「此方、スネーク」
『スネーク。久々に連絡寄越して来たわね。何処ぞの火山で炭鉱夫でもやっているのかと思っていたわ』
「おい、俺は炭鉱作業員じゃ無いぞ?火山で炭鉱だなんて……危険極まりないだろう?」
『貴方ならば平然と生還して居そうだけれどね。で?今度はどうしたと言うの?』
「パラメディック、遂に、遂に漸く念願のヘビの
『……捕まえただけで其処まで喜ぶのは貴方位ね。子供がカブトムシを捕まえた時の喜びよう……理解したくは無いわね』
「で、味は?美味いのか?美味いんだろう?美味いよなッ⁉︎」
『……もはや禁断症状ね。どれだけ蛇が食べたいのよ、貴方は……‼︎』
「最近はロクなモノを食べて居ないからなッ‼︎ 漸く美味そうな蛇の
『それは貴方が見境なく何でも食べまくるからでしょう?自業自得よ、自業自得。変なモノを食べ過ぎて脳細胞の大半が昇天しちゃったんじゃないのかしら?』
「で?味は」
『……皮肉を堂々と無視するとはね。分かった、分かりました。何時も通り資料を引っ張ってくるから少し待ってなさい』
「ああ」
『お待たせ。えーと、スネークが今回
「何だ、そんな落胆そうな声をして……真っ赤に染まった派手な蛇だろう?で、味は?」
『……貴方、本当は脳細胞全滅して食欲全開の細胞しか残って居ないんじゃないのかしら?イビルジョーとかドローミとかの細胞に変化しているんじゃない?』
「俺は人間だッ‼︎」
『とても、そうは見えないだけど……当たり前のように食用に適さないメルヒェンを喰らおうとする人を同族と見たくは無いわ』
「何故、其処まで言われなくちゃ行けないんだ……。数十分前に見かけた、銀髪の少年は素手で抉り取って食べて居たんだがなぁ……美味そうに食ってたから、食いたくなるじゃないか」
『……幻覚、幻聴、残像の一種よ。一応、解説するとコウリュウヲンは中型のメルヒェンに該当して生息数は然程多くは無いみたいね。たた、前も言った気がするけれど……味の方は期待しない方が良いわよ。貴方がそれ以上、馬鹿になると手の施しようが無くなるから』
「おいおい、幾らなんでも酷過ぎないか?」
『……其れ程までに深刻なのよ。貴方の、頭が‼︎』
「……大丈夫、俺の頭は正常だ。で、味は?」
『は?』
「だから味……」
『貴方、やっぱり頭のレントゲン及び精密検査と胃の洗浄及び、胃カメラを行った方が良いわよ?第一、メルヒェンは食べられたモノじゃ』
「食ったら美味いかも知れないだろう?何せ、蛇だからな‼︎ 確かにミルクヘビは余り美味く無かったが……実際に実食している奴が目の前に居たんだ、少なくとも食えるのは間違いないだろう‼︎ 後は味の問題だけだ‼︎」
『……もう、勝手にして』
——では、早速。
「……甘ッ⁉︎」
——甘過ぎるッ⁉︎ 蛇の見た目の癖に甘いとはどう言う了見だ‼︎ 取り敢えず食えない事は無い。
『コウリュウヲン』
過去に食べたベイカーマン以上に甘かった。アレは見た目がお菓子だったから分かるが、今回はまるで理解出来ん。後、口の中が血だらけになった……針が刺さったか?
『コウリュウヲン』
『神獄塔メアリスケルター Finale』に登場する
宙に浮き塒を巻いた蛇のような姿をしている。頭部が異常にデカく正面から見ると菱形っぽい。特にコレと言った特徴は余り無いが異常に出現率が低い気がする……気の所為だと思いたい。そして依頼にはこの個体の討伐が含まれている。出ない人は出て来ない……変な所で物欲センサーに引っかかっている。
多分、壁の穴から矢鱈と人間の血飛沫が噴き出しているから、それを浴びまくった結果赤くなっただけ、なのかも知れないけれど……。