違和感や間違いがあったら、すいません……。
イジツに水と緑が蘇り、村人との取引で互いの財と心が豊かになった後も穴はガバガバだったから、クラフターは尚も情熱を絶やす事なく開拓を進めていた。
今や既存の都市よりデカい大都市が乱立。 空を削る勢いの摩天楼は発展の象徴群だ。
そのせいなのか稀に空飛ぶモンスターに襲われたり村人が勝手に住み着いたり意味なき土ブロックの浮遊とハァンの大合唱でストレスが溜まったが、それ以上の問題が起きたから構っていられない。
それは遠方への物資輸送手段の問題。
初期スポーン地点から伸びきった開拓地は、資材置き場や採石場等の建材産出地から離れ過ぎたのだ。
結果。 建材が遠方に十分届く事がなく、開拓速度は停滞。 クラフターの手が鈍る。
「流石に、ヤツらでもイジツ全てに進出は難しいか」
「まっ。 飛行機もナシに、よくここまでやったもんだぜ」
「いや……見ろ! 何かを地面に伸ばし始めたぞ!」
だが歴戦のクラフターは、土壁を破壊するが如く簡単に解決した。
鉄道好き道好きクラフターが立ち上がったのだ。大量物資輸送線───貨物線構築計画だ。
クラフターは鉄と棒と、レッドストーンを組み合わせ、大量に線路とチェスト付きトロッコを生産。 イジツの大地に伸ばしまくった。
そう。 手で運べぬ大量の物資は、乗り物に任せれば良い。 つまり鉄道。
「何かが走り始めたぞ!?」
「ありゃ鉄の箱か。 上に箱が載っている」
「動力はなんだ? エンジンは……かまど!?」
「あれ、エンジンじゃなくね!? 厨房にあった かまどじゃね!?」
「というか、どうやって かまど で動くんだ!?」
「鉱物資源の精製に料理も出来る。 全部火加減が自動なんだよな、あれ。 商会が一家に一台って宣伝文句を垂れてたな」
「そういや、コトブキ飛行隊の隼に ヤツらの1人が エンジンの代わりに かまど を突っ込んで空を飛んだとか」
「マジかよ!?」
「商会のナツオ整備班長がヤツら並みに荒ぶったというから、たぶんマジだぜ」
「……ユーハング人、恐ろしいな」
動力さえあれば半自動で運用可能である。 当初は友人に頼んだRSの納品が間に合わず、かまど付きトロッコで石炭を浪費する羽目になった。
うーん。 石炭はコストが高い。 RS急いで早く! もう他のクラフト材はあるから!
「あれ!? エンジン……じゃなくてかまどを壊しちゃったぞ!」
「して、なんで手のひらサイズになんだよ、毎度」
「それより見ろ! 今度は赤いレールを引いてるぞ!」
「今度は かまど ナシで動いた!?」
だが効率的に考えて、後にブーストレールにとって変わった。 やはり、こちらが楽で良い。
ネザーゲートによる長距離移動方法もあるが、村人がハァンハァンうるさかったのでアレは極力避けたい。
だがそれ以上の建材不足のストレスは、誰しもの情熱を確実に削ぎ落としにくる大悪。 誰しもが体験し立ち向かわねばならない壁である。
それは質の悪い建造物や未完成の建造物が生まれる結果に繋がるし、ストレスからの意味のないチャンバラ劇が勃発する。
ならアイテムスロット全てを、スタック限界まで埋め尽くして運べというのは駆け出しの頃までだ。 その非効率思考は とうに捨てた。 到底 発想と夢と作業の前では微々たるものなのだ。
元の世界で開拓歴の長いクラフターは、そのような状況を回避するべく、今回のような解決法……対策を講じたのだった。
やはりか、建築や開拓は障害を乗り越えてこそ。 それを乗り越えた時の達成感。 ストレスから解放され、世界に形として残るモノを造れた感動と喜び。 これらは何事にも勝る。
「なあ、あの鉄で出来た箱は車ってヤツか?」
「違うだろ。 決められた道しか進めないようだぜ」
「だがよ、アレでヤツらは大量の物資を遠方へ運べているようだ」
「飛行船ほどの積載量は無いだろ。 見ろよ、箱なんてチビだぜ?」
「それがな、明らかに積載量を超える物資が出てくるって話だ」
「相変わらず意味わかんねえな」
「ユーハングの故郷って、ヤバいトコなんじゃね?」
大地を駆ける大量のチェスト付きトロッコ。 仲間が待つ遠方へ線路を引いて、早速ブーストレールで運んでいる。
中身はシュルカーボックスだ。 食料や建材、クラフト材を普通に入れるより、ずっとたくさん運べる。
クラフターの熱意を支えるべく、これが毎日昼夜問わず、荒野を……いや。 草原を駆け抜けた。 今や各地に造られたターミナルや、発見した村に運ばれている。
開拓欲溢れる豊かな草原を、大量のトロッコが列を組んで進む……夕焼けをバックに進むシーンは、多くのクラフターに謎の感動を与えたものだ。
「しかし目立つな」
「少し奪ってもバレないんじゃね?」
「いや……それは、今は難しい」
「そうなのか?」
「空賊かどっかの組織が爆撃してな。 それ以降、ヤツらは地下に移したようだ」
ただ新たな問題が起きた。 地表面をただ走らせたトロッコは、何故かクリーパーに襲われ始めたのだ。
中々物資が届かない異変に、遠方のクラフターが線路を馬で辿った日がある。 そうしたら、前面にクレーターと大破した線路があった。 アイテムは時間経過のせいか、消えて無くなっていた。 とても がっかりした。 思わず悔し涙で歪んだ空を見たものだ。
以降、クラフターは総力を挙げて地下鉄を建設。 地上の線路は放棄。 いちおう、線路をドーム状に黒曜石で覆う案があったが、時間と効率を優先して地下になった。 中に動物や村人が立ち入り、逆走する事故なんて経験したくないのだ。
取り敢えずクレーターサイズから計算して、そこそこ深い座標でやったから大丈夫だろう。
「こりゃ商会も商売あがったりじゃね?」
「いや。 アイツらに箱渡せば、勝手に運ばれる。 タダで。 だから輸送コストは減ったから大丈夫だろ」
「おいおい。 お人好だな」
なんだかその代わり、村人がハァンハァンと箱を押し付けてくるもんでウザくなった。 ムカついたから、チェスト付きトロッコに放り込んで見せたら、大人しくなった。 以降、そうしている。
スロットが無駄にとられるが、そこはシュルカーボックスの力で ねじ込む。 村人が黙るなら安いものだ。
「ドードー船長たちは?」
「飛行船を使った観光業や偵察業に駆り出されてるよ。 ヤツらのお陰で、空賊は昔より大人しいもんだから、安心してるだろ」
「コトブキ飛行隊は?」
「普通に護衛してる。 戦闘がないぶん、羽を伸ばせて羨ましいぜ。 新しい滑走路とエンジンにもご満悦だったしな」
「…………エンジンって、例の かまど?」
「ああ。 飛行中でも石炭を中に放り込めば燃料補給終わり」
「重量とか、メンテは? 煙は?」
「あれってな、何故か片手で持てるくらい軽いんだぜ? 軽すぎてか空中に浮いた報告すらある」
「何それ怖い」
「メンテも殆どいらない。 燃料残量だけ気を付けないといけない。 煙は多少出るが、四散する。 屋内でも煙突いらずだ」
「ヤベェな」
「機体スペックも、前より良くなる程だ」
「俺、帰ったら かまどを拝めるよ」
こうして、目前に感じた物資不足や輸送問題は解消されたのである。
クラフターは今日も どこかで開拓し、物を運んでいく。 誰かと繋がる喜び。 送り受け取る時の、あの瞬間の胸の高鳴り。
それはこのイジツ世界でも、鳴り響いている。