戦姫絶唱シンフォギア ~龍を纏いし戦士~   作:Dorakuro

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デュランダルvsサファイア

 あの後、ある場所に俺と響と翼さん、そして2課の職員たちが集まっていた。今からデュランダルという完全聖遺物の移送任務のための会議が行われていた。

 

「私立リディアン音楽院高等科。つまり、特異災害対策機動部二課、本部を中心に頻発しているノイズ発生の事例から……その狙いは本部最奥区画アビスに厳重保管されているサクリストD、デュランダルの強奪目的と政府は結論づけました」

 

 了子さんがデュランダルの説明をする。そしてモニターには厳重そうなカプセルに入った剣の形をしたものが映し出されていた。どうやらあれがデュランダルらしい。

 

「デュランダル......」

 

「へぇ~あれが.......」

 

「EU連合が経済破綻した際、不良債権の一部肩代わりを条件に、日本政府が管理・保管する事になった、数少ない完全聖遺物のひとつ」

 

「今回はこのデュランダルを移送するための任務だ」

 

「移送するったって、何処にですか?ここ以上の防衛システムなんて......」

 

 と響の隣にいた藤尭さんが意見を言い出した。

 

「永田町最深部の特別電算室。通称『記憶の遺跡』。そこならば、という事だ」

 

 その意見に対し、前にいた弦十郎さんが答える。

 

「どのみち、俺達が木っ端役人である以上、お上の意向には逆らえないさ」

 

「デュランダルの予定移送日時は、明朝0500。詳細はこのメモリーチップに記載されています.......」

 

 この後も任務のための説明が続き、やっと会議が終わった。

 その後、了子さんは司令室のコンピュータからアームを操作してアビスに保管してあるデュランダルを運び出していた。その作業のモニターを眺めている俺と響。

 

「あそこがアビスですか」

 

「そう。東京スカイタワー3本分、地下1800mにあるのよ」

 

「はぁ......」

 

「1800mって結構深いところに保管してたんですね.......」

 

「そうね.......はい、じゃあ予定の時間まで休んでなさい。あなたたちのお仕事はそれからよ」

 

「「はい!!」」

 

 その後、俺と響は一旦寮に戻り、任務ための準備をする。俺はまずシャワーを浴びて再び制服に着替え、デッキケースの中のカードを整理する。いつも使っているボルシャック・ドラゴンやボルメテウス・ホワイト・ドラゴン、バルキリー・ドラゴンなどのカードがあることを確認してデッキケースに直していると

 

「そうだ」

 

 俺は財布から今日カードショップで買った一枚のカードを取り出す。

 

「.......念のため持っていくか」

 

 そう呟き、デッキケースにそのカードも入れる。そしてバックを手に持ち、部屋を出る。

 

 

 

 

 

 

 翌日の夜明け前、学院の前には俺と響を含め、2課の人たちが並んでいた。

 

「防衛大臣殺人犯を検挙する名目で、検問を配備。記憶の遺跡まで、一気に駆け抜ける」

 

「名付けて、『天下の往来独り占め作戦』!!」

 

 そして計五台の車が発進し、夜が明けた時には橋を渡っていた。デュランダルは了子さんの車にあるため、前後左右に黒塗りの車が護衛するように走行していた。響と翼さんは了子さんの車に乗っている。俺はというと、本来ならば了子さんの車に乗るはずだが、昨日のことがあったため弦十郎さんとともにヘリに乗り、上空から下の様子を見ていた。

 車が橋の中間地点に差し掛かった時だった。突然、車の前方の道路が崩れた。その時、1台が橋から転落し爆発した。

 

「敵襲だ!まだ目視で確認出来ていないが、ノイズだろう!」

 

『この展開、想定していたよりも早いかも!!』

 

 弦十郎さんと了子さんが通信で話していると下水道から間欠泉のように水が勢いよく湧き出し、後方の1台が空中に打ち上げられた。

 

「下水道だ!!ノイズは下水道を使って攻撃してきている!!」

 

 今度は前方の車が打ち上げられ、了子さんの車に向かって落下していたが、なんとか回避していた。

 

『弦十郎君、このままだとマズイんじゃない?この先にある薬品工場で爆発でも起きたら.......』

 

 と了子さんが言う。なにがヤバいのかというと、そのルートの先には薬品工場があったからだ。

 

「分かっている。ノイズが護送車を的確に狙い撃ちしてくるのは、デュランダルを損壊させないよう制御されているとみえる。狙いがデュランダルの確保なら、敢えて危険な地域に乗り込み、攻めの手を封じるって算段だ」

 

『勝算は?』

 

「思い付きを数字で語れるものかよ!!」

 

『了解。弦十郎くんを信じてあげるわ!!』

 

 了子さんの車はそのまま薬品工場の敷地へ突っ込んでいった。するとタイヤがパイプに当たり、車がひっくり返った。なんとか響たちが車から脱出するのが見えたが、ノイズが襲ってき了子さんの車が爆発し、響たちの状況が見えなくなり、俺は心配になった。

 

「何も見えん」

 

「弦十郎さん.......俺、行きます」

 

「だが、下の状況がどうなっているのか分からない。このまま行くのは危険だ」

 

「でもあそこにいる響たちが心配です。ここでじっとしていられません!!」

 

「.......分かった。だが、亮君も気を付けたまえ」

 

「了解!!」

 

 弦十郎さんから出動の許可をもらい、ヘリから飛び降りる。

 

「龍装!!」

 

 俺は空中で鎧を装着する。今回はボルシャック・ドラゴンの鎧を選び、纏った。背中の翼を使って降下する。降下しながら下の様子を見ると、大量のノイズに立ち向かっている響とネフシュタンの少女と戦っている翼さんを確認できた。

 まず、ノイズを殲滅することに決めた俺は響の方に向かった。

 

 

 

 現在、響はノイズと戦っている。日々の修業のおかげか、前より落ち着いて戦えるようになっている。しかし、ノイズの数が多いため、一体ずつ倒していっても一向に減る気がしなかった。そんな中、アームドギアが使えればと彼女が思っていた時だった。

 

「トルネードフレーム!!」

 

 上空から声と共に炎の渦がやってきてノイズたちを飲み込んだ。顔を上に向けると、空中には鎧を纏った亮が翼を広げ、彼女の前に着地した。

 

「亮君!!」

 

「大丈夫か、響?」

 

「うん、大丈夫。この前の私とは違うからね」

 

「なら良かった......さて、響。俺は翼さんのところに助太刀しに行くから、ノイズ共は頼んだ」

 

「分かった。ここは私に任せて!!」

 

 そして俺は翼さんの元へ向かう。一方、翼さんはネフシュタンの少女と交戦していた。この間のように苦戦はしなかったもののやや押されていた。

 

「今度こそネフシュタンを返してもらうぞ」

 

「へっ、やれるもんならやってみやがれってんだ」

 

 両者一歩も引かず、お互いの武器がぶつかり合っていた。しかし、彼女の剣が思いっきり弾かれ、胴体がガラ空きになってしまった。

 

「おらよ!!」

 

 少女はその隙を逃さず、すぐに攻撃する。しかし、攻撃が当たる直前で俺は翼の前に立ち、ボルシャッククローでその一撃を防いだ。

 

「何!?」

 

「ふぅ~、翼さん大丈夫ですか?」

 

「すまない。おかげで助かった」

 

「ちっ、邪魔が入りやがった.......」

 

「朱崎、すまないが、手を貸してくれないか?」

 

「分かりました」

 

 俺と翼さんはそれぞれの剣を少女に向ける。その時だった。突然、視界の端から凄まじい光が輝いていることに気付き、その方向を見る。すると、ケースの中に入っていたデュランダルが光を放ちながら空中に浮いていた。

 

「あれは!?」

 

「デュランダルが起動している!!」

 

「こいつが、デュランダル.......」

 

 二人ともデュランダルに気がいっていると、少女はデュランダルに向かって飛び出した。

 

「渡すものかぁぁぁ!!」

 

 少女が掴もうとすると響が少女に体当たりし、奪われるのを阻止する。そして響がデュランダルを掴んだ。するとデュランダルの輝きがさらに増し、響の様子が次第におかしくなっていった。

 

「うがぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 響の目は赤くなり、獣のような雄叫びを上げる。

 

「こいつ、何をしやがった?」

 

「響!!」

 

 俺は必死に声を掛けるが、響は微塵も反応しなかった。

 

「ちっ、あれを掴んだせいで自我を失ってしまったのか.......なら、デュランダルを響から引き離せばいいだけだ」

 

 そう判断した俺は響の前まで飛んで近づき、デュランダルの柄の部分を掴んだ。このまま引き離そうとした時だった。

 デュランダルから黒いものが俺を包み込むかのように腕から侵食していく。

 

「な、なんだよこれ.......」

 

 その様子に恐怖を感じた。力を振り絞ってデュランダルを手離そうとしたその時だった。

 

「!!」

 

 黒いものが肩まで侵食した時、俺の頭の中であるものがフラッシュバックされる。それは黒いドラゴンだった。背中から大剣が刺さっており、首や前足首など所々に鎖で拘束されていた。さらには、心の奥底から負の感情が湧き上がってくる感じがした。

 俺は慌ててデュランダルから手を離し、地上に降りる。その後、腕を見ると黒いものは消えていた。

 

「何だったんだ今の?」

 

「大丈夫か、朱崎?」

 

 と翼さんが俺の元に来る。

 

「はい」

 

「それより、立花はどうしたというのだ?」

 

「分かりません.......でも、確かなことは響はデュランダルを手にしたことで暴走してしまったようです。いくら声を掛けても反応しないでしょう」

 

「では、どうすれば」

 

「さっきは直接引き離そうとしましたが、それだと俺たちが今の響みたいに暴走する可能性が高いです」

 

「ということはつまり.......」

 

「直接的ではなく間接的に、遠距離の武器で引き離した方がいいかもしれません。だから俺にやらせてください」

 

「分かったわ.......立花のことは朱崎に任せる。その間、私は奴を抑えておく」

 

「お願いします」

 

 翼さんは少女のところへ向かった。俺は武器をボルメテウス砲に変え、それを響が持っているデュランダルに向ける。

 一方、理性を失っている響はデュランダルを天に掲げ、今にも振り下ろそうとしている。

ここは何かしらの薬品を扱っている工場。もし、響がデュランダルを振り下ろせば、工場の被害は尋常なものになるだろう。それはなんとしても防ぎたかった。

 ボルメテウス砲にエネルギーが溜まり、ボルメテウスホワイトフレアを放つ。

 放ったエネルギーは一直線に響の方に向かっていき、持っているデュランダルに命中する。デュランダルが振り下ろされるのは防いだものの、パワーが足りなかったのか響の手からデュランダルは離れなかった。

 

「ちっ!!」

 

 俺はうまくいかなかったことに舌打ちをした。すると、響は俺の方を向く。

 

「マズイな。でもどうすれば.......ボルメテウスはパワー不足で駄目だったし、バルキリーアローはもっと駄目だし.......っていっても遠距離攻撃が出来るのはこれぐらいだし」

 

 俺はその時、少し絶望しかけた。

 

「そうだ!!」

 

 俺は鎧を解除し、デッキケースから一枚のカードを素早く取り出す。

 

「これならいけるんじゃないか?」

 

 取り出したのは昨日、ショップで買ったカードだった。そのため実際に戦闘で使うことはこれが初めてだった。姿がボルメテウスに似ており、カード自体もボルメテウスより遥かに強力な効果を持っていたためもしやと思ったのだ。

 

 そのドラゴンの名は《ボルメテウス・サファイア・ドラゴン》

 

「使うの初めてだが、やってみる価値はあるな」

 

 そして響の方へ向くと、響は再びデュランダルを天に掲げていた。それを見て止めてみせるという意思がさらに強くなる。

 

「は~.......龍装!!」

 

 俺は深呼吸して叫び、鎧を装着する。纏った鎧はボルメテウス・ホワイト・ドラゴンとほぼ似ているが、白の部分が赤色に、武器がより重武装になっていた。

 装着の完了後、背中に武装していた武器を右腕に装着し、左手で武器の下を持ちながらデュランダルに狙いを定める。

 そして武器の銃口にエネルギーを溜める。響の方もエネルギーが溢れ出ているデュランダルを振り下ろしていた。

 

「いっけぇぇぇ!!」

 

「うがぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 エネルギーが最大値に達したところで掛け声と共にトリガーを引く。だが、エネルギーの威力が大きかったのか、引いた瞬間に反動で後ろに飛ばされそうになった。俺は吹き飛ばされないように足の踏ん張りを利かせ、なんとかそこに留まっている状態だった。

 その後、放ったエネルギーは一直線に振り下ろされているデュランダルに向っていき、お互いのエネルギーがぶつかり合う。

 ほぼ互角だったが、一瞬でも出力を落とせば、こっちが押されてやられてしまう。さらにはなんとか踏ん張っている足も長く保ってはいられなかった。

 

「ま.......負けるかよっ!!」

 

 俺は吹っ飛ばされるのを覚悟して出力をさらに上げる。すると、足場のコンクリートが凹む。

 徐々にデュランダルを押していったが、その途中、二つのエネルギーの衝突により爆発が起こった。俺はその時に発生した爆風で遠くまで吹き飛ばされ壁に激突する。

 

「がっ.......」

 

 背を向けて壁に強くぶつかったが、幸い鎧を装着していたため、背中を強打することは逃れた。

視線をさっきまで自分がいたところに向けると無惨なことになっていた。工場にあったタンクが全て爆発し、現場は廃墟と化していた。

 

「やっぱり、こういうのはぶっつけ本番はしないほうがいいか。体がもたなくなる」

 

 頭に手を乗せながら言う。使ったことがないカードやボルバルザークのような代償のあるものは特訓やシミュレーションを通して特徴や能力を把握しておいた方がいいと思った。

 

「そうだ、響は.......響はどうなったんだ?」

 

 俺は先程デュランダルを握り、先ほど暴走していた響のことが気になり、鎧を解除してゆっくりと歩き出す。

 やっとのことで現場に到着すると、そこには了子さんと翼さん、そしてデュランダルを握ったまま倒れている響がいた。

 

「響.......」

 

 彼女の名前を呟き、倒れている彼女のところへ近寄る。

 

「すぅ~」

 

 顔を見ると微かに息をしていた。どうやら彼女は気を失っているだけのようだ。

 

「ふっ......本当に世話を焼かせる幼馴染だな」

 

 俺は一瞬笑ってしまった。

 

「ん~......」

 

「気が付いたか立花」

 

「翼さん、それに亮君?」

 

 響は上体を起こし、自分の周囲を見渡す。

 

「えっ、これは一体......」

 

「これがデュランダル。あなたの歌声で起動した完全聖遺物よ」

 

 了子さんがこの惨状になった理由を説明する。

 

「あ、あの私......了子さんのあれ......」

 

「あれ?」

 

「いいじゃないのそんなこと。皆助かったんだし、ねっ♪」

 

 その後、了子さんは白衣から携帯を取り出し、俺たちから少し離れたところで通話を始めた。

 俺はさっき響が言葉にしたあれがずっと引っかかっていた。おそらく、俺が駆けつける前に何かあったのだろう。今度、響から聞いてみようと思った。

 

「そういえば、翼さん。ネフシュタンの子はどうしました?」

 

「あぁ、今回も取り逃がしてしまったようだ。二人が気を失っている時に去ったのだろう」

 

「そうですか......」

 

 




どうもお久しぶりです。
学業で忙しく、なかなか投稿できないDorakuroです。
今回の話ではボルサファが登場!!設定とか考えるのに苦労しました。
それとちらっと出たドラゴンとは一体?
勘の良い人ならすぐ分かるでしょう。
今後も続々と出てくる予定なので楽しみにしていてください。
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