僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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今回は龍牙出ません。


猛毒とドラグーン、思案

「ヴェノム、貴方どうやって彼をサポートするか考えてる?」

「とっくに思いついてる。俺があいつに取り付けばいい」

「……何ですって?」

 

リュウガのサポート、その任を貰ったヴェノムはこれからの調査では龍牙とのツーマンセルが基本になる。その際にどのようにやるかを決めようと思ったのだが、ヴェノムの言葉に思わず眉を顰めた。

 

「能力の一つだ、俺があいつと一つになれば俺が保護壁になる」

「つまり……貴方って他人と融合出来るって事なの?」

「正確に言えば俺は相手を取り込める。時間をかければそいつを完全に吸収して俺の物に出来る、今回はそれを利用して俺があいつの一部になってあいつを守る。あいつに俺の能力が+されると考えればいい」

 

それを聞いてリューキュウは改めて本当にヴェノムがこちら側に来てくれてよかったと思った。他者を吸収して自らの物に出来るなんてとんでもないにも程がある。だがこの能力には欠点もあるという。

 

対象となる相手との相性などもあり、それによっては融合する事も取り込む事も出来ない。出来たとしても互いの個性が打ち消しあって無個性に等しい状態になる事もあり得る。そして対象の精神力や精神状態によってはヴェノムが逆に取り込まれたり、弾かれてしまう恐れもある。

 

「そもそもそれってリュウガと出来るの、融合って」

「多分行ける、俺はあいつを気に入ってるからな。確実に行ける、俺とあいつの力ならどこまでも行けるな……」

「……」

「冗談だからエンデヴァーとオルカを呼ぼうとすんな」

 

そんなこんなでサポートの案が出来上がっていく中でヴェノムはリューキュウに問いかけた。

 

「リューキュウ、俺は腑に落ちねぇ事がある」

「奇遇ね私もよ」

「「何でリュウガが狙われた」」

 

明らかに命を狙われた、その一点が酷く脳裏に焼き付いている二人。そもそもが理解出来ない。何故彼が狙われるのかという所が気になってしょうがなかった。ヴェノムの尋問から龍牙をピンポイントで狙った事は確定済み、だがその理由までは判明しなかった。結局彼らは仕事を請けただけ、金さえ貰えれば良かっただけの存在。

 

「リュウガを殺して得する連中ってなんだ。例の敵連合って奴か」

「それが一番濃厚な線ね、一度彼らに拉致されて勧誘を受けたって話を聞いてる。それが不可能と判断して排除に掛かった……いえでもなぜこのタイミングなの、そもそも連合ならもっと確実な手段が取れる筈」

 

リューキュウの脳裏に過るには龍牙が確保された際に出現したという捕縛特化の脳無、それともう他の脳無を組み合わせれば態々個性破壊を行わなくても殺す事が出来る。それに龍牙の個性の防御力はかなり高い、貫通力が高い弾で同一個所を間髪入れずに攻撃しないと弾丸での破壊は困難。ならば脳無で直接龍牙の鎧を破った上で球を打ち込んだ方が確実。

 

「っつう事はあれか、連合は除外か。その脳無って奴がどんな奴は知らねぇけど、相当な化け物みてぇだな」

「貴方程じゃないと思うけどね、でも量産可能なのが一番厄介な所ね」

「戦いは数だよ兄貴って奴か」

「いやそうなんだけど……何処で覚えたのよそれ」

「オルカの事務所のサイドキックが言ってたぞ」

 

まあそれは置いておこう。そう考えると連合の可能性は除外しておくべき、ならば自分達の調査に気付いた死穢八斎會が動き出した。今回の事を受けて他のヒーローに注意喚起と情報の提供を求めたが、そのような事は全く起こっていない。監視なども細心の注意を払って行っているのでこちらへと向けられるものがあれば確実に気付く。今回の作戦に参加しているのはヒーローの中でも実力派ばかり、それは信頼していいだろう。

 

「八斎會だとしてよ、なんでアンタじゃなくてリュウガを狙っただよ」

「そこよね、なんで私じゃなくて彼なのか……」

 

確かにリュウガは最近超新星、いぶし銀と色んな風に言われているがまだまだ駆け出しで学生の身。何故そんな彼を狙ってリューキュウを狙わなかったのかのかも謎。彼女はヒーロービルボードチャートJP9位という輝かしい物を持っている。それを狙わずに龍牙を狙う……。

 

「もしかして……個人的なものがある……」

「あ~……私怨って奴か?」

「そう思うと納得出来るのよ、敢えて彼を狙ったのは恨みがあるから」

「……確かに納得がいく。じゃあこの事をオルカに伝えるのか。そっちから探って貰った方が直ぐなんじゃねぇのか?」

 

ヴェノムの提案は恐らく正しい上に確実だろう。龍牙の親として様々な事に精通しているし間違いなく根津も全力で力を貸す事だろう。それもするが彼女には一つだけ、妙な胸騒ぎがあったのだ。合っているかすら分からないが不思議と確信のような物が騒ぎ立てる。

 

「ねぇっヴェノム、貴方今回の調査でそれなりに隠密調査のコツは覚えた?」

「まあな。元々暗闇に潜むのは十八番だったからかそういうのは得意だ、今回の事で糸で音を拾う技も覚えたぞ」

「ならよかったわ。貴方にお願いがあるの、勿論その分の報酬は出させてもらうわ。そうね……チョコレート10キロなんてどうかしら」

「乗った」

 

ほぼタイムロス0で即答するヴェノムにリューキュウは交渉成立ね、と微笑む。

 

「んで俺は何をすりゃ良いんだ、察するにどっかに潜入でもすりゃいいのか」

「察しが良いわね。貴方にお願いしたいのは―――、―――に対する調査よ。途中でも明日には戻ってきてね」

「あいよ」

 

そう答えるとヴェノムは窓を開けると颯爽とビルの外壁を駆け登っていく、剛腕で外壁を砕かん勢いで駆けあがっていく。が、以前それをしたらオルカとエンデヴァーにヴィラン追跡と戦闘時以外はやめろ、と炎と音混じりに言われたので傷付けない程度にしている。そのお陰で速度が制限されてしまって何処か不満げにしている。そんな彼は屋上へと躍り出ると夕暮れになりかけている風景を見ながら、目的の場所を支給された携帯で検索していく。

 

「……やっぱりこいつは良いな。何時でも何処でも情報が引き出せる」

 

仕事をしなければいけなくなってはいるが、その代わりに色々と手に入れる事が出来た物については満足しているのか今持っている携帯も気に入っているのか大事にしている。因みに異形系個性者向けの大型携帯のリューキュウモデルである。

 

「成程、あっちか……」

 

場所が分かるとスマホを自分の身体の中に沈ませていく。身体が基本的に粘液状であるヴェノム、その気になれば様々な物を内部に収納しておく事が出来る。今もスマホやら念の為に持たされた財布などが仕舞われている。目的地が明らかになると抑えた分を露わにして彼にとっては動きやすい姿(3mの姿)になってビルの屋上から屋上を跳躍を繰り返して移動していく。

 

黒い影がビルの谷をすり抜けていく、夕闇の中を駆ける姿は闇の矢。ズズン、そんな重々しい音を響かせながらも軽々と跳躍するヴェノム。それが目指す先はリューキュウが指示した場所。そこへと唯々突き進んでいく。




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