開拓のマイクラ地上隊(完結)   作:ハヤモ

9 / 27
まだまだ暑い日が続く気がしますね……。
早く暑さと職場環境の改善を……。


初陣と鹵獲

 

《緊急発進急げ! 離陸可能な機体から空中退避ッ!》

《空襲警報。 敵爆撃機、接近中》

《緊急発進し、迎撃せよ》

《回せー!》

 

某地上防衛拠点にて。 設置した敵襲を知らせる音ブロックを村人が専用回路で鳴らしまくるから、クラフターはベッドを破壊して寝てる仲間を強制起床させた。

既に空は敵だらけで、起きていた実戦経験皆無の仲間がこれに弓矢で応戦している。 が、リード……予測射撃ではなく直接視界の中央に捉えて放っているから当たらない。 絞り切ってから矢を放たないのもある。

間が悪いことに多くのベテランは釣りやブランチマイニングと建築ヒャッハーで出払っており、加えて空からTNTモドキは落ちてくるわ飛び道具で撃たれまくるわ散々な状況だ。

相手がゾンビなら、石剣ぽっきり、防具無しのノーエンチャント弓矢でも ここまで苦労はしないのだが。

 

「整備が途中だ!?」

「何でも良い! 飛行隊を離陸させろ!」

「格納庫にある使えるヤツ全部だ!」

「駐機場のヤツらも協力してくれ! 数は多い方が良い!」

「ユーハングが応戦しているけど、持ちそうにない! 上がるなら今しかないのよ!」

「応援の飛行隊も、そう長くは持たない!」

「モタモタするなぁ!」

「滑走路が狙われてる!」

「維持出来ない! やられたら誰も上がれねぇぞ!?」

 

仲間割れなのか味方なのか。 空のモンスター同士が撃ち合っている。 一部は火の玉になって地表に落ちた。 衝撃がここまできた。

ファイヤチャージも、あれくらいの大きさだったらなぁ。

あっ、でも閉所では使えないかぁ……。

 

《火災発生ッ!》

《消火班! 武器庫への延焼防げ!》

《可燃物を運び出せ! 弾薬もだ!》

 

なんと施設が燃え始めた。 しまった。 景観を求めて一部は木材でヤッてしまったのだ。

次回からネザーレンガで囲っておこう。 アレはコストは安いし、難燃性がある。 耐爆はともかく、燃えると一角が全滅する故に。 見た目は暗めだが、ここは実用性を求める部分か。 デザインとしては難しいところだが、クラフターは反省する。

一方、感心する光景もあった。 村人はハァンハァンと火を見て慌てたのだ。

元の世界なら逃げも隠れもしない呑気なものだったから、それだけでも衝撃だ。

しかもである。 なんと、多くが水バケツを用意して消火作業をしているではないか。 水も撒きまくってるのに水源ドバァな面倒にならない。

それにだ。 チェストから物資を運んで火から遠ざけている。

なんと優秀な村人か。 これなら落雷による火事対処として狼と猫共々、一家に1匹置いておきたい。

 

「ああ、もう! 急いでる時に限って回転数が上がらない!」

「死ぬなら、せめて空が良い」

「弱音を吐くな! ユーハングを、町と私たちの基地を守るんだ!」

「ユーハングが建造した基地と町だけどね」

「しかも、当たり前のように勝手に滑走路や施設を使ってますし」

《進路管制は無視して構わない、最前の機体から空に上がれ!》

《上がったら高度を上げるんだ! 敵にかぶられるんじゃ ないぞ!》

 

げに理解し難きは、ドンパチの最中、お座りしていた空のモンスターが出てくる事だ。

クラフターは溜息した。 わざわざ危険な屋外に出るとは。

せっかく山のヤツを修理出来たと思えば好き勝手に使う連中である。 その辺、豚や牛等の家畜以下かも知れない。 簡単には盗難されないと思って柵で囲ってこなかったが、そろそろ考えておこう。

 

《敵戦闘機、格納庫から出てきます》

《飛び立つ前に地上で仕留めろ。 地べたにいる戦闘機なんぞ、ただの的に過ぎん》

 

何にせよ、ここまで来たら守るしかない。 敵味方の条件不明な存在だから、コイツらは希少な存在である。

取り敢えず、新米染みた行為だが、モンスターが進んでいる大きな道路脇に丸石ブロックで壁を造る。 これで横殴りの攻撃から守れる。

 

《チッ! ユーハングによる防壁ですっ!》

《怯むな。 爆装している機体は、滑走路ごとヤツらを葬れ!》

 

「ユーハングが援護してくれてるっ!」

「ありがとう! 恩に着る!」

 

天井も張りたいところだ。 洞窟探索中を思い出しての事だ。 スケルトンによる高所からの狙撃は可愛い方で、落ちて来たクリーパーとか悪夢以外の何物でもない。

ベテランは高価な防具や反射速度が高速だから被害を軽減するが、それでも瞬殺されるのは別段珍しくない。

空襲。 その恐ろしさが日常に溢れた この世界。

ロクに世界を知らぬ豆腐建築家な新米にして、この世界に来た者は既に その恐怖を知り得ている。 避けられぬ脅威だ。 故に立ち向かわねばならぬ。

クラフターは手を動かした。 壁だけじゃない。 壊された道路も土ブロックで補修しながらだ。 逃げるという選択は今はない。 その辺の残骸……丸石を使って、天井を張る。 横に長い豆腐が出来ていく。

何度かTNTモドキを落とされ破壊されたが、中まで被害は及ばない。

例え見劣りするとしても、抵抗してやる。 荒らしなんかに屈してたまるか。

 

《滑走路を壊せ!?》

《ダメだ! 応急処置が早すぎる!》

《なんだあの修復速度!? バケモノめ!?》

 

「いや、ちょおま。 天井まで張るなって!?」

「守ってるつもりなんでしょうけど、これでは飛べませんわ!?」

「い、いや。 大丈夫だ! 離陸地点で天井は途切れてる! これは そこまでの掩蔽壕みたいなモンだ!」

「成る程。 さすがユーハング!」

《第1波が過ぎた! 反転してくる前に上がれっ!》

 

ヤベェ。 資材切れたわ。

 

持っていた丸石や土を切らしてしまった。 行き当たりばったりの作業や無計画の作業でも良くある話だ。

資材切れは深刻な場合と大丈夫な場合があるが、残念ながら前者だ。 戦闘中であるし。

このままだと、飛んでしまう。 あ、ヤバい飛んだ。 自由の彼方へ。 どんどん上へと上がっていく。 こうなるなら前を塞げば良かった。

冷静さを欠けた中での戦闘や作業は、時として重大な失敗をしてしまうものだ。

いざという時の為の、真下ブロック置きでの緊急退避や、スニークをしないでの高所作業からの墜落死等だ。

これ逃げられたのかな。 それともちゃんと戻ってくるのだろうか。 呆然と見送り……して、ハッとする。 まだ全部を逃した訳じゃないと。

クラフターは屋根付き お座りスポットへ戻る。 すると、あった。 ボロボロでバラバラにされたモンスターが。

 

「あっ! おい、零戦をどうするつもりだ!?」

 

崖に落ちていた瀕死のモンスターだ。 ここに持ってきて修理や研究に使うつもりだった。

修理が出来てなきゃ飛行テストすらしていないが、ぶっつけ本番と行こうじゃないか。

このままでは空を好き勝手にされる。 地上が危ない。 無許可の建造物破壊は許されない。

それから逃げたモンスターを連れ帰る。

どれが懐柔したヤツか、もう考えるのは面倒なので適当に縛いておこう。

兎も角、駆け寄り弄り回す。 ちっこい村人がハァンハァンと煩いが構わない。 スポットに置いてあるチェストから鉄インゴットやリピーター、レッドストーントーチ等を取り出すと素早くモンスターに放り込んでいく。

 

「いやいや、突っ込むだけじゃコイツは直らな……直ったああ!?」

 

折れた翼はスッと伸びた。 動力はワケがワカラナイブロックが入っていたのでサッサと取り除いて かまどやRSブロックを放り込む。

よしよし。 動き出したぞ。 操作方法も ぶっつけ本番だ。

まあ、何とかなるだろう。 エリトラも最初は分からなかったし。 分からないものを楽しむ。 して理解していく。 それもまた、楽しいから。

 

「だが操縦までは……え!? 風防を素手で壊した!? ええ!? 今の一瞬で どうやって乗り込んだ!?」

 

ひび割れたガラスが邪魔なので素手で さっさと壊し、乗り込んだ。

 

「だ、だが操縦桿もスロットルレバーも今は取り外されていて……って、だからなんで動くんだあああ!?」

 

歩くような感覚を持てば、動いていく。 助走をつけてジャンプする感覚を持てば、空を飛んだ。

よしよし。 思ったより上手くいった。 途中で仲間が エンダーパールでひとり飛び乗って来たのは驚いたが。

移動する目標に当てるとは……投球が上手いと褒めてやる。 して、詰めればイケるようだ。

 

しかし、このモンスター。 やはり良いものだ!

 

エリトラみたいに気を遣わなくて良い。 花火もナシに上昇出来る。

それに相乗りが可能。 仕事を分担すればモンスター相手でも何とかなりそうだ!

 

「おい! あの風防の無い零戦はなんだ!?」

「ユーハングがふたり乗ってるぞ!」

「ひとりは瞬間移動したように見えたんだが……気の所為か?」

「良く見ろ! 座席も操縦桿も無いのに飛んでいやがる!?」

「どうなってるんスか!?」

「背後のヤツ、スゲェ首を動かしてる!」

「腰も激しく振ってるぞ!?」

「変態だあああ!?」

「見ちゃいけません!」

 

背後で投球が上手くいった事に歓喜する仲間を乗せつつ、逃げたモンスターを追い掛ける。

アイテムスロットには、ロープと釣竿を用意した。 これで捕獲するのだ。

取り敢えず近寄る。 あっ、逃げられた。 空中で横回転したと思ったら、背後に回られた。 至近距離だ。

 

「理解出来ねぇ飛び方をしていやがるが、動きはトーシロだな!」

「武装もないのか? 1発も撃ってねえな」

「死ね! ユーハング!」

 

向こうから近寄って来るとかラッキーだ。 親切な事にコチラの動きに合わせてくれている。 誘ってるとしか思えない。

クラフターは釣竿を遠慮なく放った。

 

「うおっ!? なんだこのフック……って、ぎゃああああ!?」

「凄い勢いで吸い寄せられていく!?」

 

釣竿で糸を飛ばして引っかけた。 直ぐに引き上げれば、そら。 魚ではなくモンスターを釣り上げた。

直ぐに家畜にする要領でロープを取り付ける。 後は中の村人ごと地上に縛り付ければ良い。

 

「なんでだよ!? ありえねえよ!?」

「というか この距離で、どうやってロープを取り付けやがった!?」

「くそっ、動けねえ!?」

「い、今助けるぞおおおお!」

「ま、待て! 迂闊に近寄るな!」

「「「ぎゃああああ!?」」」

 

おや。 どんどん来た。 同じように片っ端から釣竿を引っ掛けて引き寄せてロープで縛る。 手綱を大量に握っているかのようだ。

いやぁ楽しいなぁ! 次から次へとやって来ては縛られるとは。

余程縛られたいのか! 誘ってるのかそうなのか! 実に縛りがい があって良い!

家畜を大量に引き連れる時とは違う、優越感に浸れてクラフターは満足だ。

地上から見上げる仲間の羨ましそうな顔が浮かび、思わずドヤ顔をした。 反省はしていない。

 

「…………なんスかあれ」

「敵機を鹵獲してんのか?」

「縛られてるヤツら、慌ててるようだが。 身動き取れないのか?」

「どうしてロープ1本で戦闘機を従えられるんだよ!?」

「知るか!」

「いいわ……いいわぁ! あのロープ、手に入れたい……ッ!」

「ヤバい声が聞こえたんだが」

「ありゃあ、ゲキテツ一家の?」

「見ちゃいけません!」

 

問題が起きた。 着陸方法だ。

そろそろ降りたいんだが……エリトラの感覚と違うから分からない。

取り敢えず急降下してみよう。 あ、ヤバい、上昇がエリトラ程間に合わない。

 

「おいおい!? 縛られてるヤツらが地面に叩きつけられたぞ!?」

「胴体着陸も許されないとは」

「いや、零戦は胴体着陸に成功したようだ」

「う、撃たれた方がマシな やられ方だぜ」

 

ああ!? 折角手に入れたモンスターがっ!

 

クラフターの乗るモンスターも地面にぶつかり壊れたが、連れていたモンスターは 原型が辛うじて分かる程度に大破した。

中の村人は無事のようだが、白目を剥いてピクピクしている。

 

…………ふむ。 今の内に追い出して、修理しよう。 あわよくば そのまま手に入れてしまおう。

 

「取り敢えず戦闘機は減った!」

《か、管制塔より全機へ! 今がチャンスだ、爆撃機は撤退を開始しているが、爆装しているからか足が遅い。 迎撃へ向かえ!》

「了解した」

 

空を見上げる。 まだ無事なモンスターがいる。

 

クラフターは もう一度やろうかと思ったが、取り敢えず壊してしまったモンスターを連れ帰る事にしたのだった。

 

今度は柵で囲っておこう。 村人もだ。

逃げられたら困るんです。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。