が、自重はするが、出さないとは言ってない。
メインでは使いませんが、いずれは出てきます。
言い訳するなら、あいつら強過ぎて出したら無双しちゃうんだよ。
改めて言うが、別に俺は
バトル自体は面白いし好きではあるが、ポケモンリーグとか割りとどうでも良いのだ。
……だから、バッジを求めてジム戦をする理由なんてない。
俺は今日ツツジに付いて来ただけだ。
というかそもそも
……なのにどうしてこうなった?
さぁ、君もゼンリョクバトルだ! みたいなこの雰囲気。
ここはアローラか?
まぁ仕方ない、この空気をぶち壊すのは流石に出来ないし、やるしかねぇか。
「やろうか、エルフーン。」
「行くぞ!
あれぇー!?
あんた、いやこれあんた!
やっぱりこっちが本命のエースだよねぇ!?
だって明らかにこれカイリキーより百戦錬磨感出てるもの!
逆でしょ!?
普通ツツジにこっち出すべきだろ!?
くっそ、ハリテヤマなら先ず警戒すべきは___
「先手必勝“ねこだまし”!」
ですよね!
「エルフーン!
技でも何でもないが、実際これが一番有効なんだ。
本当なら“まもる”を使えたら良かったんだけど、残念ながらまだ覚えてない。
“ねこだまし”は威力こそ低いが、厄介な事に先制技で確実に相手を怯ませるから面倒だ。
この世界で怯みは前世よりも凶悪だ。
ターンバトルではないこの世界では、一度怯むと5~10秒はポケモンが動けなくなってしまう。
そしてそれだけの時間があれば、1つや2つ、トレーナーとポケモンの力量次第で技を放てる。
だから先制技で避け辛い“ねこだまし”は敢えて何もせずに覚悟して技を受けて、なるべく怯み時間を短く済ませた方が良い。
そうすれば怯み時間は3~4秒で済む。
避けようとしたり迎撃しようとして失敗して、むざむざと10秒怯みましたー、なんて事になったらそれだけで決着に至ることもあり得る。
いや、マジで汚いわ。
アルセウス仕事しろよ、改善を要求する。
「良い判断だ! しかし、今のうちに“ビルドアップ”だハリテヤマ!」
流石は一流トレーナー僅か3~4秒の怯みでも技を繰り出してきたか。
しかも積み技、確実に殺しに来てますねこれ。
ま、問題ねぇけど!
物理アタッカーじゃ相性が最悪でもない限りエルフーンにゃ勝てんよ!
「エルフーン、“コットンガード”。」
ボフッと言う音と共に、エルフーンがモコモコになり物理防御力が3段階上昇する。
「何っ!不味い、ハリテヤマ___」
「エルフーン、“あまえる”。」
「___“あてみなげ” っ! しまった!」
これぞツツジを完封した害悪コンボよ。
物理メインのポケモンじゃどうにもならんよ。
特性の【いたずらごころ】で補助技の出が速い所に、わざわざ後攻技となる“あてみなげ”を使ってくれたのだ。
2段階___ビルドアップ分を差し引いて実質1段階物理攻撃力が下がったハリテヤマはエルフーンに大したダメージを与えられない。
「くっ! 距離を取ってもう一回“ビルドアップ”だ!」
「だったら“しびれごな”を喰らわしてやれ。」
積み技の邪魔?
しないしない。
相手が攻撃喰らう覚悟で積み技使うなら、存分に命中率に不安のある補助技を叩きこめば良いんだよ。
ハリテヤマが筋肉をグッと脹らませて能力を上昇させてる間に、エルフーンが“しびれごな”を撒く。
「次は麻痺か! 動けるかハリテヤマ!? 行くぞ! “インファイト”!」
ハリテヤマは麻痺のせいで動きが鈍く、遅くなっている。
ゲームの様に素早さ半減とはいかないがな。
まぁこのスピードならエルフーンに避けるよう指示も出せるが___
「エルフーン、耐えて“やどりぎのタネ”。」
ハリテヤマがエルフーンのモコモコを連打している最中に“やどりぎのタネ”を植え付ける。
「そして初御披露目と行こう、“どくどく”!」
何度も言うが、この世界はゲームじゃない。
だから、
当たり前だ。
麻痺してたら毒にならない?
現実でそんなことはないんだよ。
「……君は悪魔か?……降参だ。」
麻痺になり、やどりぎを植え付けられ、猛毒状態になったハリテヤマを見て、トウキは勝ち目無しと判断し降参した。
ただし、現時点ではハリテヤマよりもエルフーンの方がダメージは喰らってるけどな。
面白いよな、ダメージが殆ど無い方が敗けを認めるんだから。
「……つくづく、ポケモンバトルは攻撃技が全てじゃないって、思い知らされたな。」
トウキはハリテヤマをボールに戻しながらそう呟く。
「今回は相性の問題でしょう。 うちのエルフーンは対物理に強いですから。」
「成る程、ちなみに君だったら俺のハリテヤマをこれからどうする?」
……あれ?
これアドバイス求められている?
普通逆じゃね?
「んー、まぁトウキさんのハリテヤマ、真っ向勝負に強そうなのをヒシヒシと感じたんで、俺だったら搦め手だったりサブウェポンになる技が欲しいですかね? “アイアンヘッド”や“どくづき”とかの技があったら流石にヤバかったと思います。」
うん、“どくづき”は特にヤベェな。
エルフーンの4倍弱点だ、下手したら一撃もあり得る。
「オーケー、その事、良く覚えておく。」
適当な発言だから真面目に捉えなくても良いのに。
そう俺とトウキさんがバトルを振り返りながら話していると、ツツジもこちらへとやって来た。
「……やっぱり、どう見ても性格の悪い戦い方ですわ。 外から観ていて確信しましたわ。」
「人聞きの悪い事言うなよ。 せめて立ち回りが上手いと言ってくれ。」
くそぅ、やっぱ害悪スタイルは評判悪いな。
「ハハハ! でもジムリーダーの俺が言うのも何だが、ソースケの戦い方は勉強になったぜ!」
……ありがたい発言だが、性格の悪いうんぬんを否定してくれないので、トウキさんも内心ツツジに賛同してるでしょ。
あんたらなぁ、【いたずらごころ】のエルフーンに真っ正面から殴り合えとでも言いたいのか?
エルフーンの良さ全否定の戦闘とか嫌だぞ俺。
「さてと俺に勝った証として、このナックルバッジを2人には進呈しよう。」
……まぁ貰える物は貰っておこう。
この世界じゃバッジを所有したところで特典がある訳じゃないけど、だからって拒否する理由にもならんし。
「ありがとうございます。」
「ありがとうございますの。」
「あぁ、2人ならいつでもムロジムに来てくれていいぜ! またバトルしよう! 次は負けないぜ?」
トウキはやっぱり爽やかな青年だ。
俺だったらあんな害悪プレイされたら出禁ものだぞ。
……自分でも性格悪いってわかってるんだよなぁ。
「次までに、“アイアンヘッド“も”どくづき”も覚えておくぜ。」
俺にニヤリと笑ったトウキはリベンジする気満々だった。
成る程、ジムリーダーが再戦する度に強くなるのはこういう訳か。
……んな訳ねぇか。
暫くはムロジムに来ない事を(俺だけ)心に決めて、俺とツツジ無事に最初のジム戦を終えるのだった。