この話から気付いた人は前の話を読んで下さい。
俺の評価を大きく下げたジム戦を終え、俺とツツジは翌日にフエンタウンを去った。
……やっぱり炎タイプは鬼門だったぜ。
アスナのおへそを見ていたらツツジにシラッとした目で見られ、バトルをしたらゴミを見る目で見られ、しまいには本人に目の敵にされたからなぁ。
……良い思い出が___いや、ここに来るまではツツジとの自転車デートが……疲れたけど楽しかったし、温泉は気持ち良かったし、何よりリリーラが孵ったからプラマイで言えばプラスだな。
また来たいが、アスナに見つかったら絡まれるかもしれないから、暫くは来れないな。
元四天王とかいうアスナのお祖父様、お孫さんを泣かせてしまったのは申し訳ありませんが、どうか私を恨まないで下さい。
俺はえんとつやまのロープウェイに乗りながら、フエンタウンに向かって、ナムナムと念を送るのだった。
元四天王とかいう化け物にまで目を付けられたくないからな。
「それで、帰りはどうする? キンセツシティに寄ろうか?」
今回の俺達のお泊まりデートの目的は、温泉にてタマゴを暖める事とジム戦だったので、フエンタウンに来る時は通り道のキンセツシティをスルーして来たのだ。
けどタマゴは無事孵ったし、ジム戦も(一応)勝ったし、本来予定してた日数は過ぎているしで、今からキンセツシティで更にお泊まり&ジム戦しても良い気がしてきた訳だ。
「う~ん、それも良いですわね。……いえしかし、スクールを何日も休む訳には……う~ん。」
ぶっちゃけ俺はスクールなんてどうでも良いんだけどな。
ツツジがそこに居るからまだ通っているだけだし。
ってか、平日はスクールに通うなんて彼女が言うから週末のスケジュールが最近は大変なんだし。
実際にフエンタウンを1泊2日で計画してたのも無茶だったと思い知らされたばっかだ。
自転車は確かに楽だけど、流石に丸1日ぶっ通しは疲れたわ。
帰りは楽したい。
キンセツシティをクッションにしてもっと悠々と帰りたい。
「今週はもうジム戦ウィークで良いんじゃないか?……カナズミにどうしても帰りたいなら良いけどさ。」
「……ソースケもジムで戦うのでしたら、キンセツシティで滞留しても良いですわよ。」
「……君ね、俺が戦ったらゴミを見る目で見といて良く言うよ。」
確かにやり過ぎたとは思いますますよ?
害悪スタイルに批判が殺到するのは、よ~くわかる。
俺だって前世で経験あるからね。
天恵キッスのまひるみ戦法には泣かされたよそりゃ。
わかっててやってるよ。
けど、批判されて傷つかない訳じゃないんだぜ?
まぁそれでもやるけど。
好きなポケモンで勝つ為なら、俺はやる。
でも戦う必要がないなら戦わなくても良いと思うな俺は。
「確かにアレは酷かったですわ。 ソースケの戦い方はきっと大多数のトレーナーの敵でしょう。……毎度相手をしている私も、ソースケを倒すべく考えを巡らせておりますわ。」
害悪ですいません。
「ですが貴方の戦い方はともかく、……貴方は、___貴方自身は、普段の姿よりもバトルをしている時の方がカッコいいですし、私は好きですわよ?」
……………。
…………。
………。
……。
…。
「……やる。 ジム戦やるよ。」
結局、男ってのは単純なんだ。
好きな女の子にカッコいいとか好きとか言われたら、何だってやろうって思っちゃうんだよ。
待ってろテッセン、俺の害悪スタイルが再び火を吹くぜ!
_____
そんな訳でキンセツシティに来た俺達は、一先ずポケセンで宿泊手続きをした後に、早速キンセツジムへとやって来たのだ。
別に今日戦うつもりじゃない。
いってしまえば予約を入れに来たのだ。
明日戦えませんかー?って感じにな。
トウカジムの一件はホント約束の大切さを教えてくれました。
それで今はツツジがテッセンと交渉している。
テッセンの見た目は丸々太った気の良いおっさんって感じだ。
髪の毛は___あれはそういうヘアースタイルって事なのか?
モヒカンと言えばモヒカンかな?
その割りに髭はビッシリモッサリしてるけど。
……確か、曖昧な記憶だが、この人この見た目で、若くて綺麗なエリートトレーナーの奥さんがいるんだよな。
いや、ニコニコ笑ってすっごい良い人そうなのは伝わってくるけど、……大変失礼だが、マジか。
現実ってわっかんなぇなぁ。
俺がうーむと考えていたら、ジムトレーナーが慌ててテッセンの所へとやって来た。
「テ、テッセンさん! またあいつが暴れ始めました!」
「わっはっはぁ。……またか、全く、本人はいたずらのつもりなんだろうがなぁ___」
困ったものだ、という雰囲気を出してテッセンはツツジに断りを入れて席を外す。
こんなイベント気にならない訳ないじゃないか。
俺はツツジにばれない様にこっそりテッセンの後をつけて、何が起こったのかを確認する。
そしたら、バトルコートの所で
「そうかロトムか!」
あ、やべつい大きな声出ちゃった。
「ん? 君は確か、ソースケ君。 ついて来てしまったのか、いや構わないさ、わっはっは!」
「す、すいません。」
「君の言う通り、あのなまいきなロトムが暴れて危ないから、下がっていなさい。」
俺は素直に下がれば良い所、つい自分から提案を出してしまった。
「手伝いましょうか? 俺ならあいつを抑えられますよ?」
「ほほぅ? では頼んでみようか。」
テッセンは俺の言葉にニヤリと笑って、了承する。
……何でこんな事を提案したのか。
ま、試したくなったのだ。
【よびみず】のリリーラであるならば、ウォッシュロトムを完封出来るんじゃないか、とな。
まだリリーラを鍛えて日が浅い。
ってか、キンセツに来る途中で少し野生とバトルさせた程度だ。
だからリリーラはあくまで水受け要員。
エルフーンできっちり詰めれば良い。
俺はバトルコートにリリーラとエルフーンを出して、指示を出す。
「エルフーン、“ギガドレイン”。 リリーラは水技が来たら吸ってくれ!……電気技は頑張って耐えろ。」
……効果いまひとつだし、多分大丈夫。
ロトムの力量次第じゃちょっとアレだが。
ちなみに、補助技は今回はなるべく使わないつもりだ。
テッセンが見てるしな。
補助技メインなのがバレるのは後日のジム戦の事考えれば良くないし。
さて、どうなるかとバトルコートを観察すると、案の定ロトムはエルフーンに対して水技___“ハイドロポンプ”を放ち、見事にリリーラに吸われていた。
ナイスナイス!
はぁ!?
ってな感じで驚くロトムを他所に、エルフーンがロトムに“ギガドレイン”をぶち当て、体力を吸う。
ロトムは慌てて、更に“ハイドロポンプ”を放つが、それも全てリリーラに吸われる。
【よびみず】リリーラ来ましたわー。
これミクリ戦勝ったな。
なんて事を考えいると、エルフーンがロトムの体力を吸いきり、ロトムは目を回して倒れた。
「うむ、お見事! わっはっは! これだけで十分バッジを与えるに足る強さを見れたぞ!」
「ありがとうございます。 けど、ツツジから聞いていると思いますが、俺達はテッセンさんと本気でバトルをしたいんですよ。」
「うむうむ、聞いておる。 強いジムリーダーを目指しているとな! だがソースケ君は違うのだろう?」
せやな。
「ま、成り行きと言いますか、……幼なじみに負けない為にも強くありたいとは思ってます。」
「わっはっは! 成る程成る程!」
若干ニヤニヤしてるから、俺の惚れた腫れたは見抜かれてるな。
くっそ恥ずかしいわ。
「ふーむ、しかしツツジ君とはともかく、君とただ全力でバトルするだけってのは面白くないな。」
「……そうですかね?」
「うむ、……!」
テッセンは何かを思いつき、指パッチンした。
……何か色々元気なおっさんだな。
「ソースケ君! 君あのロトムを貰う気はないかね!?」
「え?」
「そうだ、君は草タイプの専門なんだろう? あの子をカットロトムとして使う気はないかね? そして2日後、カットロトムを使ってバトルするってのはどうだ!?」
「いいいいい、良いんですか!?」
マジで!
欲しい欲しい!
カットロトム来たー!!!
俺このおっさん大好きだ!
3匹目
カットロトムだ。
やったねアタッカーだよ!
(ただしプレイスタイルは未だ未知数)