皇歴2009年 ギアス嚮団
目の前にいるのは、金色の長髪の合法ショタな伯父にして秘密結社『ギアス嚮団』の嚮主である"V.V."である。
一見可愛い容姿をしているけど、全てを知ってしまった者としては恐怖しか感じない。
どうしよう。
そもそも、僕がここに来る事は結構不味いんだよ。ギアスの事がバレたらどうなるか分からない。
なぜなら僕ってギアスが自然発生?したから、その事でギアスの研究材料にされる可能性が高いんだよなぁ。
自然発生の原因は、大凡見当がついてる。
原因は、僕がデザイナーズベイビー的存在であると同時に、ギアスユーザーの両親、そして子供時代にいったギアス嚮団の紋章付きの扉で見た骸骨さん。
特に骸骨さんは、怖かった。子供だから泣く事しか出来なかったけど、お陰で母マリアンヌからは、初めての場所に行って泣いている臆病な子と認識されてしまった。
どうせ僕は怖がりですよ。
そう言う事だから、V.V.と関わるのは嫌なんだよなぁ。何もなくても嫌だけど。
「僕に用とは、何ですか?」
「うん。レレーナ、僕に隠してることあるよね」
「…何のことでしょう?」
何!?隠してる事って。まさかギアスが使えることがバレた!?
「隠し通せると思ってるの?」
やっぱりギアスの事か!確かにコードユーザーであるV.V.には、何かギアスを感じる力があるのかもしれない。
どうしよう。殺される?人体実験?絶対無理!
どうする。
「君だよね、シャルルの天然ロールをストレートにしたのは」
「…」
そっちかぁ。確かにシャルルのロールをストレートにする悪戯をしたのは事実だけど。
それでお兄ちゃんが出てくるか。
「君だよね」
「…僕です」
「どうしてそんな事するの?」
えっ!何、説教されるの?
「シャルル泣いてたよ」
あのシャルルが泣いてたの。本当に?
ちょっと見てみたかったな。
「シャルルのアイデンティティー無くしたら可哀想でしょ」
確かにあれは、シャルルのアイデンティティーかも知れないけどあれいつも朝にセットしてるんじゃないの!?天然なの!?
「人が嫌がる事したらダメだってママに教わらなかった?」
教わってないですね。
僕のママにそんな一般的な常識はございません。
と言うか、言ってる事は正しいのにすごく納得がいかない。
人体実験や人殺しをして何とも思わない人が言う事かそれ?
鏡見てから言えよ。
「何?言いたい事があるの?」
「何でもありません」
怖いよ。そんな目で見ないで、ちびりそう。
「もうしちゃ駄目だよ」
「はーい」
「…本当に分かってる?」
分かったよ、分かってるよ!
僕だって命が大事だよ!シャルルの髪型とか僕の命、比べるまでもないよ!
「勿論です!」
「まぁ、いいか。じゃぁ本題ね」
えっ!?本題、これが本題じゃないの?やっぱりギアスのこと気づいてる?
「大丈夫、怖い事はしないよ。今はね」
今は!?本当に勘弁してよ!やっぱV.V.鬼畜だわ!!
「なにを、するおつもりで?」
「少し検査をするだけだよ」
「検査?」
「うん。その検査が終わった後は、すぐ帰してあげる」
「…どんな返礼をいただけるので?」
「…君、怖がりの癖に案外図々しいんだね」
うるさい。タダ働きは、御免蒙る。
ちょっとぐらいお礼の品があってもいいだろ?
「…」
「…分かったよ。好きな物を用意してあげる」
「ありがとうございます!」
「その代わり、しっかりと検査させてもらうからね」
「身体に害がない範囲でお願いします」
流石にお礼の品を貰っても体がボロボロだったら意味が無いからね。"命大事に"をモットーに生きてますから。
「じゃぁ逝こうか」
なんか字が違う気がする!!!
やっぱこいつ僕のこと殺すつもりだろ!!!
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あれから、体の隅々まで調べられた。もうお婿に行けない。
検査の後は、少し嚮団内のギアス被験者の子供達と時間を過ごした。
ロロとかオルフェウスとかエウリア、トト、クララなんかも居た。ロロとオルフェウス、エウリアとは少し話したけど、ロロさんもう少し心開いてよ。僕が一人喋ってるみたいで、側から見たら痛い奴だと思われちゃう。
オルフェウスの「可哀想な奴」と言わんばかりの目で見られた僕の羞恥を、少しは慮って欲しかった。
因みに、オルフェウスとエウリアと話している時のクララの形相と言ったら本当に怖かった。
僕が、君に何をした?なんで嫉妬と憎悪の瞳で僕を睨んでくるんだ!
怖かったからさっさと嚮団を後にしたよ。
ブリタニア本国に帰国した時は、"黄昏の間"を通って皇宮に帰った。
黄昏の間に入った際、父シャルルと母マリアンヌが待っていた。そしてマリアンヌに手を引かれてアリエスの離宮へ帰った。
因みにV.V.から貰ったお礼の品は、"いつか僕がほしいと思ったものをくれる"という権利。シャルルの前で約束の確認をしたから破らないと思う。
…破らないよな?
その後、シャルルはV.V.と何か話している様子だったが、内容までは聞こえなかった。
「レレーナ、検査の結果はどうだった?」
マリアンヌがさっきの検査について聞いてきた。多分後でシャルルから聞くだろうから、嘘を付く必要は無い。
まぁ、僕も詳しい結果内容は聞かされていないんだけど。
「特に体に異常は無いとのことでした」
「そう。それは、良かったわ」
「はい!母上」
マリアンヌよ、もう少し安心した顔とか嬉しそうにしなよ。普段演技うまいんだから、何もなかった残念とか思わないで欲しい。
V.V.相手に生きて帰ってきた事を褒めてほしいぐらいなのに、検査結果にがっかりされるなんて。
そんなことを思いながら帰っていたら離宮に着いたようだ
「おかえり!レレーナ!!」
僕が帰って来たことに気付いたルル兄様が駆け寄って来て出迎えてくれた。ナナリーは、今お勉強中だから後で挨拶しておこう。
「レレーナ、体は大丈夫だったか?」
「はい、ルル兄様。検査の結果、特に悪い所も無いとの事でしたので大丈夫です」
「そうか、良かった。でも無理しちゃダメだぞレレーナ。何かあれば僕を頼るんだぞ」
「はい」
見たか?皆の衆。ルル兄様のこの優しさ、尊さを。今のブリタニアにこの人以上の善人は存在しないと断言してもいい程優しい御仁である。
本当にかっこいい!!!
まじ"オールハイル・ルルーシュ"!だわ。地獄の果てまで付いて行きます!ルル兄様!!!
そんな事を言っていた時期がありました。
今現在、僕がいるのは何とまたまたギアス嚮団。
何でかって?
簡単だよ。母マリアンヌが暗殺されたからだよ。その際にナナリーは、目と足を不自由にした。そしてルル兄様とナナリーは、日本へ留学と言う名の人質として送られた。なのに何故僕が此処に居るかと言うと、V.V.によってこちらに拉致されたのだ。
あの人ほんとに拉致が好きだよね。反人道的でクズ野郎じゃねーか。
全く、見た目子供だけど中身ジジイなんだから子どもばっか誘拐すんじゃ無いよあのロリコン・ショタコンが!!
失礼。
でもまぁ、生きてることに自分自身安堵してる。ナナリーは、原作通り目と足を不自由にしたけど命はある。僕も五体満足で生きてる。
僕は、日本にも送られていない。土蔵の中に押し込められてないし、戦争に巻き込まれない。
兄と妹がそんな目にあうと言うのに、巻き込まれない事に安堵してる自分は、本当に醜いなと思う。
ギアス嚮団はギアスの研究と暗殺者の育成を行なっている場所だ。いざという時は、僕のギアスを使って逃げればいい。
相手は、何処を攻撃して来るかわからない軍隊じゃ無い。
体感時間を止めるギアスと相手に命令を強制させるギアス、筋力増強ギアス、相手の体を遠隔操作するギアス、そしてギアスの効かない冷酷バケモノ…。
あれ、もしかして逃げられない?無理かな?
いやオルフェウス達が原作で逃げれたのだから行けるか?
あっ!でもあの時最終的にエウリアがプルートーンに殺されてるじゃん!!!無理無理無理。
生き残れる気がしない。どうすればいい。
温室離宮育ちの僕に石造りの小部屋に硬い布団という新居は、流石に身体に堪えるよ…。
あとがき
次回
『嚮団』
感想・評価下さいました方々有難うございます。
今後とも頑張って参りますので、よろしくお願いします。