僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
死穢八斎會本拠地、組長宅への投入作戦当日。作戦に参加するヒーロー達の姿は警察署の前にあり作戦の最終確認と目的の確認。そして調べられる限りで八斎會メンバーの登録個性をリストアップし各ヒーローへと配布、前以て頭に入れておくことで対処の遅れを無くしておくなどの事もしておく。出来る限りの事をして最善を尽くす、それが最大限の努力と良い結果を齎す事に通じる。
「決まったら早いな、プロはやっぱり違うっすね!!」
「君は本当に元気だな……まだ朝なのに」
気合十分といった切島の声にタジタジな天喰、そんな表情をしながらも心の奥ではそんな元気いっぱいな力強さに安心感を覚えている面もある。下手に緊張しすぎているよりも遥かにいい、寧ろこういったタイプの力強さは周囲の士気を上げるのに効果的に作用していくもの。それは龍牙も同じ、彼も不思議と高揚感を感じながら部分展開などを使用して調子を確かめる。
「よし、本当は一気に展開したいけど……お前、いやだろ」
「融合している今は俺に害はない、だが嫌だ。交通事故を経験した人間が赤信号を渡ると思うか」
「ないな」
「つまりそういう事だ、それと同じだ」
龍牙と身体を共有している、つまり炎に対して強い耐性を持つ龍牙の特性をも共有している形になるがそこに本人の意思なども絡んでくるので無条件で受け入れられるわけではない。火事に強いトラウマを持つ人間が強い火を持て何も思わないだろうか、それが原因で熱い物が苦手になるかもしれない。今ならば炎は大丈夫かもしれないが、自分から炎に包まれたいなどは考えない。
「リュウガちゃんも調子良さそうね、凄い落ち着いてるし」
「ホント、他のプロの人と何ら変わりないね!」
「慣れてるみたいだね、不思議だね。私達と同じインターンなのにね!!」
「ええまあ、師匠との修行で色々経験してますから」
ギャングオルカの修行には様々なバリエーションが存在していた。単純な立ち合いの訓練だけではなく、敵ヴィランが潜伏している拠点の調査などを盛り込んだ物、ヴィランを追跡するもの、森に隠れたヴィランをヒントなしで探すものだったりと本当に色んな物があった。しかもそれらのヴィラン役を行うのはオルカが手配したプロヒーローやその道のプロだったりオルカ本人だったり、それらを相手にするのだから不思議と緊張したりしたので緊張などは慣れっこなのである。一歩間違えたら大怪我必死な訓練もあったりもした。そんな事を話しているとファットガムがどこからか取り出したたこ焼きを差し出しながら、ロックロックも肩を叩きながら此方を見ていた。
「苦労してきたんやなリュウガ君……これでも食って元気出しぃ、これから大捕物やからな」
「……何か辛い事あったら素直に話せよな、先輩として相談位なら乗ってやっから……」
「いや別にもう慣れましたから気にしてませんよ、それに師匠は俺の事を思ってやってくれてる訳ですから」
「「……」」
何の裏もない笑顔でそう告げてくる龍牙、一切の闇も見せないそんな笑いを見て二人は彼が何かで困ったら絶対に助けてやろうと心の中で誓った。
「リュウガ、お前ねじれに撫でられる事について何も言わねぇのか」
「もう言うの諦めた」
「……どんだけお前撫でられたんだよ」
「不思議だよねぇ龍牙君凄いんだよ!!ヴェノムも試してみる?」
「……遠慮する」
そんな最中も頭を撫で続けるねじれに対してもう言う事が無くなった龍牙、インターン中に彼がどれだけ彼女に撫でられ続けてきたのかはもう言うまでもないだろう。最初こそ微妙な顔をしていた麗日と蛙吹ももう何も言う事は無いのか何の反応も示さなくなったほどである。そしていよいよ―――大捕物が開始される。
午前8時30分、決行!!
その場に集結したヒーローと警察、大人数で屋敷前に集結し令状を読み上げる。一種の威嚇を行いながらも相手に対する防御も欠かさない、本拠地は和風の屋敷。大きな門の前で全員が厳戒態勢を敷きながら今か今かとその時を待ち続けている。そして警察が令状を読み上げる為にインターホンに指を掛けようとした時の事だった、それは唐突に現れた。自らの屋敷の門を内側から自慢の拳で打ち砕かんとする勢いで、鳥の嘴のようなマスクを使用した巨漢が数人の警察官を吹き飛ばしながら出現する。
「なっバレてたのか!?」
「予期されていた……と考えるのが妥当か」
「……何なんですかぁ朝から大人数でぇ……よぉし少し元気が出たぞぉ……」
巨漢は何処か緩慢とした動きをしているが、警官吹き飛ばした直後から少し何処か身体が活性化しているのか巨大化しているように見える。リストにあった構成員の一人、その個性を即座に把握した龍牙が真っ先に前に出て男と対する。
「なんの、用ですかぁ!!」
「マスク!!」
「了解」
更に巨大となった巨漢の大男、活瓶 力也。その巨体から振るわれる剛腕を横から同じような巨大な腕が取り押さえた。黒い闇のような黒い腕、それは龍牙の肩の後ろから伸びていた。そして一気に龍牙の身体を同じような闇が溢れていく。そしてそれは龍牙を完全に飲み込むと巨大な闇の巨人のような姿をしたヴェノムとなって、活瓶に幾重にも黒糸を巻き付けて動きを封じていく。
「何だこりゃ……!?」
「『こいつ、中々にパワーがある……!!リュウキュー、手を貸して、確実に押さえ込んでやる!!』」
「分かったわ、彼はリューキュウ事務所で対処します!!皆さんは早く中へ!!」
素早くリューキュウは個性を発動させ、黒糸で拘束されている活瓶を更なる力で上から抑え込んでいく。それを確認すると他の人員が内部へとなだれ込んでいく。龍牙はヴェノムと共に活瓶を完全に拘束が完了するまでここに留まってから内部へとなだれ込むつもりでいる―――が、如何やらそうもいかないようだとヴェノムが囁いた。そう、龍牙を影からじっと見つめる影が……あった。
遂に始まる死穢八斎會への作戦、同時に龍牙へと向けられる謎の視線。それが齎す物は何か、そして龍牙はどうなるのか……彼へと向けられる殺害の意図は何を導いてしまうのか……それは間もなく明かされる事になる。
何故マスクなのかって?映画を見ればわかる。
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