けものフレンズ2after☆かばんRestart   作:土玉満

19 / 29
けものフレンズR1周年記念という事で「けものフレンズR投稿祭」に参加させていただきます。
企画詳細はこちらより
https://seiga.nicovideo.jp/seiga/im10192791

24日、25日の間に集中的に投稿となってしまいますがよろしくお願い致します。


①『食べないよ?』

【ともえ】「と、とりあえず落ち着こう。」

【イエイヌ】「はい。」

【ともえ】「イエイヌちゃん。この子どうしたの?」

 

 イエイヌちゃんの手の中では相変わらずピヨピヨと鳥のヒナが鳴き声をあげていました。

 ともえちゃんの質問にイエイヌちゃんはつい先ほどの事を話します。

 見回り中にセルリアンを見つけてやっつけた事。その後地面を見たらこの鳥のヒナが地面に落ちていた事。

 この子の巣らしきものを見つけたものの、この子を戻そうとしたら親鳥に威嚇されて果たせなかった事。

 どうしようか、と途方に暮れていたら、どんどんこの子の元気がなくなっていったので慌てておうちに連れて帰ってきた事。それらを一辺に話します。

 

【ともえ】「ええと、この子は何のヒナかわかる?」

【イエイヌ】「はい。親鳥はカラスでしたからこの子もカラスなんじゃないかと。」

 

 イエイヌちゃんが出会った親鳥はカラスでした。

 おそらくセルリアンのせいで巣にしていた樹が揺らされて、それでヒナが落ちてしまったのでしょう。

 巣にはまだ数羽のヒナがおり、親鳥は巣に近づくイエイヌちゃんを他のヒナを守る為にも威嚇せざるを得なかったのです。

 そうこうしている間にも、ヒナの鳴き声はどんどん元気がなくなっていくようでした。

 

【ともえ】「多分だけど、この子、おなかが空いてるんじゃないかな。」

 

 ともえちゃんは椅子に掛けてあった自分の肩掛け鞄からフレンズ図鑑を取り出してそれをめくっていきます。

 これはフレンズ図鑑ではありますが、元の動物の事も詳しく書いてあるのでカラスがどんなものを食べるのか手がかりがあるかもしれません。

 

【ともえ】「あった。ええと、カラスは何でも食べる雑食性だから、とりあえずジャパリまんをあげてみよう。」

 

 ともえちゃんはテーブルの器に入れて置いたジャパリまんを一つ手にとるとなるべく小さく小さくちぎってお箸で挟んでヒナの口元に近づけます。

 すると、パクリ、とヒナがそのジャパリまんの欠片に食いついて飲み干しました。

 その姿を見たともえちゃんとイエイヌちゃんはパッと表情を輝かせます。

 

【ともえ】「食べた!食べたよ、イエイヌちゃん!」

【イエイヌ】「ええ!食べましたね、ともえちゃん!」

 

 もっともっと、とせがむかのようにピヨピヨと鳴き声をあげるヒナに二人でかわりばんこにジャパリまんを食べさせてあげます。

 やっぱりヒナはお腹を空かせていたのか、ジャパリまんを食べると少しばかり元気を取り戻したように見えます。

 とりあえず、このままヒナが弱ってしまわなくてよかった、と二人ともホッと一安心です。

 しかし、そんな一安心も束の間。新たな脅威がヒナに迫っていました。

 

【アム】「くぁー……。」

 

 欠伸をしながら現れたのはアムールトラのフレンズです。身体はともえやイエイヌよりも大きいですが、一番甘えん坊さんだったりします。

 スクールベストに虎縞模様のミニスカートに同じ柄のニーソックス、それにガーターベルト。

 彼女は通称アムちゃんと呼ばれてともえやイエイヌと一緒に暮らしていました。

 それが何故ヒナの脅威になるのかというと…ヒナを見つけたアムちゃんがシュバ!と姿勢を低くしてお尻をふりふりとし始めたからです。

 それは猫科の動物が獲物に襲い掛かる際の予備動作でした。

 なのでともえちゃんとイエイヌちゃんは同時に叫びました。

 

【ともえ・イエイヌ】「「た、食べちゃだめぇえええええ!?」」

 

 アムちゃんはともえちゃんとイエイヌちゃんの叫びを無視して飛び掛かります。

 もうダメだ!と二人が固く目を瞑ったけれど、いつまでたっても何も起こりません。

 

【??】「うぉおおおい!?アムぅ!?いきなり飛びつくなペロペロすんなああああああっ!」

 

 玄関の方から元気な声が聞こえてきました。

 ともえちゃんとイエイヌちゃんが恐る恐る目を開けると、そこには朝のランニングから帰って来たG・ロードランナーのフレンズであるゴマちゃんがアムちゃんに飛び掛かられてペロペロされている姿が飛び込んできました。

 

【ゴマ】「ったく…。って、どうした?ともえ、イエイヌ。」

 

 アムちゃんをようやく引き剥がしたゴマちゃんはともえちゃんとイエイヌちゃんの様子が変なのに気づきます。二人は寄り添って抱き着くようにしているように見えて、微妙に間が空いています。

 ゴマちゃんとしては抱き着くなら抱き着け、と違和感があってその間を見てみました。すると、イエイヌちゃんの手の中にピヨピヨと鳴き声をあげる鳥のヒナがいるではありませんか。

 

【ゴマ】「って…。それ、どうした?」

 

 ともえちゃんとイエイヌちゃんは先ほど話したばかりの事をもう一度二人がかりでゴマちゃんに説明します。

 

【ゴマ】「大変じゃねーか!?」

【イエイヌ】「そうなんです、大変なんです!」

【ともえ】「大変だよね!?」

 

 一人アムちゃんだけが呑気に「くぁー。」と欠伸をしています。

 

【ゴマ】「いや、大変ばっかり言っててもしょうがないじゃねーか!?」

【イエイヌ】「そうですね、それこそ大変ですよね。」

【ともえ】「だよね!大変だよね!」

【ゴマ】「だから大変だけ言っててもしょうがねーんだったら!」

 

 相変わらず話が前に進まない三人のところにアムちゃんがとてとてと近づいていきます。

 そしてじー、とイエイヌちゃんの手の中を見ています。

 まだ三人でワイワイやってるうちにイエイヌちゃんの手の中のヒナをそっと摘み上げてしまいました。

 あまりに自然な動きで誰もがそれに一瞬気づけませんでした。

 

【ともえ・イエイヌ・ゴマ】「「「だから食べちゃダメー!?」」」

 

 気づいた三人は慌てはじめますが、当のアムちゃんはというと…。

 

【アム】「くぁー…。」

 

 再びアクビを一つ。お気に入りのソファーの上でヒナを抱えたまま丸くなります。

 その姿がまるで子猫を温める母猫のようで三人とも一瞬目を丸くしてしまいました。

 そんな反応をする三人にアムちゃんは

 

【アム】「たべないよ?」

 

 と不思議そうに言うのでした。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。