大きな道路からブーンが離着陸するのは最早周知の話だったが、どこでどのように生まれるのか、今の今まで不明であった。
荒らし被害に辟易しているクラフターは、スポーン地点を制圧したいのが正直な話だ。
ブーン研究組の考察だと、複数のアイテムやブロックからなる構造から、クラフターのように どこかでクラフトしている可能性が示唆されている。
ともなれば、制圧は困難なんじゃね?
イジツの様々な場所にいる村人のクラフト能力は不明だ。 だがもし、ひとりひとりがクラフト出来るならば……これは収集がつかない。 諦観するしかない。 常に隣近所に荒らしがいるようなものだからだ。 それはクラフターも同じであるかと自傷気味な笑いすら起きる。
完膚なきまでに地表を耕して村人を殺戮する案すら上がったが、それは直ぐに却下。 それは荒らしと同義である故に。
既に多くの努力によって発展したイジツを無に帰す事が、どうして出来ようか。
破壊に美学を感じる者であるが、それ以上に創造に、建築に魅せられた者である。 全てを葬る行為は容認出来るモノではない。
取り敢えず、巨大な怪鳥がスポーンしている施設なら発見した。 他には確認出来ないそうだから、取り敢えず この施設及び周囲の制圧を試みる。 それから様子を見よう。 いつもの癖で松明を生やしまくる。
「富嶽生産工場がユーハングに制圧されましたあああ!?」
「な、なんか松明だらけにされてるんだけど! 新手の手品かい!?」
「彼らの儀式ですな」
ほぼ施設もクラフター側も無傷で制圧出来たのは僥倖だった。 スポブロ制圧の要領でやったのが或いは良かったのかも知れない。
マルチならではの取り囲みから、スポブロのある空間の外側……床に対してひとマス掘り下げてからの壁に穴を開けての覗き穴。
敵の足元しか見えぬ視界から一方的に剣やら弓矢を射る。 場合によっては溶岩バケツをひっくり返して流し込む。
クラフターによっては、スポブロ座標に真下まで掘り進み、そこからの破壊及び制圧を行う。 勿論、武装にモノを言わせて強行突入法もある。
今回のシメとなったのは突入班である。 相手の能力が不明なので慎重に、かつ大胆に行われた。 突入班のダイヤフルエンチャント装備は当然として、効率強化のエンチャントを施したダイヤツルハシによる高速堀りからの地下から施設内への突入は敵の意表を突いた結果となった。
包囲班が敵の注意を外に向けさせてくれていたのもある。 取り敢えず、様々な連帯によってクラフターは大怪鳥のスポーン地点及び周囲を制圧したのであった。
「悔しいけど、工場は放棄だね。 幸い被害は少ないし」
「多くの部品や設計図の写しが残っておりますぞ」
して、制圧したからには宝箱だ。 宝箱ひゃっほい。
残存する村人を追い出したクラフターは大はしゃぎで異文化漁りと洒落込む。 どっちが荒らしか分かったものではないが、この際は置いておこう。 そも、先に仕掛けて来たのはアッチだし。
スポブロ地点には大体、チェストがあるものだ。 ハズレもあるが鞍のようなレアアイテムがあるかも知れない。 そう考えるだけでワクワクする!
この世界にはこの世界の素晴らしき新アイテムがある。 習性がある。 建造物がある。 何故、その新世界に立ち入らずに自らの価値観で全てを決めてきたのか。 その偏見と無知とも取れる存在でイジツ全土を開拓してきた我々は畢竟、世界を侮っている極め付けの愚か者ではないか?
今の我々は その殻を破り捨て、新境地開拓へと漕ぎ着けた。 気付いてからも遅くはない。 このウキウキを原動力に、世界を楽しもうではないか。
「えーと。 工場と周囲に残ってたのは?」
「富嶽の図面と、解析していない飛行機の図面ですな」
「なんてこった! でも諦めも肝心、か。 彼らには勝てないからね。 空中戦で なんとか、ってところか」
「作業速度や戦闘能力に謎の技術。 高度に関わらず、防寒着もなしで飛び回れる程に超越した者達ですぞ? 孰れ我々の手に負えなくなります」
「既に負えない気もするけどね。 こりゃ、上手いこと共存の道を探らなきゃかなぁ」
「意思の疎通は困難です。 道のりは長そうですな」
何だこれは。
箱を開けると、研究段階のブーンの部品と地図のようなモノが出て来た。
見てみればブーンの絵だと分かる。 初めは何だか分からなかったクラフターだが、物作りのエキスパートとしてビビッときた。
これはクラフトする為のレシピのメモであると。
まさか絵や線で表すとは。 画期的な考え方ではないか。 して、何とか解読出来そうだ。 帰ったら早速クラフトである。
ココに創りかけの巨大怪鳥なブーンも合わせて弄ろう。 スポブロは見当たらないからトラップタワーは無理そうだが、これはこれで大きな収穫だ。
いやぁ。 やはり この世界は楽しいなぁ!
「わっか を手に入れるのは、今は諦めよう。 この前の《どこかによるどこか》の地上制圧も失敗に終わったみたいだしねぇ。 でもいつかは彼らのチカラで世界を牛耳って、支配者に……!」
このブーンを造れれば、もっと世界を楽しめるかしらん?
片や野心で奇怪に笑い、片や好奇心で陽の下で笑う。 この温度差から生まれるのは、果たして喜びか悲しみか───。