頭「なんでも書き溜めが思いのほか溜まったから消化という形で張り切ってるらしい」
万「おいまだ出てきてねえのになんでお前が出てんだよ・・・ってあれ?なんで電気が消えて」
絶望センス「やあ、待たせたね」キャァァア!
黒グニール「こ、これは・・・!?」
農具「想像の斜め上をいく破壊力デス・・・!?」
工具「正直に言ってダサい・・・」
絶望センス「お前たちも俺のセンスが分からないのか・・・!?」
万「誰もお前のセンスなんて理解出来ねーよ!」
緒「誰か一人ぐらいあらすじ紹介しましょうよ!?」
黒グニール「お願いちょっと待って・・・そ、その服は一体どこで・・・」
絶望センス「全てオーダーメイドだ。羨ましいのか?」
農具「やっばいデス。本人分かってないパターンデス・・・」
戦「お前らいい加減にしろ!いつになったらあらすじ紹介始めるんだ!?」
未「もう私が読み上げます・・・こほん、天才物理学者にして仮面ライダービルドこと桐生戦兎は、私の親友、立花響と一緒に風鳴翼さんのお見舞いにいくのでした」
戦「お前らコイツを見習え。何絶望センスの服の話題で盛り上がってんだよ」
絶望センス「俺は絶望センスなどではない俺はひ」
響「あぁぁあネタバレは控えてください!」
ク「だーもう!今回はアタシと龍我がぶつかる話だ!どうなる第十二話!」
あの後、戦兎と響は散らかっていた翼の病室を掃除していた。
「もう、そんなのいいから・・・」
「そういう訳に行かないでしょうが」
「私、緒川さんからお見舞いを頼まれたんです。だからお片付けさせてくださいね」
そう言って、響は翼の服をまた一枚重ねた。
「それにしても意外でした。戦兎先生って科学者ですから片付けられないってイメージがありました」
「俺かよ!?まあ、これでも結構几帳面なんだぞ?ある程度発明が出来るだけのスペースは確保するために常に整理整頓はしてるんだが、それがいつの間にか部屋全体に広がってな・・・」
未だ頬に赤い手形のついた戦兎は散らかった薬などを片付けていた。
「もちろん、翼さんの事も意外でした。いつもは完璧なイメージがあるのに、こんな一面があったなんて」
「真実は逆ね。私は戦う事しか知らないのよ」
「いや、お前歌唄ってるだろ」
誰にでも呟くでもなく放った言葉が、どういう訳か戦兎には届いた。
兎故の地獄耳というものか。
「はい!おしまいです!」
ただ、その会話は響には届いてなかったらしく、そう両手を広げて言う響。
「あ、すまないわね。いつもは緒川さんがやってくれてるんだけど・・・」
「おまっ・・・まだ年頃の女の子なんだからそれはどうなんだ!?」
「男の人に片付けさせてるんですか!?」
その言葉で、翼は気付く。
「ッ!?た、確かに考えてみれば色々と問題はありそうだけど・・・・」
「ありそうじゃなくてあるから。めっちゃあるから」
「そ、それでも、散らかしっぱなしにしているのも、よくないから・・・つい・・・」
随分としおらしい態度の彼女に、響は戸惑いを隠せず、一方の戦兎はなぜか笑いをこらえていた。
(可愛すぎだろこの自称防人・・・っ)
言っておくがときめいている訳ではない。・・・本人曰く、だが。
「今はこんな状態だけど、報告書は読ませてもらっているわ」
「へ?」
「私の抜けた穴を、貴方がよく埋めているという事もね」
予想外の賞賛に、響は思わず謙遜する。
「そんな事全然ありません!いつも二課の皆に助けられっぱなしです・・・」
「そんな事ないって。この間の戦闘なんて、見間違えるような動きしてたじゃねえか」
バンッ、と響の背中を叩く戦兎。
「うわ!?」
「自信を持て」
「あ、ありがとうございます・・・・でも、嬉しいです」
響が、照れたように頬を掻く。
「翼さんにそんな事言ってもらえるなんて」
「でも、だからこそ聞かせて欲しいの」
翼は、響を真っ直ぐに見据える。
「貴方の戦う理由を」
「え・・・」
「ノイズとの戦いは遊びではない。それは、今日まで死線を超えてきた貴方なら分かる筈」
ノイズは、人類共通の世界災厄。そんな存在を、二課は相手取ってきた。
その危険性を、響は確かに十分理解している。
「よく、分かりません・・・」
されど響は、そう答える。
「私、人助けが趣味みたいなものだから・・・それで・・・」
「それで?それだけで?」
戦兎なら、それだけ、と答えるだろう。元より、他人の為に戦う人間だ。
ならば、響はどうなのか。
「だって、勉強とかスポーツとか、誰かと競い合って結果を出すしかないけど、人助けって誰かと競わなくていいじゃないですか。私には、特技とか人に誇れるものなんてないから、せめて、自分の出来る事で、皆の役に立てればいいかなーって・・あははは・・」
ふと、響の言葉が途切れる。誤魔化しきれない、と思ったのだろうか。
「・・・・きっかけは」
「ん・・・」
「きっかけは、やっぱり、あの事件かもしれません。私を救う為に、奏さんが命を燃やした、二年前のライブ・・・」
その日から、響の運命は変わった。
「奏さんだけじゃありません。あの日、沢山の人がそこで亡くなりました。でも、私は生き残って、今日も笑って、ご飯を食べたりしています。だからせめて、誰かの役に立ちたいんです。明日もまた笑ったり、ご飯食べたりしたいから、人助けをしたいんです」
その言葉に、戦兎は笑って頷く。
その正体が、数多くの人間を人体実験へと使い、多くの犠牲者を出した悪魔の科学者だからこそ、それ以上に多くの人々を助けたい、戦兎だからこそ。
「貴方らしいポジティブな理由ね」
そんな響の理由に、そう返す翼。
「だけど、その想いは前向きな自殺衝動なのかもしれない」
「じ、自殺衝動!?」
「誰かの為に自分を犠牲にすることで、古傷の痛みから救われたいという、自己断罪の現れなのかも」
それは、戦兎にも言える事だ。そして、響にも言える事。
「あの・・・私、変な事言っちゃいましたか・・・?」
「いや、大丈夫だろ」
そんな理由で翼は言ったのではないだろう。それは戦兎も自然と分かる。
そして、翼は心外とでも言うように呆けていた。
「あは、アハハハ・・・」
「・・・ふ」
そんな様子に、翼も笑みを浮かべるのだった。
場所は変わって屋上。
一部に緑があるこの場所は中々に、居心地の良い場所だ。風も中々に気持ちが良い。
「変かどうかは、私が決める事ではないわ。自分で考え、自分で決める事ね」
「・・・考えても考えても、分からない事だらけなんです」
「分からない事、ね・・・」
「デュランダルに触れて、暗闇に呑まれ掛けました。気が付いたら、人に向かってあの力を・・・私がアームドギアを上手く使えていたら、あんな事にもならずに・・・」
「力の使い方を知るという事は、即ち戦士になるという事」
翼が、即座に答えた。
「・・・戦士?」
「それだけ、人としての生き方から離れるって事だろ」
戦兎が響の頭に手を置く。
「貴方に、その覚悟はあるのかしら?」
その問いかけに、響は、答える。
「―――守りたいものがあるんです」
ただ真っ直ぐに、自分の胸の中にある、明確な想いを伝える。
「それは、なんでもない、ただの日常。そんな日常を大切にしたいと、強く思っているんです。だけど、思うばっかりで、空回りして・・・」
「戦いの中、貴方が思っている事は?」
「ノイズに襲われている人がいるなら、一秒でも早く救い出したいです。最速で、最短で、真っ直ぐに、一直線に駆け付けたい!そして・・・」
響の脳裏に、あの少女の事が思い浮かぶ。
あの日襲ってきた、白鎧の少女。
「もし相手が、ノイズではなく、誰かなら・・・」
ノイズではなく、言葉の通じる相手なら、彼女は。
「『どうしても戦わなくちゃいけないのか』っていう胸の疑問を、私の想いを、届けたいと思います」
それが、響の戦う理由。彼女自身の答え。
その答えを、翼は尊重する。
「今貴方の胸にあるものを、出来るだけ強くはっきりと思い浮かべなさい。それが貴方の戦う力、立花響のアームドギアに他ならないわ」
万丈は、街中を歩いていた。
「暇だから街に出てみたが、なんか都合よく暇をつぶせる場所ねーかな。ジムとかそういう」
「キュル」
ドラゴンはそんな事しらんとでもいうように鳴く。
「マイペースな奴め・・・」
しかし、そう思っていても暇な事には変わりはない。
「あー、なんか変わった事ねーかな・・・」
なんて呟いていると、ふと上空を何かが通り過ぎた。
「今のは・・・・!?」
その何かに、万丈は見覚えがあった。
それを見た途端、万丈は走り出す。
「おい!待てゴラ!」
「ああ?」
追いかけて、万丈は叫ぶ。
その声を聞いた何か――――ネフシュタンを纏った少女、クリスが街灯の上に降り立つ。
「なんだお前?」
追いかけてきた万丈を見て、首を傾げるクリス。だが、万丈のすぐ傍を飛ぶドラゴンを見て、合点がいく。
「ああ、この間の青い奴か」
「何しにきやがった!?」
「知ってるだろ?アイツとお前らの持ってるボトルを取りに来たんだよ」
「結局それが目的かよ!」
万丈は懐からドラゴンフルボトル―――ではなく、金色の、フルボトルとは全く形状の違うボトルを取り出した。
「丁度いい。今ここでお前のボトルを貰っておこうかぁ」
「いいぜやってやるよ・・・だけどその前に!」
ビッと指を突き出す万丈は、
「お前、なんで戦ってんだ?」
「はっ、教える義理があるかよ!」
クリスが刃の鞭を振るう。
振るわれた刃の鞭は万丈めがけて振り下ろされ、それを万丈は避ける。そして、刃の鞭が穿った場所は抉れ吹き飛び、それを見た周囲の人々は一斉に逃げ出す。
阿鼻叫喚のままに、周囲の人間が逃げ惑う中、万丈は未だ上にいる少女を見る。
「本当に戦うしかねえのか?」
「何言ってやがる?」
「お前・・・家族いないだろ?」
「ッ・・・!?」
万丈のその言葉に、クリスは狼狽える。図星だ。
そして、図星を付かれた事で、クリスは逆上する。
「―――黙れぇぇええ!!」
振るわれる鞭。それを躱す万丈へ、今度はクリス自身が殴りかかる。
「うお!?」
「お前に何が分かる!?戦争でパパとママを殺されたアタシの何が分かる!?お前ら大人が力を振りかざすから、戦争がなくならない!力がある奴は必ず誰かを傷つける!そんな世の中を終わらせる為にアタシは力を手に入れたんだ!アタシ以外に力を持つ奴をこの世から消し去って、戦争をなくしてやるんだ!」
「それが理由かよ!?」
「そうだ!お前はどうなんだ!?お前もその力で誰かを傷つけて力を見せつけて支配するんだろ!?だったらアタシが潰してやる!お前も、あの男も、その力を使ってるやつ、全員――――」
次の瞬間、
「オラァ!!」
万丈が、クリスに向かって拳を突き出した。
その一撃が、クリスの掲げられた腕に直撃した瞬間、
「な―――ッ!?」
予想外の力が掛かり、クリスは吹き飛ばされる。
「馬鹿な・・・あの力を纏ってないのに・・・・」
「・・・分からねえ」
「は?」
「分からねえよ。お前、本当にそれが正しいって思ってんのかよ」
万丈が、静かに問いかける。
「お前、何を言って・・・」
「桐生戦兎・・・アイツはな、常に誰かの為に何かをしたがる大馬鹿野郎だ。前に、人助けの仮面ライダーと自分の過去の事どっちが大事かって聞いたらな、アイツは全然迷わねえで人助けって言いやがった。そんなアイツの口癖は『愛と平和』、『ラブ&ピース』だぜ?」
「ッ・・・!?」
「馬鹿みてえだよな。そういう事、恥ずかし気もなく言ってのけるんだからよ。でも、だからこそアイツは『仮面ライダー』なんだよ。誰かの為に、正義の為に、ただそれだけしか考えてねえ」
クローズドラゴンをその手に持つ。
「アイツは『ヒーロー』なんだよ。他の誰でもねえ桐生戦兎だからこそ、アイツは自意識過剰でナルシストの正義のヒーローなんだよ」
金色のボトルを、クローズドラゴンに差し込む。すると、その体の色が突如として変化。暗い赤と青の装飾の施されたドラゴンへと変化する。
「ヒーロー?ヒーローだと?」
クリスは、握りしめた手を震わせる。
「ふざけんなよ!?何がヒーローだ!?寝言は寝ていえクソがァ!」
「アイツは寝言じゃ絶対にそんな事言わねえよ。いつだって本気だ」
「良い大人が夢なんか見てんじゃあねえよぉぉぉおお!!」
クリスが、あのエネルギー弾を生成する。
「―――それが夢かどうかなんて、お前が決める事じゃねえよ」
ボタン『ウェイクアップスターター』を、押す。
『覚醒ィッ!!』
「だけど、これだけは言わせてもらうぜ」
『グレェートクロォーズドラゴンッ!!!』
「―――俺も親はいねえよ」
『Are You Ready?』
目の前の少女と戦う――――己の正義の証明の為に。
「変身ッ!!」
次の瞬間、万丈が立っていた場所に、『NIRVANA GEDON』が炸裂する。
凄まじい爆発が巻き起こり、ただの人間であれば、一瞬で消し炭にされているだろう。
クリスも、万丈は消し炭になっただろうと、仕留めた事を確認するために爆発によって巻き起こった煙をじっと見ていた。
だが、その煙は、突然吹き飛ぶ事になる。
「ッ!?」
『ウェイク アップ クロォォォズッッ!!』
『ゲットゥ グレェイト ドゥラァゴンッ!!!』
『イェェェエイッッ!!』
そんなハイテンションな声と共に、吹き飛んだ煙の中から、一人の戦士が現れる。
形は、クローズに酷似している。だが、色合いが違う。
金色の炎の装飾が赤い装飾へと変わり、頭部の龍の装飾も紅蒼の龍へと変わり、その姿は、どこか、危険すらも匂わせる。
それが、仮面ライダークローズの進化系である『グレートクローズ』である。
「行くぜ」
クローズが腰を落とし、そして駆け出す。その速さは、クローズの時よりも早く、素早くクリスとの距離を詰めると、その拳を叩きつける。
「うぐ!?」
(重い・・・!?)
その重さに、クリスはどうにか踏ん張る。
「オラオラオラ!」
「く・・・っそ!調子に、乗るなぁぁ!!」
パワーアップしたクローズに押され、クリスは、刃の鞭を振るう―――
「・・・・ん?」
戦兎は、何かに気付いたようにフェンスの方を見る。
「どうかしたの?」
「いや、気のせいだ」
先ほど、響はお好み焼き屋『ふらわー』に行ってしまい、現在戦兎と翼の二人きりになってしまっている。
「そういえば・・・」
そこで、翼は思い出したかのように懐に手を入れる。
「これ、返すわ」
それは、戦兎のラビットフルボトルだ。
「ああ、そういやそうだったな」
それを受け取る戦兎。
「あの時はありがとう。あんな事言った手前、あそこで死ぬかもしれないと思ってたから・・・」
「次からはやたらむやみに絶唱を使おうとするんじゃねえぞ。あれはあくまで応急処置まがいのその場凌ぎだ。次は無理かもしれない」
「でも、貴方がいたから、私は絶唱を心置きなく歌えた」
「おいやめろ、洒落にならんからやめろ」
顔を青くする戦兎の様子がおかしく、少し吹き出してしまう翼。
「以前貴方は言ったわね。私は剣じゃないって」
「ん?ああ、言ったな。ライダーシステム使ってる俺が兵器じゃないように、お前も剣じゃない、一人の女の子だってな」
「ええ。貴方はそう言った・・・」
翼は、夕焼けに染まる空を仰ぎ見る。
「父に認められたい一心で、己を鍛え続けてきた。一本の剣として、護国の防人として、この人生を己の鍛錬にのみ使いこんできた。そんな中で奏に出会って、何かが変わった。奏に出会ったから、私は、今の自分があるのだと思った。だけど、その奏を失って、戦う理由を見失いかけた。依存していた。だけど、そんな奏は、もういない」
「・・・・」
死んだ人間は、二度と戻ってこない。それは、どれだけ科学が発達しようと実現不可能な真実だ。
例え、全てを破壊する事の出来るライダーシステムであっても、何かを生み出す事は出来ない。
だから、戦兎はこの力を愛と平和の為に使うと決めた。
「立花が奏のガングニールを体内に宿してるって知った時は、正直、認められなかった。あんな覚悟の無い人間に、ガングニールの装者は務まらないと、そう思い込んでいた。だけど、改めて見てみると、彼女は誰よりもひたむきで真っ直ぐで、それでいて誰よりも優しくて、その実、自分はどうなっても良いって思ってる」
「正直、目を放してられないって所か?」
「そう捉えてもらって構わないわ。そして、戦士としての覚悟も、ちゃんと持ってた。だから、もう意地を張るのをやめようと思うわ」
立ち上がって、翼は、戦兎の前に立つ。
「実は、イギリスのレコーディング会社からオファー来てるの」
「イギリスの?すげーじゃねえか」
「ええ。桐生、もし、世界中の全てのノイズを駆逐する事が出来たなら、その時、私は―――」
空を見上げて、翼は戦兎に告げる。
「―――世界を舞台に歌いたい」
「いいんじゃないか」
その言葉に、戦兎は頷く。
「決めるのはお前だ。お前が決めるんだよ。俺は、ただお前の選んだ答えを応援するだけだ」
「正直、不安なの・・・戦う為だけに歌を唄い続けてきた私に、果たして世界で歌う資格はあるのだろうかって・・・」
相方を失い、ずっと、戦うためだけに歌を唄ってきた。楽しむ、誰かの為の歌を失った。
そんな自分が、果たして世界で歌っても良いのか。
その不安が、翼にはあった。
「別にいいんじゃねえか?」
「え?」
「話は変わるが、見返りを求めたら、それは正義って言わねえぞ。お前は、何かの見返りの為に歌を唄ってるのか?」
「・・・・」
確かに、そうだ。
自分はただ、誰かの為に剣を振るい、そして歌を唄ってきた。
それは、決して見返りを求めての事ではない。
誰かの為に、誰かの笑顔の為に、自分の歌で、誰かに勇気を与え、誰かを幸せに出来ると想って、奏と共に歌を唄い続けてきた。
それは、今でも変わらない。
「・・・私、世界で歌ってもいいのかな?」
「いいんじゃねえの?というか、それをしたのは他の誰でもないお前だろ?何言ってんだ?」
「そうね。何言ってるのかしら、私」
不思議な感覚だ。彼と話していると、こんなにも胸の内を曝け出せて、幸せな気持ちになる。
まるで、奏と一緒にいる時のようだ。
いつもは天才天才と自分を誇示していて、頼りなさそうに見えるけど、本当は誰かの為に何かをできる強い人間なのだ。
優秀であるからこそ、自分を誇示する。されど彼は、その力を、誰かの為だけに使う。
彼の掲げる『愛と平和』の為に。それを、本気で叶える為に。
「なんだか、敵わないわね・・・」
「ん?なんか言ったか?」
「なんでもない」
そう言いつつ、翼は、こっそりとあの言葉を呟いてみる。
「愛と平和・・・ラブ&ピース・・・」
その言葉は、脆く儚いものだ。だけど、彼が言うと、そんな言葉は、硬くて確かな、そして、強い意志が宿っている。
そんな、気がする。
「―――龍我さん、ネフシュタンの鎧の少女と交戦を開始しました!」
一方二課本部では、クローズとクリスの戦いの幕が上がった事を確認していた。
「龍我君に近隣の森へ移動するように通達!そして、響君と戦兎君への連絡だ!」
その手腕を見事に発揮し、弦十郎は指示を出す。
「はい!分かりました!すぐに向かいます!」
その連絡を受けた響はすぐさまクローズが移動するであろう森に向かっていた。
その向かい側から、親友がやってきているとも知らずに。
凄まじい衝撃と粉塵が巻き起こる中で、クローズはクリスと互角以上に戦っていた。
「ウオリャ!」
蹴り薙ぎを紙一重で躱し、刃の鞭を振るうも、クローズはそれを必要最小限の動きで躱し、また反撃に出る。
しかし、振るわれた刃の鞭は意外にしなり、クローズの足を払う。
「うお!?」
「オラァ!」
「ぐぅ!?」
足を払われ、態勢を崩したクローズへすかさず蹴りを叩き込むクリス。
蹴り飛ばされたクローズはそのまま地面を転がり、態勢を立て直した。
「これでも喰らいやがれ!」
「ッ!?」
すかさずクリスはクローズに向かってエネルギー弾を投擲、それを少女を中心に弧を描くように走り出す事で躱すクローズだが、続く鞭の攻撃がクローズを襲う。
(距離を取られると厄介だ・・・!)
生憎と万丈は射撃はそこまで得意ではない。ビートクローザーの炎射出を使っても、この距離で当てられるとも思っていない。
彼に出来るのは、あくまで近接格闘のみ。それは彼を本物の格闘家と位置付けるには十分な要素だ。
とにかく、このまま一方的にやられる訳にはいかない。
今はこの砲弾の刃の鞭の攻撃を掻い潜り、クリスへと攻撃を加えなければ―――
「――――は?」
「・・・・え」
気付いたら、どういう訳か歩道に出ていた。
(は?なんでこんな所に歩道が?てかここ森の中だったよな?なんでこんな所に・・・)
そして、横を見てみれば、そこには、未来がいた。
「未来!?」
「え、なんで私の名前を・・・」
一方の未来は戸惑うばかりだ。
「龍我さん!」
そしてさらには、響までやってくる始末。
「あ、響!」
「ッ!?未来!?」
響はともかく、全くの一般人である未来がこの場に居合わせるのはまずい。
「喰らいやがれッ!」
「ッ!?」
何故なら、クリスがクローズに絶賛攻撃中だからだ。
「あぶねえ!」
「きゃあ!?」
クローズは思わず未来の方へ飛び出す。
すかさずクローズのいた場所に鞭が叩き込まれ、凄まじい衝撃波が迸るのと同時に、クローズは未来を抱えて地面を転がる。
「ッ!?しまった、他にも・・・!」
そして、最悪な事に、
「大丈夫か!?」
「あ、はい・・・あ!?」
「ッ!?」
――――車が吹っ飛んできていた。
(やばい、間に合わねえ!)
迎撃が、間に合わない。避ける事は可能だが、それでは未来が車の下敷きになってしまう。
無茶を覚悟で迎え撃つしかない。
そう思い、拳を握った時――――
「―――Balwisyall nescell gungnir tron―――」
その歌が、聞こえた瞬間、目の前にはすでに響が立っており、その車を殴り飛ばした。
「響・・・!?」
「響・・・?」
「・・・ごめん」
響は、未来に向かってそう一言呟くと、すぐさまクリスに向かって飛んでいく。
「あの野郎・・・」
「あ、あの・・・!」
立ち上がったクローズを、未来が引き留める。
「一体何が・・・響は、一体どうなって・・・!」
「悪いが説明してる時間はねえ。今はあいつをどうにかしねえといけねえんだ」
「でも・・・!」
なおも食い下がろうとする未来を、クローズは振り払うように走り出す。
「あとでいくらでも話してやる!だからそこで待ってろ!」
その時、未来の耳に、聞き覚えのある鳴き声が聞こえた。
「―――キュイー!」
「・・・クロ?」
未来は、茫然としたまま、クローズの後ろ姿をただ見つめた。
『現在、響ちゃんは市街地を避けて移動してる!爆音を頼りに追いかけるんだ!』
「分かった!」
クローズは、絶賛粉塵の巻き起こりまくっている場所へ走っていた。
ようやく辿り着いた場所で、響はどういう訳かクリスに自己紹介をしていた。
「私は立花響、十五歳!九月の十三日で、血液型はO型!身長は、こないだの測定では百五十七センチ!体重は、もう少し仲良くなったら教えてあげる!」
「何言ってんだアイツ・・・」
その行動に思わず開いた口が塞がらないクローズ。
「趣味は人助けで、好きなものはご飯&ご飯!あとは・・・彼氏いない歴は年齢と同じ!」
「な、なにをとち狂ってんだお前・・・」
「私たちは、ノイズと違って言葉が通じるんだから、ちゃんと話し合いたい!」
それで、クローズは響の意図を悟る。
「まさかアイツ・・・」
「なんて悠長!この後に及んで!」
クリスが刃の鞭を振るう。
鞭は、先の方へ進めば進む程、その速さが目には捉えられない程凄まじい速度を発揮し、また威力を高める。
その高速の一撃を、響は躱して見せる。
(こいつ・・・!?)
次々と来る鞭の攻撃、それら全てを、響は躱していた。
(何か変わった・・・覚悟か!?)
「話し合おうよ!私たちは戦っちゃいけないんだ!」
なおも響はクリスに話しかける。
「だって、言葉が通じていれば人間は―――」
「うるせえ!」
突如としてクリスが叫ぶ。
「分かりあえるものかよ人間が。そんな風に出来ているものか!」
響の言葉を真っ向から否定して、クリスは叫ぶ。
「気に入らねえ気に入らねえ気に入らねえ気に入らねえ!わかっちゃいけえことをべらべらと口にするお前がぁぁああ!!!」
「分かりあえるさ」
だが、そんなクリスの言葉を否定する者がいた。
クローズだ。
「俺はそれを見た!例え敵だったとしても、ちゃんと理解してやれば分かりあえるんだ!例え仲間を殺した相手でも、許せなくても、気持ちが同じなら必ず通じ合える。俺はそれを見てきたッ!」
クローズはクリスに向かって指を突き付ける。
「俺の名前は万丈龍我!仮面ライダークローズ、そして『プロテインの貴公子』だ!そんで、今からお前を止める男だ!覚えとけ!」
「龍我さん・・・!」
胸を張ってそう名乗り出すクローズ。
「ふざけんなよ・・・何がアタシを止めるだ!そんならお望み通り、テメェから潰してやらぁ!アタシの全てを使ってでも、お前の全てを踏みにじってやる!」
クリスが飛ぶ。
それと同時にクローズがボルテックレバーを回す。
「吹っ飛べッ!」
放たれる強力なエネルギー弾。
『NIRVANA GEDON』
『グレートドラゴニックフィニッシュ!』
黒弾と龍がぶつかる。
クローズドラゴン・ブレイズを纏った拳で、黒弾を迎え撃つも、思った以上に強力で拮抗してしまう。
「もってけダブルだ!」
「なッ!?」
すかさず、クリスが次の黒弾を叩きつけてくる。
一発だけでもきついというのに、二発連続となると、負荷は恐ろしいものになる。
だが、それでもクローズは――――
「いいぜ・・・来いやぁぁああ!!」
受け止めている黒弾の後ろからもう一発の黒弾が炸裂する。
「ぬ、ぐぉぉぉおお・・・!?」
次の瞬間、その黒弾が炸裂し、クローズの後ろにいた響諸共爆発する。
凄まじい爆風が迸り、周囲を吹き飛ばす。
「はあ・・・はあ・・・お前らなんかがいるから・・・アタシはまた・・・」
巻き起こる土煙。しかしその中に、クローズと響は倒れていない。
「な・・・!?」
「ハァァァア・・・・!!」
いるのは、両掌の間で何かを生成しようとしている響の姿と、またボルテックレバーを回しているクローズの姿だ。
「うわぁあ!?」
だが、響が生成していた何かのエネルギーは爆発、響は吹き飛ばされる。
(やっぱりだめだ・・・翼さんのように、ギアのエネルギーを固定できない・・・・!)
彼女が行っているのは、アームドギアの生成。
「まさか、この短期間でアームドギアまで手にしようというのか・・・!?」
「おい響、なにも武器ってのは剣とかそういうものじゃないんだぜ?」
クローズドラゴン・ブレイズがどこからともなくとんでくる。
「時には、この拳が武器になる事だってあるんだぜ?」
「! そうか!」
響は、その言葉で何か答えを得たのか、掌で生成していたエネルギーを握りしめる。
すると、手首のギミックが駆動する。
「させるかよ!」
すかさず、クリスの刃の鞭が飛んでくる。
それをクローズが掴む。
『Ready Go!』
左拳を握りしめて、クローズは言う。
「お前に、何があったかなんて、俺には分からないけどな・・・!」
その左拳に、クローズドラゴン・ブレイズが纏われる。
「お前が、その力を何の為に使っているのか分からないけどなぁ・・・!」
「は、離せ・・・!」
クローズは、手の中にある刃の鞭を、思いっきり引っ張る。
「せめてこの拳に乗せた思いだけは受け取っとけや!」
クリスが引っ張られる。それと同時に、響とクローズが飛び出す。
響は腰のブースターで加速し、クローズはドラゴンの放つブレスに乗って、
(最速で、最短で、真っ直ぐに、一直線に―――!)
「今の俺は―――」
(この胸の想いを、伝える為にぃぃぃいいいッ!!)
「―――負ける気がしねぇぇぇえぇえええ!!!」
「あ、あぁぁぁぁああ!?」
『グレートドラゴニックフィニッシュ!』
二人の渾身の一撃が、クリスに叩きつけられる。
その瞬間、鎧の拳が叩きつけられた部分に、明確なひびが入り、龍の一撃が体を抜きぬける。
(馬鹿な・・・ネフシュタンの鎧が・・・)
炸裂した破壊力はそのまま吹き飛ぶ力へ。クリスは一気に石垣に叩きつけられる。
「がぁ・・・あ・・・・」
意識が飛びそうになるほどの強力な一撃。
エネルギーをパイルバンカー方式で拳をぶつけるのと同時に打ち込む事で、事実上の二段攻撃を実現させている。
その破壊力は馬鹿にならず、その一撃は、かつての翼の絶唱に匹敵する程だ。
(なんて無理筋な力の使い方しやがる・・・あの女の絶唱に匹敵しかねない・・・)
その時、体が凄まじい痛みを訴える。
ネフシュタンの鎧が再生している所からだ。
いや、そもそもな話、
(食い破られるまでに、カタをつけなければ・・・!)
そうしてクリスが見た先では、響は腕を降ろし、臨戦態勢を解いていた。
まさしく、戦う意思がない事を示すように。
一方のクローズも、同じようにその場で佇んでいた。
「お前・・・馬鹿にしてんのか!?」
そんな二人の行動を、クリスは怒る。
「アタシを・・・雪音クリスを!」
「やっと名乗ってくれたな」
その言葉を待ってたと言わんばかりにクローズは答える。
「ッ!?」
「そっか、クリスちゃんって言うんだ」
そして響からも想定外の言葉が出てくる。
「ねえクリスちゃん、こんな戦い、もうやめようよ。ノイズと違って私たちは言葉を交わす事が出来る。ちゃんと話をすれば、きっと分かりあえる筈!だって私たち、同じ人間だよ?」
それは、紛れもない響の本心だ。
「・・・むなくせんだよ・・・」
だけど、クリスはそれを否定する。
「嘘くせぇ・・・青臭え・・・!」
その言葉にさらに怒りを掻き立てられ、クリスは響に殴りかかる。
それを、クローズが防ぐ。
「龍我さん!」
「こんなに言ってもまだ分かんねえのかよ!」
「信じられるかよ!」
クリスの猛攻がクローズを襲う。それをクローズは後退しながら防ぐ。
激しく叩きつけられる猛攻を、クローズは冷静に対処していく。
「オラァ!」
「ぐっ!?」
横に蹴り飛ばされる。
その最中、クリスは、鎧が徐々に再生する様子を見る。
(くそ、これ以上は・・・)
「クリスちゃん・・・」
そこで響が、クリスに向かって手を伸ばす。
(まだ、そんな絵空事を・・・)
その響の行動に、クリスはついに――――
「―――吹っ飛べよ!」
―――奥の手を取り出した。
「―――
次の瞬間、周囲に鉛玉の入った手榴弾の如く、パージされた鎧が飛び散る。
「うおあ!?」
「きゃあ!?」
周囲の木々が吹っ飛んでいく最中、二人は聞いた。
「―――Killter Ichaival tron―――」
「―――ッ!?」
「これって・・・」
それは―――聖唱――――
―――ドクン―――
(なんだ・・・今のは・・・)
その歌が聞こえた瞬間、クローズの―――万丈の中で、何かが起きる。
「―――見せてやる、『イチイバル』の力だ」
クリスがそう答えた瞬間、クリスを、真っ赤な装甲が装着される。
それはまるで、鮮血のようであり、彼女の心を現しているのかもしれない。
「ぐぉ・・・ぁ・・・!?」
クローズは身の内で暴れ出す力の奔流を感じていた。
(なんだよこの力・・・制御出来ねえって訳じゃねえが、アイツの歌を聞いた途端、力が湧きあがってきやがった・・・!?)
その理由がさっぱり分からず、その間にもクリスは自らのアームドギアを展開していた。
「歌わせたな・・・」
「え?」
「アタシに歌を唄わせたな!」
クリスが響に向かって叫ぶ。
「教えてやる・・・アタシは歌が大っ嫌いだ!」
「歌が、嫌い・・・?」
クリスが構えるアームドギアは『ボウガン』
見ての通り、遠距離武器だ。
「――――傷ごとエグれば忘れられるってコトだろ?」
歌が、始まった瞬間、クリスのボウガンから一斉に複数の光の矢が射出される。
「うっわ・・・!?」
それを躱す為に走り出す響。
だが、クローズは動いていない。
「龍我さん!?」
それに驚く響。
そのまま矢の何本かが、クローズに殺到する―――かと思われた時、
「―――嘘つくんじゃねえよ」
次の瞬間、クローズは拳を振りぬいていた。
その拳が振るわれた瞬間、突風が舞い、矢はまとめて逸れてクローズに直撃せずに後方で炸裂する。
「な・・・!?」
「こんなにすごい歌唄えんのに歌が嫌いだぁ?冗談じゃねえ・・・!」
―――力が漲る。魂が、震える―――
突き出した拳を握りしめたまま、クローズはクリスに向かって咆える。
「こんなに力が漲る歌を、魂が震える歌を、嫌いだと?んな訳ねえ・・・」
「テメェ、何を言って・・・」
「こんなにも魂籠った歌を唄える奴が、歌を嫌いな訳がねえ!」
愛と平和の為にライダーシステムを創った戦兎のように、それを設計した戦兎の父親のように、創り上げたものには、そうあってほしいという願いがあった。魂が、込められていた。
彼女の歌は、それと同じくらい、魂がこもっていた。
例え、それに込められた想いが、何かに対する憎しみだったとしても。
「それを俺が証明してやる・・・!」
クローズが大地を踏みしめ、クリスを睨みつける。
「今の俺は、負ける気がしねぇ!」
次回!愛和創造シンフォギア・ビルドは!
「筋肉をつけろ筋肉を!」
「じゃあ筋肉馬鹿!」
ぶつかり合うクローズとクリス。
「ふざけんなぁ!」
戦火の如き歌を唄い、銃を乱射するクリス。
「それがお前の戦う理由かよ!」
青い龍を轟かせて、拳を叩きつけるクローズ。
「もう貴方に用はないわ」
そして、その最中に姿を見せる、謎の女性は――――
次回『終わりの名を持つアンノウン』
「待てよ・・・フィーネ!」
ちょっとした余談。
響「いいですか?服は私がやるので、戦兎先生は雑誌とかを片付けてください」
戦「へーい」
~掃除中~
戦「ん?なんだこれ・・・こ、これは・・・!?」
翼「ッ!?そ、それだけは見るなぁぁああ!!」
戦「ぐぼあ!?」同じ場所にびんた炸裂。
響「え!?うわぁ!?・・・ん?何々?数量限定風鳴翼セクシーグラビア写真集・・・!?」
翼「わざわざ読み上げるな!」
響「あうち!?」松葉杖で小突かれる
戦「想像以上にエロかった・・・」
翼「言い残す事はそれだけか?」
戦「ごめんなさい許してください」
翼「誰が許すかぁ!」
戦「アー!」
一応有名人で女性なんだからこういうのもありえると思うんDA☆