愛和創造シンフォギア・ビルド   作:幻在

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戦「天才物理学者にして仮面ライダービルドこと桐生戦兎は、フィーネとの戦いに決着を迎え、ノイズと戦う日々に明け暮れていた」
シ「では、今回より本格的に参入する事となったこの小説だけのオリジナルキャラにしてオリジナルライダーの仮面ライダークライムこと、シン・トルスタヤだ」
慧「同じく、仮面ライダータスクこと、涼月慧介です」
戦「まだでてきてないんだから出てくるんじゃないよ・・・」
マ「ついに私も本名が開放よ!Foooooo!!」
工具「今日はいつになくマリアがうるさい・・・」
農具「相当あの名前から解放されたのが嬉しかったんデスね・・・」
慧「って、まだお前らの名前は出ないのかよ!?」
農具「しょうがないデス。だってまだ本編ででてないんデスから」
響「あれ?いつもの元気がないような・・・」
工具「これも全て他のキャラが目立っているから・・・」
龍「うおい!?こんな所でそれ纏うのヤメルルォ!?」(今回から万丈から龍我になります)
農具「マストダーイ!!」
ク「うわぁぁぁあ!?なんか今までイジられキャラだったアイドル大統領の名前が先に公開されたから後輩二人が暴れだしやがって!?」
マ「ぐふあ・・・」
翼「ま、マリアー!」
シ「アイドル大統領という名前に反応して喀血したな」
戦「ああもう今回もGDGDだぁぁぁ!!」
未「えー、では『G編』第一話、及び、愛和創造シンフォギア・ビルド、その第二三話をどうぞ!」
クロ「キュールルールルールルールルっ!」
作「あ、今回は本編第一話まるまる書いてますので文字数がとんでもない事になってます」(この作者は幽霊です)


G・天翔ける大舟編
黒のガングニール 


―――雷鳴轟き、雨天より落つる、闇夜の中、一つ突っ切る武装列車あり。

 

 

その上空には、無数の飛行型ノイズが襲来していた。

すぐさま迎撃を始める武装列車。

しかし、ノイズに通常の兵器が効く訳がなく、弾丸はその体を透過し、対象には一切のダメージは入っていなかった。

そのまま、ノイズは形を変えて迎撃してきた武装車両を襲撃、中にいる警備員を炭化させ、なおかつ車両を破壊する。

「きゃあ!?」

その衝撃で、友里が倒れる。

「大丈夫ですか!?」

そんな彼女を心配するのは、抱える程大きなアタッシュケースを抱えた白髪の男だった。

「平気です。それよりも、ウェル博士はもっと前方の車両に避難してください!」

友里はすぐさま立ち上がり、男『ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス』、通称『ウェル』にそう促す。

「ええ・・・・」

「大変です!」

そこへ駆け込んでくるのは、二人の少女と一人の男。

「凄い数のノイズが追ってきます!」

「連中、明らかにこっちを獲物と定めてきやがる」

「まさかソロモンの杖と同じ奴があるって訳じゃねえよな・・・」

まず茶髪の少女『立花響』が報告、白髪の少女『雪音クリス』がノイズの行動にそう呟き、男『万丈龍我』がそう呟く。

「急ぎましょう!」

友里が、そう告げる。

 

 

 

 

 

「第七一チェックポイントを通過を確認!」

その一方で、特異災害対策機動部二課の本部にて、藤尭がそう叫ぶ。

「岩国の米軍基地到着まではもうまもなくです!ですが・・・」

このままノイズを連れていく訳にはいかない。

「こちらとの距離が伸び切った瞬間を狙い撃たれたか・・・」

「司令、やはりこれは・・・」

「ああ、何者かが、ソロモンの杖強奪を目論んでるとみて、間違いない」

弦十郎は、険しい眼つきでそう告げるのだった。

 

 

 

 

 

 

ノイズからの攻撃が激しくなる中、一行は前の車両へと向かう。

「はい・・・はい・・・多数のノイズに混じって、高速で移動する行動パターン・・・?」

本部からの連絡を受ける友里。

「三ヶ月前、世界中に衝撃を与えた『ルナアタック』を契機に、日本政府より開示された『櫻井理論』。そのほとんどが、未だ謎に包まれたままになっていますが、回収されたこのアークセプター『ソロモンの杖』を解析し、世界を脅かす、認定特異災害『ノイズ』に対抗しうる、新たな可能性を模索する事が出来れば・・・」

ふと、次の車両に移った所で、クリスが立ち止まる。

「ソイツは・・・ソロモンの杖は、簡単に扱っていいものじゃねえよ・・・」

「クリス・・・」

後ろの龍我が、心配そうに彼女の名を呼ぶ。

「最も、アタシにとやかく言える資格はねえんだけどな・・・うわ!?」

そんなクリスの頭を、龍我はわしゃわしゃとかき回す。

「な、なにすんだよ龍我!?」

「安心しろ。俺たちがついてる。その為の仲間だろうが?」

顔を近づけて、そう笑って見せる万丈に、クリスは顔を赤くして顔を反らす。

「お前、本っ当の馬鹿・・・」

「馬鹿って言うな、せめて」

「筋肉をつけろ、ですよね龍我さん」

調子よくいって割り込む響。

「了解しました。迎え撃ちます!」

友里が、そう返事を返し、通信を切る。

「出番なんだよな?」

クリスの問いかけに、友里は銃を取り出して頷く。

それと同時に、天井からノイズが襲ってくる。

「うわぁあああ!?」

ウェルが情けなく腰を付くと同時に、龍我は手にレンチのようなレバーのついた何かの装置を取り出し、それを腰に巻き付けた。

 

『スクラァッシュドゥライバァーッ!!』

 

続いて何かの飲料パックのようなものを取り出し、そのシールディングキャップを開ける。

「行きます!」

響の叫びと共に、龍我は、そのパック―――『ドラゴンスクラッシュゼリー』を『スクラッシュドライバー』に装填した。

 

 

ドゥラゴンジュエリィーッ!!』

 

 

すると、スクラッシュドライバーから何かを作るかのような待機音声が流れる。

そして、それが流れ出し、準備が整うと同時に、彼らは頷き合う。

 

「―――Balwisyall Nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)―――」

 

「―――Killter Ichaival tron(銃爪にかけた指で夢をなぞる)―――」

 

 

「―――変身!」

 

二人が聖詠を唱え、そして龍我は、スクラッシュドライバーの『アクティベイトレンチ』を押し下げる。

するとレンチと連動するプレス機がドラゴンスクラッシュゼリーを圧迫、揉み潰し、中にあるゼリー状の『トランジェルソリッド』をドライバー内部に取り込む。

すると龍我が巨大なビーカー『ケミカライドビルダー』の中に入る。

 

そして、その中が青い液体で満たされ、龍我を包み込み、龍我を仮面の戦士『仮面ライダー』へと変身させる。

 

 

『潰れるゥ!流れるゥ!!溢れ出るゥッ!!!』

 

ドゥラゴン・イン・クロォォズチャァァジッ!!』

 

『ブルァァァァア!!!』

 

 

真っ白の素体の頭頂部から青いゲル状の液体が噴出し、それがクローズの体に纏われ、装甲を形成する。

 

仮面ライダークローズチャージ。

 

スクラッシュドライバーを使う事で成る事の出来る、クローズの新形態。

「むぅ・・・」

「ん?どうした?」

クローズチャージに変身したクローズを見て、何故かクリスは不貞腐れていた。

「別に・・・」

「クローズイチイバルに変身してくれなくて寂しいんだよね~?」

 

ガンッ

 

「痛い・・・」

「根も葉もない事いうからだ」

「おい、そんな事してねえでさっさと出るぞ!」

天井を突き破って、三人は上空の敵を見据える。

「群雀どもがうじゃうじゃと」

「どんな敵がどれだけ来ようと、今日まで訓練してきた、()()()()()()()()()()があれば!」

「あれはまだ未完成だろ?もし失敗して大惨事になったらどうすんだよ?」

「大丈夫ですよ!今から使うって訳じゃありませんし、とっておきたいとっておきですから!」

「そうかよ」

「ふん、分かってんなら言わせんな」

クリスがアームドギアのボウガンを展開する。

それと同時に、クローズが左手に武装を展開する。

 

『ツゥインブゥレイカァーッ!!』

 

ツインブレイカー。クローズともう一人の専用武器。

 

『ビィームモォードッ!!』

 

「背中は預けたからな?」

「任せて!」

「行くぜえ!!」

響が歌い始める。

 

「―――ぎゅっと握った拳 1000パーのThunder!」

 

「オラァ!!」

クリスがボウガンの引き金を引いて矢を乱射。

それと同時にクローズがツインブレイカーから光弾を乱射する。

それによって、上空のノイズがたちまち数を減らす。

しかし、それを掻い潜ったノイズがクリス達に接近。しかしそのノイズを、以前よりも洗練された動きで次々とノイズを叩き落していく。

その最中で槍状で突っ込んできたノイズすらも、二体を拳で、最後の一体をサマーソルトキックで叩き潰す。

その間に、クローズがツインブレイカーのフルボトル装填スロットにドラゴンフルボトルを装填する。

 

シィングルゥッ!!』

 

ツインブレイカーのパイルに青い光粒子が収束する。

それと同時に、クリスがボウガンを弩弓に変形、それにつがえた矢を放ち、それが何体ものノイズを貫き、そして細かく分裂。それが空一面にばら撒かれると同時に、無数の鏃が驟雨と成りて、ノイズの大群に振り落とされる。

それと同時に、クローズがツインブレイカーを突き出す。

 

シィングルゥフィニィッシュッ!!!』

 

「ウオリヤァァァアアア!!!」

二つの砲身から打ち出される火炎。それが、今まさに列車の背後から突っ込もうとして来ていたノイズの集団を纏めて焼き払い、そして上空のノイズもクリスの驟雨によって消滅する。

 

GIGA ZEPPELIN

 

しかし巻き起こる爆炎の中、青い閃光を巻き散らして高速で飛翔する何かがいた。

それは、今までに見た事がないノイズ。

「なんだアイツ?」

「アイツが取り巻きを率いてやがるのか」

すかさず腰部のギアから小型ミサイルポッドを展開、一斉に射出する。

 

MEGA DETHPARTY

 

しかしそのノイズはノイズにしてはあり得ない高機動を発揮してミサイルを全て躱す。

「だったらァ――――!!」

それに対してすぐさまガトリング砲を展開、乱射する。

 

BILLION MAIDEN

 

しかしそれすらも全て回避してみせる。それだけに留まらず、その体を変形させて巨大な槍へと変形、一気に突っ込んでくる。

しかもその外装はクリスのガトリング砲の弾を弾き飛ばしている。

「嘘だろ!?」

「クリスちゃん!龍我さん!」

響が右腕のギアのバンカーを引っ張り出す。そして飛び上がり、それにクローズが続く。

 

『アタァックモォードッ!!』

 

ビームモードの砲身『レイジングビーマー』を動かし、パイルを突き出させる。そして今度はドラゴンスクラッシュゼリーを装填する。

 

ツゥイィンッ!!』

 

「ハァァァァアア!!!」

「ウォォオォオオ!!!」

突っ込んでくるノイズ、そのノイズに、響は拳を、クローズはツインブレイカーを叩きつける。

 

ツゥイィンブゥレイクッ!!』

 

高速回転するパイルの一撃と一撃粉砕の拳の一撃。それを受けてもそのノイズは粉砕されずにただ上方へ突進をそらされる。

しかし、そのノイズ一体に集中する訳にいかず、他にも襲い掛かる小型飛行型ノイズを相手にしなければならない。

これではジリ貧である。

「あん時みたく、空を飛べるエクスドライブモードなら、こんな奴らに一々もたつく事なんてねえのに!」

「うーん戦兎からタカボトル借りときゃ良かったかな?」

「ですね・・・って、クリスちゃん!龍我さぁん!」

「「ん?」」

何故か慌てた様子の響の声に後ろを向いてみると、列車がもの凄い勢いでトンネルに入っていく所だった。

そう、それだけなら良かった。問題なのは、このままでいれば()()()()()()()()()()()という事だった。

「「うわぁぁあぁぁぁああ!?」」

「うぉぉぉおおぉぉおお!?」

すぐさま響が足のバンカーで、クローズがツインブレイカーを列車の屋根に叩きつける事で風穴を開ける事で回避する。

その時、ちゃっかりクローズがクリスをお姫様抱っこしていたりする。

「ギリギリセーフ・・・!!」

「う・・・あ・・・う・・・・」

「ん?どうしたクリス?」

「な、なんでもねえ!・・・でも、助かった・・・」

顔を真っ赤にしてクローズの腕から降りるクリス。

「おう!」

礼を言われた事に一抹の嬉しさを込み上げさせながら、クローズは車両の後ろの方を見る。

「さて、アイツらどうやってぶっ飛ばす?」

「攻めあぐねるとはこういう事か・・・」

「そうだ!」

ふと響が手をぽんっ!と叩いて何かを閃く。

「何か閃いたのか?」

「師匠の戦術マニュアルで見た事ある!こういう時は、列車の連結部を壊してぶっつければいいって!」

「おお!そいつはいいな!」

「でしょ!?」

「う・・・おっさんのマニュアルといえば面白映画だろ?そんなのが役に立つものか。大体、アイツらに車両ぶつけたって通り抜けてくるだけだろ?」

額を抑えて呆れるクリスだが、響は不敵な笑みを浮かべていた。

「ふっふふ~ん!ぶつけるのはそれだけじゃないよ!」

ノイズはなおも近付いてくる。

「さあ急いで!トンネルを抜ける前に!」

前の車両に移動し、クリスが連結部を破壊。

「サンキュー!クリスちゃん!」

「本当にこんなんでいいのかよ?」

お礼を言う響に対して、クリスは未だ彼女の意図が分からない様子。

「あとはこれで・・・」

「こうすりゃあいいんだな!!」

クローズが後方車両を殴って後ろに飛ばす。

すると切り離された車両が背後から迫ってくるノイズの大群に向かって突っ込んでいく。

注意しておくが、あくまで移動し続けている彼女たちの視点から見ればの話しで、実際には後方の車両が押された音によって減速、速度としては未だ人をひき殺せるレベルの速度だ。

しかし、そんな障害物はノイズにとっては無駄にも等しい。

位相差障壁によって自身の現実との実体感を薄め、列車を透過する。

しかし、トンネルの出口で待ち構える者がいた。

「クロ!」

「キュル!」

クローズが呼びかければドラゴンフルボトルを装填したクローズドラゴンことクロが飛んできて、そのままツインブレイカーのスロットに自ら装填される。

 

ルェディゴォッ!!!』

 

パイルが高速回転しだし、青い光粒子が収束する。

その一方で、響の右腕はまさしくアームドギアと呼べるほどに巨大なジェットナックルに変形しており、その後方にあるジェット噴出機構にはエネルギーが溜まっている。

「飛ぉべぇぇええぇぇぇええええッ!!!」

 

レッツゥブゥレイクッ!!!』

 

「ウォリヤァァアアァァァアァアッ!!!」

次の瞬間、響のギアのジェットが爆墳。それと同時にクローズが突き出したパイルからクローズドラゴン・ブレイスが飛び出し、それが響の右腕のアームドギアに纏われる。

その光の粒子がアームドギアのエネルギー炉に溜め込まれ、その腕の放つエネルギーを龍の顎として列車から透過してきたノイズに叩きつける。

そして、通常とは比べ物にならない程の威力で打ち出された衝撃が、大型ノイズを砕き消し飛ばす。

それが、響とクローズの合体技。

 

撃槍龍ノ咆哮(DRAGON-DESTRUCTION)

 

放たれる龍の咆哮――――それが、そのノイズだけでなく列車すらも消し飛ばし、後方より突っ込んでくるノイズすらもまとめて、トンネルの先まで全て消し飛ばす。

(閉鎖空間で、相手の機動力を封じたうえ、遮蔽物の向こうからの重い一撃・・・)

その様子を、クリスは過ぎていく列車から見ていた。

響の成長性、起点の利かせ方、どんな状況でも最適解を導く直観力。

その全てに、戦慄を抱いていた。

(アイツ・・・どこまで・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フィーネと名乗る女性が荷電粒子砲『カ・ディンギル』を使って引き起こした『ルナアタック事変』から、三ヶ月後―――

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・んで、杖を届けた瞬間にノイズが襲撃、担当していたウェル博士と一緒にソロモンの杖が行方不明、と・・・」

『うむ、その通りだ』

弦十郎からそのような報告を受けつつ、戦兎はバイクを走らせる。

「ったく、何やってんだよアイツ・・・」

『それで、君の見解を聞きたいんだが・・・』

今回のソロモンの杖輸送任務。広島の岩国にある米軍基地までアークセプターである『ソロモンの杖』を輸送するのが目的であり、その際に同行したのが響、クリス、龍我の三人である。

翼は今夜開催される『Queen's Of Music』というライブに向けてのリハーサルで席を外し、戦兎はもしも別の場所にノイズが現れた為の対応策として残っていた。

「見解って、どう考えても杖を持っていたウェル博士が怪しいだろ」

『ふむ。そう思うか』

「ソロモンの杖はすでに起動状態。あとは触れるだけでノイズを好きなだけ操れるんだ」

『俺には、そんな奴には見えなかったがな。何より度胸がないように見える』

「そういう人間程、強大な力を手に入れた時に力に溺れるんだよ」

『そうか・・・分かった。ならばその線を考えてウェル博士の行方を調べる事にしよう』

「オーケー。じゃ、俺はこれから会場に向かうから、何かあった時は連絡する」

『分かった。楽しんで来いよ』

それを最後に、本部との連絡を切る戦兎。

バイクが風を切る音をヘルメット越しに聞きつつ、戦兎は、視界に映るライブ会場を見る。

「あの・・・」

ふと、後ろから声を掛けられ、それに戦兎が反応する。

「ん?どうした?」

振り向けば、戦兎の乗るバイクの後ろには、橙色がかった茶色の髪を風に靡かせる少女がいた。

「任務の方は・・・」

「ああ、見事に杖を奪われたとよ」

「そんな・・・」

少女は、ショックを受けたかのような声を挙げる。

「安心しろ。この正義のヒーローの仮面ライダービルドがいるんだ。なんの問題もねえよ」

「だと・・・いいのですが・・・」

「心配性だな、お前は」

少女が顔を曇らせる中、戦兎は快活に言ってのける。

「大丈夫だ。俺はもちろんの事、万丈や響、翼、クリスがいる。お前が心配する事なんてどこにもねえよ」

「・・・・そう、ですね・・・そうですよね」

少女は元気を取り戻したように声を明るくする。

「そんじゃ、今日は翼のデュエットライブだ。相手はお前の大好きな」

「マリア・カデンツァヴナ・イヴです!」

「よし!そんじゃあ行くか!セレナ!」

「はい!」

 

 

 

 

彼女の名前は『セレナ・リトルネッロ・ヘルカート』。

記憶喪失の少女である。

 

 

彼女は、今日のソロモンの杖輸送作戦より、二ヶ月も前に、とある謎の人物からの依頼で引き取り事となったのだ。

 

 

 

 

 

「本当にここなのか?」

『ああ、指定されたポイントはそこで間違いないよ』

藤尭の言葉に、戦兎が答える。

『しかし、どうしていきなりこんなものを送って来たんだろうね』

「知らねえよそんな事」

それは、突然の事だった。

発信源不明の暗号メッセージが二課に送られ、それを解析した所、こんなメッセージが出てきたのだ。

 

『湾岸の港にて、トラックを一台用意した。その中に諸君らに受け取ってほしいものがある』

 

あまりにも罠感満載なメッセージ。しかし、確認しない訳にもいかず、その時手が離せなかった弦十郎の代わりに戦兎、龍我、響、クリス、翼はやってきたのだ。ちなみにクロは駄々をこねた為に未来の所にいる為、今回はいない。

「受け取ってほしいものって、一体なんでしょうね?」

「こういう時は決まって爆弾とかそういう罠っぽいものって相場が決まってんだよ」

「だが確認しない訳にもいかない。その要求するものがなんであれ、無視する事は出来ない」

「はいはい分かってんよ」

戦兎の後ろでは装者三人が今回のメッセージについて話し合っていた。

「んで?どう思うよ戦兎」

「まあ罠である事には変わりないだろうけど、他でもない上司の命令だ。聞かない訳にはいかないだろ」

そうして移動した先に、それはあった。

港の倉庫の影に隠れるようにして、そのトラックは置いてあった。

 

エンジンがかかったままで。

 

「エンジンがかかったまま?」

「どういう事だありゃ?」

響とクリスが首を傾げる。

「どうやら人は乗ってないようだ・・・」

確かに、エンジンはかかっているが、人は乗っていないようだった。

「となると積み荷の方か・・・」

戦兎はしばしトラックを観察し、思考すると、

「よし、万丈。行ってこい」

「はあ!?」

「この中で一番頑丈なのはお前なんだから、なんなら変身してでも行って来いよ」

「なんで俺が・・・」

「な、なんならアタシが一緒にいってやってもいいけど?」

クリスがそう申し出る。

「いや、いい」

「そ、そうか・・・」

「あ、クリスちゃんがっかりしてる」

 

ごつんっ

 

「痛い・・・」

「いい加減な事を言うからだ」

「そんなコントしてないで、さっさと行ってこい」

「分かったよ・・・ったく、人を良いように使いやがって」

ぶつぶつと文句を垂れる龍我が、トラックに近付く。

そうして、トラックの後ろの扉の前に立つと、恐る恐るその扉を開けた。

その中にあったものは――――

「・・・」

龍我が首を傾げて中に入る。

そうして数秒した後に、龍我が慌てた様子で出てきた。

「せ、戦兎!」

「どうした?」

「良いから来い!」

龍我の慌てように顔を見合わせ、四人はトラックに向かう。

その中にあったのは、人が入れそうな程大きなカプセルといくつもの電子機器。置かれているモニターには誰かのバイタルが表示されており、他にもいくつもの医療関係の機器が置かれていた。

「これは・・・」

思わず茫然とする一同。だが、その中で龍我は中に乗り込んで、カプセルの前に立つ。

「こっちだ」

それに戦兎は従いに、カプセルにある小窓を覗き込んだ。

その中にいたのは―――一人の少女だった。

「こ、こいつは・・・!?」

見た目は、年齢は十六~十七。髪の色は橙色がかった明るい茶色。

まるで妖精のような容姿をしているが、その体はやややせている。

腕に点滴の針が刺さっているのが見え、おそらくこれから栄養を直接貰っており、また口には頑丈そうな呼吸器が取り付けられていた。

「どう思うよ?」

「エンジンをつけっぱなしにしていたのは、トラックの中の医療機器を常に稼働しておくためか・・・」

戦兎はすぐさま通信機を取り出す。

「おい本部」

だが、返事は返ってこない。

「ん?おーい、もしもーし!」

返事は、無し。

「・・・・どうなってんだ?」

何故か繋がらない。

これは一体どういう事なのか。

「どうした?」

そこへ、翼たちが入ってくる。

「ん?・・・え!?これって・・・・」

「どうなってんだよ・・・」

カプセルの中身を確認した装者は当然驚いた。

「戦兎、これは一体・・・」

「見た所本物の人間であることには間違いない。だが本部と連絡が取れない」

通信機が繋がらない事は事実。

「何?本部、こちら翼・・・本当だな・・・」

「お前のもか?」

「ああ。これは一体・・・・」

一体なんなのか。

「皆さん、無事だったんですね!」

そこへ緒川が飛び込んでくる。

「緒川さん!?」

「どうかしたのか?」

「皆さんの通信機の反応が途絶したので、急いでやってきたのですが、大事がないようでよかったです」

「反応が・・・そうか」

戦兎は、気付く。

「緒川、トラックを出てすぐに本部と連絡を取ってくれ。このトラックの中はおそらく妨害電波が飛び回ってる」

「妨害電波・・・なるほど、そういう事でしたか」

戦兎の言葉に胸を撫でおろした緒川は、すぐにトラックを出て本部に連絡を取る。

その最中で、戦兎はカプセルの中の少女を見下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

後に、少女は何故か『睡眠薬』で眠らされていた事が分かり、その睡眠薬の体内洗浄を行った後、彼女―――セレナは目覚めた。

そしてトラック内には彼女の生体反応を遮断するように強力なジャミング波が発生しており、その所為で生体反応を検知できず、ましてや通信も出来なくなっていたのだ。

しかし、見つけたはいいがここからが問題で、彼女は記憶喪失であり、また、彼女の情報を見つける事が出来ず、やむなく外国人らしい名前を戦兎がつけ、二課で面倒を見る事になったのだ。

その際、龍我がうっかりシンフォギアの事を喋ってしまい、仕方なく二課の非公認協力者として登録、リハビリの後にリディアンに入学したのだ。

 

そして現在、類稀なる才能を戦兎の助手として発揮し二課に貢献していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのライブ会場にて。

ステージのセットが行われている中、一人の女性が鼻歌を一つ歌いながらその様子を眺めていた。

「~♪」

「・・・今日はいつになく落ち着いているな、マリア」

そんな彼女に、一人の男が声をかける。

「そんな事はないわよ、シン。何せ今日は、私たちの覚悟を見せる日だもの」

男、シンの言葉に、女、マリアはそう答える。

「そうだな。お前が落ち着ける女な訳がないか」

「ねえ、それってどういう意味?」

「何かを食べなければ外面を保てない意地っ張りマリアという意味だが?」

「う、うるさい!」

思わず怒鳴ってしまい、注目を集めてしまった。

それに顔を赤くして、マリアは姿勢を正す。

そこで、彼女の携帯に連絡が一つ入る。

『こちらの準備は完了、サクリストSが到着次第、始められる手筈です』

聞こえてきたのは、一人の女の声。

「ぐずぐずしてる時間はないわけね?」

立ち上がり、マリアは答える。

「OK、マム。世界最後のステージの幕をあげましょう」

『任せましたよ』

それを最後に、マムと呼ばれた女との通話を切る。

「あの男はうまくやれたようだな」

「ええ。貴方も準備して頂戴」

「ああ、分かっている」

マリアの言葉に、シンは頷いた。

 

 

 

 

 

 

夕焼け色の光に照らされる街、その影にあるとある場所に、その車両はあった。

その中にいるのは、一人の初老の女と、白衣を着た男性だった。

「流石は世界の歌姫『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』。ステージは大盛り上がりですな」

「しかし、彼女の歌をもってしても、アレを起動させられないのは事実です」

褒め称える男に、女は塩辛く対応する。

「やれやれ・・・しかし、貴方も意地が悪い。彼女にとっては()()()()()()()()()()()()()()()()なんて事を・・・」

「しかし、そうでなければ世界は救えない」

車椅子に座る女は、冷酷に答える。

そこに、モニターに一つのメッセージが届く。

曰く、『Si Vis Pacem,Para Bellum(汝 平和を欲せば 戦への備えをせよ)』。

「ようやくのご到着、随分と待ちくたびれましたよ」

女はその顔に笑みを浮かべて、そう呟き、一方の男はくつくつと笑い声を静かに上げた―――

 

 

 

 

 

 

 

マリア・カデンツァヴナ・イヴ――――デビュー僅かで全米ヒットチャートの頂点に昇りつめた気鋭の歌姫。

そのミステリアスにして力強い歌声は、国境を越え、世界中に熱狂的なファンを多数獲得している、いわゆる世界の歌姫的存在だ。

 

 

 

 

そのマリアが、目の前で万雷の喝采を受けていた。

 

 

 

「悪い、遅れた!」

「あ、戦兎先生、セレナ」

翼が用意した特等席にて、戦兎とセレナは駆け込む。

そこには、未来、板場、安藤、寺島の四人がいた。

「遅いですよー!」

「でも良かったです。翼さんの出番はこれからなんですから」

「これには間に合って良かったぜ・・・」

「すみません、煽り運転してきた人がいたのでお灸をすえてやってたら遅れてしまって」

そう言って、戦兎とセレナは未来の隣に座る。

「煽り運転って・・・大丈夫だったんですか?」

「ああ、予想通り出てきて文句つけようとしてきたから権力使って()()()()

国家権力様様である。ちなみに相手は男女の二人組で女は証拠写真のつもりか動画を取り、一方の男はこちらに難癖つけて殴り掛かろうとしてきた。

まあ、それはさほど問題にはならなかったが。

「そ、そうですか・・・」

安藤が顔を引きつらせる。

「あの、響は・・・」

「ああ、向こうでさらにノイズが現れたみたいでな。それの対処に遅れて、到着するのはもっと後になりそうなんだ」

「そうですか・・・」

未来はあからさまに落ち込む。やはり響がいないと寂しいのであろう。

「大丈夫ですよ。きっと間に合います」

そんな未来を、セレナが励ます。

「ありがとう、セレナ」

「はい」

「・・・・・お」

そこでステージの照明が消える。

それに会場のボルテージが一気に湧き上がる。

ステージ奥のモニター、その壇上からシャフトに乗って、二人の女性が出てくる。

片方は、黒と赤のライブ衣装を着込む日本が誇るトップアーティスト『風鳴翼』。

もう片方は、純白のライブ衣装を纏う世界にその名を馳せる歌姫『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』。

 

これが、このライブのメインイベント。

 

 

風鳴翼とマリア・カデンツァヴナ・イヴの二人による、一夜限りのユニットライブだ。

 

 

今、この空間を支配しているのは、マリアか、翼か。

奏でられる伴奏のメロディの中、二人の歌姫が歌い出す。

 

―――Huu...Cold moon...Blue shine...

 

―――マサニ今宵、イマ世界ハ、一ツニナル、届キタマエ、叶エタマエ、

 

唄い出し、二人の歌姫が華麗に舞う。

 

 

―――さあ…始まろう―――

 

 

剣のようなマイクに自らの声を伝え、この会場にスピーカーを通して自身の歌声を届ける。

 

(3、2、1 Reagy go Fly!!)

 

―――果てなき 強い この想いは

 

―――譲れない 強い この想いは

 

―――誰にも 負けない 不死なるメロディー

 

―――輝けTrue heart!!

 

マリアの放つミステリアスで力強い歌声。しかしその歌声に、翼のストイックな高く澄んだ歌声が重なる。

ステージの様々なギミックが稼働し、二人の演出を盛り上げ、会場のテンションを引き上げていく。

 

―――この手から崩れ去った、イノチ…紡いだコ・ド・ウ!

 

黒いマントを靡かせて、翼が澄んだ声を響き渡らせる。そして最後のフレーズを、会場の者たちが一緒になって叫ぶ。

 

―――欠けたムーンライトその光は残した者にナニヲ問ウ!

 

腰布のフリルを振るい掲げ、観客の声援を受けながらマリアの力強い歌声が鳴り渡る。

 

―――哀しみを束ねて (つるぎ)

 

―――刃に ジャスティスの名の下に

 

その掌に火を灯し、されど自らのマイクを相手に向けやりそのマイクに向かって歌い、そしてまたその剣の形をしたマイクを振るえば、空中にいくつもの火が灯る。

このステージのギミックの一つだ。

 

―――二度と消える事ない

 

―――魂の種火をさあ

 

―――灯せ――――

 

その切っ先を床に突き立てた時―――炎が舞い上がる。

 

 

―――Ignition―――

 

 

次の瞬間、歌のテンションが引きあがる。歌の盛り上がり所『サビ』に突入したのだ。

 

 

―――燃えなさい 人に 運命(さだめ)などない

 

炎の柱の間を駆け抜ける二人の歌姫。

 

―――飛びなさい 過去を 引き千切って

 

入れ替わり走り抜け、モニターのある大ステージへ。

 

―――行きなさい アツく 羽撃き合い

 

観客の方を見やり、さらなる歌声を放つ。

 

―――響き伝う

 

―――奏で伝う

 

―――絆ッ!

 

さらなる炎のエフェクトが炸裂する。

 

―――そう 涙 握りしめて

 

―――背負った 全部 握りしめて

 

苛烈に燃え上がる炎の映像をバックに、二人の歌姫はその歌声を競い合うかのように歌い叫ぶ。

 

―――いま不死なる夢を羽根に

 

歌も、終盤に差し掛かる。

 

―――願う明日を共に飛ばないか?

 

二人の歌姫が並び立ち、まるで問いかけるように観客に向かって歌う。

 

 

―――歌えPhoenix song――――

 

 

光の羽を舞い散らせ、映像に燃え盛る炎の鳥を映し出し、二人の歌は終わりを告げた。

 

 

 

その感情は会場全体を包み込み、会場を歓声で埋め尽くした。

その勢いは留まる事を知らないのか、激しく、炎の如く燃え上がっていた。

二人の歌姫が、その声援に感謝するように手を振り、やがて翼が前に進み出る。

「ありがとう、皆!」

その言葉に、会場はさらなる持ち上がりを見せる。

「私は、いつも皆から、沢山の勇気を分けてもらっている。だから今日は、私の歌を聞いてくれる人たちに、少しでも、勇気を分けてあげられたらと思っている」

その言葉は、会場をさらなる熱狂に包み込む。

そこで、マリアが一歩、進み出た。

「私の歌を全部、世界中にくれてあげる!」

このライブは、全世界を通して中継されている。だから、この声も、全て、世界中に届いているのだ。

「振り返らない、全力疾走だ。ついてこれる奴だけついて来い!」

自らを誇示する力強い言動。これが、彼女の人気の一つだ。

「今日のライブに参加出来た事に感謝している。そしてこの大舞台に、日本のトップアーティスト『風鳴翼』とユニットを組み、歌えた事を」

「私も、素晴らしいアーティストに巡り会えた事を、光栄に思う」

その手を差し出す翼。その手を、マリアは握り返した。

その行為に、会場はさらに湧き上がる。

「私たちが世界に伝えていかなきゃね。歌には力があるって事を」

「それは、世界を変えていける力だ」

マリアの言葉に、翼もうなずく。

ふとマリアが翼に背中を向け、会場の方を向く。

 

「――――そして、もう一つ」

 

その声音に、翼―――と戦兎は、違和感を覚えた。

マリアが、突如として腰布を靡かせた、その瞬間―――

 

 

会場に無数のノイズが出現した。

 

 

「な―――ッ!?」

「ノイズ!?」

それに戦兎は思わず立ち上がり、セレナは口元を抑えて驚く。

突然のノイズの襲来に、会場は一気に大パニックに陥る。

「・・・狼狽えるな・・・」

そして、その会場に、とてつもない怒声が叩きつけられる。

「―――狼狽えるなッ!!!」

その声に、会場は一瞬にして静まり返る。

 

 

 

「ノイズの出現反応、多数!場所は、Queen's of Musicの会場!」

「なんだと!?」

藤尭の報告に、弦十郎が立ち上がって声を挙げる。

 

 

 

 

 

「遅かりし・・・ですが、ようやく計画を始められます」

初老の女が会場の映像を見てそう呟く。

その部屋には、二人の少女の姿があり、また、白衣の男もくつくつと笑う。

(さあ、出てくるがいい葛城の仮面ライダー。私が創り上げたライダーによって、無様に敗北するが良い・・・!)

 

 

 

マリアの一言で、不安あるものの落ち着きを取り戻した会場では、攻撃する様子を見せないノイズが観客を囲んでいた。

「あ、アニメじゃないのよ・・・」

板場がそう呟く。

「なんで、また、こんな事に・・・」

安藤も、どうしてこうなったのか分からない様子だった。

「響・・・」

未来がそう呟く中、戦兎が腰にビルドドライバーを装着する。

「戦兎先生・・・」

しかし、ドライバーをつけたまま、戦兎は様子を見るように会場を見下ろしていた。

「あ、あの、戦兎先生?出ないんですか?」

板場がそう声をかけるも、戦兎は首を横に振る。

「だめだ。人質が多すぎる」

ノイズの数に対して、観客の数も相当なものだ。

「そっか・・・!」

「下手に戦って観客をパニックさせては、いらない被害を出す可能性があります。ですから・・・」

セレナがそう言う中で、戦兎は、ただ静かに状況を見極めていた。

 

 

 

 

その一方で、岩国の米軍基地からヘリで帰投している龍我たちにも、その様子は見ていた。

「どうなってんだこりゃあ・・・・」

先ほどまで歓喜に包まれていた会場は一辺、恐怖のステージへと早変わりしている様を、龍我、響、クリスの三人はヘリにあるテレビで見ていた。

「了解です。装者二名、仮面ライダー一名と共に、状況介入まで四十分を予定。事態の収拾にあたります」

ヘリの助手席で友里が本部からの連絡に応じている。

「聞いての通りよ。昨日を抜かずの三連戦になるけど、お願い」

友里の言葉に、三人は頷く。

「またしても操られたノイズ・・・」

「詳細はまだ分からないわ。だけど・・・」

「だけど?」

友里の言葉に、響が聞き返す。

「ソロモンの杖を狙った襲撃と、ライブ会場に出現したノイズが、全くの無関係とは思えない」

その友里の推察に、彼らは一抹の不安を覚えるのだった。

 

 

 

 

そして、ライブ会場にて。

「怖い子ね」

首の衣装を取り外しながら、マリアを睨みつける翼に、マリアはそう告げる。

「この状況にあっても、私に飛び掛かる機を伺っているなんて」

まさしく、歴戦の戦士である翼は、大胆不敵に佇むマリアをどうしようかと考えていた。

首の衣装の下には、緊急時を考えてギアを隠していたのだが、どうやら使う時が来たようだ。

だが―――

「でもはやらないの。観客(オーディエンス)たちが、ノイズからの攻撃を防げると思って?」

「くっ・・・」

一般人がノイズに触れればその時点でアウト、死だ。

だから迂闊に動けない。

「それに―――」

マリアが、会場に取り付けられた世界中のニュースを映すモニターを見やる。

「ライブの模様は世界中に中継されているのよ?日本政府はシンフォギアに対する概要を公開しても、その装者については秘匿したままじゃなかったかしら?ねえ、風鳴翼さん」

挑発的なマリアの言葉に、翼は毅然と言い返す。

「甘く見ないでもらいたい。そうとでも言えば、私が鞘走る事を躊躇うとでも思ったか!?」

その手の剣型のマイクを突きつけ、悠然と答える。

「フッ、貴方のそういう所、嫌いじゃないわ。貴方のように誰もが誰かの為に戦えたら、世界は、もう少しまともだったかもしれないわね」

そう、切実そうに語るマリア。

「なん・・・だと・・・?」

その言葉に、翼は首を傾げる。

「マリア・カデンツァヴナ・イヴ・・・貴様は一体・・・・」

「そうね、そろそろ頃合いかしら?」

いつものような口調に戻ったマリアが、その手のマイクを軽々と回転させて掴み取り、そしてそれを口に近付けた。

そして、()()()()

「私たちは、ノイズを操る力をもってして、この星の全ての国家に要求する!!」

高らかに告げられる、マリアの言葉。

「世界を敵に回しての交渉・・・!?これはまるで・・・」

「・・・宣戦布告」

苦い思い出を思い出しながら、戦兎はそう呟く。

「そして―――」

マリアは、その手のマイクを天高く投げる。

 

そして――――()()()()()

 

 

「―――Granzizel bilfen gungnir zizzl(溢れはじめる秘めた情熱)―――」

 

 

「これは―――!?」

その光景を目の当たりにして、翼は呆然とする。

 

今、彼女はなんと言った?

 

 

gungnir(ガングニール)と言ったのか?

 

 

 

黒いマントをなびかせ、黒い装甲をその身に纏った、世界の歌姫。

それは、紛れもない二課の持つものと同じ『シンフォギア』

そして、あるはずのない、もう一つの―――

「黒い・・・ガングニール・・・!?」

茫然とする最中で、ガングニールを纏ったマリアはマイクを口元に近付ける。

「私は―――」

そして、高らかにその正体を告げた。

 

「―――私たちは『フィーネ』!そう・・・『終局(おわり)』の名をもつものだ!」

 

 

 

 

 

 

今、世界の滅亡を賭けた戦いの幕があがった。




次回!愛和創造シンフォギア・ビルドは!

黒のガングニールを纏ったマリア。そして、彼女の発した『フィーネ』という武装組織。

それによって騒然とする会場において、ビルドこと桐生戦兎と緒川慎次が動く。

「オーディエンスたちを開放する!」

訳の分からない行動を起こすマリア。

「そんじゃあ、行きますか!」

そして戦場に躍り出るビルド。

「待っていたわよ、仮面ライダービルド」

しかし、そんなビルドたちの前に現れたのは、新たな仮面ライダーだった。

次回『その胸の想いは正義か偽善か』


「それこそが偽善」

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