けものフレンズ2after☆かばんRestart   作:土玉満

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②『聞いてみよう、やってみよう、頑張ろう!』

 

 アムちゃんが鳥のヒナを温めるかのようにソファーで眠っています。

 とりあえず心配はなさそうなので、ともえちゃんとイエイヌちゃんとゴマちゃんの三人はこれから先の事を考える事にしました。

 

【ゴマ】「なあ、あのヒナを巣に帰してやる事はできねーのか?」

【イエイヌ】「はい…。わたしもそれがいいと思ったんですが…。」

【ともえ】「巣にはまだ他のヒナもいて、近づこうとすると親鳥に威嚇されちゃうんだって…。」

 

 強行突破できない事もないけれど、そんな事をして親鳥や他のヒナに怪我があったらもっと大変です。

 

【ともえ】「じゃあ…。大きくなるまでアタシ達で育てるっていうのは?」

 

 ともえちゃんの言葉にイエイヌちゃんとゴマちゃんも考え込みます。

 

【イエイヌ】「それはいいと思うんですが…わたし達で出来るでしょうか…?」

【ゴマ】「だな。あたし達って鳥のヒナなんて育てた事ないもんな…。」

 

 二人の不安ももっともな事に思えました。

 なんせ今はアムちゃんに抱えられて一緒に眠るヒナは吹けば飛ぶ程に弱々しく見えるのです。

 ちょっとの間お世話をする事は出来るかもしれませんが、大きくなるまでずっと、というのは非常に難しいように感じられます。

 

【ともえ】「確かに難しいかもしれないけどさ!アタシ達がやらなかったらこの子どうなるの?」

 

 それに先程まで塞ぎ込んでいたイエイヌちゃんとゴマちゃんも顔をあげます。

 

【イエイヌ】「そうですね…。出来るか出来ないかじゃないですもんね。」

【ゴマ】「だな。あたし達が普通の動物を育てちゃいけないなんてルールはなかったもんな。」

 

 ともえちゃんの言葉にイエイヌちゃんもゴマちゃんも覚悟を決めたようです。

 三人に、目の前の小さな命を見捨てるという選択はありません。

 

【アム】「くぁー……。むにゃ。」

 

 とアムちゃんがソファーでもう一度大きな欠伸をしながらヒナを大切そうに抱え直します。

 どうやら三人とも、ではなく四人ともと言うのが正解なようですね。

 

【ともえ】「それにさ。アタシ達にはいるじゃない。こういう時にとっても頼りになる人が。」

 

 ともえの言葉にイエイヌもゴマも「ああ!」と思い至ったようです。

 

【ともえ】「じゃあ、イエイヌちゃんはお茶の準備!いっちばんイイ葉っぱをお願い!」

【イエイヌ】「わかりました!最高のお湯に葉っぱいれたヤツを用意しますね!」

【ともえ】「で、アムちゃんは……、うん。そのままヒナを温めててあげて。」

 

 ともえの言葉に一度片目だけをパチリと開けたアムはその言葉に従うようにもう一度ヒナを抱え直してまた両目を閉じました。

 

【ともえ】「そして、ゴマちゃん。」

 

 ともえはゴマの両肩を力強く叩きます。

 

【ともえ】「ゴマちゃんはかばんお姉ちゃんを呼んできて。」

【ゴマ】「あ、あたしかよ!?」

 

 ともえが言うのは、この居住区に移り住んでいるヒトのフレンズの事です。

 ついこの前までイエイヌちゃんとともえちゃんとアムちゃんと一緒に住んでいましたが、別な空き家に引っ越していました。

 なので殆どお隣さんみたいなものですが、ゴマちゃんが難色を示すのには理由があります。

 

【ともえ】「この時間には間違いなく寝てると思うんだけど…。まあ、頑張って。」

【ゴマ】「だから、あたしが一番大変な役割じゃねーか!?ズルいぞ!?」

 

 かばんさんは残念ながらとてもとても朝に弱いのです。

 

【ともえ】「かばんお姉ちゃんは夜行性だからね…。」

 

 いいえ。ヒトは昼行性です。

 

の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の  の

 

 

 ゴマちゃんはどうにかこうにか頑張って、まだ寝ているかばんさんを起して連れてきました。

 パートナーのサーバルキャットのフレンズであるサーバルちゃんが夜行性の為、最近ますます夜型の生活に磨きがかかってしまいました。

 それでも、かばんさんはともえちゃん達のところへ眠い目をこすりながらやってきました。

 黒いジャケットにくたびれた二本の羽根がついた帽子を被った大人の女性。それがかばんさんです。

 

【かばん】「なるほど。これはカラスのヒナみたいだね。」

 

 アムちゃんに抱えられたままのヒナを一目見るなり、かばんさんはそれを言い当てて見せました。

 

【ともえ】「で、本当はこの子を巣に戻してあげたいんだけど、親鳥に威嚇されちゃってそれが出来ないの。」

 

 なるほど、とかばんさんは頷きます。

 

【かばん】「それでこの子を大きくなるまでお世話する事にしたんだね。」

 

 その言葉にともえちゃんもイエイヌちゃんもゴマちゃんも頷きます。アムちゃんだけが一度パチリ、と目を開けただけでしばらくかばんさんを見た後に再び目を閉じただけでした。

 

【ともえ】「で、かばんお姉ちゃん。どうしたらこの子を育てられるかな?」

 

 かばんさんはしばらく考え込みます。ヒナを育てるのは大変だよ、とかそういう事を言おうかとも思ったけれど、その段階はもうみんなで話し合って決めてしまったのだろうと察しました。

 なので、アムちゃんに抱えられたままのヒナをしばらく観察します。

 

【かばん】「うん。まずね、この子には怪我はないみたいだからその点は安心だね。」

 

 小さな怪我でも小さなヒナにとっては致命傷になっちゃうかもしれません。だからまずはその治療が必要かどうかを見たかばんさんでしたが、その必要はないようでした。

 

【かばん】「あとは保温だね。アムちゃんがしてるようにヒナの体温が下がらないように温めてあげて。」

 

 かばんさんはエライエライ、とアムちゃんの頭を撫でてあげます。アムちゃんも嬉しそうに目を細めています。

 

【かばん】「で、あとはエサだね。」

【ともえ】「ジャパリまんじゃダメなの?」

 

 ともえちゃんの質問にかばんさんは笑顔で「ダメじゃないよ」と返します。

 

【かばん】「ただ、ヒナにも食べられるように小さくして食べさせてあげてね。」

 

 先程の食事の方法で正解だったらしい、とともえちゃんとイエイヌちゃんは顔を見合わせて喜んでみせました。

 

【かばん】「あとはお水かな。お水はもうあげた?」

 

 それにはともえちゃんもイエイヌちゃんもゴマちゃんも揃って首を横に振ります。

 

【かばん】「そっか。それはよかったよ。実はヒナにお水をあげすぎるとすぐにお腹を壊しちゃうからね。」

 

 かばんさんは言いつつ、背負っていた鞄を下ろすと中から細長いガラス製の棒に先端に丸いゴム製の何かがついた器具を取り出します。

 

【かばん】「これはスポイトって言ってね。お水を吸い出したりする道具なんだ。」

 

 かばんさんは取り出したガラス棒をお湯で煮沸消毒してからもう一度先端のゴム製の器具をつけなおします。

 

【かばん】「大体だけど、食事させる度にこのスポイトで一滴くらいでいいからお水を飲ませてあげて。」

【イエイヌ】「そんな少なくていいんですか!?」

【かばん】「うん。あげすぎるとお腹を壊してそれもよくないからね。」

 

 それからともえちゃんとイエイヌちゃんとゴマちゃんはヒナを育てるにあたって色々な事をかばんさんから教えてもらいました。

 食事は一度にたくさんは食べないけれど、回数は多くなってしまう事。

 ヒナが食事に満足したら口を開けなくなる事。

 特に保温は大事でタオルなどでくるんでちょうど人肌くらいの温度で温めてあげるのがいいだろう事などです。

 

【ゴマ】「な、なんかあたし達でも出来そうな気がしてきたな…!」

【イエイヌ】「ええ!頑張ってこの子が大きくなるまでお世話しましょう!」

【ともえ】「だね!かばんお姉ちゃんもありがとう!」

【かばん】「どういたしまして。」

 

 大変そうだけれど、どうにか自分たちでもやっていけそうにも思えたともえちゃん達はキャイキャイと喜び合いました。

 その声に反応したのか、アムちゃんに抱えられたままのヒナがピヨピヨ、と目を覚ましたようです。

 

【アム】「みんな。しー。」

 

 アムちゃんは人差し指を口元にあてて静かにね、と言います。それに口元を両手で抑えて何度もコクコク頷くともえちゃんにイエイヌちゃんにゴマちゃん。

 そんな4人の様子にかばんさんも自然と笑顔になるのでした。

 

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