僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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師との語らい

「しかしまさかお前とこうして酒を飲み交わす日が来よう物とはな……年を取るとは面白い物だ」

「俺はずっと師匠と飲みたいと思ってましたよ、まあ色々あって此処までズレ込みましたけどね」

 

真夜中、龍牙の自宅。既に日も落ちて暗黒の暗闇が広がる中でそれらを照らす月明かりだけと星の灯だけを頼りにしながら縁側に腰掛けながら互いに手にしているグラスへと酒を注いでいく。酒を飲む機会はあったがこうして完全な一対一での見合うという事は無かったので久方ぶりの師と弟子、いや父と息子の語らいの機会を持てた事にギャングオルカは嬉しく思っていた。

 

「すいませんね、今日も透龍と隠牙の面倒見て貰っちゃいまして」

「暇だったからな。孫の相手位せんで何が祖父だ」

 

今日も今日とて自分の子供達の面倒を見て貰ってしまった、悪いとは思っているのだがオルカ自身は特に何も思っていない所か自分の事を怖がらない所か懐いて甘えてくれてる孫の存在は可愛くて可愛くてしょうがない。目に入れても痛くないと言える程。

 

「だが翁氏が少々来過ぎだろう、神使の家はどうなっている」

「嗚呼っ……白鳥の奴が次期神使当主候補になったからって自分の仕事の一部をやらせてるから時間があるらしいです」

「ムゥッ……負ける物か、今度はどんなプレゼントを……」

「何張り合ってんすか……というかその辺り自重してくださいよ、師匠と爺ちゃんのプレゼントでどんだけ家の中を圧迫する気なんすか」

 

自分の子供にとって翁は曽祖父、オルカは祖父という関係になるのだが二人は何方の方が孫に好かれるかという事で争っていたりする。翁に至っては当主として生きて訳なのだから孫云々は十分過ぎる程に経験しただろうに……何故かオルカ共々自分の子供を溺愛している。してくれるのはいいのだが一々張り合ってプレゼントが豪華且つ大きくなってくるのは勘弁してほしい。

 

「全く……冥界の魔物も孫には牙も抜けますか」

「お前、所帯を持ってから益々口が達者になったか」

「そりゃそうですよ、どっかの誰かに虐待一歩手前の修行を付けて頂いたお陰もありますからぁ」

 

厭味ったらしく言葉を漏らすそれに対してオルカは目を反らす程度の事しか出来なかった、がワザとそう言っているのだ。直ぐに冗談ですよと返してウィスキーを注いだグラスを向けると小さく乾杯と零しあってから酒を一気に飲み干していく。

 

「相変わらず異常な酒の強さだな、俺もバーボンを一気に飲み干すなどせんぞ」

「まあ薬物訓練で鍛えられましたから」

「……事あるごとにそれを出すのやめてくれんか」

 

やや小さくなっているオルカ、これでも流石に龍牙に施してきた修練はやり過ぎてしまったと反省しているのである。翁も翁で孫にもそれをするのではないかと警戒してちょくちょく顔を出していたりするのである。

 

「ほんと改めて考えてみると餓鬼の頃の俺、良く死ななかったですよね。死に掛けた事は多いけどその大半は師匠が原因でしょ」

「……それ以外でも死に掛けるお前にも原因がある」

「一番最初に俺を死に掛けさせた人間が言うと説得力が違いますね」

 

勢いよくバーボンを飲み干しながら次のもう一本へと手を伸ばす息子(龍牙)に渋い顔を作る。龍牙の父として上手く接する事も出来ず唯々龍牙に強さを教え込む師として徹する事しか出来なかったあの頃、恨まれてもいい。せめて自分に降りかかる運命を跳ね除けられる強さを教え込もうと決意しながら様々な修練を付けたが息子は自分を恨む事などは無かった。

 

「だがお前は俺の事を憎みもしなかった、当時から不思議だった」

「まあ根に持つような事はありましたけどね……だけど憎むなんて以ての外、父さんと師匠は(リュウガ)を見ても恐れなかった。そんな人を憎むなんてありえない」

 

指先を部分出現(パーツ・アドベント)させながらバーボンの瓶の開け口部分を割りながら直接飲む。幼い頃から酷く聡い子だった自分は二人の思惑を何となくだが感じ取っていた、厳しさの中心にある優しさにも。

 

「しかしお前、そんな度数をガンガン飲んで大丈夫か」

「問題ありませんよ。致死毒までの対策となったあの修練のお陰でね」

「……その弄りは勘弁してくれ、翁氏からも相当俺は絞られているんだ」

「ハハハッそれだけ俺にやってた事が異常って事っすよ、隠牙や透龍にはやめてくださいよ?」

「分かっておるわ、あの子達に嫌われる事など出来るか!!」

「おやっ俺にはしたのに孫に嫌われることは避けるんすね」

「……お前本当に口が達者になりおって……」

「守るべきものが増えましたからね」

 

ドラゴンライダー・リュウガ。今ではトップヒーローとして新たな世代を牽引する存在となった、そんな弟子を育て上げたギャングオルカも今も現役を張っているが素直にもうこの弟子と本気でやり合っても勝てる気がしなくなってきている。理由は明白だ―――子供を守る親というのは最強だからだ。

 

「師匠悪いと思ってるなら俺のお願い聞いてくれますよね?」

「ますかじゃなくてます、だと強制ではないか……まあろくでもない事でもない限りな」

「隠牙と透龍が水族館に行きたいって言うんですよ、その時にご一緒しません?」

 

その言葉に思わず目が大きくなる。

 

「二人が如何しておじいちゃんと一緒に行きたいっていうもんで」

「そ、そうかそうか俺と一緒に……そうかそうか……!!」

「デレデレしちゃってまぁ……」

 

口角を上げながらだらしなく嬉しそうに笑う師匠、そんな師を二人が生まれるまでは見た事がなかった龍牙としてはそれを見た時の衝撃は途轍もなかった。下手したらエビルブラッドの時以上にビックリしたかもしれない。そんなレベルだった。

 

「まっまあ小さな孫の頼みを断るのもその、なんだっ祖父としてあれだからな……行ってやろう!!」

「素直に嬉しいって言えないんですか全く……後、爺ちゃんも来ますから」

「うっ……翁氏もか……」

 

その言葉で一気に上がり切っていたテンションと紅潮していた顔が下がっていく。龍牙の結婚が決まった時に改めて挨拶に行った際に龍牙に課した修練の事を問い詰められたりした故かやや苦手意識を持ってしまっている―――まあそれ以上に孫を取り合うライバルではあるが。

 

「いっいや臆するなどギャングオルカの名折れ!!今度こそ隠牙にもっ……!!」

「やれやれっ……こりゃまた家の中のものが増えんなぁ……透に何とか言ってくれって言われてんだけどなぁ……どっかの倉庫でも借りるか……」




結婚式編も書かないとなぁ……でもギャングオルカとの初めての邂逅も書きたいなぁ……。
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