愛和創造シンフォギア・ビルド   作:幻在

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切「やっとスマホを手に入れたのZE!」
調「切ちゃん、いくら作者の心情を表す為とはいえ語尾が違ってるよ」
慧「今更ながらにアズレンに(はま)ったらしい」
幻「なんでもアニメが想像以上に面白かったそうだ。作者曰く、あれほどまでに面白くしろとは言ってない(誉め言葉)だそうだ」
エル「ちなみに作者の推しはエンタープライズと瑞鶴らしいです」
キャ「そんなことよりあらすじ紹介しろ!」
ガ「天才物理学者(笑)の桐生戦兎は新世界を作り出すも無様に生き残り、それでもってノイズに追われたり変な奴らに終わりとてんやわんやしつつもS.O.N.G.所属の科学者として日々を過ごしていました~」
戦「なんだそのあらすじ紹介は!?完全に俺のことディスる気満々だろ!?」
ガ「うるっさいわねー。全部本当のことでしょ?」
戦「天才物理学者(笑)の時点で間違えとるわ!」
レイファラ「性根が腐っている!」
響「そ、そんなこと言っては・・・」
ミカ「というわけでシンフォギア・ビルドGX編第六話を見るんだゾ!」


切「アズレン大鳳のCVが悠木碧さんだと知った時は驚いたのデス」


穢れた世界を浄化する者たち

―――氷の刃が、セレナに突き立てられる。

「くっ!?」

寸でのところでデルタ状に配置した短剣によるバリアで直撃を遅らせ、破られるまでに距離をとって直撃を躱して見せる。

「よぉく避けたわねぇ、だけど、一体いつまで避けられるかしらぁ!?」

ガリィの高圧的な言動。それに対してセレナはギアを持たない左手で指を鳴らして見せる。

「もっと周囲に気を配った方がいいですよ?」

「ッ!?」

次の瞬間、木の陰、壊されたベンチ、砕かれた瓦礫から弾丸の如き勢いで隠れていた短剣たちがガリィに向かって突っ込んでいく。

その速さは弾丸並み、即ち肉眼では捉えられないスピードで飛来していっているのだ。

それを躱そうなど、もはや至難の業だ。

 

FAIRIAL†BLAST

 

しかし、ガリィはそれを全て目視、尚且つその口角を吊り上げ、その直撃を受け入れる―――だが、その短剣の切っ先に形成された氷の障壁が呆気なく短剣の軌道を逸らし、全て外される。

「なっ・・・!?」

「甘いのよぉ!」

お返しと言わんばかりのつららの弾丸がセレナに放たれる。

その一発がセレナの頬を掠め、その顔に傷を作る。

「ッ・・・」

頬から伝わる痛み。割と深いのか、その傷はじくじくと痛む。だが、気にしていられる程の余裕はない。

この弾丸は―――危険だ。

何が、というならば、この弾丸は、確実に自分の背後にいる彼女たちに突き刺さる。

であるならば、自分が取るべき行動は何か。

決まっている――――体を張ってでの、絶対防衛だ。

「アァァア―――ッ!!」

絶叫を迸らせ、迫りくるつららの弾丸をデルタ状のバリアで防ぐ。だが、その威力は高く、何枚張っても次々に破壊されていく。

ひび割れ砕け、割られ、それでもセレナは次々にバリアを展開。

そして、つららの弾丸が地面を穿つたびに、そして砕ける度に煙が舞い上がり、セレナたちを包む。

煙が完全に彼女を隠した所で、ガリィは弾丸の射出をやめる。

そうして、破砕音が収まった戦場に立っているのは―――血塗れで佇むセレナの姿だった。

その後ろにいる響たちは全くの無傷。

その体に突き刺さっている氷の欠片から見て、おそらく、突破された氷は体を張って防いだのだろう。

「へえ、全員守れたのねぇ。でも、次はどうかしらぁ?」

ガリィが意地悪気に嘲笑う。

(痛い・・・)

致命傷はないとは言え、痛い。

これほど痛い経験をしたのは、一体いつ以来だろうか。

ネフィリムの時は、絶唱のバックファイアでもはや痛覚がない状態だったが、今はそうではない。

ここは戦場―――本当は立ちたくなどない、ありとあらゆる『痛み』を伴う場所。

姉であるマリアに、このアガートラームを託そうと思ったのも、本当は、逃げの部分が多い。

戦いたくなんてない。傷つくのが怖い。傷つけるのも嫌だ。そんな、矛盾だらけの心で、自分はここに立っている。

だけど、それでもこの場に立ったのは、自分がこの場での唯一の『力ある者』だから。

誰かを守るための力を持っているから。だから自分は、ここに立っているのだ。

 

力の責任から、逃げるつもりなど毛頭ない。

 

だから、彼女は―――

「―――ここに、立ってるんだ・・・!!」

自分を奮い立たせて、セレナは己を叱咤するが如く叫ぶ。

そんな中で、ガリィが嫌な笑みで指を鳴らす。その視線はセレナを向いていない。

その後ろ、即ち―――響たちの方。

「きゃぁああ!!」

「ッ!?しまった!」

振り向けば、そこには響たちを囲む何体ものアルカノイズ。

「くぅっ!」

苦悶の表情でセレナは短剣を飛ばす。その短剣を手の動きと合わせるように操り、一瞬にして彼女たちの周りに陣取っていたアルカノイズを全滅させる。

しかし、その隙を狙ってガリィがセレナに接近、隙の出来たセレナに、今度こそ氷の刃を突き立てようとしているのだ。

しかし―――

「そうは、いかない!」

「ッ!?」

逆手にもった短剣の刃が一閃され、ガリィの胸に確かにその刃が突き刺さる。しかし、思った手応えが、なかった。

(え・・・!?)

斬ったのは―――水。それはガリィの作り出した、水の分身体。

本体は、セレナから距離をとった位置から動いていない。

(しまった・・!?)

はめられた。そして、そう思うと同時に―――真上から落ちてきたアルカノイズの一撃を、その身に受けた。

「うわぁああ!?」

完全なモロ。アルカノイズの解剖器官の一撃が、セレナのギアに直撃し、瞬く間にそのギアを分解していく。

「セレナちゃん!」

思わず響が叫ぶ。

「これで終わり」

ガリィがにやりと笑う。

そんな中、膝をつくセレナ。

その身を守る鎧は、見るからに分解されていき、やがて、この身を一糸纏わぬ姿へと変えてしまうだろう。

そうなれば、もはや自分に彼女たちを守る力は失われてしまう。守る事が出来なくなってしまう。

そんな事、許せる筈がない。しかし、この身を守る力は、徐々にその力を失っていっている。

であるならば、そんな状況で自分に出来る何かとは――――

「―――すぅー」

深く、息を吸う。

その間に、ガリィが新たなアルカノイズを投入。なおも響を戦わせるつもりなのか。

しかし、そんな事態に、一体誰がさせるというのだろうか。

残された時間は、あと僅か。であるならば、その時間一杯――――全力で暴れてくれる。

 

「―――咆えろ、アガートラーム」

 

次の瞬間、セレナが無数の短剣を空中に投げる。

それら全ては、セレナの操れる短剣の限界数。

そして、その行為に、響は見覚えがあった。

「みんな―――」

セレナが、以前訓練で一度だけ自棄になって使った、()()()()()()()()―――

「―――伏せてぇぇぇえ!!!」

 

SPRIGGAN†VIOLENCE

 

妖精の嵐が吹き荒れる。

その刃の嵐は、次々にアルカノイズを切り刻み、さらには周囲にあった木やベンチ、鉄製のごみ箱や自動販売機すら、ありとあらゆるものを破壊していく。

ただ無傷なものあるとすれば、それは、レンガによって作られた、地面だけか。

「・・・・無茶苦茶してくれるわね」

その嵐を、どうにか凌ぎ切ったガリィが忌々し気に呟く。

それと同時に、

「う―――あぁあ!」

セレナのギアが完全に分解され、全ての衣装を消滅させてその場に投げ出される。

「く・・・ぅ・・・」

その場で膝をつき、素っ裸で苦悶の表情を浮かべるセレナ。

「やってくれたわねぇ」

そんなセレナの前に、ガリィが立つ。

「正直、ギアさえ破壊できればそれで良かったけど、あんたはそれなりに危険と判断したわぁ」

その手に、氷の刃を形成。

「セレナちゃん!」

その様子に、思わず響が叫ぶ。

しかし、その状況こそがガリィの思惑。

(聞けば、こいつのギアを纏えるのはもう一人いるそうじゃない。だったらこいつが一人消えた所で、なんの問題にもならないわよねぇ)

セレナの死で、響を無理矢理、戦場に叩き出す。

仲間の死というトラウマを植え付けられれば、流石の彼女も先ほどのような寝言も言ってられない筈。

まさしく、性根が腐っているような考えだ。

「さあ、死に晒せやぁ!」

振り上げられる刃。それにセレナは目を見開く。

「ダメ、セレナちゃん!」

どうする事も出来ない響は叫ぶだけ。

このままいけば、その刃はセレナを穿ち、その命を確実に摘み取るだろう。

そうなれば、響は――――

 

「――――セレナぁぁぁぁああぁあああ!!!」

 

―――と、その刃がセレナに突き刺さる前に、どこからか怒号にも似た叫び声があがった。

 

『ボトルキーン!!』

 

その声には、聞き覚えがあり、セレナは振り向いて、その姿を認める。

そこには、右手にナックルダスター型の武器を携えて、その中央部分のボタン『ロボティックイグナイター』を左手で押して飛び上がっている、自らの姉の姿があった。

「マリア姉さん!?」

ここにきて、セレナの姉、マリア・カデンツァヴナ・イヴが登場。

マリアはその勢いのまま、そのナックルを思いっきり振りかぶる。

「うぉぉぉぉぉぉおおぉぉぉぉおお!!」

絶叫を上げ、マリアは、そのナックルをガリィに叩きつける。

 

グゥレイシャルナックルゥ!!』

 

カチカチカチカチカチィンッ!!』

 

叩きつけられる、絶対零度の拳。

それが、ガリィに叩きつけられ、たちまち周囲を一気に凍てつかせる。

そして、ガリィの背後の地面を一気に凍らせる。

「っ―――あぁあ!?」

その一撃を諸に喰らって、ガリィは一気に吹っ飛ばされる。

「ハア・・・ハア・・・」

その一方でグリスブリザードナックルを振りぬいたマリアは、荒く息をあげており、

「う・・・ぐあ・・・!?」

すぐさま右手に焼けるような痛みを感じてナックルを手放してしまう。

見れば、マリアの右手には霜が降りており、赤く変色していた。

(これが、ハザードレベルが足らない者が使用することによる、反動・・・!?)

 

 

数日前の事。

『な、なあ戦兎?いい加減俺のブリザードナックル返してくれても・・・』

『それに対する俺の答えは一つだ。ふざけんなゴラ』

いつになく低い声で一海を睨みつける戦兎。

『いくら一年たったからと言って、俺があの事を忘れてるとでも思ったか?BA☆KAか?オ↑マエ↓フザケン↑ナヨ↓?何がいい加減だ?俺の忠告無視して勝手に使って、それで何都合良く返してもらうと思ってんだ?ああ?』

『お、おう・・・すまねえ・・・』

完全にヤンキーというかそういう荒い口調になっている戦兎の迫力に一海は意気消沈していた。

『あ、そうだ。ちょうどいい機会だ』

戦兎はその場にいる装者やライダー全員に向き直る。

『このブリザードナックルや万丈の持つマグマナックルだが、基本的に万丈や一海以外が変身してない時に使えば、反動で手が焼けるか凍るかするから注意しろよ。ストームナックルの場合はあれは威力よりも吹っ飛ばすって感じだから反動は少ないが、逆にマグマやブリザードは強力な分、反動もでかい。『クローズマグマ』に初めて変身した時だって、熱にうなされてたぐらいだったからな』

『あれは熱かった』

龍我がうんうんとうなずいていた事は記憶に新しい。

『というわけで直したがこれはしばらく没収。反省しろ』

『うそぉん・・・』

『何がうそぉんだこの馬鹿!』

『あいで!?』

そのまま一海の頭をぶん殴り、その後、戦兎が基地潜水艦のどこかにブリザードナックルを隠したのだが―――

 

 

 

(シンから教えてもらったピッキング能力で金庫の鍵を開けてブリザードナックルを持ち出せたはいいけど、これは流石にきつい・・・!)

その激痛に、マリアは苦悶の表情を浮かべていた。

「やってくれるじゃない・・・!」

そんな中で、ガリィがなんと無傷で立ち上がる。

どうやらぎりぎりの所で防御して防ぎ切ったようだ。

「くっ・・・!」

(今の私では、このナックルは使いこなせないというの・・・!?)

事実、マリアの戦闘技術はシンに次いでかなり高く、シンフォギアをLiNKERに頼らなければ纏えないという点を除けば、戦力として実に安定しているといえる。

格闘技だけであれば、龍我とタメ張れるほどである。

しかし、やはりハザードレベルの差は覆るものではなく、さらにはギアを纏っていない状態では、ナックルの力を十全に発揮できなかった。

だから、ガリィはその一撃を凌いで見せた。

しかし、この状況―――とてもではないが良いとは言えない。

シンフォギアに匹敵する力を有するオートスコアラーが相手では、ギアをもたない、その上右手を負傷しているマリアではどうしても対応は不可能だ。

即ち―――万事休すという他ない。

「どういたぶってあげようかしらぁ?」

そう言って、ガリィは己が錬金術を発動させようとする――――が、

「そうは問屋が卸さない」

「ッ!?」

マリアとガリィの間に、割って入る一人の男。

シンプルな素体の上にオレンジの半透明の装甲。虎のように見えるその形状に、セレナは見覚えがあった。

「慧介さん・・・!?」

実はマリアがここに来るのに、緒川の車で急行してきたのだ。

しかし、到着してみればその現場はセレナの窮地。その為頭に血が上ったマリアが緒川の制止も聞かず飛び出してしまったのであり、遅れて変身したタスクが到着したというわけだ。

ちなみに、まだ変身できるクローズはビルドの元に向かっている。

「さあ、どうするオートスコアラー。どうやら、他の仲間はいないように見えるんだが?」

「チッ」

ガリィは舌打つ。仮面ライダーは自分たちの計画の障害。すぐさま消したい所だが、『奴ら』の報告では、タスクにアルカノイズの解剖器官は通用しないと聞いている。

さらに、『奴ら』はビルドの抹殺に向かっていてとてもではないが応援は望めない。

即ち、この状況はガリィにとっては限りなく―――悪い。

であるならば、ガリィが取るべき行動は何か。

「ふん、いいわ、引いてあげる。ギアも一つは破壊できたし、今回はこれで手打ちにしてあげるわ」

しかし、ガリィはタスクに―――彼らに向かって指を突き付ける。

「だけど覚えておくことね。お前たちは、見逃されたという事を!」

そう言って、ガリィは足元にあのジェムを投げ捨て、そしてすぐさまその姿を消した。

「・・・ふう」

一息ついて、タスクはスクラッシュドライバーからタイガースクラッシュゼリーを抜き、変身を解除する。

「さて、セレナ、だいじょう―――ぶぅッ!?」

そして、セレナの安否を確認するために振り返った瞬間、いきなり両目にとんでもない激痛が走る。

「ぐぉぁぁああ!?目が、目がぁぁぁぁああ!?」

「貴方は調の裸だけを見ていればいいのよ!」

「姉さん・・・何か違う・・・」

セレナはギアを破壊された事で一糸纏わぬ姿にされており、その一方で慧介は男。

即ち、セレナの体が仲間であれど男の目にさらされる事であり―――それを阻止すべくマリアは慧介に目潰しを叩き込んだのだ。

なお、ギャグ補正の為、目は潰れていません。

「あ・・・」

「あ!?」

「大丈夫ですか?」

が、その間に緒川が自分のスーツを脱いでセレナに羽織らせる。

「ありがとうございます、緒川さん」

「いえ、セレナさんが無事でよかったです」

「くぅ・・・何かいけない気がするわ・・・」

「姉さんは少し黙ってて」

体が痛む。致命傷はないとはいえ、ダメージは体に残っているようだ。

「姉さん、ちょっと・・・」

そんな体で、セレナはマリアに向かって握りこぶしを伸ばす。

それにマリアは手を差し出すと、その手に、何かを渡される。

それは、響の手から零れ落ちた、ガングニールのギアペンダント。

「これは・・・」

「それを響さんに返してあげて。私じゃ、つい、()()()()しまうから」

無理に笑顔を作って、セレナはマリアにそう言う。

その表情に、マリアは唇を引き結ぶ。

(もし、私がガングニールを手放していなければ・・・)

妹が、ここまで傷つくことはなかったのだろうか。

(いや、それは甘えだ・・・)

しかし、それはもう過ぎ去った過去。これは、もうすでに託した力だ。

マリアは、セレナの意図を汲み取り、響たちの元へ向かう。

「みんな、怪我はない?」

「はい、だけど、セレ先輩が傷だらけで・・・」

安藤が、セレナの傷の容体を案じる。

緒川は本部への連絡を、慧介はセレナの傷の応急処置を行っていた。

「歌って、戦って、ボロボロで、大丈夫なんですか?」

「ええ、私の妹は、そこまでやわじゃないわ」

あれほど傷ついても、戦う事をやめなかった。守ることを諦めなかった。

(セレナ)は、それほどの事をやってみせた。傷はあれど、姉として誇らしい。

やはり心配ではあるが。

「君のガングニールだ」

「・・・はい」

響は、マリアからガングニールを受け取る。しかし、その手は震えていた。

そして、その震えを抑え込むかのように、ガングニールを握った手を、もう片方の手で握り締め、そっと胸に当てた。

「・・・この力は、誰かを守るためのもの・・・私がもらった、私のガングニールなんだ・・・」

そう、小さく呟く彼女の言葉に、マリアは、先日の彼女と一海の会話を思い出す。

 

『この力で、誰かを傷つける事が、すごく嫌なんです・・・』

 

「―――そうだ」

それを思い出した途端、マリアは自然と響に詰め寄っていた。

「ガングニールはお前の力だ。だから、目を背けるな!」

その肩を掴み、マリアは叱咤するが如く、その言葉を響に叩きつける。

「目を・・・背けるな・・・」

その眼差しに、響は、思わず目をそらしてしまった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――クローズが付いた時には、すでに戦いは終わっていた。

 

 

「やっぱすげえな・・・」

ビルド・タンクタンクフォームの足元に、敵であろう三人が転がっていた。

 

グレゴリの巨大化する右腕は、ビルドの肩アーマーの砲台『BLDタンクタンクショルダー』から放たれる一撃によってひび割れ、続くタンクタンクのパワーでその右腕を粉砕され、そのまま地面に叩きつけられた。

ミストの鞭攻撃は、タンクタンクの重量と防御力の前には無意味であり、そのまま一気に接近され、顔面を掴まれ、地面に叩きつけられ、一発K.O。

そして、ジャイロはタックルをあっさりと止められ、しかしすかさず力比べと手四つという形になったが、結果はビルドの圧勝。圧し潰された挙句に振り回され、そして投げ飛ばされ、破壊力重視のボトルの組み合わせのフルボトルバスターの一撃を受けて地面に落ちた。

 

 

そんな訳で、敵組織の人間相手に、圧勝を収めたビルド。

「ば、馬鹿な・・・さっきまで、あんなに・・・」

「たかだかスピードを封じたぐらいで粋がんな。俺の全てがあの速さだけかと思ったがバーカ」

ダメージが予想以上に大きいのか、まともに動けないでいるグレゴリ、ミスト、ジャイロの三人。

「戦兎!」

「ん?なんだ万丈か」

そこへクローズが駆け寄ってくる。

「なんだってなんだなんだって!?」

「うるっさいよバカはちょっと黙ってろって、今はそんなことより、こいつらから話を聞きださねえと」

ビルドがそう言いだすと。

「は、誰が言うかっての」

「ま、普通はそうだろうな。だけど、お前は自分から話したくなる」

ぱき、ぱき、と手を鳴らすビルド。

どうやら実力行使らしい。

 

「―――いやあ、素晴らしい」

 

「「―――ッ!?」」

突如として、知らぬ男の声が聞こえてきて、ビルドとクローズはそちらの方を見る。

そちらを見れば、そこには―――中世の貴族が来ているようなバイオレットカラーの衣装に身を包んだ男がそこに立っていた。

「リーダー・・・!」

「リーダー・・・お前が親玉か?」

ビルドが尋ねる。

「そう・・・といいたい所だが、私は我々の組織の一部隊を率いているに過ぎない」

「組織・・・だと?それは一体―――」

ビルドが尋ねると、男は、仰々しく名乗りを上げる。

 

「―――我らは異端秘密結社『デイブレイク』!科学、魔術、錬金術、聖遺物、ありとあらゆるこの世に現存する技術、力を駆使し、世界を束縛から解放する事を目的とする、秘密組織だ」

 

「世界を束縛から解放するだぁ?」

クローズは、男の突拍子もない言葉に、そんな声を挙げる。

「そりゃ一体どういう意味だよ」

「君は思った事はないかね?人類は(けが)れていると」

「人類は(けが)れている?」

男は語る。

「バラルの呪詛、フィーネのリインカーネーション、ネフィリム・・・太古の時代から、人類はかつてこの世界を支配していたアナンヌキたちの残していった呪いに気付かぬまま、この世界を生きている。その身を汚れた神々の力に常に汚染され続けているのだよ。ノイズが蔓延っていた頃も同じだ。ノイズが炭化させた人間の炭は宙を舞い、多くの人間がその炭を気付かぬままに吸い、食し、やがてその身に知らず知らずのうちに汚していっている。だからこそ、一度浄化しなければならない」

「浄化、だと?」

一体どういう事なのか。

「そうだ。この世にいきる生きとし生ける、全ての汚された命を一度浄化し、再びこの世界に美しき世界を取り戻す!それこそが我らの悲願であり、人類が到達しなければならない終着点!そう、それこそが、我々の目指す世界の救済だ!」

 

「―――ふざけてんじゃねえよ」

 

すっと、クローズの口からとてつもない怒りを孕んだ声が響いた。

「全ての汚れた命を浄化?何訳分かんねえこと言ってんだ」

「少々理解が足りないようだね」

男は、小馬鹿にしたように返す。

「汚れた存在はこの世に必要ない。真に汚れなき命こそが、この美しき世界を生きるのに値し、そうでない汚れた存在は抹殺すべきだ。真に美しき世界を取り戻す事こそが、我々の悲願だ」

「ああ、そうか。お前らはそういう奴らなんだな・・・よぉく分かったよ」

みしり、とフルボトルバスターが軋む。

「お前らが、人の命を命とすら思ってない奴らだって事をなぁ・・・!」

吐き気をもよおす邪悪とは、これ即ち、何も知らぬ無知なる者を利用する事。自分の利益だけの為に利用する事。

一体、なんの本の言葉だったか。

この男は、否、その組織は、自分たちがそうだと思い、自分たちのその思想の為だけに、他者を踏み躙り、蹂躙し、なんの罪悪感もなく、ただただ『正義』の名のもとに、他者の命を奪える人間たちだ。

エボルトでさえも、感情を持ち、人間という存在の心を折るために、様々な非道な行為をしてきた。

だが、目の前に立つこの男は、そんなエボルトにすら匹敵するほど狂った思想を掲げている。

 

そんな思想を、ビルドたちが認める筈がない。

 

「それはそうだろう?」

男は、ビルドを嘲笑って見せる。

「言っただろう。この世界は汚れていると。そしてその世界に生きる命も汚れていると。だから、その全ての命を浄化する事の一体何がいけないのか」

「ふざけんのも大概にしろ」

ビルドが、口を挟む。

「何が浄化だ。それは結局、今を生きる人々を纏めて消し去るってことじゃねえか。そんなことをした世界に、一体なんの意味があるっていうんだ・・・!!」

「意味ならあるさ。何せ誰も覚えていない。こんな汚れた世界のことを、一体誰が覚えているというのか」

「ッ・・・!」

「テメェ・・・!」

その言葉に、二人の怒りがさらに高まる。

「それに君たちだって大概だろう。何せ、ライダーシステムというシンフォギアシステムと同等、あるいはそれ以上の力を有しているにも関わらず、シンフォギア装者という少女たちを戦わせているのだから」

「ッ・・・」

それを言われて、押し黙るビルドとクローズ。

その様子に、リカルドは嘲笑うかのように鼻で笑う。

「全く、君たちの気がしれない。彼女たちはうら若き少女、故に本来であれば戦いを知らない生活を送れる筈だったのに、その彼女らを戦いの日常に引き込んだのは、君たち『大人』の不甲斐無さ故だろう。故に私はこの世界を破壊し、全てを正すのだ」

そう言って、リカルドは片手を持ち上げる。

「しかし、今回は戦いの為に来たわけではない」

男は、そんな二人の事を意に介さず、ぱちん、と指を鳴らす。

その次の瞬間、ビルドの足元にいた三人が小さく跳ねる。

「今回は口封じついでの挨拶に来ただけだ」

「お前、自分の仲間を・・・!」

その行為に、彼らは驚愕し、

「ありがとよ、リーダー・・・」

グレゴリは、彼にそう礼を言って、あっさりとその命を手放した。

その光景に、ビルドの拳にさらに力が入る。

「名乗りがまだだったね、桐生戦兎、万丈龍我。私は『リカルド・ダスト・クレイザー』。デイブレイク社の第二部署を担当している者だ。では、また会おう」

ジェムを足元に投げ砕き、すぐさまその場から消失する。

空間を飛び越えて、どこかに行ってしまったのだろう。

その、先ほどまでリカルドがいた場所を見つめて、ビルドとクローズは静かにそこにたたずんでいた。

「・・・戦兎」

クローズが、ビルドの名を呼ぶ。。

「・・・確かに、俺たちはまだ子供であるあいつらに、その日常を犠牲にしてまで戦ってもらっている・・・」

その拳を確かに握り締めて。

「その道に引きずり込んだのは、確かに俺たちだ・・・」

ビルドは、そう顔をあげて、空を見上げた。

 

 

 

 

 

チフォージュ・シャトー、玉座の間にて。

ガリィが、テレポートジェムによって帰還する。

そんなガリィに、キャロルは静かに見る。

「ガリィ・・・」

「そんな顔しないでくださいよぉ。ギアを一つ破壊できただけでも上々じゃないですかぁ」

事実、アガートラームの破壊には成功している。だがしかし、肝心のガングニールの破壊には至っていない。

あの場でタスクが来なければ、仕留められたかもしれないのだが。

「自分が作られた目的を忘れていないのならそれでいい」

そんな最中で、キャロルは思い出す。

あの、あまりにも甘ったるい考えを持つ、ガングニールの装者の事を。

 

『人助けの力で、戦うのは嫌だよ』

 

それが、無性に癪に障る。

似たような人物を、彼女は知っている。その人物を、彼女が重なる。だから余計に苛立つ。

すぐにでも、その胸の想いを叩き潰さねば―――

「・・・だが次こそはあいつの歌を叩いて砕け。これ以上の遅延は計画が滞る」

キャロルは、ガリィにそう命令を下す。

()()()()()()()()・・・・わかってますとも。ガリィにお任せです!」

と、あざとく笑って見せる。

その様子にキャロルはため息をつく。

「・・・お前に戦闘特化のミカをつける。いいな」

「いいゾ!」

「そっちに言ってんじゃねえよ!」

ミカがそう返答したので怒鳴るガリィ。

 

 

 

 

 

夜―――戦兎の倉庫にて。

「現状、戦えるの響ただ一人・・・戦える仮面ライダーも俺を除いて、スクラッシュドライバーが使える奴が一人・・・」

薄暗い空間、その部屋を照らすのは、一つのディスプレイが照らす光だけ。

その画面を覗き込んで、戦兎は静かに独り言をつぶやく。

「最悪、ガングニールまで破壊された場合、戦える装者は―――」

そこまで言いかけて、戦兎は椅子の背もたれにもたれかかって、天井を仰ぐ。

「・・・そろそろ、潮時か」

戦兎はもう一度画面に向き直り、あるデータを引き出す。

そこには、一つのグラフと記録、そして、何かの設計図と見取り図だった。

「こいつが、ただ一つの戦力になる・・・」

戦兎は、そう呟いて、ふとリカルドの言葉を思い出す。

 

『彼女たちを戦いの日常に引き込んだのは、君たち『大人』の不甲斐無さ故だろう』

 

その言葉に、戦兎は心なしか拳を握り締める。

(この現状で、アイツに頼まなくちゃいけないなんて・・・)

自分の不甲斐無さ。それで彼女たちが戦う事になってしまったこの現状。全ては、S.O.N.G.の技術全てを任されている自分の責任―――

しかしそれでも、彼女に、頼らなければならないかもしれない、この現状に、戦兎はただ己の無力さを悔いながら、パソコンの電源を落とした。




次回!愛和創造シンフォギア・ビルドは!?(Be The Oneでも聞きながらコッチヲミロォォォオ!!


「ごめんねマム、遅くなっちゃった」

お墓参りに訪れるマリア、切歌、調。

「歌えないビッキーかぁ・・・」

歌を失った響を心配する一同。

「雨の日って、あまりいい思い出はなかったわね」

とある喫茶店で対峙するシンとエリザ。

「敵の襲撃!?」

そして響と未来に襲い掛かる、錬金術師の魔の手!

「頼む、間に合ってくれ・・・!」

響の下へ急ぐ仲間たち。

「思考形態は異なるが、俺にも知性がある」

そこへ現れたのは―――


次回『一点突破のライトフィスト』





慧「ギャグ補正じゃなけりゃ目が潰れてたぞコンチクショウ」
調「でもセレナの裸は見たんだ?」
慧「いや、振り返った瞬間に潰されたから見えなかった」
調「・・・見たかったの?」
慧「龍我さんはどうだったんですか?」
龍「なんで俺!?」
ク「何言ってんだお前はぁぁああ!?」ドロップキック
慧「甘いわ!あっ」回避
調「あ・・・!」思いもよらないスカートめくり
切「ぐべあ!?」ドロップキックヒット
調「いやぁぁああ!」
慧「結局こうなるのかぐぼあ!?」


セ「もう、どうにでもなってください・・・」
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