ライネス・エルメロイ・アーチゾルテの真似をする性転換少女 作:ピトーたんは猫娘
ジャンヌとレティシア、エリスの三人もしっかりと話し合いをして私達の陣営に入る事を選んだのだし、願いを叶えるために必要な物は準備してやった。後は彼女達が叶えたいと本当に思っているかどうかだ。
だから、私も私で儀式場の構築をしている横で紅茶を飲みながらオーラを弟子に練らせてこちらに供給させている。流石に自前でオーラを生み出す事はできない。それができればもはや念獣などではなく、受肉したサーヴァントと言える。残念ながらそこまでのキャパシティーはまだない。そんな訳で弟子の方に頑張ってオーラを生産してもらっている。正直、ここまで必要なのか微妙なぐらい桁違いの量が集まっているのだが……あって困る事はないしいいだろう。
「ゆっくりしているみたいですが、準備はよろしいのですか?」
「メディアだったか。こちらは問題ない。そうだろうトリム?」
「はい。問題なく事態は進行しております」
「だそうだ。こちらは既に用意が出来ている。後はそちらの儀式が終わり次第、開始できる」
「わかりました。では、後は眠られている方々が起きたら開始ですね」
「そうなるな」
用意された台座の上には三人。彼女達は念能力に覚醒してから眠ったままだ。体内に仕込んだ水銀から彼女達のオーラを操作して強制的に力を受け入れる素体を作ったのだから仕方がない。
「しかし、本当にお一人でよろしいのですか?」
「ああ、問題ないさ。むしろ、他は邪魔になる。精々、彼女くらいだが、彼女には難しい役目を担ってもらうのだから、メインのアタッカーは私でいい」
「アタランテさんは確かにお強いですが、大丈夫でしょうか?」
「平気だろう」
アタランテ君にはファヴニールをここまで連れてきてもらった後、三人の護衛をしてもらう。私がある程度は防ぐが、全ては防げない。そこで迎撃が得意な彼女に任せるというわけだ。
「マスター」
「どうした?」
「起きられたようです」
「そうか。では合図を出すとしよう。頼めるかな?」
「はい。お任せください」
メディアに頼み、狼煙を上げてもらう。これで少しすればファヴニールがやってくるだろう。私は私で彼女達の様子を確認するとしよう。
祭壇の方に移動すると、三人は丁度目を開けて起きだしていた。なのでトリムマウに指示を出し、紅茶を入れさせる。
「気分はどうかな?」
「最悪ね」
「頭がグラグラします……」
「うぅ……」
三人を凝で確認してみるけれど問題はなさそうだ。とりあえず紅茶を飲ませて落ち着かせよう。そう思っていたら、ジャンヌが身体をペタペタと触っていく。
「ねえ、服ってアンタが着せてくれたの?」
「トリムにさせたから、安心するといい。男性に肌を曝させてはいないさ」
「よかったわ」
「ありがとうございます。それで、これからですが……」
「まあ、とりあえず一息つきたまえ。どうせすぐに忙しくなる」
「わかりました」
三人はトリムマウからコップを受け取って飲んでいく。エリスにはお菓子もあげると、嬉しそうに頬を膨らませて食べていく。その間にこれからやる事を簡単に説明する。
「まず、ファヴニールの操作だが、まともな方法では確実に失敗する。これは銀翼を使っても不可能だ。ドラゴンが簡単に支配を受け入れるはずがないからだ。君達の父親が意識を保っていればできるだろうが、期待はできない」
「だったらどうするのよ? まさか諦めるなんて言わないわよね?」
「もちろんだとも。まずやる事は徹底的に弱らせる事だ。支配を受け入れないのは力が有り余っているのもあるのだしね」
「ファヴニールの意識を弱まらせて、お父さんの意識を呼び覚ますんですか?」
「そうだ。命の危機まで追い詰め、弱まらせたところで三人と契約させる。君達三人を基準として私達が力を注ぎ込めば足りないキャパシティーを補う事ができるだろう」
話していると、山の方で咆哮が上がって大気が震える。私達が居る場所は少し離れているというのに衝撃が伝わってきた。
「始まったか」
爆音と共に炎の塊が吐き出され、その中から小さな影が飛び出して後ろの炎に矢を放ちながらこちらに移動してくる。炎の中から巨大な影が現れ、それが翼を広げて空へと上がると火は吹き飛ばされた。
「アレがお父さん……」
「エリスは見た事がありませんでしたね」
怖がっているエリスをレティシアが抱きしめ、優しく撫でている。その隣でジャンヌはしっかりと父親の方を見詰めている。
「司馬懿、さっさとやっちゃって。苦しんでるお父さんを見たくないわ」
「どうかお願いします」
「お父さんを……助けてください……」
「いいだろう。しっかりと心の底から父を救いたいと願え。そうすれば助けられる」
「「はい(ふん)」」
さあ、竜退治と行こうじゃないか。何、気負う必要は一切ない。もう勝敗はついている。ただ殺すか、手に入れるかの違いだけだ。
「頭が高いぞ、トカゲ。トリム、叩き落せ」
「イエス、マスター」
弟子から貰った膨大なオーラを使い、トリムマウと月霊髄液を徹底的に強化する。同時に空を飛んだファヴニールを見詰めながら指示を出す。トリムマウは私の指示に従い、巨大な砲を作成する。
「トリム、一つ聞くが……それはなんだ?」
「全長5,791mm、砲身長4,938mm、全高2,100mm、重量7,407kg、口径88mm。発射速度は毎分15から20発。有効射程が対地目標14,810m。対空目標7,620m、最大射程11,900m。名称を8.8cm FlaK 36と言います。愛称はアハト・アハトでございます」
「待て。私が弟子から頂いた知識ではドイツ軍が開発した物ではなかったか?」
「イエス、マスター。私も貰いました」
「オーケー、わかった。好きにしていいから叩き落せ」
「お任せを。硬芯徹甲弾装填。ふぉいやーっ‼︎」
トリムマウが照準を行い、引き金を引くと轟音と共に銀の砲弾が発射される。しかし、ドラゴンの少し上を通って後ろにある山に着弾し、周りを破壊する。
「外れました。修正致します。硬芯徹甲弾再装填完了。ふぉいやーっ‼︎」
「装填というより生成ではないか?」
「様式美でございます」
「そうか。まあいい」
ゴリゴリとオーラが削られていく。生成された砲も弾丸もどちらも水銀とオーラを使って実体化しているのだから仕方がない。しかし、人のサイズで平気な顔してアハト・アハトを撃つとか馬鹿じゃないのか? いや、ちゃんと足は地面を貫いてアンカーとして使っているようだがね。
「こういう時はなんて言うんだったか……地球なめんなファンタジーか」
「マスター、あたりません」
「……仕方ないな。援護してやる。勝負に奇計も切り札もいらぬ。ただ十全に調え、当然に勝てばよい。
宝具の名前を唱えると同時に月霊髄液に指示を出し、ファヴニールの体内に巣食っている月霊髄液を暴れさせる。中で集まり、ドリル状の刃となって高速回転しながら内部を採掘していく。
「■■■■■■■■■■■──―!? 」
悲鳴を上げて墜落してくるファヴニールの落下予想地点に仕込んであった水銀を使って高速回転するドリルの山を作成し、鱗を削りにかかる。外部だけなら鱗にはたいしてダメージが入らないだろうが、内部から同時に攻める事によって確実に抉り取る。
「お。お父さんが死んじゃう……」
「ちょっと大丈夫なのよね!」
「この程度では死なんよ」
その証拠に私が攻撃している事に気付いたファヴニールはこちらに向けてブレスを放ってきた。私は手を振るって目の前に水銀の壁を生み出して受け止める。すぐに蒸発していくので、流動させて上へと流させていく。蒸発した水銀を補填する事で大量のオーラを喪失したが、まだまだ問題ない。
ブレスを防いだら水銀の海を生み出し、津波と化して襲わせる。当然、トリムマウはその中を移動しながらアハト・アハトを撃っていく。接近したらトリムマウごと取り込んで巨大な銀の球体となり、中身を削り取っていく。中からファヴニールの悲鳴が聞こえるが無視する。
「うんうん、結果は上々と言ったところかな?」
「殺す気か!」
「生きてるじゃないか、アタランテ」
水銀塗れになった彼女は荒い呼吸をしながら私の前に現れた。私は彼女の身体についている水銀を回収してケラケラと笑う。
「お前……」
「そう怒らないでくれ。ちゃんと敵と味方の識別はしているさ。なんなら君もあの中に入って戦ってくるかね?」
「断る。それにここからでも攻撃はできる」
彼女はそう言うと、ファヴニールが暴れる事によってできる微かな水銀の隙間へと矢を通して的確にダメージを与えていく。
「君も大概だね」
「お前にだけは言われたくない」
「失礼だな。私は大概じゃない。規格外なだけだ」
「ちっ」
「おやおや、どうしたのかな~?」
ニヤニヤしながらアタランテを見ていると水銀が全て吹き飛ばされた。そちらを確認するとファヴニールが自爆覚悟で近距離ブレスを放ったようだ。体内ごと焼いて水銀を全て蒸発させたようだね。
「どっちも化け物か」
「酷いな」
指を鳴らして再構築する。今度はトリムマウの真似をしてアハト・アハトを大量生産して一斉射撃を行う。構造をしっかりと弟子が理解しているからこそできる。といっても、プラモデルとかそんな物だが。流石に精密な電子機器やネットワークを使った物は再現不可能だ。精々が第二次世界大戦中の物ぐらいだ。
「ジャンヌ、レティシア、エリス。準備しろ。そろそろ頃合いだ」
「わかったわ。でもどうすればいいの?」
「願うだけで構いません。我等が主は皆様のおそばにいます」
『呼んだ?』
『呼ばれてとびでてきました』
『既に待機していますです』
『全裸待機していまちた』
わらわらと大量に寄ってくる銀の鳥達。それに対して彼女達は祭壇で真摯に祈りだす。そして鳥達は奇跡を生み出す。メディアを始めとした信者たちから吸収されたオーラと私が現在進行形で巻き散らかしている大量のオーラ、それに弟子から供給されるオーラ。この三種類のオーラが三人のキャパシティーとメモリを超えて新たな存在へと作り変えていく。
鳥達は魔法陣まで再現し、その上に居た三人の服が弾け飛んで違う服へと再構築されていく。しっかりと謎の光の代わりとして自らの身体でガードしている辺り、配慮しているようだ。
「風は空に、星は天に、不屈の心はこの胸に、この手に主の御業を! 神風魔法少女ジャンヌダルク、見参です!」
「聖なる夜、ステキでムテキなキセキの一瞬。聖歌魔法少女ジャンヌサンタリリィ。ここに、召喚に応じ参上しました! え? もう一度名前を言って欲しい? 今度は早口で? ええと……ジャンヌダルクおるたしゃんたりゃりゃ……ふぎゃ! 舌、かんじゃいました……」
「我が憎しみ、我が恨み。憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮を知らしめてあげましょう。闇落ち魔法少女ジャンヌダルク・オルタ。張り切って楽しむわよ」
三人の姿が私の知っている姿へと変化した。衣装もそれぞれ変化しているのでサーヴァントの姿に間違いはない。
「え? え? なんですかこれ?」
「うわっ、とっても可愛いです!」
「ちょっ、ざけんなぁっ! なによこれ! 誰が闇落ち魔法少女よ!」
混乱している三人がジャンヌ・ダルクとなったのは基点としたのが竜の魔女としようとしたジャンヌだから、ジャンヌ系統で統一されたのだろう。農民だったというのもあるかもしれない。
「ほらほら、今はそれどころじゃないだろう。さっさと契約しないと死んでしまうぞ」
「了解です」
「わかりました!」
「それでどうしたらいいの?」
「決まっている。接続するんだ」
こちらに突撃してくるファヴニールを水銀の壁で受け止めて拘束し、ファヴニールの身体に空いている穴に彼女達を入れてやる。ファヴニールにとって彼女達が宝だ。なら、帰してやってから契約させればいい。
『……■■■……レティシア……ジャンヌ……エリス……俺は……』
「お父さん! 頑張って」
「死なないでください!」
「帰ってきて!」
三人が必死に説得して頑張っているようなので、こちらもオーラを大量に送り込んでファヴニールの身体を浸食する。元は銀の鳥によって変化したのだから、ライネスのオーラでなら乗っ取れる。ましてやそのオーラは彼の宝である三人の娘から流し込まれるのだから抵抗などできようはずもない。
ついでにサービスとして人の身体に作り変えてやろう。ジャンヌダルク・オルタ達、三人娘と一緒ならドラゴン形態になれるようにしておけばこちらとしても困らないだろうね。
ジャンヌダルク・オルタの名前
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ジャンヌ
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エリス
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レティシア
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その他適当にランダムジェネレータ
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ルーシャ