開拓のマイクラ地上隊(完結)   作:ハヤモ

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ハルカゼ飛行隊……は、出ず。
アニメのその後らしい、小説の冒頭辺りを参考に。
時系列は許してぇ(殴


動乱後
空とクラフターな村人


イサオ率いる自由博愛連合を退けた反イケスカ連合とクラフター。

その犠牲もまた少なくはなかった。オウニ商会は羽衣丸を失い、統率を失ったならず者たちは散り散りになって各地で空を脅やかしている……事は少ない。

クラフターによって進む開拓や提供される良質な物資と緑化による観光地化や環境改善により、就職先や新規立ち上げの会社も珍しくなく。 ならず者は無理に掠奪等の犯罪行為に走らずに済み、更生する者が多く出た。

そんな好景気な状況にしているなんて つい知らず。 相変わらずクラフターは開拓に建築に忙しくも楽しんでいたのである……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鼻を擽る新築の匂い。 地上は遊び切れない開拓地。 轟轟と聞こえるブーンの爆音。 耳だけではなく、身体全体が開拓と冒険と建築ひゃっほいと唸りを上げている。

眼下に広がるは日差しを受けて輝きを放つ緑と透き通る川。 それらの景観を壊さない美しき建築物たち。 加わる草木の調和は地平線の向こうまで潤った大地の上に続いている。 その上に広がっているのは真っ青で自由な空だ。

夾雑物が一切含まれていないかのように澄み渡り、吸い込まれそうなほど深く、尊く美しい。 遥か頭上に輝く太陽からは燦々と陽光が降り注ぎ、やはりこの世界でもジリジリとクラフターの身を焼いていく……が、構わず冒険を続けるくらいには熱中している。

 

『ひま、ひまひまひまひーまー!』

 

 ああ、忙しい。 だというのに、ノイズ交じりの騒がしい声が聞こえてきた。

 

「チカ、うっさい。 なに叫んでるの?」

 

撃墜してやろうか。 クラフターは弓を手に持ち、横のガラスを殴り割って左へと顔を向ける。 少し離れて横を飛んでいる斑ら模様のブーン。 そのガラスの内側で小柄の村人がハァンと叫んでいた。 その奥のブーンには見知った赤服村人だ。

 

『ひまだって言ってんの! 空賊に襲われるから護衛を頼むなんて言われたのに何もないじゃん! もうすぐ着いちゃうし!』

「なら反対側を飛んでるユーハングを見れば?」

『はぁ? ただ一緒に飛んでるだけ……はぁ!?』

「風防を素手で壊して弓矢持ってるよ。 黙れって言いたいんじゃない?」

「先ず素手で壊せるのが凄いよね。 そして、弓矢で戦闘機と戦えるのも凄いよね」

 

視界の横を飛んでいるのは見慣れた空飛ぶ乗り物ブーン2体と少し離れて小型の空飛ぶ建築物だ。 気になって付いていったら、2体に寄り添われた。 危害を加えてこないが煩いのは嫌である。

どういう理屈でブーンの中にいる村人の声がコチラのブーンまで聞こえるのか不明だが、何にせよ射抜くか。 あ、静かになった。 良きかな良きかな。 ガラスブロックを嵌めて側を直しておく。

 

───イジツ。 多くの村人とクラフターたちが暮らすこの世界では、かつて地表の大部分を荒涼とした大地が占めていた。 当時は陸路は分断されており、街間を車で行き来することは不可能に近い。 主な交通経路としては空路が用いられたが、その輸送船を狙う悪質な空賊も多かった。

だから、キリエたちの所属するコトブキ飛行隊のような用心棒に出番が回ってくる…………のだが、最近は平和だ。 クラフターの所為である。 ウェスタン風な町のラハマ近郊に突如として現れてからというものの、イジツは僅か数週間やそこらで緑に覆われ、清水は流れ、豊富で良質な資源が提供され、鉄道が引かれて渡れぬ谷に立派な橋がかかり、登坂困難な山ならば横穴をブチ抜いてトンネル工事。 主な地表面は天高く聳える摩天楼を建ち並ばせた。

何度かドンパチはあって、破壊された土地もあったが直ぐに修復された。 それら開拓や建築は今なお続けられており、ツルハシとスコップによる快進は破竹の勢い。

ちょっぴり先行きが暗いかもな世界に差し込んだ救いの光のようでもある。 感謝の気持ちはあるものの、意思の疎通が難しいしクラフターは理解不能な行動ばかりに出るから、珍妙な光景と驚愕の声は彼方此方から上がっているのであった。

 

『大体さぁ、なんでユーハングと一緒なの?』

「知らないよ。 直接聞けば良いじゃん」

『まともに会話が出来ないでしょ』

 

鹵獲出来ないかな、アレ。

村人の操るブーンは各拠点にあるから珍しくないが、空を移動する建築物は未だにクラフト出来ない。

ただし。 同志が建造している現場を見つけたというので、お邪魔して研究中。 だいぶ前に爆発四散した、別の空飛ぶ大きな建築物と似ているとか。 上手くいけば沢山製造し、空を移動する拠点兼、町を作れる。 ロマンだ。

 

「良いじゃん。 守ってもらいなよ」

『私一人で十分だって! キリエこそ守ってもらえば〜?』

「それはこっちの台詞!」

『なにーっ!』

 

そうだ。 先を見据えて、空飛ぶ建築物の離着陸の広場も確保しなければ。 ビルの上でも良いが、狭い。 やはり皆が見れて目立つ様な場所が良い。 補修や建造もしやすい。

そういえばブーンの補修作業をしている村人がいたと思い出す。 白帽の子ども村人だ。 いつもブーンを弄ってるのを見つかると殴ってくるから厄介だと感じていたが、成る程。 自分の建築物やブーンを触られて怒っていたという事か。 あの村人もまた、同志であったと。 どんな腕前か、帰ったら見てみよう。

 

「…………ん?」

 

 と、クラフターは随伴するブーンより遥か向こうへと目を向ける。 自分たちより高いところにたなびいている白雲。 その上に一瞬だけ、光が見えた。 クラフターは目を細める。 再び雲の上で光。 光源は6つ。 ブーンの頭に付く回転する棒が太陽の光を照り返しているからだと経験から分かる。

 

「チカ! 3時方向!」

『3時がどうしたんだよ!』

 

村人も気付いたが、先に動いたのはクラフターだ。

直ぐに戦闘態勢に入る。 この手のブーンは大抵荒らしだ。 迎撃しないと建築物等を破壊される。 無視出来ない。

だが単に撃墜するのではツマラナイ。 ブーンの操縦は慣れてきたが、故に実験したい事は多い。 今回は両翼に付けたディスペンサーに毒矢を入れてある。 ブーンに果たして毒が効くのか試してみよう。

 

『きたぁ―――――――――――――っ!』

 

村人の快哉が響いた。先ほどまでのハァンより甲高くて喧しい。 やっぱ射抜こうとしたら、そのブーンは身体を揺らして右旋回をして離脱していく。

もう一体は後を追うように左旋回をして離れた。

あの六機以外にブーンは見えない。 接近してくる荒らしを目がけ、クラフターは上昇していく。 いつもの癖で敵の姿をじっくりと見つめる。 先頭は違う種類だ。 後は同じか。 横並びに飛んでいる。この近辺で最近目撃されている荒らしが使用しているブーンだと考察する。

 

『私が前ね! キリエは後ろから支援!』

「はぁ? なんでそうなるの!?」

『だってこの仕事、先に引き受けたの私だもんね! 早いもの順!』

「ユーハングが先に向かってるけど」

『ああ!? 増槽を捨てて早く追いかけなきゃ!』

 

後方で騒がしい村人達のブーンが、お腹にぶら下げていた丸みを帯びたパーツを落とした。 やったぞ。 拾えばクラフターのものだ。

仲間に連絡して回収して貰おう。 取り敢えず今は、荒らしに向かってぐんぐん加速だ。

 

「ったくもう、なんでユーハングのは増槽ナシで長距離飛べるし早いの! 航続距離は?」

『ユーハングだからでしょ!』

「答えになってない!」

 

先端で回る棒の回転数が増し、身体全体に伝わってくる振動がさらに強くなった。 臭いといい、気候といい、耳をつんざく爆音といい、空は地上と比べればはるかに苦痛な環境だ。 常に落下死の恐れがある。 それにもかかわらずクラフターは この感覚も好きだった。 空に浮かばせた建造物……広大な空にぽっかり浮かぶ浮島。 ブーンもだが壮大な空と地上の両方を贅沢に堪能出来るコレはエリトラの感動や空に建造した時の感動に似ている。

それらを邪魔する荒らしはマジ許さん。 殲滅態勢に入る。 クラフターが駆るブーンは6体の荒らしブーンの群れへ勢いよく突っ込んでいった。 実験も忘れまい。

きっと自分たちは一生開拓と開発、建築や冒険三昧と世界を楽しみ続けるのだろうなと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんのアホンダラが!」

 

初期スポーン近くの既存の村。 そこにあるブーンをお座りさせるスポットに帰ってきたらハァンが響いた。

皆で着陸したブーンから顔を出したクラフターを出迎えたのは、白帽の子ども村人の拳。 ノックバックも起きた。 相変わらず良い拳だ。 ハァンと鳴きたいのは此方である。

 

「班長、ユーハング相手にも容赦ない」

「そりゃそうだ! 勝手に格納庫から零戦を飛び立たせて帰って来たと思えば この有様! 修理したばっかなのにもうぼろぼろじゃねえか! というか、なんで土で補修してんだよ!? そして何故飛べる!?」

「いや、この人らに言葉通じないから」

 

白帽はお座りしているブーンを指差した。 先ほどまで乗っていたブーンは、主翼や尾翼に荒らしの攻撃を大きく受けて土ブロックで補修されている。 見劣りするから、怒っているのか。

クラフターは首を横に振った。 クリーパーに景観を破壊されたようなソレを指摘されて悔しさを感じているのだ。

次はこんな事を起こさないという意思表示をする為に、松明を刺しまくった。 ブーンとお座りスポットは明るくなったが、自身の気持ちは暗い。

 

「なんで松明を機体に刺しまくるんだ!?」

「儀式だよ、ユーハングの」

「供養か!? いや、最悪は私が直すからやめてくれ頼むから!」

 

元に戻そう。 いや、どうせなら強化しようか。 毒矢はブーンには効かない感じであったから、取り敢えず矢を交換だ。

 

「ったく。 今でこそ機体も弾も物資は手に入れやすくなったが、コイツらの技術はよく分からないしな」

 

───イサオ率いる自由博愛連合との戦いから、既に半年近くが経過。 イケスカ上空の穴を塞ぐために、オウニ商会は羽衣丸を失った。 とはいえそのまま黙っているマダム・ルゥルゥではない。 完成はまだ少し先になるが「第二羽衣丸」を建造中。 なんかクラフターが混ざって設計に無い事を色々されているようだが……。

羽衣丸を使っての仕事こそできないが、オウニ商会自体は営業中。 キリエとチカが引き受けていたのは、ガドール行きの輸送船を往復で護衛する任務。 往路は何事もなかったが、復路では空賊が襲来。

最近ラハマ近辺で目撃が多発していたアナグマ団とかいう空賊で、疾風1機に零戦二一型5機の6機編成。 クラフターがほぼ単騎で全機撃墜し、輸送船への被害もキリエやチカへの被害も皆無。

任務は達成されたが、クラフターの機体(無断使用)はぼろぼろだった。

 

「うぅ〜! 結局1機も墜とせなかった!」

「チカが私の前で変な飛び方しなきゃ、私は墜としてたから!」

「なにー!」

 

ハァンハァンと争う村人。 未だにコイツらの生態を把握し切れていない。 実験兼観察場となる町や子どもメインの施設を見ていても、よく分からない。 だが毎日が面白い。 次は何をするのか興味が尽きない生き物だ。

観察していると、今度は白帽がハァンハァンと大声を発する。 ここまでくると喧しさに慣れてくる。 寧ろ楽しくなってきた。

 

「静かにしろお前ら! とにかく! 当分の間、コイツを修理に回す!」

「ついでに、ユーハングの頭も直せば?」

「その前に、お前の頭を直してやるよ。 取り敢えずケツにイナーシャハンドルを突っ込んで掻き回してやろうか?」

「遠慮します」

 

落ち着いてくると、赤服と子ども村人は何処かへ行った。 残されたのはブーンと白帽。

よし。 予定通り白帽を観察しよう。 学べるものがあるかも知れない。 見て盗むというヤツだ。

 

「はぁ。 いつもは1週間くらいで修理するんだがな、お前らの技術は謎だらけで手に負えない。 少なくとも今は真似は出来そうにないから、今までの通りにするぞ。 文句言うなよ」

 

何事かハァンと鳴いては、ブーンに寄っていく。 周りを見れば仲間と思われる村人が、いつのまにか集まり始めてお座りしているブーンを弄り始めた。

どうやらクラフトが始まるらしい。 しかと見届けねばならない。 時には立ち止まろう。 手や足が先に動いて失敗したり発見を見逃す事もある。 ココは良く観察しよう。 新たな発見が楽しみだ。

 

「イケスカの騒動があって、ユーハング産の資源も高騰してるんだ。 民間もお前らが造った建造物に対応するために需要が増えてるしな。 私もなるべく早く修理できるよう努力はするが……当分は大人しくしてるんだな。 って、お前らは全部やれちまうのか。 それも一瞬で」

 

ハァンハァンと鳴き声を上げながら作業とは器用だなぁ……と感心していたら。

あろう事か改造したブーンをバラし始めた。 補修で使われた土ブロックを棒状のナニかのツールで破壊され、翼は捥がれ、中身も出されていく。 バラバラだ。 中に仕込んだRSやディスペンサーまで取られた。

 

「班長ッ!? 中身の多くは赤い砂や塊で、発動機等が見当たりませんぜ!?」

「この武装、どういう仕組みなんスか! 取り扱いが分かりません!」

「ええい! 私だって分からん! そこにいるユーハングに直接聞け!?」

「言葉通じません!」

「全部取り替えだ! いつものにしろ! いつもの!」

 

そしてハァンの大合唱。 思わず殴りそうになった。 村人相手に荒ぶるのも馬鹿らしいと落ち着いて考えれば、どうやら使い方が分からない様子。 なら仕方ないと納得する。

見慣れたり使い慣れた物品ほど、他の人が扱えない光景を見て首を傾げる者がいる。 簡単なのになぁ、どうして分からないのかなぁと。 だが仕方ないのだ。 初めてなら尚更に、自分だってそうだ。 乳搾りをしようとして、牛をバケツで殴った事もある。 ハサミで毛刈りをしようとして羊を殴った事もある。 昔は湧き潰しが分からず寝込みを何度も襲われた。

こういう時は知識や技術ある者が教えるべきだ。 勿論、自力で答えに辿り着けば快感だし為になる。 だが危険な時や時間が惜しい時はいけない。 それに、早い段階で知る事が出来れば後の時間を有効に使える。

 

「うん? おい、変な事はするなよ……なんだ?」

「地面に赤い砂撒き始めた?」

 

説明しよう。

バラされたRSやディスペンサー、その他パーツブロックを素早く回収。

RSの動力の入切方法、ディスペンサー等の負荷側の起動動作を見せるべく簡単に地面に回路を構成して、やって見せた。 ハァンが響いた。

 

「レバーを倒したら、赤い砂が光ったぞ!」

「光った先、射出装置が動いた!」

「バカな。 発動機ナシで……スイッチがそのまま動力なのか!?」

 

感動を呼んでいる。 クラフターは頷いた。 理解はこれからしていけば良い。 して、その感動は 我々も かつて味わったものだ。

過ぎた事は当たり前となり、感動は薄れて忘れてしまう。 だが、こうして当時を再現したかのような喜びの声を見る事が出来ただけでも……見えた甲斐があったと、クラフターは莞爾として頷いたのであった。

 

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