違和感あったらごめんなさい……。
「ユーハング人は凄いよね。 何事にも縛られず、広い世界を冒険し続けて」
食料を物欲しげにする若造を餌付けながら、クラフターは改修工事に励んでいた。
対象は おすわりスポットのブーン小屋と、表の大きな道路だ。 初期スポーン地点から近い場所なのもあり、新規開拓は難しい。 やる事といったら、物質輸送の手続きや荷造り、こうした改修やレイアウト変更。
ふむ。 実に面白い。 発展し尽くした様に見せかけて、幾らでも手を付けられる。 つまるところ何度でも楽しめる。
そんな世界と生活。 繰り返すは最高の日々。
クラフト人生万歳。
「イジツ中にいるんだろ?」
「そうね。 見ない日はないわ」
「凄い勢いで開拓するよね。 建設も」
「物資も潤沢に なったわ」
「食べ物くれるから好き」
ブーン小屋の隅々を徘徊して、土ブロックで足場を作り蜘蛛の巣をハサミで収集。 糸をスタックしていく。 後で釣竿を作る。 魚釣り以外に戦闘やブーンを鹵獲するのにも使う。
「高い所の掃除までしてくれて、ありがとうございます」
ピンク髪が下でハァンと鳴いている。 恐らく蜘蛛の巣の活用方法を知らないのだ。 或いは羊毛作りに使用するのかと思考されて非効率だと感じているのか。
だが、トラップワイヤーだとかツール系を思えば必要な行いだ。 素材になる。 シルクタッチで そのまま得られれば、トラップに そのまま使える。 巣に絡まって動けなくなったところをボコボコにしてやるのだ。
「ひょえー。 表の滑走路がピカピカしてるよ」
「誘導灯ね。 それとビルのは……航空障害灯かしら」
「ユーハングは、平気で雲より高い建物を建てまくるからね。 あった方が多少は安全かな」
「あの赤いの、どういう仕組みなんだろう」
「電気じゃないみたい」
背の高い村人と仲間が、外の仲間や改修工事に関心を持ち感嘆の声を上げている。
大きな道路の両脇に並ぶリピーターは、まあ いつも通りとして……加えているのは周辺のビル壁にRSトーチを刺している事だ。 一部は屋内に設けたクロック回路で点滅する。
どうもブーンが ぶつかりそうになる事が頻発しているから、この様にしたのである。
松明や屋内の明かりがあるから分かるやんとも考えたが、夜間エリトラ飛行をしていた某仲間が明かりのない角に頭部を強打してリスポーンした事例がある。 明かりがないから無という認識はアウトなのを改めて思い知らされたのであった。
ならグロウストーンや松明でも良いじゃんとも思う訳だが。 点滅させたいとかコストを考えていたら、トーチが選ばれた。 照度はボンヤリでも見えれば十分。 結局は遊び心。 しかし実用性も兼ね備えているから文句は言えまい。
「普通なら苦行な工事も、全部楽しくやれるのね」
「世界と人生が楽しくて仕方ないんだよ」
いけない。 防衛用の対空TNTキャノンの改修と増築も行わないと。 旧式の単発式と新型のフルオートキャノンが混ざったままだ。
世界を相手取るクラフターは、常に在住しているわけではない。 村人だけでも威力と防衛力を維持する為には、少しでも良いものにしなければ。 村人に我々と同様のクラフト能力が有れば良いのだが。 ああ忙しい。
「世界、か。 私たちは空を飛ぶけど、あの人たちは主に地上を行くんだよね」
「見える世界は別々。 でも、見ていると不思議と元気が出て来るよ」
「その姿勢から学べるものも、多いだろうね」
「そうだよ! 今は予備隊だけど、あの姿勢を見習って いつかコトブキ飛行隊みたいになるっ!」
「おー!」
白帽たちのクラフト能力も、また興味深いのだが……どうしてか赤砂も まけないし、丸石ブロック ひとつ壊すのに 凄い苦労している。 努力は認める。 ご苦労。
クラフターは空を仰いだ。 同じ空の下でも、やはり同じ生き方や建築は無理なのだと。 そも、世界が違うのだ。 種類からして異なる。
ただそれでも、元の世界より不思議な生態をしていて面白い。 して知性的である。 建物や開拓を褒めてくれる。
世界は同じようで違う。 だがまあそれでも。 そんな世界の『不平等』もクラフターは愛した。
「よし。 そうとなれば訓練だ!」
「ええ!? 今から!?」
「ひょえー!」
「為せばなーる! 為さねばならなーい!」
騒がしくて振り返れば、若造が騒いでいる。 そうだ。 それで良い。 クラフターは頷いた。
振り返れば村人。 起きれば村人。 開拓すれば村人。
身近な村人には元気でいて欲しい。 此方も元気になるから。
クラフターは微笑みながら、作業に戻る。 この世界の空と地上は広い。