愛和創造シンフォギア・ビルド   作:幻在

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マ「今回は翼たちが戦いに出てるから私たちがあらすじ紹介するわね」
シ「このご時世、学生の身分である作者がやることと言ったら学校からの課題であったりゲームであったり執筆活動であったりと、意外に退屈であるらしい」
マ「本屋が閉まってて崩れ落ちたっていうのも記憶に新しいわね」
緒「少し言い過ぎじゃないですか?こほん。パンドラボックスによって引き起こされた、スカイウォールの惨劇から十一年。宿敵エボルトを倒した仮面ライダービルドこと桐生戦兎は創造した新世界にて、S.O.N.G.の科学者として、そして仮面ライダーとして日々戦い続けていた。そんな彼と彼の仲間の前に、錬金術師を名乗るキャロルと世界の浄化という名目を掲げるデイブレイク社が立ちはだかるのであった・・・ん?何か匂うような・・・」
シ「む、すまん俺のシュールストレミングスだ。さっき喰ってきた」
マ「くっさ!?何この匂い強烈過ぎる!?」
緒「す、スウェーデン産のニシンの缶詰をさらに発光させたものですね・・・その匂いは納豆の十八倍は臭いらしいです・・・」
マ「いつも思うけどシンって変なものしか食べないわよね・・・」
シ「そうか?まあ何はともあれ、今回はすさまじく長い。おおよそにして二万五千字以上だからかなり時間が掛かるから覚悟して読むことだな」
マ「なんでそんな上から目線・・・まあいいわ。シンフォギア・ビルド、その第十話をどうぞ!」
緒「最後に慧介さんからの変身講座がありますよ」


イグナイトする想い

クリス、翼、ビルドが現場に駆け付ける数分前―――

 

 

発令所の扉が開く。

そこから現れたのは、なんと響だった。

「響君!」

「おい、もう大丈夫なのか?」

体の所々に包帯を巻き、病衣を纏った響に、クリスは心配そうに声をかける。

「うん、へいきへっちゃらだよ」

そう言って笑って見せる響。だが、その表情はすぐに真剣な眼差しに変わる。

「状況を教えてください」

「・・・」

その言葉に、弦十郎は響に、現在の状況を告げる。

「現在、我々の滞在するドッグが、オートスコアラー、及びデイブレイク社に襲撃され、龍我君、慧介君、調君、切歌君、そして、未来君が迎撃に当たっている」

「未来が・・・」

「その他の発電施設も襲撃され、本部へのエネルギー供給量が低下、現在は予備電源で電力を賄っている所だが、それも長くは続かないだろう」

「一刻を争う、という事ですね」

「その通りだ」

モニターでは、変身を解除された慧介に、ミカが迫っている様子が映し出されている。

と、そんな最中で、発令所の扉が再び開かれ、そこからエルフナインが現れる。

「エルフナインちゃん」

「お前がここにいるという事は・・・もしかして・・・」

「はい。強化型シンフォギア『リンク・アニマル』――『天羽々斬ラビット』と『イチイバルドラゴン』、完成しました」

そうエルフナインが言うと、その手に乗っかっていた何かが、途端に翼とクリスに向かって飛んでいく。

「ん?はうあ!?」

「先輩!?」

と、そこまでは良かったが、何故か翼に飛んで行った方は凄まじい勢いで真っ直ぐに翼の額に直撃し、一方のクリスの方はその頭にすっと乗るだけだった。

翼はその額に当たった何かによって倒れる。

「な・・・なんだ一体・・・ってこれは兎か?」

と、起き上がった翼が見たものは、自身の腹の上に乗っかる、一匹の空色の塗装が施された機械の兎だった。

一見、ラビットラビットのラビットアーマーに酷似しているそれは、はて自分は何かしたか、とでもいいたそうに首を傾げている。

その一方、クリスの頭の上に乗っかったもの、それはクローズドラゴンとはこれまた違った形状の赤い塗装の施されたドラゴンだった。

「ああ、大丈夫ですか?」

「う、うむ、大丈夫だ・・・しかし、これが・・・」

「はい。戦兎さん考案のリンク・アニマルです。ただ、これらの性格は聖遺物によって変わるそうなので、その点についてはすみません・・・」

「ああ、まさか天羽々斬が、こんなわんぱくだとは思わなかった・・・」

翼のリンク・アニマル『天羽々斬ラビット』は、翼の上でこれでもかと元気に飛びまわっていた。

「対してこっちはすげえ大人しいな。おい、降りろ」

「キャールル」

クリスの言葉に従い、『イチイバルドラゴン』は肩に乗る。

「えーっと、私のは・・・」

「あ、ごめんなさい。今セレナさんが急いで作っています。ですから・・・」

「分かった。待ってる」

申し訳なさそうなエルフナインに、響は笑って許す。

「翼、クリス君、行けるな!」

「もちろんです」

「やっと暴れられる!」

弦十郎の言葉に翼とクリスは答える。

と、そんな中でまた発令所の扉が開く。

慌てた様子で入ってきたのは戦兎だった。

「悪い!やっと改修が終わった―――」

次の瞬間、

「くだばれ先公ぉぉぉぉおお!!!」

「キャー!」

「え!?ちょ、なnぐべあ!?」

クリスのぶん投げたイチイバルドラゴンが戦兎の顔面に炸裂し、そのまま戦兎が倒れる。

「いてぇ・・・」

あまりにも突然な不意打ち。イチイバルドラゴンは跳ね返って空中で何回か回転した後、再びクリスの頭の上にふわりと着地する。

「一体何が・・・」

「何がだぁ?テメェどの面下げてそんなこと言えるんだよオイ」

「私たちに内緒で小日向を戦士に育て上げるとは、一体どういうつもりだ?」

尻もちをついて顔を挙げる戦兎の先では、鬼気迫る迫力と眼光で見下ろしてくる翼とクリスの姿があった。

彼女らがそんな態度をとる理由はただ一つ、未来の事に関してだ。

「説教ならあとでいくらでも受ける!だけど今はあいつら追っ払う方が先だろ!」

が、戦兎にそう言われて、それ以上何も言えなくなる二人。

「それはそうだが・・・」

「何時間でも説教受けてやるから、とにかく今はあいつらを助けに行くぞ。んでもってシン、これを―――」

「それはお前が使え」

「―――っては?」

シンにビルドドライバーを投げ渡そうとした戦兎を、シンはなぜか止める。

「おそらく敵の親玉が近場にいる筈だ。初めから制御フォームで戦えば、おそらく戦力を図られる。だから始めは基本フォームなどで対応した方がいいだろう」

「え、まあ、それはそうなんだろうけど・・・」

シンは、ポケットからウルフフルボトルを取り出す。

「頼んだぞ」

「・・・分かった」

それを戦兎に渡し、戦兎はそれを受け取る。

「すぐに出撃してくれ!」

「「「了解!」」」

「それと戦兎君は戻ったら説明を求める!納得できない理由だったらしばらくスペシャル特訓コースだ!」

「どちらにしろ罰決定コースだろうが!」

とりあえず怒鳴り返し、戦兎は先に向かった翼とクリスの後を追おうとする。

「戦兎先生」

「ん?なんだ?」

「・・・・私からもあとでお話があります」

「ああ、分かってる。今ある問題片付けたら、好きなだけ殴られてやるよ!」

響の言葉にそう答えて、戦兎は走り出す。

 

 

 

 

―――そして現在。

 

 

 

 

「さて、どうしてくれる先輩?」

「反撃、程度では生温いな。逆襲するぞ!」

クリスと翼が、ミカを睨みつけながらそのようなやり取りをする。

ここで言っておくが、翼とクリスの纏うシンフォギアには、いくらか特徴的な変化がある。

翼の頭部に装着されたヘッドギア。それが若干兎に見えなくもないデザインへと変化していたり、また、ギアインナーに所々兎の意匠が施されていたりしている。

クリスのカチューシャのようなヘッドギアにも、龍の目のような装飾が追加されていたりと、それぞれ、兎、龍の特徴がギアに反映されていた。

「せい!」

ビルドがフルボトルバスターで未来を縛り上げる蛇を斬る。

「大丈夫か?」

「はい、どうにか・・・」

「よし、お前はこのままあの三人を連れて撤退しろ」

「で、ですが・・・」

「そんなダメージでどうするってんだ?ただでさえ低スペックのシンフォギアなんだぞ?」

「ッ・・・」

膨大な戦闘データでその低スペックを補うのが神獣鏡のシンフォギアだ。

そのスペックの低さ故に、防御力はあまりにも低い。

だから未来の受けるダメージは他と比べあまりにも大きい。故に、ダメージ的には未来が一番深刻だったりする。

今は、ダイレクトフィードバックシステムによる痛覚遮断で痛みはどうにかなっているが、それでも体を動かせるのは一重にクロが神獣鏡を制御しているからだろう。

「くっ・・・」

その事に、未来は悔しそうに歯噛みする。

「誰が逃がすかよ!」

しかし、そんな未来に向かってロジャーは蛇を飛ばす。

だが、その攻撃に対してビルドが対応、一刀の元に蛇を斬り裂く。

「邪魔すんじゃねえ!」

「お前がどう思ってようが、未来は殺させる訳にはいかねえんだよ。何せ、俺がそうさせちまったんだからな!」

「訳の分かんねえこと言ってんじゃねえよ!」

ロジャーが襲い掛かる。

「万丈!これを!」

ロジャーが突っ込んでくる間に、ビルドはクローズに向かってもう一つのビルドドライバーを投げる。

「準備しておけ!タイミングを見て、変身しろ!」

「おう分かった!」

どうにか蛇の拘束を引きちぎり、クローズはビルドドライバーを受け取る。

そしてビルドは、ロジャーを迎撃する。

「未来、今の内に!」

「わ、分かりました!」

「誰が―――がっ」

なおも未来を追撃しようとするロジャーの顔面をぶん殴り、よろめかせた所でビルドは左足を叩きつけ、ホップスプリングの力でロジャーを蹴り飛ばす。

「がぁぁああ!?」

コンテナに叩きつけられるロジャー。

「お前の相手は俺だ」

 

ラビットタンクスパークリング!』

 

ビルドが缶型の変身アイテムをビルドドライバーに装填する。

そしえボルテックレバーを回し、さらなるビルダーを展開。

 

『Are You Ready?』

 

「ビルドアップ」

 

そしてそのビルダーがビルドを挟み込み、次なる姿『ラビットタンクスパークリング』へと変身させる。

 

シュワッと弾けるラビットタンクスパークリング!イェイイェーイ!』

 

赤、白、青のトリコロールとなったビルドが、ロジャーの前に立ち塞がる。

「こ、の・・・くそがぁ!」

そうロジャーが叫んだ直後、ビルドの周りにアルカノイズが現れる。

ミカが放ったのだ。

「慣らし運転がてらに片付けるぞ!」

「綺麗にたいらげてやる!」

「最初に掃除されたい奴からかかってこい!」

アルカノイズの集団に向かって、三人が駆ける。

翼がその手の刃をもってノイズを斬り裂き、クリスがボウガンで打ち抜き、ビルドが泡の破裂を利用して高速で戦場を駆け抜ける。

 

「挨拶など無用 剣舞う懺悔の時間!地獄の奥底で 閻魔殿にひれ伏せ!」

 

アルカノイズを斬り捨て、大剣をもって大多数を叩き斬る。

 

「一つ目は撃つ!二つ目も撃つ!三つ四つめんどくせえ!…キズナぁぁ――」

 

その手のボウガンを薙ぎ払うと同時にボウガンを打ち放ち、範囲内にいるアルカノイズを纏めて撃ち抜く。

 

「舐めるんじゃねえ!」

「舐めるでない!」

 

二人の歌が重なり合う。その最中で、ビルドが驚異的な機動力で両腕の刃を振るい、アルカノイズを斬り裂いていく。

「おぉぉおお!!」

 

「全力のチカラで全開で突っ走れ!」

 

そのビルドと入れ替わるようにクローズが飛び出し、激しいラッシュを走りながら繰り出し、直線状にいるノイズたちを纏めて殴り飛ばす。

「オラオラオラァ!!」

 

「恐れる事はいらない君の道!」

 

今までとは一線を画す戦闘。

 

強化型シンフォギア『PROJECT IGNITE』は、破損したシンフォギアを修復するだけに留まらず、出力を引き上げると同時に対アルカノイズ用のバリアコーティングを施すことによって対アルカノイズ戦を実現することが可能。

さらに、『PROJECT LINK ANIMAL』によって、その出力は適合係数の増加によってさらに引きあがり、さらに、AR機能の搭載により、その戦闘効率は従来の数段にまで引き上げられている。

 

『Back!』

 

「ッ!」

翼の視界にそのような文字列が出現、振り向けば攻撃に態勢に入っているアルカノイズの姿が―――

だが、遅い。翼の刃が先にアルカノイズを斬り裂く。

(なるほど、これがARによるサポート!)

視界に、いくつものモニターが出現している。それが残りアルカノイズの数と位置を示し、仲間の位置もリアルタイムで教えてくれる。

流石に、状態、バイタルなどは本部から聞かなければならないが、無理に頭の片隅に留めるようなことも、AIに任せれば全て片付く。

これであれば、戦闘効率は、今までとは比にならないぐらい良くなる。

そして、シンフォギアそのものに、彼女らの戦闘能力を強化する機能も搭載されている。

それが―――『リンクスアームズ』。

「リンクスアームズ!」

 

『Links Armes 〔Sky Spring〕!』

 

天羽々斬のリンクアームズが起動する。翼の手足のギアに内蔵された強化型伸縮バネ『スカイスプリング』が制限を解除される。

そして、一歩を踏み込んだ翼。次の瞬間、

「うぉぁぁあぁぁぁああぁあああ!?」

 

―――想像以上に天高く飛んで行ってしまった。

 

(こ、これは―――!?)

想像以上にバネの力が強い。その結果、翼は現在――――雲を突き抜けるような程高く飛んでいた。

「これは高すぎますぅぅぅぅうう!?」

絶叫が迸り、翼は一気に落下していく。

 

 

「リンクスアームズ!」

 

『Links Armes 〔Foton Charger〕!』

 

ほぼ同時にクリスもリンクスアームズ『フォトンチャージャー』を発動、クリスの纏う鎧に光り輝くラインが走り、輝き出す。それを右手の持つボウガンに接続、エネルギーを充填し、それをアルカノイズのいる集団に向けて、引き金を引いた。次の瞬間、

「うおあ!?」

凄まじい反動がクリスを襲い、吹き飛ばし、一方ボウガンから放たれた矢は巨大な砲弾と化してアルカノイズの集団に炸裂、想像以上の破壊力を発揮して直線状の建物全てを破壊する。

そして吹き飛ばされたクリスはコンテナに叩きつけられて、その威力に内心驚いていた。

(威力強すぎんだろ・・・!?)

「あー、まだ調整が済んでなかったか」

それを見て、ビルドはのんきにぼやく。

「おいあれどうすんだよ!?」

あれでは制御ができずに、まともに戦う事なんて出来ない。だがビルドはいたって冷静だった。

「勝手に機械が調整してくれんだろ」

「は?」

ビルドの言葉にクローズが首を傾げる一方、翼の視界には無数の文字列が。

 

learning Start(解析開始)―――Complete(完了)―――Adjustment(調整)―――Optimization completed(最適化を完了しました)

 

You can go anytime(いつでも行けます)

 

「信じるぞその言葉!」

空中で態勢を立て直し、翼はその両足で見事に地面に着地して見せる。

「頼んだぞ!」

再びクリスは立ち上がってボウガンを構える。

ボウガンにエネルギーが充填され、視界に映るゲージに円のエネルギー充填率が表示される。

それがほぼ一瞬で充填完了の表示となり、クリスは引き金を引く。

それと直前で翼が地上に着地、アスファルトを踏み砕き、そして足のバネに圧力をかける。

縮小したバネは反動で戻ろうとする、その反動を利用して、翼は前に駆け出す。

放たれる矢。しかし今度はクリスを吹き飛ばさず、威力も先ほどよりは弱まったが、その破壊力は以前健在。建物ごと吹き飛ばさなくなっただけで、威力は段違いに跳ね上がっていた。

そして翼は、今までとは比較にならないほどの速さで地面を駆け抜け、文字通り風となってアルカノイズの集団に一薙ぎ一閃を喰らわせる。

ほぼ同時に突き刺さる、矢と刃の一撃。

それが、ほぼ一瞬にしてアルカノイズの集団を消し飛ばす。

「ほらな」

「・・・」

ビルドが得意気にそう言い、一方のクローズは唖然としていた。

が、そんなビルドに向かって矢が飛んでくる。

「あで!?」

「威力強すぎんだろ!?どうなってんだこれ!?」

「いきなりあんな具合で飛ばされたら誰でも驚くぞこれ!」

「いや、始めに全開の威力を体験してもらいたくてな・・・ってか、そうじゃないと上限が分からなかったというかなんというか・・・」

二人からの文句を受けつつ、ビルドはとりあえずへこへこと頭を下げる。

なんというか・・・不憫。

「すごい・・・」

「調ちゃん、切歌ちゃん、慧介君!」

その戦いを茫然と見守る調と切歌の元に、未来がやってくる。その手には、どこからか調達してきたジャケット。

「これを着て!」

「あ、ありがとうございます」

その間に未来は慧介に肩を貸す。

「大丈夫?」

「すみません・・・」

そして、腕の帯を使い、調と切歌を担ぎ上げると、一気に戦場から離脱する。

「ここはあの人たちに任せよう」

未来自身も先の戦闘で体に大きなダメージと疲労が溜まっている。とてもではないが、今の彼らの足手纏いにしかならないだろう。

(私たちが足手纏いだから・・・)

その事実に、調は悔しそうに顔を歪める。そして、四人が戦線を離脱した頃。

「って、んな事より!」

ふとビルドが唐突に叫ぶ。

「「ッ!」」

アルカノイズは全て片付けた。

残すは後二人―――オートスコアラーのミカと蛇使いのロジャーだ。

「オートスコアラーは任せた!」

「ああ!」

「おう!」

ビルドがロジャーに向かって、翼がミカに向かって走る。

ロジャーがビルドを迎撃すべく蛇を出現させ、一気に襲わせる。

だが、ビルドはその両腕にある刃、『Rスパークリングブレード』『Tスパークリングブレード』で一気に斬り裂きながら突き進んでいく。

その一方で翼がミカに向かって飛び上がり、巨大化させた大剣から、刀を抜刀。

抜刀時と切り返した二度目の斬撃によって、エネルギーの斬撃をぶっ放す。

 

蒼刃罰光斬

 

放たれる十字の斬撃。

それをミカは飛び躱す。その先へ、クリスが巨大ミサイルを二基、着地したミカにぶっ放し、直撃させる。

 

MEGA DETH FUGA

 

そして、それと同時に泡の加速によって恐ろしい速度でロジャーに突っ込んだビルドは飛び上がって真上からその拳を叩きつける。

ロジャーはそれを躱し、空ぶったビルドの手は地面を殴り砕く。

だが、そのロジャーが避けた先で、クローズはインパクトボウモードにしたブラストモービルを構えていた。

そして、クリスのミサイルがミカに直撃するのと同時に、クローズの放った矢も、ロジャーに直撃し、爆炎をまき散らした。

「ふん、ちょっせえ」

「いっちょあがり」

巻きあがる黒煙。その中に、微かに見える光る何か―――

「いや、待て」

「何?」

「あれは・・・」

黒煙が晴れた先にいたのは―――障壁を張るキャロルとリカルドの姿だった。

「めんぼくないゾ」

「いや、手ずから凌いでよくわかった。オレの出番だ」

ミカにキャロルがそう言う。

「すんませんリーダー」

「ふむ、彼らの力が想像以上に高かったというだけだ。気にするな」

一方のロジャーもリカルドに謝罪していた。

「ラスボスのお出ましか」

「だが、決着を望むのはこちらも同じこと」

「ここでぶっ倒してやる!」

「・・・」

クリス、翼、クローズがそう意気込む中、ビルドは静かに彼らを睨みつけていた。

「全てに優先されるのは計画の遂行・・・ここはオレに任せてお前は戻れ」

「分かったゾ!」

「ロジャー、君も戻り給え。その怪我ではこれ以上は戦えないだろう」

「リーダー!しかし・・・」

「テラーの事は残念だが、諦めろ」

「ッ・・・」

ミカは嬉々として撤退を選択、ロジャーはしぶしぶといった様子でテレポートジェムを使い、そのまま消える。

「とんずらする気かよ!?」

「案ずるな。この身一つでお前ら四人を相手にするのは造作もないこと・・・」

「おやおや、私の事も忘れてもらっては困るぞ」

「貴様はただ一方的に協力しているだけだろう。だがまあ仮面ライダーを仕留めてくれるというのなら、それはそれでありがたいのだが」

「ならそうさせてもらおう。何安心したまえ、彼らは私の敵ではない」

「言ってくれるじゃねえか」

クローズが一歩踏み出す。

「こっちからしたら、後ろでぬけぬけしている野郎に負ける気はさらさらないな」

その言葉に、リカルドはくくく、と笑い、続けて大きく笑って見せた。

「――ハーハッハッハッハ!この私がその人望だけで部長の地位にまでこぎつけたと思っているのか?であるならば、お前たちはなんと浅はかな事だろうな」

「んだと?」

「私が何も持たずにここに来たと思っているのかね?」

その最中で、ビルドは思い出す。

了子の残した研究データ。その中にあった、シンフォギアとは別系統の聖遺物起動システム―――

「まさか・・・!?」

「なるほど、なりを理由に本気を出せなかったなどと、言い訳されるわけにもいかないな・・・」

キャロルが、そう呟く。そして、左手を横に振り抜き、その何もない空間から、何か、独特な形のハープを取り出す。

それに、装者二人が身構える。

それと同時に、リカルドがその手に刀身の無い剣の柄を取り出す。

「ならば刮目せよ」

そして、キャロルが、そのハープの弦を奏でる。

 

 

それはケルト神話におけるダーナ神族の最高神ダグザが使用していた金の竪琴(たてごと)

かの最高神が使いしそれは、使用者なしでも巧みに奏でられ、また天候すら操る能力を有していたとされる。

その戦慄は傲慢であり貪欲。ありとあらゆる欲求を引き出し、感情を曝け出させる音色は、まさしく、神が使いし楽器。

 

それこそは―――『ダウルダブラ』。

 

 

 

方や、それはとある堕天使が使っていたとされる剣の柄。

それは神に反逆せし者の武具であり、神の敵対者であり、そして、地に落ちた堕天使。

全ての天使の長にして、最強にして最凶の天使にして悪魔。

彼の悪魔王であり、そのまだ清かった、その天使。

 

その名は―――『ルシファー』。

 

 

 

 

方や戦装束を、方や鎧をその身に纏う。

「ファウストローブとファウストアーマーか・・・!」

「なんだよそれ!?」

「いわゆる、錬金術版のシンフォギアとライダーシステムってところだな」

「そんなのありかよ・・・ってか、キャロルの方は大人になってるけどありゃなんでだ!?」

クローズが指さす先に立つキャロルは、その身をどういう訳か大人へと変化させていた。

それが、ダウルダブラの効果なのかは計り知れないが。

「聖遺物に普通の常識は通用しねえってことだろうよ」

「くそ!でたらめな上にむかつく名前しやがって!」

クローズが悪態をつく一方で、キャロルの成長した己の体を触る。

「これくらいあれば不足はなかろう?」

キャロルの纏う戦装束は暗い赤紫に四色の装飾のついた帽子をかぶったもの。

その一方でリカルドが纏った鎧は白い鎧に金の装飾のつき、その頭は双眸のついた兜でおおわれており、そして背中には何かのエネルギーで形成したウィング型ユニットが浮遊している。

また、キャロルが無手に対してリカルドは刀身がなかった剣の柄から紫電色の諸刃が形成されており、また一方には盾が装備されていた。

「では、私は仮面ライダーの排除をしよう。そちらは任せましたよ」

「好きにしろ」

「では」

ビルドたちが身構える。そして、リカルドがそう呟いた瞬間、

 

 

ビルドとクローズの目の前が塞がれる。

 

 

「なっ」

「えっ」

「遅い」

次の瞬間、頭を掴まれ、一気に持っていかれる。

そして、その勢いのまま投げ飛ばされ、コンテナに叩きつけられる。

「龍我!?」

「桐生!?」

一体、何が起きたのか。

気付いたら、ルシファーを纏ったリカルドによって、ビルドとクローズは彼方へと投げ飛ばされていた。

「余所見をしている場合か!」

「「ッ!?」」

そこへすかさずキャロルがその指から琴線を操り、まるでバターでも斬るかの如く地面を斬り裂きながら翼とクリスを攻撃。

それを二人は左右に躱し、キャロルは翼の追撃、横薙ぎに放たれた一撃を翼は伏せて躱す。

その威力は絶大、すぐ背後の燃料タンクが琴線と金属との擦れで発生した火花に引火したのか一瞬にして爆発、燃え上がる。

「大きくなった所で―――」

「―――張り合うのは望むところだ!」

翼とクリスが、各々が持つ武器を手に、キャロルと打ち合う。

 

 

 

 

その一方で―――

「な、にが起きやがった・・・!?」

投げ飛ばされたクローズが、逆さまの状態からどうにか戻る。

「瞬間移動・・・!?」

ビルドもどうにか立ち上がるが、気付けばその目の前に、リカルドが立っていた。

「なぬ・・・」

「人ならざる者の身体能力に、人はついていくことは出来ない」

そう言った直後、再びビルドとクローズは宙を舞う。

「「ぐあぁぁああぁあ!?」」

その吹っ飛んだ先で凄まじい速さで追いついたリカルドは、今度はビルドとクローズを叩き落す。

「遅い、遅いぞ仮面ライダー!」

想像以上の速さに蹂躙される仮面ライダー。

「くっそ!こっちの攻撃が―――ぐあっ!?」

こちらの攻撃が悉くかわされ、逆に向こうの放つ斬撃は鋭く早く、そして深い為に必ず直撃する。

その速さや重さは、想像を超えて強烈だ。

「ハアッ!!」

ビルドが背後から拳を突き出す。しかし、その一瞬で背後へと回られ、背中を蹴り飛ばされる。

「ぐあ!?」

「その程度の速さでは、私の纏う『ルシファー』には敵いはしないぞ」

蹴り飛ばされ、倒れるビルド。

「ざっけんなよゴラァ!!」

クローズが再びルシファーに殴りかかる。

「ハハハ、遅い、遅いぞ!その程度か仮面ライダー!」

「くっそがぁ!」

こちらの攻撃は一切当たらない。盾をもってるにも関わらず、防御もせずただ躱し、常に余裕をもってこちらと戦っている。

コンテナの上に上がってクローズがそれを追撃。しかしある程度攻撃を躱したところでリカルドは剣を薙ぎクローズを叩き落す。そこへビルドが高速で飛んできて攻撃を仕掛けるもあっさりと躱され背中に一撃を貰い、地面に倒れ伏す。

(ファウストローブは、錬金術の基本である『等価交換』の元、何かを消費してその力を発揮するのに対し、ファウストアーマーはその代償があまりにも少ない。理由はごく単純、男性は女性の下位互換だから・・・!)

了子の研究データ。そこに記載されていた記録に、とある興味深いものがあった。

 

曰く、『シンフォギア、ファウストローブを纏えるのは、生物学的に男性の上位互換である女性のみ』と。

 

即ち、男性ではどうあがいてもシンフォギアを纏う事は出来ないのだ。

まあ、全く別系統で男性でも戦える『ライダーシステム』が、とんでもない角度から登場した訳であるのだが。

そして、そんなファウストローブに対してある程度の適合率を持つ者だけが、ファウストアーマーを纏う事ができるのだ。

理由は、シンフォギア、ファウストローブが体表にエネルギー化した聖遺物を纏うのに対して、ライダーシステム、ファウストアーマーは体の外側に物質化した鎧を纏うからである。

ようは、ぴっちりスーツとパワードスーツのようなものである。

 

だから、運用性に関してはファウストアーマーの方が上。

「ぬぐあ!?」

クローズが吹き飛ばされる。

「くっ、だったら――――」

 

『ハザードオン!』

 

ハザードトリガーを取り出し、それをビルドドライバーに接続。

すかさずウルフフルボトルとスマホフルボトルを取り出し振り、それをビルドドライバーに装填する。

 

ウルフ!』『スマホ!』『スーパーベストマッチ!!』

 

『ドンテンカン!ドーンテンカン!ドンテンカン!ドーンテンカン!』

 

ビルドは立ち上がって、躊躇いなくボルテックレバーを回す。

 

『ガタガタゴットンズッダンズダン!ガタガタゴットンズッダンズダン!』

 

そうして展開するは鋳型のハザードビルダー。

 

『Are You Ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

すかさずビルドはそれに挟まれ、開いた中からその身を真っ黒な姿へと変身させる。

 

『アンコントロールスイッチッ!!ブラックハザード!!!』

 

『ヤベェーイ!!!』

 

ビルド・スマホウルフハザードフォーム。

再びビルドが禁断の姿へと手を出した瞬間である。

「行くぞ!」

真っ黒な姿でビルドはリカルドに殴りかかる。先ほどより身体能力が引きあがり、これでいくばくかはリカルドに追いつけるか―――と思われた矢先。

「その真っ黒な姿はやはり醜い・・・まさに人間の歴史を表しているかのようだよ」

「ッ!?」

しかしハザードフォームでも触れることは敵わず、次の瞬間、盾でぶん殴られる。

「ぐあ!?」

「フハハハハ!!」

よろめくビルド。

「くそっ、万丈!」

「おう!」

ビルドとクローズが、別々の方向からリカルドを攻撃する。

ほぼ同時に、別方向から。

これならば、躱せずともあたりはする。

だが―――それもかなわずクローズが背後から剣の一撃を受ける。

「ぐあ!?」

「言っただろう。その程度では私に触れることは出来ないと」

圧倒的スペックの差。身体能力もさることながら、その戦闘技術も凄まじい。

「今度はこっちから行くよ!」

「ッ!?」

そうしてリカルドが攻撃するのはビルド。その手に持つ剣を、肉眼では捉えられないほどの速さで振るう。

その超高速の連撃を躱すことはできず、ビルドは両腕を掲げて耐える。

「ぐ、ぅぅ・・・!」

今のビルドはハザードフォーム。即ち、暴走の危険性のあるフォームだ。

こんな状態で後手に回るのは、あまりにも状況的に悪い。

そこへクローズが背後から殴りかかるも躱される。

「無駄無駄」

「なろぉっ!」

クローズが再び殴りかかるも、すかさず躱されてその腹に斬撃を受け吹き飛ばされる。

「ぐあ!?」

その背中にビルドが攻撃をしかけるも真上に躱され後ろに回り込まれ、背中を蹴り飛ばされる。

そのままクローズの元へ着地し、そこへリカルドが強襲する。

「二人まとめて片付けてやる!」

壁に追い込まれた二人を、リカルドの剣が嵐の如く叩き込まれる。

「ぐ・・・ぅあぁぁ・・・!?」

「反撃する・・・隙がねえ・・・!」

そのまま、ビルドとクローズは蹂躙されていく―――

 

 

 

 

 

 

 

その一方で、背中の弦を爪弾いて音を奏でるキャロル。その次の瞬間、錬金術が発動。激流と爆炎が迸り、翼とクリスを襲う。

それをどうにか躱す二人だが、その威力は絶大であり、その一撃が迸った場所はまとめて焼け野原にされる。

唄うわけでもなく、この膨大なエネルギーを迸らせるキャロルのファウストローブ。

その『源』は『思い出』と呼ばれる脳内の電気信号。それを『償却(しょうきゃく)』することでダウルダブラを使っているのだ。

他者の持つその電気信号を錬金術で変換錬成。それによって生み出されるエネルギーをもって、ダウルダブラを歌を介さず使用しているのだ。

まさしく、火に薪をくべるかの如く。

これが、歌と錬金術の違い。歌は、それなりに大きな代償を必要としない分、その量、性質、相性が大きく関係してくるのに対し、錬金術は大きな代償を支払う事でありとあらゆる聖遺物を起動することが可能。

オートスコアラーは元来作られたもの。即ち『思い出』の量が少なく、他者から奪わなければならない。

しかしキャロルは、その身によらず数百年は生き永らえている存在。その思い出の量は、今を生きるものたちからすれば、途方もなく膨大。

比べるのもおこがましい程、その力はシンフォギアを凌駕する。

「くあぁああ!?」

燃料タンクが引火し、その爆風に翼が吹き飛ばされる。

リンクスアーム『スカイスプリング』による高機動を生かしても、キャロルの猛攻に追いつかれたのだ。

そして、すかさずキャロルが翼に向かって追撃の砲撃、六条の光が一気に殺到する。

「先輩!」

翼がやられたことに思わず声を挙げるクリス。

「その程度の歌でオレを倒せるなどと!」

動きの止まったクリスに、キャロルが魔弦を振るう。ピアノ線の如く振るわれるそれはクリスのいたコンクリートの建物を容易く切断し、粉砕する。

しかしそれを躱したクリスはその手にある武装をボウガンへと変え、物質化した矢をキャロルに向かって射出。

その矢は、空中で分解。矢の驟雨となってキャロルに襲い掛かる。

 

GIGA ZEPPELIN

 

しかし、襲い掛かるその驟雨を、キャロルは螺旋状に回転、展開した魔弦をもって全て叩き落し、その回転する弦の束に手を通せば、それは質量をもった螺旋の武器―――ドリルへと変わる。

そしてそれを束ねる弦の内一本を思いっきり引っ張り高速回転。それに錬金術の風の力を上乗せして竜巻を発生。その竜巻にクリスを飲み込ませる。

「ぐぅっ!?」

それに捉えられ、身動きの取れないクリスに向かって、キャロルはそのドリルを叩きつける。

暴嵐が塔の如く舞い上がる。

一撃を喰らったクリスは、そのまま落下。翼の隣に落ち、風によって砕かれた瓦礫が傍に降り注ぐ。

まさしく、圧倒的。

このままでは、敗北は必至だろう。

「「ぐあぁぁああ!?」」

そこへビルドとクローズも転がり込んでくる。

「いってて・・・大丈夫か戦兎?」

「ああ・・・まだハザード限界には余裕がある・・・まだいける」

仮面のモニターに表示されたハザード限界を示すゲージを見ながら、ビルドはそう答える。

「クク、まだやる気なのか?」

リカルドが、剣を弄びながら歩いてくる。

「くそったれが・・・」

「お前ら、無事か?」

「あれを試すには、ギリギリ大丈夫って所かな・・・」

「あれ・・・イグナイトモジュールか」

イグナイトモジュール。

それは、シンフォギアに新たに搭載された新型の決戦機能。

暴走をわざと引き起こし、なおかつ制御し、自らの力へと変える。

それが、イグナイトモジュール。

「ふん、弾を隠しているなら見せてみろ。俺は全ての希望をブチ砕いてやる」

そんな彼女らにキャロルは見下すようにそう言う。

「お前ら、分かってんだろうな?イグナイトのスイッチを入れれば最後―――自分の闇と戦う事になるぞ」

「上等だ―――付き合ってくれるよな?」

ビルドの言葉に威勢よく答え、己が先輩へと意志を尋ねる。

「無論、一人で行かせるものか!」

ならばあとは起動するのみ。

己が覚悟をもって、二人は胸のギアユニットに手を添える。

 

「「イグナイトモジュール―――抜剣!」」

 

 

『DAINSLEIF』

 

 

暴走の力が、起動する――――

 

 

外されたマイクユニットが形を変え、巨大な針を形成。それが、少女の胸を穿つ。

それはまさしく、彼女たちの心の闇を開放する注射針の如く。

全身を掻きまわし、内臓を掻きまわし、筋肉を潰し、心を圧迫し、骨を軋ませ―――その全てが幻痛であるにも関わらず、二人の体の中を暴れる破壊衝動は強力だった。

「が・・・ぁぁああ・・・・・!!」

「ぐ・・ぎあ・・・ぁぁあ・・・!!」

二人の体を、黒い何かが覆い始める。

「おいおいこれ大丈夫なのか!?」

「それは―――来るぞ!」

クローズが目を離した隙に、リカルドが強襲。その間にビルドが割って入り、その一撃を受け止めようとするが、掲げた両腕の隙間を縫って、剣の一撃がビルドを打つ。

「ぐうッ!?」

すかさず、リカルドの蹴りがクローズを弾き飛ばし、さらに間髪入れず、よろめきから回復していないビルドに剣の一撃を叩き込む。

「「ぐあぁぁああ!?」」

吹き飛ばされるビルドとクローズ。ビルドはコンテナに叩きつけられ、クローズは地に倒れる。

その最中で、己が体をのた打ち回る破壊衝動に悶え苦しむ翼とクリスを見て、ビルドは思い出す。

(イグナイトモジュールの核に使われている魔剣ダインフレイフは、抜けば血を求め、出来なければ使用者を殺すまで、鞘には戻らない呪われた剣・・・その剣の持つ殺戮衝動は人の心の闇を暴き、そして引きずり出す・・・ハザードトリガーとは似て真逆の力・・・)

ハザードトリガーは、強化剤によって己を強化し、その闘争本能を引き出し自らを強化するが、その強化剤の量が度を過ぎれば、脳は負荷に耐えきれなくなり、『破壊』以外の一切の感情を排除。殺戮マシーンとして暴走する。

だがイグナイトモジュール、かつシンフォギアの暴走は感情の爆発だ。ただ機械的に相手を破壊するのではなく、己が持つ破壊衝動を爆発させて暴れる。その姿は、さながら『獣』だ。

兵器と獣では、それはあまりにもかけ離れている。

だから、戦兎はその事に気が付かなかった。

シンフォギアの強化案として、その可能性を考慮しなかったのだ。

兵器と、獣だから。

(だけど、その引き出された破壊衝動に、人の心が打ち勝つことが出来れば―――)

それはまさしく、『獣』ではない『人』の力として振るわれる。

であるならば―――

(それを信じて、俺たちは戦うしかないッ!!)

地面に殴るように手を突き、ビルドは立ち上がる。

「うぉぉぉぉぉぉおおぉぉおお!!」

「こなくそがぁぁぁあぁぁああ!!」

ビルドとクローズが絶叫を挙げて、リカルドに殴りかかる。

 

 

そうして、ビルドたちが激闘を繰り広げている間、翼たちは――――

(あのバカは、ずっと、こんな衝動に晒されてきたのかァ・・・!?)

襲い掛かる破壊衝動。その重さが、これほどまでに辛いとは、誰が想像できていただろうか。

否、出来なかった。これを体験するまで、ずっと―――

(気を抜けば、まるで、深い闇の底に――――)

 

 

 

 

気が付けば、そこは、どこかのステージの上―――

「ステージ・・・?」

一体、いつ、自分はここにやってきた?

確か先ほどまで、自らを潰すような、破壊衝動に晒されていた筈。

それが証拠に、体は鉛のように重い。

だとしても、

「私は、もう一度ここで、大好きな歌を唄うんだ・・・!夢を諦めて、なるものか・・・!」

そう意気込んで、顔を挙げた先にいたのは――――

 

観客席を埋め尽くすほどの―――ノイズたち。

 

「私の歌を聞いてくれるのは、敵しかいないのか・・・?」

その目の前の光景が、翼を揺らがす。

新たな敵の出現に、戦いの為の歌を余儀なくされる。

 

剣であることを強いられた、自分には――――

 

かつて、父に言われたこと。

 

『お前が娘であるものか。どこまでも汚れた風鳴の道具に過ぎん』

 

それでも、認められたい。見てもらいたい。その為だけに、この身を『剣』として鍛え上げた。

(そうだ・・・この見は『剣』。夢を見ることなど許されない道具―――だけど―――)

その身に出来た『刃』では―――

 

―――誰も、抱きしめる事ができない――――

 

「う・・・ぐ・・ぁぁぁあ・・・・!!」

足元に散らばるのは、抱きしめてバラバラになった、奏の体。

そのバラバラになった残骸を見て、翼は、一人むなしく、闇に泣く――――

 

 

 

 

 

 

 

目が覚め、見た先にあるのは―――もう見慣れた教室だった。

見たところ、授業の最中だろうか。

茫然と見渡していると、友人がこちらを向いて、微笑みかける。

それに無性に恥ずかしくなって、教科書で顔を思わず隠す。

 

教室―――自分がいてもいいところ。

 

ずっと欲しかったものだ。両親を失い、この世の地獄に晒され続けて、やっと手に入れた平穏の場所。

だが、平和だからこそ思う。

 

地獄を日常としてきたが故の―――違和感。

 

この春から出来た後輩。だが、自分の不甲斐無さで戦場へと駆り立て、そしてあんな風にボロボロにさせてしまった。

 

独りぼっち、仲間、友達、先輩、後輩、恋人―――そういうものは、求めるべきじゃなかった。

 

(でないと―――でないと―――)

崩れた建物、破壊された街―――その中で倒れ息絶える後輩たち。

そうして、残酷な世界が彼女らを殺し、本当の独りぼっちとなってしまう―――

温もりを知らなければ、こんな思いを、することもない―――。

 

その、現実(ゆめ)から、クリスは逃げ出す。

 

「くぅ・・うわぁぁあぁああ!!」

泣き喚いて、ただ我武者羅に走って、その光景から、めをそらして―――

 

 

 

 

 

 

誰かにその手を掴まれた。

 

 

 

 

振り返った、その先にいたのは――――

 

 

「―――すまないな。雪音の手でも握ってないと、底なしの淵に、飲み込まれてしまいそうなのだ・・・」

脂汗を滲ませて、苦しそうな顔で笑う、翼の姿だった。

「・・・っへ、おかげでこっちもいい気付けになったみたいだ。危うくあの夢に溶けてしまいそうで・・・」

 

 

『IGNITE MODULE―――Force release(強制解除)

 

 

天羽々斬とイチイバルに搭載されたAIが、イグナイトモジュールを強制解除する。

その反動で、二人は地面に膝をつき、疲労困憊で息を挙げる。

そこへ、弾き飛ばされたビルドとクローズがやってくる。

「お前ら、大丈夫か!?」

「龍我・・・」

「戦兎・・・すまない、イグナイトモジュールの起動に、失敗した・・・」

「だろうな。見ればわかる・・・俺の方も限界だ」

ハザードトリガーを外し、ハザードフォームを解除するビルド。

「仕留めきるどころか、触れることすらできなかった」

「ったく、どんだけだよあの野郎」

膝をつき、ビルドは、近寄ってくる敵を睨みつける。

対峙するリカルドは、完全に無傷。一撃どころか触れることすら叶っていない。

「どうすんだよ・・・」

「何、方法はあるさ。ただ、あいつがそれを許してくれるかどうかが問題だが・・・」

当然、許しはしないだろう。あの男は、かなり用心深く、そして合理的な男だ。

決して自分の不利になるようなことはしない。

ビルドの持つ、ラビットラビットとタンクタンク、そして、クローズの()()姿()への変身は、決して許しはしないだろう。

あの速さでなら、変身する前にこちらを仕留める事が可能な筈だ。

それを、どうにかするには―――――

(イグナイトモジュールの起動で時間を稼いでくれると嬉しかったんだけどな)

失敗しては仕方がない。別の方法でどうにかするしかない。

「尽きたのか、それとも折れたのか・・・」

キャロルが降りてきて歩いてくる。

「いずれにせよ。立ち上がる力くらいはオレがくれてやる!」

そう言って、キャロルは上空に何かを投げる。

それは空中に溶けると、突如として巨大なアルカノイズが出現、その豚のような足の穴から何十体もの飛行型アルカノイズが出現し、目の前に広がる都市の上空で飛び回る。

「く・・・ここにきてアルカノイズを・・・!?」

空を飛ぶアルカノイズ。そのアルカノイズたちが、その身を円盤の如く回転させて、一気に街に降り注ぐ。

ノイズが落下していく度に、凄まじい爆発が起きる。

街から、人々の悲鳴が聞こえる。

「いつまでも地べたに膝をつけていては、市街の被害は抑えられまい」

「ああ、見るがいい!今、この汚らわしい世界の一部が清められている!汚れた人間どもが、今まさしく浄化されている!これほど素晴らしい光景は他にないだろう」

キャロルはともかく、このリカルドという男は本当にイカれている。

そして、このような狼藉は、絶対に許してはおけない。だというのに―――

(手をつく力を・・・!)

(奴に突き立てる牙を・・・!)

体は、鉛の如く重い。

その体で、どうにか立ち上がる翼とクリス。

しかし、やはり立ち上がることで精一杯なほど、二人は消耗しきっていた。

「歌えないのなら―――」

キャロルが、そんな二人を嘲笑う。

「分解される者たちの悲鳴をそこで聞け!」

そう、叫んだ時だった。

「―――ハハハハハハ!!!」

誰かの笑い声が聞こえた。

「桐生?」

その声の主は、ビルドだった。

「おいおい、もう勝った気でいるのかよ。だったらそれは少し早い」

「なんだと?」

「戦える奴がここにいる連中だけと思ったのかよ」

次の瞬間―――爆発が止む。

「―――ッ!?なんだ!?」

その異変に気付いたキャロルが見たもの、それは――――

 

 

「白熱!発光!勝者!まだまだ燃えたりねぇぇぇえええ!!!」

「この街を、そう簡単に分解できると思うな!」

 

 

黄金と紫の二人の仮面ライダーが、落ちてくるアルカノイズたちを叩き落している姿だった。

それだけじゃない。三体の怪人もまた、アルカノイズから市民を守り、また人々を助け出していた。

「おい!そっちにいたか!?」

「まだ結構いるよ!」

「一人残らず助けろ!」

一人、また一人と、崩れた瓦礫の中から助け出される。

そう、彼らは―――

 

 

「グリスにローグだと!?」

「なるほど、アルカノイズ対策をしているとはいえ、まさかあの二人を倒してきたか」

グリスがツインブレイカーで、ローグがネビュラスチームガンで次々と敵を打ち落としている。

一体も、逃さず、確実に。

 

 

「幻さん!かずみん!」

「無事だったか!」

ローグはともかく、グリスたちは何かしらのボトルの力を使って遠い場所からここまで飛んできたのだろう。

「チッ、だが、いくら打ち落とそうとも、大本を絶たなければ―――」

キャロルがそう呟いた直後、本部のある方向から、何かが飛んでくる。

それは、五基のミサイル。

そのうちの一つには――――ギアを纏った響が―――

「リンクスアームズ!」

 

『Links Armes〔Phoenix Blaze〕!』

 

次の瞬間、響の纏うシンフォギアから炎が巻き起こる。それがまさしく不死鳥の如く燃え上がり、その炎を纏って、響は一撃必殺の拳を、ノイズを生み出すアルカノイズに叩きつける。

そして次の瞬間、その炎で体を撃ち抜かれ、続けて残り四基のミサイルが空中のノイズたちに炸裂する。

 

それが、響のリンクスアームズ『フェニックスブレイズ』。

 

超火力をもって拳の威力を増大させ、敵を撃ち抜き焼き尽くす、クローズと同じブレイズ系の力―――

 

 

 

響が駆けつける数分前―――

 

翼たちが、イグナイトモジュールの発動に失敗した時だった。

「まずい!」

「装者、モジュールの起動に失敗!」

装者たちの心身の状況をモニターしていた藤尭と友里が声を挙げる。

「ボクの錬金術では、キャロルを止めることはできない・・・」

そして、その光景にショックを受けるエルフナイン。それが、装者への失望ではなく、自分の不甲斐無さ故にだ。

だが、そんなエルフナインに、響が寄り添う。

「大丈夫、可能性が全て尽きたわけじゃないから」

響が、そう言った直後、

「響さん!」

セレナが転がり込んでくる。

「セレナちゃん・・・」

「できました、『ガングニールフェニックス』です!」

そうして、セレナの手から飛び出すのは、夕焼け色の塗装が施された、一匹の機械の鳥。

それが、響の元へと飛んでいき、響の持ち上げられた手の中に乗って、威勢よく一鳴きする。

「キュイーン!」

その声に、響は不敵な笑みでうなずく。

「よし、行こう!」

 

 

そして、甲板に響が出ると、

「響・・・!」

丁度、慧介、調、切歌を抱えた未来が到着する。

未だ病衣のまま出てきた響に、未来は驚きと戸惑いを見せる。そして、俯いてしまう。

理由は無論、内緒でシンフォギア装者になっていたことだ。

隠し事はしないでほしい。かつてそう言っておきながら、今度は自分がその約束を破ってしまった。

かつて言ってしまった、彼女への言葉を、また自分に言われるのが怖かった。

だけど、それを振り切ってまで装者になったのは、一重に、響の手助けになりたいからで。

と、言い訳を考えてしまった未来だが、もはやこうなった以上、どんな言い訳も意味もなさないだろう。

であるならば、どんな罵倒でも受け入れようと、未来は、恐る恐る口を開く。

「あ、あの、響・・・」

だが、その言葉は続かず、戸惑う未来を、響はそっと抱きしめる。

「言いたいことは沢山あるけど、これだけは言わせて。―――ありがとう」

その言葉は、未来の予想だにしていなかった言葉だ。

「私が私の歌を取り戻せたのは、未来のお陰だよ。だから、ありがとう」

「ひび、き・・・」

「だけど、帰ってきたら説教だからね。ちゃんと言い訳の準備しといてよ?」

「う・・・ふぐ・・・うん・・・うん・・・!」

響の言葉に、未来は、耐え切れず涙を流す。

そうして響は未来から離れ、そして、潜水艦の先端に向かって歩き出す。

「行くよ」

 

『STANDBY!』

 

ハイテンションな機械音声。それを聞こえた直後、響はフェニックスを真上へと投げる。

そして次の瞬間、響の上空に、その身を燃え盛らせる巨大な火の鳥が現れ、響の周りを飛び回る。

その鳥がまき散らす燐光は、幻想的の一言でしか語れないほど、苛烈で、綺麗だった。

そして、その燐光の中で、響は、歌う。

 

「―――Balwisyall Nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)―――」

 

その身に、黄色の戦装束を纏い、ヘッドギアから何まで不死鳥を模したかのようなデザインへと変化したその姿をもって、響は、発射されたミサイルへと飛び乗った。

その姿を、未来は見届ける。

「・・・頑張って」

 

 

 

そして現在。

響が、翼たちの元へ降りる。

「すまない・・・お陰で助かった」

「とんだ醜態を見せちまったけどよ」

未だ疲労が回復しない装者二人。そんな二人に、響は提案する。

「イグナイトモジュール、もう一度やってみましょう!」

それは、再びあの暴風の中へと飛び込むような提案だった。

「だが、今の私たちでは・・・」

「未来が教えてくれたんです。自分はシンフォギアの力に救われたって」

かつての親友の言葉を思い出し、響は二人を説得する。

「この力が、本当に誰かを救う力なら、身に纏った私たちだって、きっと救ってくれる筈!ダインフレイフの呪いを打ち破れるのは―――」

「いつも一緒だった、天羽々斬・・・」

「アタシを変えてくれた、イチイバル・・・」

「そして、ガングニール!」

 

Exactly(その通り)!』

That's how it is(そういう事だ)

Please believe us(私たちを信じてください)

 

ギアたちが、装者たちに訴えかける。

それは、これまで共に戦ってきたからこそ、そして、言葉を伝えられるようになったからこその、聖遺物たちの想い。

「信じよう!胸の歌を!シンフォギアを!」

「はっ、この馬鹿に乗せられたみたいでカッコ付かないが、まあギアにもこういわれちゃあな」

「もう一度行くぞ!」

三人が意気込む。

「さてさて見ものだなぁ・・・」

その様子を見ていたリカルドに、突如としてビームが襲い掛かる。

それを、リカルドは余裕をもって躱す。そのビームを打ったのは、クローズだ。

「不意打ちのつもりだろうけど、殺気が丸わかりだ?」

「はっ、避けたつもりだろうが、それはどうかな?」

「?・・・何っ!?」

リカルドが足元を見る。そこには、リカルドの足をばっちり捉える蜘蛛の巣があった。

「スパイダーフルボトルとオクトパスフルボトルのジャストマッチだ。粘着性と吸着性に動けなくなってろ!」

「小癪な!」

リカルドは、その蜘蛛の巣から逃れようと躍起になる。

「万丈!今だ!」

「おう!」

ビルドとクローズが、変身を解除する。

そして取り出すは、戦兎はハザードトリガーとフルフルラビットタンクフルボトル。

その一方で龍我がスクラッシュドライバーを外して取り出すのはビルドドライバーとクローズマグマナックル、そしてドラゴンマグマフルボトル。

戦兎はハザードトリガーのBLDハザードスイッチを押し、龍我はドラゴンマグマフルボトルをクローズマグマナックルに装填する。

 

 

 

『マックスハザードオンッ!!!』

 

 

 

『ボトルバーン!!!』

 

 

 

続けて戦兎はフルフルラビットタンクフルボトルを振る。

 

「さあ、実験を始めようか」

 

そして、そう呟き、ボトルを振ると同時に周囲に無数の数式が実態となって現れる。

そうして、跳躍音から重厚音へと変え、セレクティングキャップでタンクの柄を選択。

 

タンク!』

 

そしてそれを伸ばして曲げて、ビルドアップコネクターを接続。

そして、戦兎と龍我は、それぞれのアイテムを、それぞれのドライバーに装填する。

 

 

タンク(アンド)タンク!!』

 

 

クローズマグマ!!』

 

 

「ハァ!」

リカルドが、拘束を逃れる。

「そうはさせない!」

すかさず未だ変身途中で無防備なビルドとクローズに襲い掛かろうとするリカルド。だが、その行く手は、突如現れた小さな戦車たちに妨害される。

「ぬっ!?くぅ・・・!?」

その間に、戦兎と龍我はボルテックレバーを回し、それぞれのビルダーを展開していた。

そして、その一方で装者たちは、胸のマイクユニットの起動スイッチを押し、イグナイトモジュールを再び起動する。

 

「「「『イグナイトモジュール』、抜剣!!」」」

 

 

『DAINSLEIF』

 

 

そして、イグナイトが起動したマイクユニットの針が、三人を貫く。

そうして胸から溢れ出る、とめどない破壊衝動―――

「う・・ぐあぁぁ・・・あぁぁあ・・・!!!」

「ぐ・・・ぅぅう・・・ぅあぁあ・・・!!!」

「あ・・あぅ・・・ぅあぁああ・・・・!!!」

その衝動を、必死に抑え込む三人。

体から黒いオーラが溢れ出す。それはまさしく、シンフォギアが体現する暴走の力。

それが、彼女たちの体から溢れ出ているのだ。

 

 

戦兎は、『兵器』を体現するハザードビルダーを――――

 

龍我は、『極熱』を内包するマグマライドビルダーを―――

 

三人の少女は、『暴走』のイグナイトモジュールを―――

 

 

 

 

 

その様子は、当然、S.O.N.G本部の発令所でも―――

「呪いなど斬り裂け!」

マリアが叫ぶ。

「破壊衝動などねじ伏せればいい!」

シンが咆える。

「撃ち抜くんデス!」

「恐れずに砕けばきっと・・・!」

「きっと、打ち勝てる・・・!」

切歌が、調が、慧介が、願う。

「響・・・」

未来が、呪いに悶え苦しむ親友を、真っ直ぐに見つめる。

 

 

(未来が教えてくれたんだ――――)

 

力の意味を、背負う覚悟を――――!

 

だから、この衝動に塗り潰されて―――――!!!

 

 

 

 

(((なるものかぁぁあぁぁぁぁぁああぁぁぁあああ!!!!)))

 

 

 

 

『Are You Ready?』

 

 

 

音声が、聞こえた。

 

 

それは、ビルドドライバーから発せられた、覚悟を問う言葉。

 

「「―――愛と平和のために」」

 

その言葉に、戦兎と龍我は呟き、そして、構えて―――()()()()()()()

 

 

「「「「「変身ッ!!!」」」」」

 

 

その次の瞬間、戦兎はハザードビルダーに挟まれ、龍我は背後のマグマライドビルダーから『ヴァリアブルマグマ』を浴び、響、翼、クリスはその身に漆黒の闇を纏う。

ハザードビルダーから出てきたビルドはその全身を真っ黒に染め上げ、そして、戻ってきた蒼き戦車隊を、飛び上がってその身に纏う。

龍我に浴びせられたヴァリアブルマグマは地面に広がり、そのマグマが流れた足元から八つ首の龍が伸びあがる。

そして冷え固まり、固着したマグマを、マグマライドビルダーが背後からブチ砕く。

漆黒を纏った装者三人。その漆黒は形を成し、明るい色合いの戦装束を一気に漆黒へと染め上げ、それぞれのパーソナルカラーをそのままに、暴走の色の黒を、己が力として顕現させる。

 

 

 

『オーバーフロウッ!!』

 

 

鋼鉄のブルーウォリアー!!!

 

 

極熱筋肉ゥッ!!クロォォォズマグマァッ!!!』

 

 

タンクタンクッ!!!

 

 

アーチャチャチャチャチャチャチャアッチャァァアアッ!!』

 

 

『ヤベェーイッ!!!ツエェーイッ!!!』

 

 

 

漆黒の外側から、平和の為の武力を。

 

冷え固まったマグマから、灼熱の力を。

 

纏われた暴走を、己が力へと。

 

 

 

それこそが、武力を体現する『ビルド・タンクタンクフォーム』。

 

灼熱をその身に宿す『クローズマグマ』。

 

そして、暴走を制御した『イグナイトモジュール』。

 

 

その起動が、今、成功したのだ。

 

 

 

『MODULE Start up!Let's Rampage!』

 

 

 

ギアからの言葉を聞き届け、漆黒の少女たちが歌う。

「始まる歌」

「始まる鼓動」

「響き鳴り渡れ希望の歌」

 

三人の歌が、重なる。

 

「「「『生きる事を諦めない』と―――」」」

 

ビルドがその手にフルボトルバスターを構え、

 

「熱き」「夢の」「幕開けよ!!」

 

クローズが灼熱の熱を武器に構える。

 

「爆ぜよ」「この」「奇跡に―――」

 

さあ―――反撃の時間だ!

 

「「嘘はないッ!!!」」

 

放たれるアルカノイズたち。だが、もはやそれは意味をなさぬ烏合の衆!

「うぉぉぉぉおおぉぉぉおお!!!」

後衛から送られてくる情報は、イグナイトモジュールの稼働可能時間は999.99カウント、そして敵の数五千。

「たかだか五千!」

屁でもない。

 

「―――その手は何を掴むゥ為にィあるッ!?」

 

響の拳が、ノイズをぶっ飛ばす。

 

「たぶん、待つだァけじゃ叶わァないッ!!」

 

その威力は絶大であり、一撃で大多数のノイズを一掃する。

 

「その手は、何を守ォる為にあるッ!?」

 

その一方でビルドは足のキャタピラを使って地面を走行、その速さをもって敵陣を駆け抜け、フルボトルバスターの引き金を、肩の砲台をぶっ放す。

「おぉぉぉぉおおぉぉおおお!!!」

その砲撃の嵐は、たちまちアルカノイズの集団を吹き飛ばす。

 

「伝う」「熱は」「明日を」「「「輝かす種火にィィ―――ッ!!!」」」

 

その最中で、翼の持つ剣が蒼電を帯び、振るわれた瞬間、超圧縮された(いかずち)の斬撃となりて、ノイズを一掃する。

 

蒼ノ一閃

 

「例え闇に吸い込まれそうになってもッ!!」

 

その一撃は光となり、ノイズを纏めて斬り裂く。

「力が漲る―――!」

燃える拳が、ノイズを焼く。

「魂が燃える―――!!」

発する熱が、ノイズを焦がす。

「俺のマグマが、迸るッ―――!!!」

今のクローズは、完全なる熱の塊、エネルギーそのもの。

溢れ出るマグマの力が、瞬く間にアルカノイズを蹂躙していく。

「もう誰にも、止められねぇぇぇえ!!!」

拳から放たれたマグマが、アルカノイズたちを焼き尽くす。

 

「涙さえも血に濡ゥれて苦しくってもッ!!」

 

そしてクリスは、己が持つ重火器、小型ミサイル、大型ミサイルを率いてノイズを殲滅しにかかる。

放たれた小型ミサイルは地上のノイズを焼き払い、打ち放たれた大型ミサイルはその外装をパージし、中から再び小型ミサイルを放出、そして空中にいるノイズたちを、一瞬にして纏めて消し差る。

 

MEGA DETH QUARTET

 

「帰ェる場所ォが待っているゥッ!!」

 

ノイズが次々と消し炭になっていく。一方的な殲滅。

 

まさしく無双―――

 

「集え」「守れ」「契れ」

 

「「「勇気の結晶が 奇跡なんだァァ――――ッ!!!」」」

 

その様を見て、キャロルとリカルドが動き出す。

「臍下あたりがむず痒い!」

飛び上がったキャロルが魔弦を持って響たちを攻撃し始める。

「動いたか・・・!」

「そう、そしてお前の相手は私だ」

「ッ!?」

ビルドの背後に立ったリカルドが、剣を薙ぐ。

 

 

―――願い、祈り、すべてを背負い。

 

 

その一撃を諸に喰らうビルド。だが、

「ッ!」

「なっ!?」

見事耐え切り踏み止まり、フルボトルバスターを薙ぎ払う。

 

 

―――本気ィを超えた本気ィの唄ァッ!!

 

 

それをリカルドは寸でのところで躱す。しかしそこへ、背部の『ソレスタルパイロウィング』で飛翔するクローズの一撃を喰らう。

「ファーストヒットォ!!」

「ぐぅっ!?」

「かぁらぁのぉぉぉお――――」

すかさず、ビルドの振り下ろしが炸裂する。

「セカンドヒットォ!!」

「ぐあぁぁあ!?」

それを喰らったリカルドは吹き飛ばされる。

 

―――痛みィなんてェ何も怖くないッ!!!

 

「「うぉぉぉぉぉおおぉおお!!!」」

「ッ!?」

どうにか踏み止まったリカルドに、ビルドとクローズはさらに追撃。

ビルドは足のキャタピラで接近し、クローズは背中の翼でリカルドに突撃、そのまま体当たりをかましていくつもの壁を一直線に破壊していく。

 

―――滾れ 沸騰せよ このカラダ

 

その一方で、響たちはキャロルと対峙する。

その身に暴れる闘争本能のままに、彼女たちはその手の武器を、その闇を、悪意を振るう。

 

 

―――翳せェッ!!!

 

―――さァ闇夜にッ!!

 

―――稲妻をォォォォオオオォォオオオッ!!!!

 

 

だが―――

 

(それでも響は、傷つけ、傷つく痛みに、隠れて泣いている――…)

今は何もできない。この体はボロボロで、今はその隣に立つことはできないけれど、その痛みを、その想いを知っている。

(響の笑顔も、その裏にある涙も、拳に包んだ優しさも・・・)

その拳を突き出し、ただ全身あるのみと咆える響の姿を見守って。

(全部抱きしめてみせる・・・だから・・・!)

未来は、叫ぶ。

「負けるなぁぁぁあぁあああ!!」

 

 

 

 

叫ぶような歌が、鳴り響く。

腕に巻きつけられた魔弦を、逆に引っ張りキャロルの態勢を崩し、そこへ翼とクリスの一撃が降り注ぐ。

 

 

―――絆ァ!!心ォ!!!一つに束ねェ!!!

 

 

ビルドとクローズに押し込まれ、距離をとったリカルドは、何らかの力で周囲のコンテナを操作、浮かばせ、一気にビルドたちにぶつける。

 

 

 

その一撃を束ねた魔弦で防ぐも、すかさずそこへ響の『フェニックスブレイズ』を纏った拳が叩きつけられる。

 

 

―――響きィ鳴り渡れェ希望の音ォ!!!

 

 

その降りかかるコンテナに対して、クローズがラッシュを慣行。コンテナがクローズの拳の熱量に耐え切れず熔解していく。

その隙をついて、リカルドが剣から翼の『蒼ノ一閃』の如き斬撃が飛来、ビルドとクローズを穿つ。

 

 

その炎の一撃を防ぎきれず諸を喰らったキャロル、それと同時に高く飛び上がる響。

 

 

―――信ずゥ事をォ諦めないィとォ!!!

 

 

粉塵が舞い上がる。しかしその中から、ビルドが天高く飛び上がる。

その姿に、青い装甲はなく―――

リカルドが念力を使ってコンテナをそのビルドに放つ。

「ビルドアップ!」

すかさず、赤い機械の兎が飛来、その身を鎧パーツへと分解させ、向かってきたコンテナの上を駆け抜けるビルドにその鎧が装着される。

 

 

紅のスピーディージャンパーッ!!!

 

ラビットラビットッ!!!

 

『ヤベェーイッ!!!ハヤァーイッ!!!

 

 

 

「―――勝利の法則は、決まった!」

 

 

 

ビルドが―――加速するッ!!

 

 

コンテナの上を駆け抜け、飛び回り、何十ものコンテナが飛来してきているのにも関わらず、ビルドはその全てを避け、飛び、躱し、一気にリカルドに接近する!

 

 

―――唄えェ!!

 

 

その一撃を受けて、ボロボロのキャロル。そのキャロルに向かって、ギアのジェット機構で加速した響が襲い掛かる。

 

 

―――可能性にィ!!!

 

 

迎撃は不可能だと判断したリカルドは、すぐさま残ったコンテナを防御に回すべくビルドの前方に掲げる。

それと同時にビルドはボルテックレバーを回し、必殺技を発動する。

 

『Ready Go!!』

 

背中のマフラビットアクセラレーターが稼働、内臓された推進加速装置が起動し、ビルドは、一気に超音速へと加速させる。

 

『ハザードフィニッシュッ!!!』

 

その発動する寸前、ビルドに凄まじい重圧がかかる。

 

 

―――ゼロはないィ!!!

 

それは空気の壁。いきなり加速しだしたビルドを抑え込む、空気抵抗の壁だ。

その一瞬の隙、だが、その隙が、ビルドに大きな力を与える。

その壁を突き破った瞬間、デコピンの原理でビルドは爆発的に加速する!!!

だが、リカルドもただコンテナを掲げるだけには終わらない。

そのコンテナに手をかざし、何重にも重なったコンテナの性質を変換、鉄を、世界最強の高度を誇る『タングステン』へと変換錬成。ビルドの一撃に備える。

 

 

 

ボォルケニックナックルゥッ!!アチャァア!!!』

 

 

 

しかし、次の瞬間―――そのコンテナが()()、爆ぜるように()()()

「―――なっ!?」

その爆ぜた鉄の中から現れたのは―――クローズ。

 

 

―――飛べよォッ!!!

 

 

その手にはナックルダスター型の武器、本来ならばビルドドライバーに装填されているはずのそれが、クローズの突き出された右拳に握られていた。

 

―――この奇跡にィ!!!

 

「あとは頼んだぜ、戦兎」

そして気付けば、溶けて開けられた穴からは、ビルドの姿が見え――――

 

 

 

 

ラビットラビットフィニッシュッ!!!

 

 

――――光あれェェェエエエェエッ!!!

 

 

 

超音速の一撃が、リカルドに突き刺さった――――

 

 

 

闇の爆炎の一撃が、キャロルに突き刺さった――――

 

 

 

 

 

 

 

「ハア・・・ハア・・・ハア・・・」

息をあげて、ビルドは膝をついた状態で顔を挙げる。

「戦兎!」

そこへクローズが駆け寄ってくる。

「あいつはどうなった?」

「さあな・・・だけど手ごたえはあった」

あの超音速の一撃は確かに届いた。確かに、奴の胸を撃ち抜いた。

蹴り飛ばして叩きつけた瓦礫の中に、奴はいる筈だ。

しかし、煙が晴れた先に―――何かが割れる音がした。

「「―――ッ!?」」

それに思わず仮面の奥で目を見開く二人。

「この力・・・」

その先では、足元に方陣を出し、淡い光に包まれる、変身解除されたリカルドの姿があった。

その身の所々からは血を流し、ビルドに穿たれた胸からも血を流していた。

「やはり、人間は汚らわしい・・・力に溺れ、他者を踏み潰す・・・所詮をお前たちも同じだ。敵以上の力で相手をねじ伏せる。その行為を、醜いと言わずしてなんとする?」

その問いかけの答えを聞く気はないようで。

「人類はやはり・・・汚れている・・・」

その場から消えた。残ったのは、戦いによって破壊された施設と、彼が垂れ流した血。

そうして消えたリカルドに、ビルドは、

「確かにそうかもしれない」

その言葉を否定せず、

「だけど、何かを破壊するためだけに力を使うお前たちとは違う。この力は、『正義』の為の―――『愛と平和』を貫く為の力だ」

彼の信念ともいえるその言葉は、静かにその場に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

そしてまた、同じように決着のついた場にて。

「キャロルちゃん・・・」

響は、元の姿に戻り、自らの一撃で胸から血を流すキャロルに手を差し伸べる。

「どうして世界をバラバラにしようだなんて・・・」

しかし、キャロルはその手を払いのける。

「忘れたよ、理由なんて・・・」

苦虫でも噛み潰したかのような表情で、キャロルはそう言い返す。

「『思い出』を『償却』、戦う力へと変えた時に」

そう、キャロルは瀕死の状態で、響を責め立てる。

「その呪われた旋律で誰かを救えるなどと思いあがるな」

「・・・!?」

その言葉に、響は思わず動揺し、その表情に満足したかのようにキャロルは嘲笑い、奥歯に仕込んだ何かをかみ砕き―――

「キャロルちゃん・・・?」

突如として少女の体が倒れる。

「キャロルちゃん!?」

そして次の瞬間、キャロルの体は、焼け炭と緑の炎に巻かれ、消滅した――――

 

 

 

そして、響の絶叫が、曇り空に虚しく響いた――――

 

 

 

 

 

 

「―――時は、きた・・・」

ビルドからの一撃を受け、ボロボロのリカルドが、そう呟く。

「呪われた旋律は成された・・・存外、犠牲を払った甲斐はあったというもの」

リカルドの前には、六人の戦士たち―――

「さあ、始めよう―――終わりの始まり、『万象黙示録』を!」

リカルドは、大仰な振る舞いで、そう宣言する。

 

 

 

「よう」

「桐生」

「龍我」

「そっちはどうだ?」

「どうにか勝てた・・・だが・・・」

翼の見る先、キャロルの死体が燃える場所に、響は一人、そこに立っていた。

「呪われた旋律・・・誰も救えない・・・そんなことない。そんな風にはしないよ。キャロルちゃん・・・」

それは、響の小さな誓いだった。




次回!愛和創造シンフォギア・ビルドは!?

「それでは説明を聞こうか」

戦いが終わった直後にピンチに陥る戦兎(+未来)

「正直、隠していたことは、結構怒ってるんだよ」

そして登場する全てのリンク・アニマル!

「うむ。ここらで一つ、特訓だな!」

だがしかし、そこで一つ重大な問題があった。

「俺たち水着持ってない・・・・」


次回『波乱のショッピング』

「・・・ありがとう。少し楽になった」






そんなわけで変身講座ァ!!!


っと、いうわけでシンに続いてこの涼月慧介が変身講座します!
何卒よろしくお願いしま・・・え?そんなかしこまらなくてもいい?いつも通りで?
まあ、そういうなら・・・
というわけで、俺が変身する仮面ライダータスクの正しい変身方法を教えてやる。
まずは、『スクラッシュドライバー』を装着。

『スクラァッシュドゥライバァーッ!!』

そして、今度はこのスクラッシュゼリーを装填する。これの特徴は、ゼリー状だから振らなくて大丈夫って所だ。振ってからじゃないと力を発揮できないフルボトルとの大きな違いだな。
あ、ここで気を付けてほしいのは、キャップの向きを正面にすること。じゃないと装填できないし何より中の成分が押し出されないからな。
というわけでスロットな(ポチッとな的に)。

タイガァージュエリィー!』

よっしゃ!あとはこのままレバーを下ろすだけ!
っと、俺の変身ポーズだけど、俺は左手を右肩あたりにもっていって、レバーをそのポーズのまま、右手で下ろすんだ。
それじゃあ、

―――変身!


『潰れるゥ!流れるゥ!!溢れ出るゥッ!!!』

タイガァー・イン・タァスクゥッ!!』

『ブルァァァァア!!!』


・・・あ、ちょ、調?なんでそんなにはしゃいでんの・・・ああ、戦兎先生に強制退出させられた・・・あ、戦兎先生が反撃受けた。南無三。
うぉっほん。と、まあこれで変身は一通り終わった。
それじゃ、締めは俺の必殺技でフィニッシュだ!
必殺技を発動する時は、この状態でもう一度レンチを下ろす!

スクラップクラッシュッ!!!』

いくぜ、これが俺のライダーキックだぁあぁあ!!!


ズドォォォンッ!!!


・・・フゥー、スッとしたぜぇ・・・え?何?キャラが違う?
いいじゃねえか俺は物真似の達人だぜ?
ま、何はともあれ、これで俺の変身講座は終わりだ。
ご清聴・・・あいや読んでいただきありがとうございました。
えーっと、次回の変身講座は・・・ん?なんで装者まで!?
え?作者の中のイメージを共有したい・・・だって!?
別に商品化される訳でもないんだからそんなことしなくても・・・あ、ちょ、それを投げるのはアーッ!!

・・・と、というわけで、次週の変身講座は未来さんがやってくれます・・・え?なんでトップバッターが未来さんなのかって?
まあそのあたりは・・・察してください。

というわけで次回!!





リンクスアームズ解説


ガングニールフェニックス『フェニックスブレイズ』

全身に設けられている火炎放出機構から炎を放出する。
火力は調節可能であり、通常の赤い炎から最も温度の高い青い炎まで、程度を自由に変化させることが出来る。
本気で使えば戦車すら液体に変える。
放出機構の部分の問題によって火炎放出している際、その炎が響を中心に不死鳥の形をとる。
ただし火力と方向を間違えれば自身ごと周囲を焼き払うことになるので注意が必要。


天羽々斬ラビット『スカイスプリング』

全身くまなく、不可視超次元バネが装着されており、普段は固定され、通常のギアと同じ併用が出来るが、固定解除すれば負荷がかかり、その負荷の分、身体能力の向上及び攻撃の破壊力増加を促す。
身体の動きによってバネの伸縮をAIによって操作、装着者の動きに合わせて伸縮を繰り返す為に実質負荷はゼロだが、逆に強力過ぎる事でその反動に体がダメージを負うリスクがある。
ちなみに翼がぶっ飛んだシーンは中の人ネタ。


イチイバルドラゴン『フォトンチャージャー』

全身にリフレクターと同じエネルギーをギアに搭載された専用の回路を通して循環、加速増幅させることによって武器全般の威力を強化する。
最大で初絶唱時の集約キャノン並みの威力が出るが、その威力で街の一部を吹き飛ばしかねない為封印中。
デメリットはフォトンチャージャーはエネルギーを常に溜め続ける為に熱が体に籠りやすく、それによって精神ダメージと疲労が出てくること。
フェニックスブレイズは体内の熱まで放出するため、その点は問題はないが、フォトンチャージャーはエネルギーが全身を駆け巡るため、放出は出来ない。



ではまた次回!

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