ツツジを嫁にするまで   作:呉蘭も良い

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二十六話

トロピウス先生を捕まえて舞い上がった俺は、ツツジに少し呆れられつつもヒワマキシティへと無事たどり着いた。

 

ちなみに、天気研究所も通りがかったが、特に用事はないのでスルーした。

……確かゲームではポワルンが貰えるんだっけ?

ゲームでも使った事無いし、今世でも使う予定皆無なので興味はあまりないけど。

 

そしてヒワマキシティに着いて思ったのは、シティとは名ばかりのすげぇ田舎な所だってことだ。

 

……何と言うか、限界集落?

とにかく自然に囲まれた場所で、ポツポツと木の家があり、近代的な建物はポケセンとフレンドリィショップのみ、みたいな感じだ。

 

うーん、嫌いじゃない。

草ポケ使いとしては自然溢れる環境は決して悪くない。

 

「……何も、ありませんわね。」

 

そう言われると否定のしようがないがな!

 

今はポケセンでチェックインした後に、軽く街を観光している所だ。

ツツジの言う通り、何も無いから観るものも無いけど。

 

「……さっさと明日のジム戦予約しに行くか。」

 

俺達は早速ヒワマキジムへと向かったのだった。

そこで俺はふと、原作ゲームの事を思い出す。

 

確か、ヒワマキジムの前はカクレオンが居るせいで、入れなかったような?

そしてデボンスコープがないとそれを見破る事が出来ないので、ダイゴ神から頂くイベントがあったような___

 

いやいや、別に原作主人公のプレイをしている訳じゃないので俺達に関係はないか。

 

なんて思ってジムへと通じる橋を渡ったら、何も無い所でコンと何かにぶつかり、俺達は前に進む事が出来なくなった。

 

回り込めば、と言うか、隙間的なものを見つければ進む事は別に出来るのだが、この不可解なものをどうにかしたいのは人の性だろう。

ツツジはパントマイムでもしてるかのように、ペタペタと何かを触っている。

 

「な、なんですのこれ?」

 

……うん、やっぱカクレオンだよね。

こんな時期からお前のお気に入りスポットだったのか?

 

非常に迷惑だぞこの野郎。

デボンスコープ探して来いってか?

 

誰がそんな面倒な事をするものか。

ダイゴ神に頼めば一発なのだが、何でもかんでも頼るのは良くないし、折角ここまで来といてカナズミシティにとんぼ帰りは嫌だぞ。

ダイゴ神をヒワマキシティに呼びつけるなんて失礼な事もしたくないしな。

 

「……ツツジ、ちょっと離れてろ。 エルフーン!」

 

俺はボールからエルフーンを出し、何も無い様に見える空間に向かって指示を出す。

 

「ここら辺に向かって“どくどく”。」

 

エルフーンは不思議そうな顔をしたが、一応は俺の指示なので的確に技を出す。

そしたら、何も無い様に見える空間で“どくどく”が見事に当たり、無色透明だったカクレオンが紫色になって姿を現した。

 

「カ、カクレオン!? こんなに近付いてもわからないものなのですか!?」

 

ツツジは謎の物体Xの正体がカクレオンだと判明し驚いている。

 

俺はこのカクレオンと交渉しないとな。

 

「さて、急にすまんな。 お前がちょっと邪魔だったのでな?」

 

カクレオンが俺に向かって非常に怒っている。

うん、まぁ悪いとは思う。

 

「まぁ落ち着け。 ここにモモンの実がある。 お前が少し退いてくれるなら、これをあげよう。」

 

モモンの実は解毒効果がある。

猛毒状態になったカクレオンからしたら、喉から手が出る程欲しいだろう。

 

カクレオンは少し悩んだ末に、スッと身を退いた。

 

「ありがとう。……ほら、ツツジ行こう。」

 

「え、えぇ。」

 

俺はカクレオンにモモンの実を渡して、困惑するツツジの手を引いてジムに向かった。

 

「良くもまぁ、こちらから仕掛けたのにも拘わらずバトルへと発展しませんでしたわね?」

 

「君ね、だから何でもかんでもバトルに繋げるのは止めなよ。ポケモンは賢い種が多いんだ。話せばわかる奴は多いよ。」

 

まぁ、今回俺がやったのは脅しみたいなもんだが。

でもそれも、賢いからこそわかる事だしね。

 

ツツジはあまり納得はしてない様だ。

バトルしてないだけで、俺がしてるのは暴力を使った脅しだからな。

それなら戦った方が良いのではないか?的な考えだろう。

 

俺はただ互いに大きな損はない選択をしただけなんだがなぁ。

 

そういう事がありながらも無事にヒワマキジムに到着し、明日の予約を取り付けた俺達は夏休み初めてのジム戦という事で気合いを入れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そしてまたしても、橋の前にカクレオンが居て通れない。

 

「……またですか。」

 

「おいこら、カクレオン。 また“どくどく”放つぞこの野郎。」

 

俺が少しイラッとしながらそう脅すと、またスッとカクレオンが退いて通る事が出来た。

 

本当に、この場所がお気に入りなんだな。

これじゃヒワマキジムに用事がある人は大変だ。

 

ジムトレーナーはどうしてるんだ?

まさか皆デボンスコープ持ちなのか?

それとも俺みたいに裏技じみた脅しでもしてるのかな?

 

……いや待てよ、このジムは飛行タイプ専門だから基本的には皆“そらをとぶ”が出来るので、橋を通る奴はあまりいないのかもしれんな。

 

もしや誰も、ここがカクレオンの常駐場所とは知らないのでは?

これは今後の為にも知らせた方が良いのだろうか?

 

「知っているよ? あのカクレオンをどうにかしてジムまで辿り着くのも、1つの試練なのさ。」

 

「……そっすか。」

 

俺は軽く悩んだ末に、ヒワマキジムリーダーのナギさんにカクレオンの事を報告したら、そう返答された。

 

……あれわざとなんだ。

 

「成る程、その様な試練の方法が!」

 

納得しないでツツジさん。

ジムの試練って普通そうじゃない。

 

何だ、君もジムの前に岩に擬態したゴローンとか置いて『これをどうにか突破するのもジムの試練』とか言うつもりじゃないだろうな?

 

スクールを卒業して、ホウエン地方で1番最初に挑む可能性が高いジムが、そんなクソ仕様だと挑戦出来る奴減り過ぎてある意味大変だぞ。

 

“いわくだき”必須ってレベルじゃない。

下手したら君に挑む前にゴローンで詰む奴が出るぞ。

 

いくら何でもジムバッジ1つも持ってないルーキー相手にそれは可哀想だろ。

将来の同級生、延いては後輩諸君の憂いを何としても改善せねば。

 

カナズミには強化されたツツジ、トウカにはチートのセンリ、キンセツには経験豊富なテッセンのおやっさん。

……カナズミ近辺からジム攻略を目指す若人の良心はムロのトウキさんしかいないかもしれない。

フエンのアスナは火力信者だし、手加減下手そうだから消し炭にされかねないしな。

 

トウキさんなら、トウキさんならっ、きっと適切なレベルで戦ってくれる!

……多分。

 

少なくとも、このままだとツツジは初手からアーマルドやバンギラス、ディアンシーがあり得るからなぁ。

手持ちを出すなら。

 

……挑戦者可哀想。

俺の様なツツジメタみたいなタイプじゃないとキッツイぞこれ。

 

かと言って、トクサネやルネは熟練者じゃないと使えない“なみのり”や“そらをとぶ”がないと行く事も出来ないし、ヒワマキも今のナギさんの発言でわかる通り、挑戦者に配慮するタイプじゃ決してない。

 

仮にトクサネやルネを定期便なんかの船で行った所で易々とは攻略出来ないだろうしなぁ。

特にルネは。

 

……ホウエン地方のジムはいつから魔境になったんだ?

 

……ま、まぁ皆、本来ならそれ相応に手加減してくれるだろ、きっと。

 

問題は将来より今だ。

 

今日はヒワマキジムへの挑戦だ。

挑戦者へ配慮しないタイプの人への挑戦だ。

 

ジムリーダーのナギさんは超美人。

超が付くレベルの美しい人。

 

……だけど、何と言うか、残念美人。

どこか、電波なんだよな、この人。

 

『風が私にもっと輝けと囁いている。』

を地で言いそうな人なんだ。

 

いや、言ってないんだけど。

 

とにかく、見惚れる程美しいけど、マイペース過ぎて対応に困るタイプの人だ。

バトルではそうならない様にしないといけない。

 

……さっきから、俺がナギさんに見惚れる度に、ツツジの目線が痛いしさ。

 

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