けものフレンズ2after☆かばんRestart   作:土玉満

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②『ジャパリパン』

 ここはジャパリ図書館。

 今日もアフリカオオコノハズクの博士とワシミミズクの助手、そしてかばんの3人は一緒だった。

 

「ふむ。今日は新しい料理を試してみる、と?」

「それはいいのです。かばん、一体何を作るのですか?」

 

 何やら準備を始めたかばんの周りに博士と助手がまとわりつく。

 そんな二人にかばんは振り返る。

 

「はい、海の外で見つけた料理の仕方なんですが帰ったら皆にも食べて欲しいなって思ってたんです。」

「なっ!? つ、つまり新しい味!新しい<りょーり>という事なのですね!?」

 

 これには博士も大興奮だ。

 

「ならば材料は任せるのです。ひとっ飛びしてチョイしてくるのです! 何が必要なのですか!」

 

 ふんすふんす、と鼻息荒くかばんに詰め寄る博士。

 

「チョイチョイ、なのです。」

 

 どうやら助手も止める気は毛頭ないどころか一緒になって材料集めをしそうな勢いだ。

 けれどもその必要はない。

 

「ふふ、材料はラッキーさんにお願いしてもう配達してもらっているから大丈夫ですよ。」

 

 かばんが腕につけたレンズのようなものが緑色の光を放って「マカセテ」と言っていた。

 

「という事は……!」

「新しい<りょーり>が食べられるのですね!」

 

 博士も助手ももうわくわくが抑えきれない。

 キラキラした目でかばんを見上げた。

 

「はい! じゃあ皆で作ってみましょう!」

 

 それに笑顔で返すかばんだった。その表情は以前よりも元気な気がするのだった。

 

 

けものフレンズ2after☆かばんRestart 前日譚②『ジャパリパン』

 

 

 さて、調理場に移動した3人。

 かばんは何やら真っ白な粉をボウルの中に開けていた。

 

「まずはこの小麦という植物の実を曳いて粉にしたものに、イースト菌というものを混ぜて……そして水を加えながら練ります。」

 

 博士と助手がキラキラした目でかばんの手元を見守る。

 最初はサラサラしていた白い粉はベチョベチョになったと思ったらだんだんとお団子のようになってきた。

 

「かばん、これはもう食べられるのですか?」

「いえいえ、まだまだですよ。この後少し待ちます。」

「なっ!?何故待つのですか!?さっさと作るのですよ待ちきれないのですよ!」

 

 もうワクワクが止められない博士はジュルリ、と舌なめずりしながら水で溶いたお団子状の生地を見つめる。

 

「待たないと美味しくならないからですよ。博士さん、落ち着いて下さい。」

 

 どうどう、とかばんは博士を落ち着かせる。

 まだぷんすかしながらも博士は納得してくれたようだ。

 

「ふむ。こねるのは中々楽しそうなのです。我々にもやらせるのですよ。」

 

 作業を見守っていた助手が提案する。

 確かに一人で作業するより皆で作った方が楽しそうだ。

 

「はい! 手伝ってもらえたら助かります。じゃあ博士さんはこっちのを。助手さんはこっちのをお願いします。」

 

 かばんは手早く二人の分も材料をボウルに開ける。

 そうして三人でしばらく小麦粉をこねこね。

 途中でお砂糖、お塩、バターを少々混ぜながら根気よくさらにこねこねこねこね。

 すると生地にも変化が出てきた。

 

「おお…。なんだかベタベタしてたのがツルンとしてきたのです…。」

 

 その変化に博士も感心しきりだ。

 なんとも興味深い変化だ。

 

「美味しそうに見えなくもないのですが、これはまだ食べられないのですね?」

「はい、まだ食べないで下さい。ここから少し置いて寝かさないと美味しくならないんです。」

 

 どのくらい待たねばならないのだろう。待ち遠しい博士はそわそわしっぱなしだ。

 このままお預け状態もよくないか、と助手もとっておきを出す事にした。

 

「ならば、待つ間に休憩するのです。実は、水出し、という方法でお茶を作る方法をかばんから教わったのでお茶の時間にしましょう。」

 

 助手がティーセットを持ってきた。

 既にティーポットの中には程よく色づいたお茶が出来ているようだ。

 火を使わなくても作れるからこれなら誰でも作れる。

 それを見た博士は目を丸くした直後かばんに詰め寄った。

 

「かばんっ! 私にも、私にも教えるのです! 助手にばかりズルいのですよっ!」

 

 わちゃわちゃと博士がかばんに纏わりついている間に助手はすっかりお茶の準備を終えていた。

 

「はい。今度3人で一緒に作りましょうか。」

 

 その答えに満足した博士は「やった。」と小さくガッツポーズの後に自分の席につく。

 既に給仕されたお茶を一口飲んでみて満足の表情を浮かべた。

 

「さすが助手。博士の次に優秀なのです。」

「ありがとうございます、博士。本当は助手の方がほんのちょっぴり優秀なのですがそういう事にしておくのです。」

 

 言って二人してしばらく睨みあう博士と助手。

 かばんがハラハラしていると、二人とも同時にニヤリと不敵な笑みに変わる。

 そして直後にじゃれ合う姿を見ると、かばんもホッと胸を撫でおろした。

 やっぱり二人はとっても仲良しなのだなあ、と微笑ましく思う。

 そんなこんなのティータイム後。

 

「お、おお……。さっきよりも大きくなっているのです。」

「待てば大きくなるだなんて、不思議な食べ物なのです。」

 

 大きく膨らんだパン生地を覗き込む博士と助手。

 

「なるほど! 大きくしたところを食べるわけですね!」

 

 博士は期待と共にかばんを振り返るが、やはり首を横に振られてしまう。

 それに博士は我慢も限界を迎えたのか両手をぶんぶん振り回してみせた。

 

「一体いつになったら食べられるというのですか!? もう待ちきれないのですよっ!」

 

 そうしてジタバタとダダをこねる博士の両肩にぽむ、と手を置くかばん。

 そのままくるり、とパン生地に向き直らせて続ける。

 

「それじゃあ博士さん。その気持ちを生地にぶつけちゃいましょうか。こんな感じで。」

 

 かばんは自分が捏ね上げた生地を高く持ち上げると……。

 

―バァン!

 

 と大きな音を立てて台に叩きつけた。

 意外な大きな音に博士助手もビックリだ。

 

「そ、そんな事をしていいのですか!?」

 

 助手が目を丸くしたままかばんに訊ねる。

 

「はい。生地の中に入った空気を一度抜く為にこうやって叩いていくんですよ。」

 

 なるほど、そうとわかれば博士は同じように生地を叩きつけて楽しんでいた。

 

「この! この! こ、これは意外と楽しいのです……!」

 

 そうやって楽しそうに生地をベチベチと叩いている博士を見て助手も微笑む。

 

「まあ、博士が楽しそうなのでよしとするのです。」

 

 そうして叩いた生地を思い思いの形に整形していって……。

 

「そして最後は焼きます。」

 

 かばんが調理場にあるカマドに火を入れる。

 それを博士と助手はかなーーーり距離を取って見守っていた。

 

「うう……やはり何でかわからないけど火は怖いのです。かばん。焼くのは任せたのです。」

「はい、任せて下さい。」

 

 そうして、待つ事しばらく。

 みんなで作ったジャパリパンが焼き上がった。

 

「これは…焼く前よりもさらに膨らんでいるのです。」

「それに香ばしいいい匂いなのです。かばん、これはもう食べても平気なのですか?」

 

 焼き上がったジャパリパンを興味深く眺める博士と助手にかばんも頷いた。

 

「はい。焼きたても美味しいですから熱いのに気を付けて食べてみてください。」

 

 博士は焼きたてのジャパリパンを手に取って口に運ぶ。

 

「~~~~~~~!?」

 

 博士は言葉にならずに両手をぶんぶんしていた。

 

「博士……。そんなにですか。」

「助手も! 助手も食べてみるのです!」

 

 言われて助手も一口パクリ。

 

「これは!? ザクリとした表面の中はモチモチ食感……。口の中に広がる香ばしさ。新しいのです。」

 

 どうやら助手のお眼鏡にも叶ったようでかばんも満足気に微笑む。

 

「モチモチでアツアツでフワフワなのです。これはいくらでも食べられそうなのです!」

 

 早速二つ目に手を伸ばしている博士だったが助手の方は怪訝な顔になった。

 なにか問題かな、とかばんが視線を向ける。

 

「その……。これはこれで美味しいのですが、普段食べているジャパリまんの方が味がハッキリしているな、と……。」

 

 どうやら助手の方はもう少し濃い目の味付けがお好みらしい。

 

「そうですね。パンそのものは味があんまりしないんです。ですがだからこそ色んな料理と合うんですよ。」

 

 二つ目に手を伸ばしていた博士をちょっと待ってね、と止めるかばん。

 瓶に入れた何かドロっとしたものを取り出す。

 それの中身をスプーンでひと掬い。博士のパンに塗ってあげる。

 

「これは、木苺を使ったジャムなんです。これをつけて食べても美味しいですよ。」

 

 あらためてそれを口に運んだ博士は……。

 

「んん~~~~!?!?」

 

 とその味に両手をばたばたさせて喜んでいた。

 

「博士……。そんなにですか。」

「助手も! 助手も食べてみるのです!」

 

 またも同じやり取りをしている間にかばんは助手の分のパンにも木苺のジャムを塗ってあげた。

 あらためてそれを口に運ぶ助手は驚きに目を丸くした。

 

「こ、これは!? さっきよりも何倍も美味しいのです!?」

 

 その反応にかばんも嬉しくなってしまう。

 やはり美味しいと喜んで貰えるのはとても嬉しい。

 

「パンは色んな料理に合いますから、色んな味を楽しめる面白い料理だと思うんです。」

 

 その解説に博士と助手は戦慄する。

 

「ま、まさか……。<りょーり>を楽しむ為の<りょーり>……。そんなものがあるだなんて……!」

「このパンは始まりに過ぎない……そういう事ですか……!?」

 

 そんな大げさなものではないのだけれど、気に入ってもらえたのなら何よりだ。

 そうして驚いている二人の姿を見てかばんは一つ思いつく事があった。

 

「あ。そうだ。じゃあ今日の夕飯はシチューにしましょうか。これもパンとよく合う料理なんですよ。」

 

 その提案に博士と助手はかばんに飛びつくと二人同時に叫んだ。

 

「「早く! 早く作るのです!!」」

 

 今日のジャパリ図書館からはとても美味しそうな匂いがしていたのでしたとさ。

 

 

けものフレンズ2after☆かばんRestart 前日譚②『ジャパリパン』

―おしまい―

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