胸踊る施設散策から一転、クラフターは心爽やかに新たなクラフトへと身を乗り出した。
場所は大きな草原地帯だ。 風に靡き草の擦れる音に、興奮を冷まされながらもソレは行われた。 造るモノがデカいと細かな部分に綻びを生じてしまう時があるが、今回はそうはいかない。 何せ建造物は建物というより乗物だからだ。 些細なミスで飛ばないのでは困る。
荒らし施設にて手に入れた巨大なブーンのクラフトレシピと、何だかよく分からない、ブーンのようで違うブーンを造るにあたり、多くの鉄及びRS回路に関わるアイテムが集められた。 何というか、レシピの解読が難しいから我々の知る材料で代用しようというのだ。
え? 些細なミスどころか根本的に違ってくる? 別物になっちゃう?
知らんな。 かまどやRSブロックを放り込めば何とかなる。 たぶん。
「アイツら、今度は何を造ってるんだ?」
「シルエット的に……富嶽か。 スゲーの造ってるなオイ」
「翼の材質はなんだ? なんだかフカフカしてそうだけど」
「緑に染色した動物の毛玉」
「ファッ!?」
外装は色のバリエーションに富んだ羊毛が使用された。 何だか新緑の中にいると緑が使いたくなったので緑にした。 黄緑は具合が悪いので、普通に濃い緑。 見栄えは中々に良い。 陽の光で輝いて見える。
だが材質的に1番輝いているのは操縦席部分か。 ガラスブロックが使用されているから。
「いやいや飛ばないだろ!」
「だ、だよなー。 いくらなんでも飛びやしないだろ」
「きっと模型か何かさ」
動力は、レシピ的には6つ以上あるように感じるので それっぽくやってみる。RSで。
後はモノを落とすような機構がある気がするが、操縦席からRS回路でのTNT自由落下にしてみた。 シンプルである。
でも何かが足りぬ……多くの兵器開発や建造をしてきた身として、手を加えたくなる。 僭越ながら工夫を凝らそう。
折角翼がデカいのだ。 いろいろ搭載してみたいではないか。
何となくで か ん が え たサイキョーのブーン。 翼にフルオートTNTキャノン及びディスペンサーをズラリと並べてのファイヤーチャージフルオート機構を搭載。
自由落下のみではツマラナイので、起爆タイミングを1発だけズラしての一斉投下からの、下方限定散弾空爆機構。
上方にも対処出来るよう、搭乗クラフターが迎撃できるようにスリット穴も完備。
して、爆風で上方に矢をばら撒くタイプの自己防衛用の散弾兵器も搭載。
ブーンは背後に回ってくる癖があるから、背後にもファイヤーチャージを撃てるようにしてある。 脱出用エンダーパールも完備。 色々他にも詰め込んだ。
ああ、いや。 何だか不恰好になった。 スマートではない。 だがロマンは大切だ。 強そうであるし。
「両翼にデカい大砲つけたあああ!?」
「原型がどこかいった!?」
「よく分からない塊」
「奇妙過ぎる……ッ!」
「やっぱ、飛ばす目的じゃないだろ!?」
さて飛ばそう。
このまま鎮座していては、いつものオブジェクト製作で終わる。 やはり空を飛ばしてナンボだ。
操縦席の、床に側面に天井に、所狭しと並ぶスイッチ群のひとつを倒した。 6つ全ての棒が動いて巨体が動き出した。 ブーンの名に恥じぬ音に万歳だ!
「発動機が動いたあああ!?」
「機体も動き始めたぞ!」
「ま、まさか飛ぶのか!?」
「嘘でしょ……?」
飛べ! 飛べブーン!
そう搭乗員皆が念じれば、ブーンは存分に助走すると草原から足を離した。 ぐんぐん上がった。
「「飛んだあああああああッ!!?」」
村人からも拍手喝采大喝采ッ!
クラフターは首をグルングルン動かして、腕を闇雲に振りまくり、ガクガク腰を動かす。 喜びの舞。
造って良かった…………感涙に視界が歪む中、クラフターは絶頂の達成感に酔い痴れた。 エリトラ飛行とは別の感動がココにある。
自らが飛ぶのではなく、造ったもので空を飛ぶ。 しかも、滑空ではない。 ちゃんと飛んでいるのだ。
この達成と感動の値打ちはダイヤモンドフルスタックのラージチェスト何個分とか、換算出来るものでナシ。
クラフト人生で ここまでの感動が未だ嘗てあっただろうか。 いや、ない。
「どうなってんの!? 翼面荷重は!?」
「ユーハング謎の技術」
「まさかユーハングの世界じゃ、こんな芸当が当たり前なのか……?」
さて。 テストフライトだ。
雲の合間を縫って、空の旅を楽しむクラフターであるが実験をしなければならない。
搭載した兵器の使用にあたり、自爆しては笑えない。 エリトラ飛行もそうだったが、着地や空中機動に慣れなかった頃は良く首から高速で着地しての即死や、ビルに衝突等は良くやらかした話だ。
ブーンはエリトラより機動が悪い。 今搭乗しているのは巨体故か旋回能力が劣悪に感じる。 色々積んだ所為もあるだろうが、これによる事故の危険性を感じてならない。 マイナス点だと評価を下した。
「あれ、前に戦った富嶽より強いんじゃ?」
「でしょうね。 旋回機銃の数も……いや、弓矢の数的に」
「仕組みは相変わらず分からないけど、敵に回したくないね」
「でも動物の毛なんだろ? 燃えるんじゃね?」
「やってみなさいよ。 アンタが燃やされるわよ」
何にせよ、実験だ。 イジツ全土を開拓しているクラフターだ、爆撃が許された空き地を見つけるのに苦労する。
RSブロックを動力にしているので、石炭や溶岩、ブレイズロッドを使用した燃料切れの心配はないだろうが……どうしたものか。 このまま空を放浪するのは勿体ない。
そんな悩みの中。 既存の都市部に差し掛かった時に、それは突如として解決した。
都市部上空でブーン同士が争っていたのだ。 そして、初期スポーン地点で見た ネザーゲートやエンドポータルの様な役割を担う わっか を確認する。
クラフターはモノを言わず、ブーンの頭をそちらへ向けた。 高度も下げていく。 当然、実験をする為にだ。