けものフレンズ2after☆かばんRestart   作:土玉満

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アフターストーリー③『ともえとキュルルの企み』

 私の名前はカラカル。

 最近このキョジュークに引っ越してきたの。

 騒がしくてドジで目が離せないけど頼りにならない事もないサーバルと、ちょっと頼りないけどなんか珍しい事が出来るヒトって動物のキュルルと一緒にね。

 元々はイエイヌのナワバリだったところだけど、皆で『何でも屋』を始める時に拠点になったの。

 で、今は私とキュルルがそのキョジュークの建物を一つ借りて暮らしてるってわけ。

 それにしても…。

 キュルルのヤツ。今朝から様子がおかしいのよね…。

 思い出してみたら、アイツ、今朝ともえと話してから何かコソコソしてるけど何を企んでいるのかしら。

 確か、キュルルのヤツ、『何でも屋』の依頼を一つ頼まれてたけど、それの件かしら…。

 そういえば、そんな事を言ってたような気がするわね…。

 今朝、キュルルがともえと話してた時も…

 

「ともえちゃん…。今回の依頼にはキミの力がどうしても必要なんだ……!」

「ほうほう…。キュルルちゃん…。その話詳しく…!!」

 

 なんて言って二人して内緒話してたもの。

 

「「ふっふっふ……!」」

 

 二人して何か企んでるようなあの笑顔を思い出したらすっごいイヤな予感がしてきたわ。

 これはアレね。

 放っておくと絶対ロクな事にならないヤツだわ。

 まったく、最近はサーバルをかばんに押し付けて手間がかからなくなったと思った途端にコレなんだから!

 べ、別に嬉しくなんてないわよ!

 一人でおうちに置いて行かれて寂しいとも思ってないんだから!

 今は出掛けていてキュルルはおうちにいない。

 多分、ともえと一緒に何か企んでるはずだわ。

 それならイエイヌのところに行ってみましょう。

 ともえはアムールトラのアムとロードランナーのゴマと一緒に暮らしてるから、多分そこにお邪魔してるはずね。

 そうと決まれば早速行ってみましょう!

 

 

けものフレンズ2after☆かばんRestart アフターストーリー③『ともえとキュルルの企み』

 

 

「なるほど。ともえちゃんとキュルルさんが何やらずーっと熱心に絵を描いているのはそのせいなんですねぇ。」

「ええ、そうなのよ。イエイヌ。あんた何か聞いてない?」

 

 イエイヌの淹れてくれたお茶を傾けながら私は訊ねてみた。

 

「いえ。さっきお茶を持ってった時にもお二人とも熱心に何やら絵を描いてて周りが見えてないくらいの感じでしたよ。」

 

 あー…。あの二人がそんな調子になってるなんて…。

 ますますイヤな予感しかしないわ。

 

「そうなんだー。なんか二人とも大変そうだねえ。」

 

 この場にはもう一人フレンズがいた。

 一緒にテーブルについてのほほんとお茶を傾けているのはヒツジだった。

 モコモコの毛並みで何だかのんびりしたような印象のある子ね。

 ちなみに、今回依頼を持って来た子でもあるわ。

 

「ヒツジ…。あんたキュルルにどんな依頼をしたのよ。」

 

 それが分かればキュルルが何を企んでいるのかも明らかになるかも。

 そう思った私はヒツジに依頼内容を訊ねてみた。

 ヒツジはのんびりともう一口お茶を啜ってから答える。

 

「あのね?私ねえ、髪のセットをするとね。毛が抜け落ちて生え変わるんだけどね?その毛が沢山貯まっちゃって…。」

「ふんふん…。それでその貯まっちゃった毛を掃除して欲しいとかそういう事?」

 

 その言葉の先を読んでみたけれど、どうやらそうではないみたいね。

 ヒツジはゆっくりと横に首を振ってから今度は何か糸で出来たボールのような物を取り出したの。

 これって何かしら?

 疑問に思ってその糸で出来たボールのようなものを受け取ると手の中で回して観察してみたり、テーブルの上で転がしたり、転がしたり、お?これ結構面白いわね…。ていっ!

 ハッ!?

 つい夢中になっちゃったわ。いけないいけない。

 

「で、これ何なのよ。」

「えっとね。それ私の抜けた毛がいつの間にかこうなってたの。博士はサンドスターがどうのこうのって言ってたけどよくわかんない。で、出来たはいいけど使い方がわかんなくて貯まる一方だから何かに使えないか調べて欲しいってお願いしたんだぁ。」

 

 なるほど…。

 これ、転がして遊ぶのは意外と面白いし一個貰ってもいいわね。

 あ、イエイヌもなんかうずうずしてる。

 しょうがないわね。えい。

 

「わはぁ!」

 

 私がこの糸玉を転がしてやったらイエイヌが追いかけて行っちゃった。

 口で咥えて戻って来たわね…。

 

「はい、ありがとうねー。」

「んふふふー♪」

 

 嬉しそうな顔しちゃってまあ。

 とりあえず撫でてあげようかしらね。ほーれわしゃわしゃー。

 

「こうやって遊ぶのに使うだけじゃダメなの?」

「いやあ。もう欲しいフレンズにはあげちゃって、それでも大量に余ってるんだよねぇ。」

 

 なるほど。確かに一個あればそんなにはいらないわね。

 何かに使えそうにも思えるから、そのまま捨てちゃうっていうのももったいない気がするし…。

 

「っていうか…今さらなんだけど、この糸玉って何なの?」

 

 その疑問には私にわしゃられていたイエイヌが答えてくれた。

 

「かばんお姉ちゃんが言うにはヨウモウっていうフクの材料になるものらしいです。」

 

 ヨウモウ?フク?一体何だろう…。

 なんかますますイヤな予感がするわ。

 キュルルとともえがこうしてお茶の時間にすら出てこないで何かしてるだなんて…。

 心配だわ。

 

「まあまあ、カラカルさん。そんなに心配する事ないんじゃないですか?」

 

 私の膝に顎を乗せているイエイヌがそう言って見上げてくるけれど、ちょっと考えが甘いわ。

 

「あのね…。キュルルが暴走した時の被害は主に私が被るし、ともえが暴走した時の被害は主にアンタが被るんだから。」

 

 それがいつものパターンだ。

 

「まあ、そうかもしれませんが、わたしはともえちゃんのお世話するのも楽しいですよ。」

 

 イエイヌには私の焦りは理解してもらえないみたいだ。

 まあ、ともえとイエイヌはこの方がいいような気がしないでもない。

 ともかく、イエイヌを頼れないとなれば次の手を考えないといけないわね。

 

「そうね…。それならかばんに相談してみようかしら。」

 

 かばんなら色んな事を知ってるだろうし、なんだかんだで色々頼りになるし…。

 うん、そうしてみよう。

 

「じゃあイエイヌ、お茶ご馳走様。」

「いえいえ、お粗末様でした。カラカルさん、また来て下さいね。」

 

 私はイエイヌに見送られてかばんの所に向かうのだった。

 

 

の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の

 

 

「そっかあ…。じゃあキュルルちゃんとともえちゃんが今日は朝からずっとお部屋に籠って何かしてるのってその依頼のせいなんだね。」

 

 かばんはこっちに目線を向ける事なく応えた。

 それも仕方ない。

 だって、かばんは作業中だもの。

 今はジャングルちほーにいたラッキーさんに何かしていた。

 コウグ?だとかいう何かの道具がたくさん周りに散らばっている。

 かばんの所にはこうして調子の悪いラッキーさんが訪ねて来る事があるのよね。で、かばんはそれを治してるみたい。

 しばらくしたら作業も終わったみたいだわ。

 

「うん、これでよし。バッテリーを新しいのに交換したから充電切れにはなりづらいと思う。でも何か調子が悪くなるようならすぐに来てね。」

「オウ。アリガトウ。ジャア仕事ニ戻ルゼ。」

 

 灰色のラッキーさんは飛び跳ねて出て行った。

 そういえば、あのラッキーさんはすぐに寝ちゃってたものね。

 病気が治ったなら何よりだわ。

 せっかくだからかばんと一緒に見えなくなるまで手を振って見送ってあげた。

 お仕事頑張ってね。

 

「お待たせ、カラカルさん。」

「ううん。こっちこそ仕事中にごめんね。」

 

 一仕事を終えてかばんはこっちに向き直ってくれた。

 とりあえず、わたしは事情をかいつまんで説明してみる。

 

「そういえば、昼くらいからラッキーさんがキュルルちゃんとともえちゃんの所に沢山入って行ってたなあ。何か関係あるのかも。」

 

 うーん、と考え込むかばんは少ししてから結論を出したみたい。

 

「私にも二人が何をしているのかちょっとわからないよ。でもカラカルさんが心配ならちょっと様子を見てこようか。」

「悪いわね。お願い出来る?」

「うん、お安いご用だよ。」

 

 かばんは一度笑みを見せてからキュルル達の籠っている部屋に向かう。

 やっぱりこういう時はかばんに頼るのが一番ね。

 これで一件落着って事でいいんじゃないかしら。

 少しばかり待っていると、かばんはすぐに戻って来たわ。

 

「で、どうだった?」

 

 訊ねる私の肩にポムと手を置くかばん。

 空いてる手で親指を立ててものすっごいイイ笑顔でこう言い放ったわ。

 

「うん!大丈夫!なにも心配ないよ!」

 

 うん。これはアレだわ。

 残念な方のかばんだわ。自分がジト目になっているのが自覚できる。

 そんな私にかばんはなおも言い募る。

 

「っていうかぶっちゃけボクも見たい!」

「物凄いいい笑顔で何言ってんのよ!?しかもボクっこモードになる程の事!?」

 

 もう私にはかばんが何を言ってるのかわかんないわ。

 けど、一つだけ理解した。

 かばんまでもが暴走状態になったらしい。

 以前博士が言っていた『ミイラ取りがミイラになる』ってこういう事を言うのね…。

 やたらとキラキラした目をしているかばんを見てるともう文句を言う気力もなくなってくるわ。

 かばんは「そうだ、早速準備しなきゃ!」と何かの機械を用意しはじめた。

 これはもう何を言ってもダメそうだわ。

 

「ちなみに、かばんが暴走した時の被害は主にアンタが被るのよ…。サーバル。」

 

 

の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の

 

 

 頼みのかばんも役には立たない。

 そう判断した私はもう直接乗り込む事にした。

 キュルルとともえが籠っている部屋のドアの前に立つとそれを一息に開け放った!

 

「キュルル!ともえ!アンタ達一体何やってるのよ!」

 

 ドアを開け放った私の目の前にはなんかよくわからない光景が広がっていたわ。

 いや、これ本当に何がどうなってるのよ…。

 ラッキーさんが何人か集まってヒツジの毛糸玉を平べったい何かにしていた。

 

「おっけー!キュルルちゃん!ラッキーちゃん達が羊毛を布に変えてくれたよー!」

「ありがとう、ともえちゃん!こっちもデザイン画上がったよ!」

 

 で、そんな部屋の中でともえとキュルルが忙しそうにしていた。

 いや、ほんとアンタ達一体何してんのよ…。想像以上にわけわかんない事になってるじゃない…。

 そうして戸惑う私の後ろから声が掛けられた。

 

「あ、カラカルさんも来たんだね。」

 

 それはかばんだった。

 手に何かの機械らしき物を持っている。さっき準備してたのはコレだったのね。

 

「ともえちゃん、キュルルちゃん。ミシン持ってきたよー。」

「ナイス!かばんお姉ちゃん!」

 

 私が戸惑っているうちに持ってきた機械を設置するかばんとともえ。

 

「で、せっかくカラカルが来てくれたんだから、まずはカラカルの分から採寸しちゃおうか。」

 

 いつの間にか私の背後にキュルルが立っていた。

 こ、この私の後ろを取るだなんて!?

 

「はい、カラカル。ちょっとじっとしててね。」

 

 キュルルは私の身体に何か紐のようなものを巻き付けてはすぐに解いて、また別な場所に巻き付けてを繰り返した。

 それは何なのよ!?何か意味があるの!?

 

「よし、採寸出来たよ!かばんさん!」

「OK!そうしたらラッキーさん、採寸データとデザイン画を型紙に起こして!」

「アワワワワ…。」

 

 何をしてるのかわかんないけど、やたらチームワークがいいのだけはわかるわよ!?

 キュルルとともえとかばんの三人が猛烈な勢いで作業を進めて行くのを私はただ見守るしか出来なかった。

 

 

の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の

 

 

 それからしばらくして…。

 私とサーバルとイエイヌの三人は毛皮を着替えさせられていた。

 スカートにやたらフリフリしたのが付いてるし、頭の上にもカチューシャだか言うやたらモコモコしたのがついてるし…。

 ウェイトレス風…?って言ってたけど、それがこの毛皮の名前なのかしら。

 

「ふぉおおおおおっ!?やっぱり三人ともいいよ!めっちゃ絵になるよぉー!」

 

 そんな私達にともえがやたらと興奮していた。スケッチブックに物凄い勢いで絵を描きこんでいた。

 

「うんうん。可愛いね!作った甲斐があるよ!」

 

 で、キュルルまでともえと一緒になって自分のスケッチブックに絵を描いてるし…。

 いや…。なんでかわかんないけどすっごい恥ずかしいんだけど…。

 

「ねえねえ、かばんちゃん、似合うー?」

「うん、サーバルちゃん。いつもより可愛いよ。」

 

 サーバルはかばんに着せられた毛皮を見せびらかしてて、かばんはそれを嬉しそうに眺めていた。

 もうあの二人はずーっとそうしてたらいいんだわ。

 

「ねえねえ、イエイヌちゃん!ちょっとポーズとってみよう!そうそう、ティーセットをこんな感じで持って…!ふぉおおお!?いいよ!凄くいい!めっちゃ絵になるよぉー!!」

「あはは…。はい。ありがとうございます。ともえちゃん。」

 

 ともえの方も全力でイエイヌのスケッチに取り掛かっているみたいね。

 イエイヌの方も恥ずかしそうだけど楽しんでいるみたいだから放っておきましょ。

 まあ、どうせ私には似合っていないわ。

 コッチをじーっと見ているキュルルだってそう思っているに違いない。

 

「別に笑ったって構わないわよ。ふん!」

 

 そう言ってそっぽを向いてやったんだけど意外な事が言われてしまった。

 

「いや…。その…。カラカルも可愛いよ。似合ってる。」

 

 !?!?!?

 な、な、なに言ってんのよぉー!?

 もう恥ずかしくて絶対顔が真っ赤になってるわ!

 私だけこんな恥ずかしい目に遭うなんて不公平だわ……!

 よし…こうなったら……!

 

「キュルル!アンタは私の毛皮に着替えなさい!」

「ええー!?な、なんでー!?」

「問答無用よ!」

「おおー。毛皮交換っこ?私もやるー!」

 

 よしよし、サーバルも乗って来たわね。

 さらに巻き込んでやるわよ!

 

「ところで、ともえ。かばんがこの格好になったら可愛いと思わない?」

 

 と、自身の毛皮を軽く引っ張って示してやる。

 効果はてきめんね。ともえのヤツ、「その発想はなかった!」って顔になってるわ。

 よし、もう一押しね。

 

「何なら、耳と尻尾も何とかして再現してくれて構わないのよ?」

「カラカルちゃん……。天才か……!?」

 

 どうやら火が付いたらしいともえは早速毛皮作りを再開していた。

 よしよし、かばん。キュルル。覚悟しなさい。

 アンタ達も同じ目に遭わせてやるんだから!

 

「いやいや、待とうね?カラカルさん…。」

「そ、そうだよ…。ボクには絶対似合わないから…。」

 

 じりじりと後退るかばんとキュルルだが逃がすつもりはない。

 

「うるさーい!似合おうが似合うまいが関係ないわ!私が見たいんだから絶対着せるんだから!サーバル、イエイヌ!アンタ達も手伝いなさい!」

 

 そうしてしばらくの間、かばんとキュルルとついでにともえも着せ替えしてやったわ。

 ふう。

 満足満足。

 ちなみに、これ、昔の人間達はコスプレパーティーって呼んでたらしいけど、何かに使えないかしらね。

 そうしたら、またキュルルの別な毛皮姿が見られるものね。

 今度博士と助手に相談してみようかしらね……。

 

 

けものフレンズ2after☆かばんRestart アフターストーリー③『ともえとキュルルの企み』

―おしまい―




【後書き】

けもフレR秋の投稿祭にあわせた第二弾です。
企画詳細はこちら
https://seiga.nicovideo.jp/seiga/im10596761

アフターストーリーの一本をカラカル一人称という視点で描いてみました。
お楽しみいただければ幸いです。
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