改めて俺達はテッセンのおやっさんと話し合い、俺とツツジは2日後にジム戦をする事を約束した。
そして俺はおやっさんからカットロトムが入ったボールを受け取り、こいつをよろしく頼むとお願いされた。
物理的に太っ腹なおやっさんは精神的にも太っ腹で、ロトムが宿る芝刈機ごと俺に譲るとの事だ。
鋼タイプに続いて電気タイプも大好きになったぞ俺。
「これでソースケは3匹目ですか。 先を越されましたわね。」
「別に勝負じゃないんだし、気にする事はないだろ。」
岩タイプには優秀なポケモンが多いから焦る必要はないと思うぞ。
それに今の所、ツツジは水の一貫がキツイから、受け要員として俺はサニーゴをオススメしたい。
何より可愛いし。
見た目を気にしない場合はツボツボが最高だぞ。
圧倒的耐久によるスーパー害悪タイムとか出来るぞ。
……それは完全に俺の趣味だな。
ま、彼女のポケモンについては彼女自身が考えれば良いさ。
俺は自分のポケモンについて考えなくちゃな。
俺はモンスターボールからロトムを出して挨拶する。
「よ、さっき振りだな。」
ロトムはボールから出てキョロキョロした後に、俺を見てあぁん?とガンを飛ばしてくる。
……成る程、随分となまいきな奴だ。
「今から俺がお前の主人になるが、良いか?」
俺がそう言うと、ロトムは悩んだ末に渋々頷いた。
一応は俺に倒されたから仕方なくって事なんだろうな。
ゲーム的に言うと、なつき度が低いって事だろう。
これから仲良くするしかないか。
しかしジム戦は2日後だ、悠長にコミュニケーションを取っている暇はない。
絶体に勝ちたいとまでは思わないが、おやっさんに恥ずかしい所は見せたくない。
預けて良かったと思わせる様なバトルをしないとな。
その為にはロトムに俺を信頼して貰いたい。
細かい立ち回りは仕方ないにしても、指示を出したらちゃんと言う事を聞く程度には信頼関係を結びたいものだ。
何はともあれ、先ずは実戦あるのみだ
俺はツツジと別れて、キンセツシティの外でロトムと共にバトルをする事にしてみた。
そして野生のポケモンや、外にいたトレーナーと何度かバトルをした。
ちなみに、キンセツシティに来る時はこの外のトレーナー達の事は無視して自転車で走り抜けている。
「あ!今目があったy___」
まぁ、こんな感じで話かけられても無視して、すぃーっと通り抜けたのだ。
ツツジは若干申し訳なさそうにしてたかな?
それはさておき___
バトルをして判明したのは、ロトムが俺のスタイルに合致しているって事だった。
種族としてのイタズラ好きなだけでなく、元がゴーストタイプを有しているので、
しかも期待していた高威力の技も使える。
……強いて問題があるとするなら、こいつ草技は“リーフストーム”しか使えない事かな。
見た目も草タイプ感無いけど、実際中身も草タイプ感無いわ。
ま、全然気にならないけど。
可愛いポケモンはそれだけで赦せる。
カットロトム可愛いじゃん。
そして、今日1日だけでも結構仲良くなれたと思う。
俺の戦法が本人にもツボなのか、バトルに協力的だ。
……何よりこいつ、エルフーンに懐きやがった。
そりゃ【いたずらごころ】のエルフーンだ。
イタズラっ子のロトムには憧れだよなぁ。
今では『流石っす先輩!』と言わんばかりにエルフーンの太鼓持ちをして、エルフーンが
……大丈夫。
害悪度は増したが、ちゃんと火力は手に入れた。
重要なのは火力を出せるという選択肢が増えた事だ。
……色んな意味で、戦術の幅は広がった。
_____
そんなこんなで2日が経ち、ジム戦の日がやって来た。
今はツツジがおやっさんと戦っている。
岩・フェアリータイプと電気の単一タイプ。
お互いが弱点になり得ないので、戦いは拮抗している。
そういう時は相手の弱点タイプの技で攻めるのが基本だ。
しかしメレシーは攻撃力が低いので、タイプ不一致の地面技を使った所で大きいダメージは期待出来ない。
それに、おやっさんの使うライボルトは中々素早いので攻撃を当てるのも一苦労だ。
ではライボルトの方が有利なのかと言えば、そうとも言えない。
ライボルトはメレシーに対して4倍弱点である鋼技の“アイアンテール”を使えるが、ライボルトは物理攻撃力が高くないので、タイプ不一致ということもあり“アイアンテール”の威力がしょっぱいのだ。
そこにツツジが、メレシーに物理技のダメージを半減する“リフレクター”を使わせたので、メレシーの耐久力と合わせて、中々打点にはなり得ない状況になっている。
それでも押しているのはどちらか、と言えばライボルトかな。
“アイアンテール”も全くダメージが入らない訳ではないし、特殊攻撃力には目を見張る物があるので、ちょくちょくタイプ一致の特殊電気技を放ち、ダメージレース的にはライボルトが有利って感じだな。
俺の所感では。
俺だったら補助技使ってどうにか自分を有利にしようと動くが、さてツツジはどうするか。
「メレシー! “トリックルーム”ですわ!」
お、動いて来たな。
“トリックルーム”は特殊な空間を作り出す事で、素早さを逆転させる事が出来る。
これでメレシーの方がライボルトよりも早くから動ける。
「わっはっは! これは厄介な! ライボルトよこうなったら仕留めに行くぞ!“じゅうでんしながらとぎすます”!」
……おいおい、おやっさんそんな事出来るのかよ。
“じゅうでん”は自身の特殊防御力を1段階上げながら、次に使用する電気技の威力を2倍にする補助技で、“とぎすます”は次に使用する攻撃技を必ず急所に当てる補助技だ。
こんな技を同時に使用された後に、ライボルトの高い特殊攻撃力から放たれる、高威力特殊電気技の“かみなり”とか喰らったらいくらメレシーでも確実にダウンするわ。
“ひかりのかべ”を今から張っても無駄じゃないかこれ?
「メレシー! “ストーンエッジ”!」
最大打点の急所狙いか、確かにもうこれしかないかもな。
しかし運悪く、メレシーの“ストーンエッジ”は外れてしまう。
……
おやっさんのライボルトは連結技で動いてないんだぞ?
ツツジが動いてもいない的を外してしまう様な訓練を、メレシーにしてるのか?
……そんな訳ない。
何か、おかしい。
「わっはっは! 残念だったなツツジ君! 準備が済んだなライボルト! “かみなり”だ!」
「
“じだんだ”か!
成る程、考えたなツツジ!
“じだんだ”は前の技が
わざとなのか、偶然なのかは知らないが、“ストーンエッジ”を適当な狙いで打った理由はその為か!
そしてトリックルーム下、同時に指示を出した場合、先に動くのは遅いメレシー。
ムキー!とプンスカ怒ったメレシーが何度もバトルコートの地面を叩きグラグラと揺らす。
ライボルトはその揺れに耐えられず、地面に身体を叩きつけられ、そのまま沈んだ。
「……わっはっは! いや、まさか! こんな奥の手が有ったとはな! 負けたわい!」
「最後の最後は賭けでしたわ。 本当にテッセンさんはお強かったですわ。」
「うむ、うむ。 最後の“ストーンエッジ”はわざと外したのかね?」
「あ、いえ、狙いをつけずに指示は出しましたが、本来は技を外す練習とかしておりませんし。……運が良かったですわ。」
技が外れて運が良いとはこれ如何に。
ポケモンバトルはホント面白いぜ。
……さて、次は俺だ。