開拓のマイクラ地上隊(完結)   作:ハヤモ

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またもガバガバ襲撃の話。 どうなってるの……ツッコミは許してぇ(殴

日々の疲労感を感じつつ。 強く……生きなきゃ(負けそう


地下と罠と爆発

 

恐怖とは。

それは危機に際して備えなき時の感情。

例えば直下掘りという愚行の末の溶岩プールダイビングであり、宝欲しさに落下した先の感圧板を踏み抜いてのTNT大爆発であり、たとえば振り向いた時にいたクリーパーであったり、スポーン地点を黒曜石で覆われる悪戯であり。

直近の例としては空飛ぶブーンの群れによる大規模空襲である。

夾雑物として青空を覆い、全面を埋め尽くす敵の数。 繁殖に失敗した村人や トラップタワーで敵を溜め過ぎた時とレベルが違う。 現在進行形のそれに クラフターは慄き固まるよりなかった。

 

「な、なんだよ あの数」

「ひっ……!」

「迎撃は無理だ! 避難を優先!」

「みんな、ユーハングが造ってくれた地下の退避壕へ!」

 

殺られる。

己の失敗を突き付けられる視界の赤みが、間も無く訪れるだろうことを予測したクラフターは静かに目を閉じた。

死因は知れている。 ブーンに爆破されてしまった、である。

思えば何度もその危機はあった。 この荒涼広がる世界を開拓中の時、エリトラ飛行でドンパチしていた時。 辛うじてリスキルを回避して、多少荒らされても地上を奪われる事なく こられたのはクラフターの技術や行動の結果ではない。

全て この世界の裁量だ。 クラフターには どうすることもできなかった。

認めざるを得まい。 この世界に生かされてきたのだ、と。

 

「格納庫に整備中の機体がッ!」

「もう良い構うな! 命の方が大切だろ!」

「上がるのは自殺行為だ! 足の差もある!」

「おめおめ逃げろって言うの!?」

 

粛々と、死のう。 ああも大群だと既存の対空設備では間に合わない。 新規製造出来る資源と時間もない。

 

「堂々と、で良いのよ。 寧ろ誇りなさい。 アレだけの戦力を持ち込ませるくらいにユーハングと私達は手こずらせているのだから」

「そうだぞ。 それに空賊含めた襲撃なんてユーハングが来てからも珍しくないじゃないか。 今は耐える時だよ。 キミたちパイロットを死なすワケにはいかないんだ」

「ユーハングを見習え。 空も飛ぶが、畑仕事もするし建築もするし採掘や料理もするだろ。 空だけが全てじゃない。 整備士や酒場の人たちの気持ちも汲んでくれ」

「生きていれば儲け物」

「それは……生き返る謎の集団と比べて良いのか分からないんだけど」

 

しまった。 大変な事を忘れていた。 クラフターは刮目して お座りスポットに目を向けた。 空飛ぶブーン達だ。 ダイヤ装備と地表建造物のロストは甘んじて受け入れるとしても、アレらは駄目だ。 絶対にクラフターのモノである。

昨晩眠ったベッドは緑化進行中の崖の上のログハウスだ。 真っ先にココの基地に戻って来なくては。 待機状態に不安があるのだ。 現にこの間の初フライト時、手懐けた筈のブーン達に逃げられている。 やはり飛べると勝手が違うらしい。

 

「ユーハング人は?」

「ボーッとしてる」

「やっぱ、彼らでも迎撃は無理なんだよ」

「ショックだろうな……楽しそうに努力して、見せてくれた立派な建物が壊されるんだから」

「可哀想だけど、命大事」

「悔しい気持ちは分かる。 でも、私たちと地下に逃げよう?」

「チカだけに」

「殴られたいか?」

 

クラフターは首を振った。 残された時間で出来る事といえば、モスボール状態にしてやる事か。

 

「あー、ユーハング人を殴りたいワケじゃないぞ」

「え? 格納庫に向かってるけど」

「まさか出撃する気か!?」

「おいよせっ! 戻って来い!?」

 

思い立ったら吉日。 クラフターは改造中、研究中、修理中のブーンに駆け寄った。

素早く黒曜石で覆い尽くす。 地面も黒曜石にするのを忘れない。 これで先ず壊される事はなくなった。

中身をアイテム化するのは可能だが、研究段階の資料は なるべく弄りたくないのだ。 参考にする建物のように。 マルチで下手に弄るとチャンバラ劇に発展するように、ココでは白い帽子の ちびっ子村人に どつき回される。 余計な面倒は勘弁だ。

 

「なんだ。 出るワケじゃないのか」

「あの黒っぽいのは?」

「とにかく硬いのは知ってる。 たぶん、どんな爆撃にも耐えられる」

「えぇ」

 

荒らし群勢を少しでも減らすべく四方八方にある対空設備を起動。 もれなく周囲は発射時の爆音に包まれる。

例によって回避行動を見せた荒らしだが、流石にあの数だ。 下手なキャノン砲、数撃ちゃ当たるとばかりに発砲を続けた。 いくつかは倒した。

 

「流石に倒し切れないか」

「距離もある。 発砲炎を見て回避される」

 

どうせ使っているキャノン砲は壊される。 敵にヤらせるくらいなら1発くらい……いや、撃ち尽くしておいた方が良い。

逆にだ……とクラフターは不敵に笑った。 寧ろ誘い込むのだ。

地表面の焦土化は免れないが、何も地上のみが全てではないのである。 所詮、空のある地表を攻撃するしかないブーンだ。 地下ならある程度安全だ。

そも、この世界に張り巡らせている地下鉄だって、ブーン等による攻撃から輸送路を守る為に そうしている節がある。 未だ地表より地下に鉄道を引くのが好まれるのは、何も景観のみではないのだ。

して、各基地の要は地下にある。 空中要塞は無理だが、そういうことである。

クラフターは地面と水平設置されたトラップドア(ハッチ)を開けると、その穴に飛び込んだ。 梯子でどんどん地下へ潜る。

 

「あっ。 地下に行ったよ」

「いけない。 後に続かねば」

「うわっ! 戦闘機が先行してくるよっ!」

「さっさと飛び込め!」

 

降りてると、上から村人がペチペチと落下してはハァンハァンと地下に鳴き声を木霊させた。 喧しかった。

だが同時に、地表が焦土化するのを分かっての避難行動に見える。 クラフターは頷いた。 やはり この世界の村人は知性を感じさせる。 そのうち知識の共有くらいは出来るんじゃ無いだろうか。 ブロック設置とか。

 

「いてて」

「死ぬより良い」

「しかしまあ、地下も広いな」

 

降りた先。 竣工前の寂寥感のある空間。 見慣れた資材のチェスト置き場。 沢山のラージチェストが所狭しと並んでおり、整理整頓もされているのは勿論、ベッドや かまど、作業台の基本も完備。

利便性から鉄道も引いている。 別に珍しくない光景だが、今や最前線。 ここから何とかして反撃の手段を考えねば。 鉄道から逃走するのは容易だが、このままではブーンも土地も奪われる。 それはいけない。

取り敢えず村人が煩いので、トロッコに押し込んで発車させる。 さらば村人。 行き先は初期スポーン地点だ。 同志によろしく。

 

「うわあ!?」

「なんでトロッコに触れただけで、しっかり乗らされてるの!?」

「ぎゃー!? どこに連れてかれるんだ!?」

「どこの町に行くんだコレ!?」

 

コレで良い。 騒ぐハァンの声を背中で受けつつ、クラフト開始。

うっかりウィザーを召喚したり、長期潜伏型の荒らしによってスポブロでも置かれたが如しの大量召喚された時のように、対策も出来ない事態は仕方がない。 大切なのは その後なのだ。

クラフターはシェルカーボックスに大急ぎで、資材置き場の荷物を無造作に詰めまくっては次から次へとトロッコを走らせた。

 

 

───陣地一時放棄だ。

 

 

ただの逃走ではない。 ただで土地をくれてやる気もない。 比較的安全な空から一方的に痛めつけて、土地を掠奪出来ると勘違いしている荒らしには、恐怖を知って貰う事にしよう。

それはかつて、クラフターの多くが身を震わした恐怖。 欲に走った愚者の末路。 奴らにそれを味わせる。

肉を切らせて骨を断つ。

地上から伝わる爆音と、落ちてくる砂埃。 それが理性の糸を切らせたかのように、クラフターはココにきて悪魔な嘲笑を地下に響かせた。

愚者を罠に嵌めまくると考えただけで、ゾクゾクしちゃったからね。 仕方ないね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───よし。 制圧部隊を送らせろ!」

「ユーハングの使える技術が残っていたら奪え!」

 

やれやれ、とは透明化のポーションを使用して透明化したクラフターである。

見事に焦土化してしまった土地に潜伏していたら、案の定村人が来た。 かなりの数だ。 敵として確認出来る数なら過去最高だと思う。

例によって強力な飛び道具を所持している。 まともに殴り合ったら、瞬殺されそうだ。 まともならば。

 

「地下への入り口を確認」

「突入しろ」

 

地下への入り口を見つけたか。 村人がワラワラと降りていく。 一応、分担があるのか地上には相当数残っているが、まあ、その方が都合が良いか。

更なる増援は確認出来ない。 クラフターは合図として花火を打ち上げた。 ドドーンと火薬量は気にしない、とても目立つ大花だ。

 

「な、なんだ!? 突然!」

「周囲を警戒!」

「何もありません」

 

周囲をキョロキョロしてくるから、流石にドキドキする。 この隠れんぼの緊張感もまた、堪らない。

して、次に起こるであろう祭りと相手の反応が楽しみだ。

 

「残存物が引火したんだろう。 引き続き周囲の警戒……を……全員逃げろぉ!?」

「えっ?」

 

四方八方からTNTキャノンが発射されてきた。 いつもの長距離TNTキャノンだ。

こんな事もあろうかと、各拠点の座標や既存のキャノンを利用した調整数値は隣近所の拠点にある本と羽ペンにメモしてある。

それを見た職人やクラフターが砲撃要請を確認後、調整して発射したのだ。

もれなく、ズドンズドンと基地のあった土地に着弾。 爆発。 相変わらずの砲撃技術。 流石だと褒めてやりたいところだ。

 

「うわああああ!?」

「砲撃だと!?」

「罠だ! 罠だったんだぁ!」

「何処に逃げれば良いんだぁ!?」

 

別に荒らしの攻撃で建造物は吹き飛んでいる。 今更、砲撃されたところで大した被害は無い。 精々土地が更にデコボコになるだけだ。 後は黒曜石で覆われたブーンが残っているか。

ああ、いや。 荒らしもいたな(笑)。

 

「地下だ! 地下に逃げろぉ!」

 

我先にと、たった ひとマスで繋がる地下への道へ群がる村人。 自分だけは助かろうと必死である。

順番を守った方が早いだろう光景に、容赦なく砲弾は落ちて……爆風で多くは消し飛んだ。 仕方ないね。

それでも何人かは地下へ逃げ込めた様子だが、まあ地下にも対策はある。 鉄道が走ってるんだから、やる事はアレである。

それはまあ、少し時間が掛かるだろうから置いておこう。

 

「くそっ! 飛行隊に連絡しろ! 砲兵陣地を探させて潰すんだ!」

 

知性があって、群れを成す。 厄介な村人であるが、逆に考えるであろう事を先読みしていれば、対策出来る。

例えば荒らしのブーンは、突然空に湧きやしない。 どこかの地上にある大きな道路からやってくる。

して、それは既に知れている。 イジツ全土に開拓範囲を広げるクラフターだ。 既存の都市部や道中で飛び立つブーンの目撃情報から、荒らしが使用する道路は割れた。

既に同志が絶賛砲撃中。 荒らし許さん慈悲はない。 当たり前だよなぁ?

 

「ダメですっ!? 飛行隊の使用する滑走路が砲撃されたとの事で……!」

「ええい! ならば空中で旋回している飛燕だけで!」

「機銃しかないんですよ!? 燃料だって持たない!」

「構わん! 気をそらす事くらい出来る!」

 

それから……居残っている空中を旋回する荒らしのブーンだが。

同じ高度でぐるぐるしているので、砲撃して堕として貰った。 同じ場所に留まり、変則起動をされなきゃブーンは怖くないのである。

もっとも砲撃手の腕が良くないと、こんな曲芸は無理だが。 味方が有能だと大変助かるものだ。 くっくっくっ。

 

「ああ!? 撃墜されました!」

「くそっ! 何か脱出する手は……!」

「奥に続く道があります。 どこに繋がってるか分かりませんが」

「行くしかあるまい。 他に道はない」

 

さて。 そろそろ到着する頃だろう。

まあ、その前にアレの音が聞こえるか。

 

「うわっ!」

「どうした!?」

「い、いえ……糸に躓いて」

「しまっ……!」

 

ドカーン。

地下から響く爆音にしめしめと暗黒微笑するクラフター。 ワイヤートラップだ。 連動先は床下に隠したTNT。

引っかかるとは思わなかったが……冷静さを掛けて脱出ばかりに気を取られたか。

仕掛けた罠に嵌る音……なんと快感か。 この嵌めた時のゾクゾクは良い人生のスパイスだね。

 

「ぐはっ……!」

「しっかりしろ……何か使える物は……おいっ! あの箱の中を探ってくれ! 何か使えるモノがあるかも知れん!」

「はいっ!」

 

そういえば、罠は他にもあったなぁ。

トラップチェスト。 連動先は同じく床下のTNT。 欲深いヤツらだろうから、引っかかるだろうな。 アレ。

 

「あっ! 中に薬が」

 

ドーン。

またも地下から爆音が。 あーあ。 開けちまったか……くっくっ。

一応、中に侮辱を込めて、或いは誤飲の可能性から毒薬をひと瓶入れてみた。 アレでまたも自爆するなら面白いのだが。

 

「ぐっ……もう、俺とお前だけか……!」

「お、俺は助からん……お前が薬を飲め」

「ダメだ。 お前が飲め」

「ゴプッ……!? ゲホッ!? グポッ……カハッ…………」

「お、おい!? どうした!? しっかりしろ!? おい!? ああ……そんな……」

 

普通に冷静だったら、毒か薬かも分からないモノを口にしないかも知れない。

しても、瀕死の時にしないだろう。 或いは牛乳バケツで中和の用意はする。 これは狙い過ぎたと思う。

何にせよ、トドメは例のアレ。

 

「……あっ、奥から何か……大量の爆弾か。 ハハハッ……アハハハハハハッ!!」

 

チュドーンッ!

今度は地面が盛り上がる程の大爆発。 いつものオシオキのアレ、TNTトロッコのプレゼントだ。 同志に送って貰った。

これで荒らしは殲滅したと見て良いだろう。 後は再興しなければな。 折角ゼロからやり直すようなものだ、今度は更に立派なモノを造ろうかしらん?

 

終始笑顔のクラフターによる作業が再開されたところで終了した襲撃事件。

 

初期スポーン地点に送られていた村人は、地下鉄道で響いて来た声を聞く。

それは絶望に染まったとも、可笑しすぎて堪らないといったような声だったとか。

どちらにせよ狂った笑い声。 それは共通している話だ。

 

これ以降、襲撃は少しの間 大人しくなるが、戦闘は この程度で終わらない。

所詮、犠牲になるのは末端だけなのだから…………。

 

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