフレンズ型セルリアンだけをカウンターで次々倒しながらなお走るかばんさん。

 大きな倉庫のような場所へと辿り着く。

 迷う事なくその中へと飛び込むかばんさん。

 そこは今は物言わぬクレーンや整備車両も備えられた大型の倉庫だった。

 そこかしこにコンテナが転がっているがまだまだ空間のある場所だった。きっとかつては整備場として使われていたのだろう。

 しかし、袋のネズミとはこのことか。かばんさんが入ってきた場所以外に出口となりそうなものは見当たらない。

 かばんさんが飛び込んだ直後、倉庫の入り口を押し広げるようにして超進化セルリアンもまた大型倉庫へと押し入ってくる。

 再び大王イカの足がかばんさんへと放たれる。

 

「ラッキーさん!」

 

 かばんさんが叫ぶと同時、バシン!と音を立てて倉庫内にあった投光器に光が灯る。

 その強力な光が超進化セルリアンの視界を塞いだ。

 眩しさに一瞬目がくらんだ超進化セルリアン。狙いがほんの少しだけずれる。

 かばんさんもその隙を逃さずに身をかわして走る。

 狙いがそれた一撃はかばんさんの背後にあったコンテナ箱を粉々に粉砕して中身をばら撒く。

 もうもうとした煙を立てるのを構わずにかばんさんは側にあった運搬用のフォークリフトに飛び乗る。

 ボスウォッチを近づけると一瞬の間を置いてエンジンの火が灯る。

 充電ケーブルに繋がれたままのフォークリフト。かばんさんがギアを入れてアクセルを踏み込むと同時、充電ケーブルを引きちぎるようにして再び駆け始める!

 既に光の目くらましにも進化で対応しかばんさんを再び視界へと入れる超進化セルリアン。

 その視線に一瞬かばんさんの手が震えそうになる。

 

「くっ!」

 

 バシン!と自らの手を抑え込むようにして震えを打ち消すかばんさん。

 超進化セルリアンがフォークリフトを狙って次々と大王イカの足を繰り出してくる。さらに悪い事に生み出されたフレンズ型セルリアン達もノロノロと大型倉庫の中に入り始めていた。

 

「みゃっ!」

 

 吠えつつギアをバックに入れるかばんさん。

 三輪で小回りの効くフォークリフトは四輪よりも小回りが利く。まるで逃げ回るネズミのようにチョロチョロと超進化セルリアンの攻撃をかわし続けるかばんさん。

 バック機動で超進化セルリアンを翻弄する!

 

「みゃあ!」

 

 さらにギアを前進に入れなおし入り口から入ってくるフレンズ型セルリアンへ突撃!

 

「みゃああああっ!」

 

 直前でハンドルを切りつつサイドブレーキを引き、車体ごと横滑りさせドリフト状態に。フォークリフトのツメでフレンズ型セルリアン達を横なぎに薙ぎ払っていく!

 そのまま手近なコンテナをフォークリフトのツメで拾い上げたかばんさん。

 

「うみゃみゃみゃみゃぁあああああああっ!!」 

 

 雄叫びと共にアクセルをベタ踏みして超進化セルリアンへとコンテナごと突撃!

 グシャリ、と潰れて中身をばら撒くコンテナ。

 衝突の直前にかばんさんはフォークリフトから飛び降りていたので、一人超進化セルリアンだけがフォークリフトとコンテナの突撃を受けた格好だ。

 さらに……。

 

「パッカーーン!」

 

 とボスウォッチから声が響く。

 すると倉庫に設えられたクレーンが抱えたコンテナごとそのフックを超進化セルリアンに叩きこむ!

 コンテナがひしゃげて、その中身が超進化セルリアンの頭上からバラバラと降り注ぐ。

 

「さすがラッキーさん!」

「マカセテ。」

 

 とるに足らないはずのたった一人から手痛い反撃を受けた超進化セルリアン。ヴォオオオオオオオッ!と怒りの咆哮をあげる。

 

「(後は最後の仕上げだ……!)」

 

 ここが最後の正念場だ。

 クレーンが返す一撃で出鱈目に動きまわって何度も何度もそのフックを超進化セルリアンに叩きこむ。

 その間にかばんさんは整備用車両…、そのうちの一台、タンクローリーへと乗り込む。

 それのエンジンがかかるかどうかは賭けだ。フォークリフトと違ってこちらは充電ケーブルが繋がっているものはなかったのだ。

 ボスウォッチがエンジンを始動させようと試みる。

 

―キュルルルル…

 

 というセルモーターが回る音はしている。まだエンジンをスタートさせる事は出来る!

 あとはエンジンがかかればいいだけだ。

 だが、エンジンはかからない。セルを回す音だけが虚しく響く。

 その間にクレーンを大王イカの足で薙ぎ払い破壊する超進化セルリアン。

 

―ヴォォオオオオオ!!

 

 続けて怒りの咆哮をあげながらタンクローリーへと詰め寄る超進化セルリアン。

 まだエンジンはかからない。

 ズシンズシン、とさらに近寄った超進化セルリアンは足を振り上げてタンクローリーへと振り下ろす!

 

「かかった……!」

 

 エンジンが、ではない。

 最後の仕掛けに超進化セルリアンが掛かったのだ。

 横なぎに振るわれた超進化セルリアンの大王イカの足。それはタンクローリーを紙のように容易く切り裂く。

 間一髪、運転席から飛び出すかばんさん。

 それでも横なぎに振るわれた足がかすめる。

 中身の液体をまき散らしながらバラバラに吹き飛ばされるタンクローリー。

 ほんの少しかすめただけの一撃はそれだけでかばんさんを壁際まで吹き飛ばしていた。

 タンクローリーを盾にしていなかったら今の一撃だけでも容易く命を落としていただろう。

 だが、まだ生きている。

 まだ戦える。

 床をかくようにしてもがくかばんさん。

 まだ戦おうと必死に立ち上がろうとしている。

 超進化セルリアンはそんな彼女を嘲笑うかのようにゆっくりと近寄ってくる。

 獲物を弄ぶかの如く余裕を持った動きでかばんさんへ迫る。

 その目前まで迫るとゆっくりと大王イカの足を持ち上げる。

 

「知っているぞ…。」

 

 ようやく立ち上がるかばんさん。左腕がダラリと垂れ下がり持ち上げられずにいる。

 それでも立ち上がりうわ言のように言葉を紡ぐ。

 

「ボクは知っているぞ……」

 

 かばんさんの顔が上がって超進化セルリアンを睨みつける。

 

「ボクは知っているぞ!こんなものよりもっと痛い事があるって!」

 

(回想シーンでかばんちゃんが海岸でサーバルキャットとお別れしたシーンが流れる)

 

「お前なんかよりもっと怖い事があるって!」

 

(夢の中で呼びかけても振り返る事なく去っていったサーバルちゃんのシーンが流れて)

 

「だからお前なんか怖くない!お前なんかに負けるもんか!」

 

 かばんさんの瞳が手負いの獣のようにギラリと光りながら超進化セルリアンを睨みつける。

 

―ギィィ……

 

 ズシン、と一歩。たったの一歩だけど超進化セルリアンが気圧されたように後退る。その下がった一歩がタンクローリーから漏れ出た液体を踏みつける。

 その瞬間、勝利へ繋がるか細い糸は全て繋がった。

 まだ動く右腕にマッチ箱と最後の紙飛行機をとるかばんさん。

 マッチ箱を口に咥えて右手でマッチを擦ってそのまま紙飛行機に着火!

 

「みゃあああああああああっ!」

 

 最後の力を振り絞り火のついた紙飛行機を飛ばすかばんさん。

 その火は超進化セルリアンの足元にバラ撒かれた液体燃料へと引火。超進化セルリアンの身体を炎が包む。

 

―ギィ!?

 

 驚愕の声をあげる超進化セルリアン。だがそれだけでは超進化セルリアンを倒すには至らない。

 

―ゴォン!

 

 が、超進化セルリアンの身体で小さな爆発が起きる。

 その爆発を引き起こしたのは超進化セルリアンの身体に引っかかっていたコンテナの中身だった。

 

「教えてあげるよ。ここがなんだったのか。」

 

 全ての策が成ったかばんさん。

 

「ここは昔、ヒトがキミ達セルリアンと戦う為の準備に使った軍港っていう施設だったんだ。」

 

 それはともえちゃんが見た夢でセルリアンに立ち向かっていたヒト達が使っていた施設だ。

 そこに貯め込まれていた物資は燃料にそして、今爆発している弾薬や砲弾などだった。

 それがコンテナに残されていたのだ。

 この大型倉庫で大暴れした超進化セルリアンはコンテナの中身を至るところにぶち撒けてしまっていた。

 

―ゴォン!ドンッ!ドカァアアアン!

 

 一つの爆発は次の爆発を呼び炎が次々広がっていく。爆発が起きるたびに超進化セルリアンの巨体が揺れてその身体に裂傷が走る。

 

「セルリアン。キミを倒すのはヒトの遺志と…。」

「ヒトの叡智ダヨ。」

 

 かばんさんとボスウォッチが言うと同時、ひと際大きな爆発が起きて超進化セルリアンの身体を飲み込む!

 大型倉庫を吹き飛ばす程の大爆発!

 かばんさんも爆風に巻き込まれてしまう。

 

 運がいい事にまだかばんさんは意識を保っていた。

 立ち上がる事だって出来る。

 だが、そこまでだ。

 この後脱出する算段まではなかったのだ。

 だからこそたった一人で戦いに臨んだのだ。

 

「今度は守れたかな……。」

 

 炎はこの港湾施設の至るところへと燃え広がっていっていた。

 かつて船舶へ燃料を補給していた大型タンクへと引火したならこの施設ごと吹き飛ぶだろう。この炎の勢いならそれは時間の問題だった。

 だが、それならあの超進化セルリアンを確実に葬る事が出来る。

 

「サーバルちゃん…。みんな…。じゃあ。元気で…。」

 

 満足と共にかばんさんは瞳を閉じた。

 だが、その脳裏にともえちゃんとイエイヌちゃんとアムちゃん。三人の姿がよぎる。

 脳裏のともえちゃんが言う。

 

『なら待ってる。絶対帰って来て。約束。』

 

 その言葉にもう一度目を開くかばんさん。

 

「そうだった…。帰らないとね。」

 

 身体を引きずるようにして歩くかばんさん。フラフラと炎の中に歩みを進める。その背中を幻影のようなサーバルちゃんの手が押す。

 そしてシーンが切れる。

 

 

の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の

 

 

 シーンはかわって港湾施設から離れて待機中のともえちゃん、イエイヌちゃん、アムちゃんの三人。ともえちゃんがかばんさんの帽子と鞄を抱きしめるようにして不安そうに港湾施設の方を見つめている。

 そんなシーンから現れては消えていくスタッフロール。

 

―ドッカアアアアアアアアアン!

 

 と響き渡る大きな爆発音、続けて港湾施設から大きな炎が立ち上る。

 

「ともえ!待たせたのです!」

「かばんはどこなのです?」

 

 ともえちゃん達のところに飛んでくる博士助手。

 その問いに未だに大炎上を続ける港湾施設跡を弱々しく指さすともえちゃん。その指さす先では未だ小さな爆発音が響きそのたびに爆炎が吹き上がっていた。

 

「そんな……」

「嘘…なのです…」

 

 と揃って目を丸くする博士助手。

 

「かばん!」

「ダメです博士!あんなところに飛び込むのは危険過ぎます!」

 

 と、港湾施設跡へ飛び込もうとする博士を抑える助手。

 

「でも、かばんが…かばんが…!!」

「コノハちゃん!お願いだから!」

 

 なおも飛ぼうとする博士を助手がしがみついて止める。

 

「そんな…」

 

 ペタン、とその場に崩れ落ちる博士。

 次々と集まってくるフレンズ達もその光景に戸惑うばかりだった。

 

……と

 

―グォオオオオオオオオオオオオオオッ!

 

 と超進化セルリアンの咆哮が響いた。

 続けて爆発で脆くなった壁を破壊して傷ついた巨体を現わす超進化セルリアン!

 

「ともえ!いぬ!あそこ!」

 

 アムちゃんが指さした先は超進化セルリアンの大王イカの頭部分だった。そこに身体を丸めたように取り込まれてるかばんさんの姿があった。

 

「そんな…かばんお姉ちゃん…」

 

 とイエイヌちゃんのかすれた声が続く。

 カメラはともえちゃんの口から下、ぽかんと開けられた口元からその手に抱いた二本の羽根が付いた帽子を映していた。

 エンディングなしで11話は終了!

 

 

けものフレンズ2after☆かばんRestart 第11話『ヒトの叡智』

―おしまい―

 




【次回予告】

次回、けものフレンズ2after☆かばんRestart 最終話『リスタート』






俺ちゃん妄想監督を信じろ
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