愛和創造シンフォギア・ビルド   作:幻在

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翼「見てみろ!もうこの小説のお気に入り登録者が450を突破したぞ!」
戦「これも全て、俺の活躍のお陰だな」
緒「どっちかと言いますと、少女キャラの萌え萌えな反応からじゃないでしょうか?」
了「そうよねぇ、特に翼ちゃんとクリスちゃんなんか、良い反応してるし」
戦「そこは俺の活躍と言ってほしかった・・・」
万「諦めろ」
響「そんなに言われてない私って呪われてるかも・・・」
未「ほら元気出して、本編じゃ響は私を助けてくれたじゃない」
響「だけど前回は龍我さんの新フォームに全部持ってかれたじゃん・・・」
ク「元気出せっての。ほら、あんぱんやるからよ」
響「あんぱんで喜ぶのはクリスちゃんぐらいだよ」
ク「あ゛あ゛?」
響「わーいあんぱんだ嬉しいなー!」
戦「まあそれはともかく!天才物理学者にして仮面ライダービルドの桐生戦兎は、ノイズが出現した為に、動けない翼の代わりに―――」
響「ここだ!私!立花響と共に街へと向かうのでした!」
戦「勝手に割り込むんじゃないよ!」
響「いひゃいいひゃいでふへんほへんへい(痛い痛いです戦兎先生)!」
翼「その一方で、万丈龍我が変身する仮面ライダークローズに新たな形態が生まれる」
ク「その名もクローズイチイバル!いやー、アタシのギアの名前が使われてるのってなんか嬉しいなぁ」
万「そんなに喜ぶ事か?」
ク「あたぼうよ!なんてたってアタシは―――」
工具「そんなわけで」
黒グニール「私たち次回作からじゃないと出てこれない装者三人組は出てこないシンフォギア・ビルド、第十五話を」
農具「どうぞデース!」
頭「・・・・みーたんが出てきてないのになんでこんな人気がでるんだふざけんな!」
絶望センス「お前はすっこんでろ!」
戦「お前もだよ!」




作者「本当にありがとうございます!今後ともこの小説をよろしくお願いいたします!」


私という音響き・ラビットの足は疾風の如く

真っ赤な装甲を身に纏い、クローズイチイバルがそこに立つ。

「なんだよこれ・・・力が漲ってくる!」

ノイズが襲い掛かる。

 

『Blast Mobile!』

 

すかさずクローズはドライバーからブラストモービルを取り出す。

何故彼がそれを持っているのか、それはクリスをふらわーのおばさんの所で匿う際に、戦兎から渡されていたからだ。

ドラゴンフルボトルを持っているのは、クローズだけだから。

 

『Set Up!Blast Blade!』

 

モービルが変形し、エネルギーの刃が飛び出す。

それを使い、クローズは二刀流で襲い掛かる敵を薙ぎ払っていく。

「おぉぁぁああ!!」

襲い掛かってくるノイズを一気に片付けていく。

「これでも喰らってろ!」

すかさずクリスが遠くの敵に対してガトリングを乱射。

一気にその数を減らしていく。

だが、その数がやはり数が多い。

であるならば、

「いっくぜ―――っておぉぉおお!?」

接近し、薙ぎ払えばよい。と思ったクローズだったが、足に取り付けられたタイヤ『CZIクイックダッシュホイール』によって、まるで滑るかのように走行しだす。

「お、おぉぉ・・・よし!」

始めは戸惑うものの、すぐに慣れ、滑らかに戦場を駆け巡る。

「オラァ!!」

そして、敵陣に自ら突っ込んで、両の手の双剣を持って敵を一気に薙ぎ払う。

「行くぜ行くぜ行くぜぇぇえええ!!」

ホイールによる滑らかな移動と双剣の斬撃。

その突破力のある移動攻撃が、ノイズの大群を一気に減らしていく。

「ちょせぇ!」

クローズが地上の敵を一掃している間に、クリスは小型ミサイルを撃ちまくって遠場の敵を倒していく。

 

『Set Up!Blast Shooter!』

 

グリップ部分を立ち上がらせ、引き金を引いて光弾を撃ちまくる。

タイヤが逆回転すれば滑りながらの回転も可能であり、回りながら撃ちまくる事も可能だ。

貫通力のある光弾が、直線状のノイズを一気に炭素へと帰していく。

クリスに近付こうとしていたノイズも寸分狂いもなく打ち抜く。

(すげえ、これがイチイバルの力・・・!)

元々、長距離広範囲攻撃を特性とするシンフォギアであるイチイバル。

それが何故、接近戦特化であるクローズの強化となりえたのか。

それは未だ謎だが、ただ分かる事がある。

 

ホイールは移動能力を拡張し、視界は以前よりも広くなり、パワーも圧倒的に強くなっている。

 

それは、クリスの扱う大火力を、クローズの近接戦闘能力をブーストしている表れなのかもしれない。

 

『Set Up!Blast Dual Sword!』

 

二つのブラストモービルを合体させて、双身刀へと変形させる。

掌で回転させて、その勢いのまま敵を薙ぎ払う。

右から来るノイズを突き刺し、そのまま薙ぎ払っては数体を一気に斬り裂き、背後から襲い掛かる敵を反対の刃で脇から突き出して刺し殺す。

「やっさいもっさい!」

「ん?」

ふと横眼でクリスを見てみると、やはりノイズはクリスを集中的に狙っている。

(野郎、寄ってたかって一人相手に・・・!)

しかし、この距離ではブラストシューターは当たらない。

何か、別の方法がないものか。

(ちょっと待てよ・・・)

そこでふと思い出す。

(シンフォギアっていろんな形状があったよな・・・?)

翼は、刃の形を自由に変えられるのに対して、クリスはボウガンを様々な銃器に変形させる事が出来る。

であるならば―――

(その力を使ってる今なら・・・!)

クローズは、イメージする。

今、この距離でクリスを援護出来るような武器を。

もし、この力がシンフォギアと同等であるならば、このブラストモービルも―――

 

『Set Up!Blast Impact Bow!』

 

突如としてブレード部分が湾曲し、その切っ先から細長い光の糸が伸び、双方を結んだ。

そして、柄の部分すらも変形して、二つのグリップの間に持ち手があるような形になる。

「これなら―――!」

クローズは弓弦を引く。

すると、光の矢が形成され、それをクリスに襲い掛かろうとしているノイズに向かって放つ。

光の矢は目にもとまらぬ速さで飛んでいき、そのノイズを穿ち、それだけに終わらず、そのまま一直線に飛んでいき、そのノイズの後ろにいたノイズを全て撃ち貫いた。ついで、その後ろの建物まで軒並み破壊して。

「うそぉん・・・」

その意外な威力にクローズは思わず茫然とする。

一方のクリスは思わず援護射撃にクローズの方を見る。

一方のクローズは戸惑ったのかとりあえずピースサインを送る。

その様子に、クリスは歯噛みしてそっぽを向いて更なる敵を撃ちに行く。

放っておけば色々と突っ走りそうだ。

(だから俺がなんとかしてやんねーとな)

 

『Set Up!Blast Shooter!』

 

すぐさまブラストシューターに切り替えて、クローズは走る。

「行くぜオラァァアァ!!」

そのまま、ノイズの大群に向かって行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、戦兎と響は、マシンビルダーに乗ってノイズのいる場所へ向かっていた。

その最中、どこかへと飛んでいくノイズを見て止まる戦兎。

「どこに向かってんだ・・・?」

なんて呟いた直後、

 

「きゃぁぁあああ!」

 

「「ッ!?」」

どこからともなく悲鳴が聞こえ、二人はマシンビルダーを下りるなり、そこへ向かって走り出す。

そこは、ボロボロになった建設途中の建物。

そこへ入るなり、響は声を挙げる。

「誰か!誰かいま――――」

突然、真上から声が聞こえてきたと思って上を見てみたら、何かが落ちてきていた。

「「ッ!?」」

それを見た響と戦兎は、響は手摺を飛び越え、一方の戦兎は後ろに飛んですぐ近くの柱に隠れる。

「あれは・・・」

上を見てみれば、タコのようなノイズがビルの上を陣取っていた。

「野郎・・・」

戦兎は何かする前に下を見る。

するとそこには、口を塞がれている響と塞いで人差し指を手に当てている未来の姿があった。

その行為で、戦兎はある程度察する。

(音に反応するって事か・・・)

ビルドドライバーでは、ボトルを装填した際に識別音声が流れる。

ついで、ボトルを振る時も音が鳴るため、下手に成分を活性化させられない。

(くそ・・・)

もう一度下を見る。そこからでは、響と未来の姿しか見えないが、二人の視線から、もう一人の存在が伺いしれる。

さらには携帯を使って会話をしている。おそらく、メモ機能だろう。

あれなら、音を出さずに会話できる。

(さて、俺はアイツをどうにかしないとな・・・)

ここで下手に動けば、響はともかく、未来やもう一人に危険が及ぶ。

一か八かで狙撃するのも手だが、あのサイズとなると、一撃で仕留められるかどうか怪しい。

ゴリラモンドならいけるだろうか。いや、変身する以前に生身で触るのは即死に繋がる。

科学で言う所のトライ&エラーが使えない。つまり、失敗すれば即アウト。

(どうする・・・?)

今使える手段は、やはり―――

「う・・ぅ・・・」

もう一人の呻き声で、ノイズが動き出す。

(考えてる暇はないか!)

戦兎はポケットからラビットフルボトルを取り出す。

その際、僅かでも振れたためか、兎特有の聴覚が発動する。

「―――私、響に酷いことをした」

未来の声だ。

「今更許してもらおうなんて思ってない。それでも、一緒にいたい。私だって戦いたいんだ」

「・・・・ダメだよ、未来・・・」

「どう思われようと関係ない。響一人に、背負わせたくないんだ・・・・」

戦兎の視界で、未来が立ち上がる。

(アイツ、何を――――)

「私―――もう迷わない!」

 

未来が、声を挙げる。

 

「なっ!?」

その行為に、戦兎は思わず戦慄する。

次の瞬間、未来は走り出し、ノイズは未来に向かって触手をぶつける。

ジグザグに走る事で、ノイズの攻撃を掻い潜り、そのまま外に出る。

「あの馬鹿!」

戦兎はその場から飛び降りる。

そこで、倒れている女性を見つけ、その女性に響が駆け寄っているのを見る。

「その人は任せた!」

その声に、響は振り返り、

「未来を・・・私の大切な人をお願いします!」

その声に頷き、戦兎は駆ける。

 

シュワシュワシュワ

 

プルタブスイッチを入れて、ラビットタンクスパークリングを起動する。

それをビルドドライバーに装填して、ボルテックレバーを回し、そして叫ぶ。

 

「変身!」

 

シュワッと弾けるラビットタンクスパークリング!イェイイェーイ!』

 

泡の力で、加速する。

その最中で、他のノイズが襲い掛かる。

「邪魔だぁぁああ!!」

両腕の刃や泡の勢いを利用して粉砕し、ビルドは加速する。

(絶対に死なせない。この身をかけても、絶対にッ!!)

加速するビルド。その視界の先では、必死にノイズから逃げる未来の姿を捉える。

ノイズの触手が未来を狙い、一気に迫る。

(させるか!)

この距離では間に合わないと判断したのかドリルクラッシャーをガンモードにしてぶっ放す。

放たれた弾丸は、そのノイズの触手を吹き飛ばす。

「え・・・」

「止まるな!走れぇ!」

「ッ!」

ビルドが叫び、未来はさらに走る。だがノイズは諦めずに未来を狙う。

「おいコラタコ野郎」

ビルドは飛び上がる。

「女子高生だけ狙うとか同人誌の魔物かなんかかァ!?」

泡で加速し、渾身の飛び蹴りを叩き込んでぶっ飛ばす。

すぐさまそのノイズは炭化する―――だが、

「きゃあ!?」

「ッ!?」

未来の方に、もう一体のタコ型のノイズが迫っていた。

「もう一体!?」

ビルドはすぐさま駆け出す。

だが、その進路を大量のノイズが妨害する。

「だから邪魔だっつってんだろォがァ!」

一気に加速して、ビルドはドリルクラッシャーを使ってノイズの大群を突破する。

その間にも未来は片側が崖の下り坂に向かって走る。

(もう・・・走れないよ・・・)

走って走って、疲れ果てて、未来はとうとうその場に崩れる。

その背後から、タコ型ノイズが迫る。

(ここで、終わりなのかな・・・)

迫るノイズを見て、未来はそう思う。

(仕方ないよね・・・響・・・)

ノイズが飛び上がる。

その場面へ、ビルドが全速力で駆け付ける。

「未来――――!!」

ビルドが絶叫する。それと同時に、特大の泡の破裂で加速する。

(だけど――――)

ノイズが、落下してくる。

ビルドが、駆け抜ける。

未来が――――立ち上がる。

(だけど―――)

理由は、単純だ。

 

(―――まだ響と流れ星を見ていない!)

 

果たしていない、約束があるから―――!

 

眼を見開いて、未来は走り出す。

そこへノイズが落下し、アスファルトを砕く。

砕けた事で道路が崩れ落ち、未来は、すぐ傍の崖を真っ逆さまに落ちる。

「うぉぁぁぁあ!!」

絶叫し、ビルドも飛び降りる。

そのビルドの視界に、一つの影が飛び込む。

「響ッ・・・!」

すでに右手のガジェットを引き、撃ち込む準備が完了している。

「ああ、くっそ・・・!」

その響の顔を見て、ビルドは悔しがる。

「今日の主役はお前だ、響」

響の拳がノイズを穿つ。拳はノイズを貫き、一気に炭化させる。

その間にも未来は落下していく。その未来に向かって、響はもう一度拳を炸裂させて未来に向かって飛ぶ。

そして、未来に追いつき、抱き抱えるのと同時に―――ビルドが二人を抱える。

「戦兎先生・・・!?」

「なーに今回の主役はお前だが、準主役なりに意地張らせてもらうぜ!」

 

『ボルテックブレイク!』

 

ドリルクラッシャーをガンモードにして、ロケットフルボトルを装填。そして銃口から発射されるジェット噴射によって落下スピードを殺し、そのままロケットゆっくりと着地する―――と思いきや、何故か思いっきり足を滑らせる。

「あ」

「え」

「は」

見事に足を滑らせたビルドがそり替わりになって一気に坂を真っ逆さまに滑り落ちる。

「ぎゃぁぁああ!?」

悲鳴が聞こえ、やっと止まった時には、上に乗っかっていた響と未来は宙へ放り出されて、そのまますぐ傍の川の横に倒れる。

その場で手をつき、過呼吸をする未来と響。

落下の衝撃か、変身が解除されてしまっている。

「いったぁい・・・」

「いたた・・・」

腰に手を当てて痛がっていると互いに顔を見合わせて、思わず笑ってしまう。

「随分と派手に転んじゃったなぁ」

「あっちこっち痛くて、でも、生きてるって気がする。ありがとう。響なら絶対に助けに来てくれるって信じてた」

「ありがと、未来なら最後まで諦めないって信じてた」

そう言い合う二人。

「だって、私の友達だもん」

「っ・・・」

その言葉に、未来は胸を痛め、顔を歪める。

やがて涙を流し、ついには響に抱き着く。

「ぐえっ!?」

そのまま後ろに倒れてしまい、響の元で、未来の泣き声が聞こえた。

「怖かった・・・怖かったの・・・」

「私も・・・すっごく怖かった・・・」

その言葉に、響も目尻に涙を浮かべる。

「私、響が黙っていたことに腹を立ててたんじゃないの・・・!誰かの役に立ちたいと思ってるのは、いつもの響だから・・・でも、最近は辛い事苦しい事、全部背負い込もうとしていたじゃない。私はそれが堪らなく嫌だった。また響が大怪我するんじゃないかって心配してた・・・」

二年前のライブの時のように、目を覚まさないかもしれない。

「だけど、それは響を失いたくない私の我儘だ・・・そんな気持ちに気付いたのに、今までと同じようにだなんて・・・出来なかった・・・」

「未来・・・」

響は、一度未来を離すと、面と向かい合う。

「それでも未来は私の・・・っ・・・」

「え?何・・・?」

突然、何かをこらえる響。だが、突如として響は声を挙げて笑い出す。

「だ、だってさ・・・髪の毛ぼさぼさ涙でぐちゃぐちゃ、なのにシリアスな事言ってるし!」

「もう!響だって似たようなものじゃない!」

「んえ!?嘘!?未来、鏡貸して―――」

そう頼んだ時だった。

「おい・・・お前ら・・・・」

どこからか聞き覚えのある声が聞こえたかと思えば、自分たちが腰を落としている場所がもぞもぞと動く。

「そこをどいてくれ!女子高生二人が上で暴れんのは流石にきつい!」

「あ!?ごめんなさい!」

「すみません!」

慌てて戦兎の上から立ち退く二人。

「あー、やっと解放された・・・」

「なんだかすみません・・・」

「全くだ・・・でもま、仲直りは出来たみたいだな」

ビルドフォンのシャッターを押す戦兎。

「「え」」

「ほら、これが今のお前らの顔だ」

「え?うぉ、凄い事になってる!?これは呪われたレベルだ・・・」

「私も想像以上だった・・・」

再び、笑い合う。

その様子に、戦兎も顔をくしゃっとする。

その場には、少女二人の笑い声が響いていた――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少し過ぎて、全てのノイズが殲滅された商店街にて。

「はい、ふらわーさんから回収しておきました」

「ありがとうございます」

「どういたしまして」

緒川から通学鞄を受け取っている未来を他所に、戦兎は周囲を観察していた。

(しっかし、今日はどうしてあんなに大量のノイズが・・・この辺りのノイズ出現率があまりにも高いとはいえ、いくらなんでも多すぎる・・・)

道端にある炭を一つまみして、指先で擦ってみる。

(大体は、万丈と雪音クリスがやってくれたから良いものの・・・それにしてもこんだけやる必要はあったか・・・)

ふと、何やら乱暴な運転故の車のタイヤが擦れる音が聞こえてきたと思ったら、了子の運転する車だった。

(一番怪しいのは・・・)

戦兎は了子を睨む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いが終わり、万丈は相変わらずクリスと一緒に行動していた。

「お前・・・一体いつまでついてくる気だ」

「俺の気のすむまで」

「キュル!」

あっさりと言ってのける万丈(馬鹿)にもはや呆れるしかないクリス。

「アタシはお前たちに酷い事したんだぞ・・・?」

「だからなんだ。俺がお前を放っておけないからこうしてついていってんだろうが」

「放っておけないって、おせっかいのつもりかよ」

「まあな」

「・・・」

どこまで行っても付いてくるこの男。

いっそストーカーとでも言って巻くか。

そう思ったがやめて、クリスは改めて理由を聞いた。

「・・・なあ、なんでお前はそんなにアタシに構うんだよ」

「・・・」

その問いかけに万丈はしばし黙り、やがて話し出す。

「戦争の重さは知ってる。家族を失う苦しみも知ってる。大切な人間が、目の前で消えちまう事も知ってる・・・だから放っておけねえんだよ。戦争を無くしたい。んでもってその為に戦うお前をな」

「・・・・はっ」

そんな事を言う万丈にしばし黙ってしまうも、誤魔化すように鼻で笑う。

「まるで戦争を体験したような口ぶりだな。お前のそのお粗末な頭じゃ海外でまともにやっていけねえし、生憎と日本は世界一治安が良い国って事で評判だぜ?そんな国で、どうやって戦争を理解するってんだよ?そう映画とか見た訳じゃあるまいし―――」

「マジだ」

「は?」

「実際に戦争は見た事あるし、それで戦った」

万丈の眼に、嘘はなかった。

目は口程に物を言うと言うが、今の万丈の眼差しは、まさにそれだった。

この平和な国で育ってきたであろう男がする目ではなかった。

 

まさしく、戦争を体験してきたような、そんな表情だった。

 

「・・・お前は、一体」

「・・・上手く説明できるか分かんねえけどよ・・・」

川の縁に作られた歩道の手摺に手をついて、万丈は語り出す。

「ぱらりらだかパラレルだとか、確かそんな感じに、何個かの世界があって、そのうちの二つが合体する・・・なんて話があったらお前は信じるか?」

「世界が・・・合体・・・?」

なんだその現実感の無い話は。

一体、この男は何を伝えようとしているのか。

だが、世界、と言ったか。

そう考えてみると、ありえないような、そんな現実感の無い答えが浮かび上がってくる。

 

この世界の人間じゃない、という可能性が。

 

「・・・・あー、だめだ。やっぱり上手く説明出来ねえ。忘れてくれ」

万丈は歩き出す。

「ほら、行くぞ」

「お、おう・・・」

さっさと歩いていく万丈の後ろ姿を、クリスはただ見つめる事しか出来ない。

「キュル」

「ん?」

ふと、視界のやや上をドラゴンが飛び回る。

その様子にほんの少し微笑みつつ、クリスも万丈についていくように歩き出す。

(まあ、いっか・・・)

この男の事はよくわからない。

深く考えてない事もよくわかる。

何せこの男は正真正銘の『馬鹿』だからだ。

それでいて、自分と真正面からぶつかってくれる。

(ちょっとは、信じてもいいかもな・・・)

そう思い、クリスは、万丈を追いかけた。




次回!愛和創造シンフォギア・ビルドは!

「学園の真下にこんなシェルターや地下施設が・・・」

リディアンの真下にて、邂逅する未来と装者、そして仮面ライダー。

「デートしましょう!」

突然の響の発言。

「アタシは『大人』が嫌いだ!」

雨の中叫ぶクリスと対峙する万丈。

「それじゃあ、行ってくるわ」

そして、戦兎が向かった先には―――

次回『変わり果てたニューワールド』

「はい。お待ちどう」

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