僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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もしも、龍牙が本家である神使の家に引き取られたらのIFルート。

多分、長くなる。


もし、龍牙が祖父に引き取られたら その1

その日、鏡の家にて数年に一度親戚が集まる席で楽しく過ごし宴が催されていた。大きく親戚が集まる中で突如として龍牙の身体が炎に包まれた、阿鼻叫喚になりつつもプロヒーローとして息子を救おうとする獣助と乱は水を浴びせて炎の消化を試みる。だが炎は消えない、息子の安否が気になる中で炎が弱まっていきその奥に影が見え始めた。不安がよぎる中、遂に炎が晴れて姿が見えようとした時に、そこに居たのは可愛い息子ではなく恐ろしい姿をした龍の姿をした人の姿。

 

「ぅぅっ……これって、もしかして個性、なの?僕の個性……?」

 

自分に遂に個性が使えるようになったのではないか!?使えないことがコンプレックスだった龍牙は思わず、喉を震わせながら笑った。この時まで個性があるのにも拘らず使う事が出来ずにいた龍牙は……笑ったのだ。当然だ、身体機能である筈のもの、走れるはずなのに走れない状況が続けていたのにも拘らず、突然だが走れるようになったに等しい状況、嬉しくなって当然。これでもう仲間外れにされない、両親も喜んでくれると思うと笑いが出た。嬉しさで笑わずにはいられなかったのだ―――その姿のまま。

 

「ヒィッ!!?なんだこれは……悪魔、いや怪物!?」

「ヴィ、ヴィランだ、ヴィランが龍牙をっ……!!」

「ヴィランだ早く通報しろ!!」

 

家族や親戚には突如として目の前に現れた謎のヴィランが不気味に高笑いしているようにしか見えなかった。そして事態は彼にとって最悪な方向へと進み続けていった。プロヒーローである両親からの攻撃、確保のための行動などなど……それらは家族こそ唯一の安らぎとして思っていた龍牙の心を著しく傷つけていった―――だが、その声を一喝する重々しく大気を震わせるような声が風圧と共に駆け巡っていた。

 

「愚か者……貴様ら、神使の家に名を連られる家の者か、恥を知れぃ!!」

 

唐突だった、それは其処に居る全員からしてもあまりにもイレギュラーすぎる事態だった。そこに現れたのは鏡を始めとする分家の源流にして偉大なるオリジン、今も尚世界を影より支え続ける日本が誇る神、天皇へと仕え続ける家の当主、神使 翁の姿があったのであった。

 

「お、お父さん何故ここに!?」

「戯れにて孫への挨拶をするつもりだったが……まさかこのような場へと遭遇するとはな」

「お、御待ち下さいお義父様あれは間違いなくヴィランで……!?」

「―――目まで曇り切ったか。獣助、貴様も老いそして腐臭に塗れたか」

 

一瞥をするとその場にいた全てが金縛りを起こしたかのように動けなくなる中、困惑と失望と絶望の中に沈もうとする龍牙へと足を進めていく翁はそっと、その肩に手をおいた。優しく置かれた手の温かみは黒炎の鎧に包まれていようが伝われる不思議な暖かさ、瞳に光が戻るように顔を上げるとそこには少しだけ微笑んでいる翁がいる。

 

「初見であるな、愛しき孫よ」

「ま、ご……?」

「我は神使 翁、汝の父の父、祖父である」

「お、じいちゃ、ん……?」

 

その時の龍牙の姿はプロヒーローやヒーロー業界にいる人間から見てもヴィランにしか見えないそれだった、それが首を傾げる姿もまるで此方を品定めしつつも、自らの欲求を満たしているようで恐怖を煽るというのに翁は何ともないのかまだ幼い孫の弱弱しい声に心を痛めながらも笑いながら頭を撫でてやる。

 

「愛しき孫、龍牙よ。汝の個性は汝の父が体現出来ずにいる大いなる幻想の頂点、それを身に宿す素晴らしきもの、その場に居合わせる事を心から喜ばしく思う」

「えっお父さん、でも……?」

「汝の個性はその名が示すが如く龍となる個性、龍が如く猛き空へと昇り、天から全てを支配する個性である」

 

例え個性が使えなくても確りと教育自体はされていた為か、言葉の意味を理解している龍牙に翁はいった。お前の個性は素晴らしい物だと、トップヒーローであるビーストマンですら使えない龍の個性を使える事を胸を張っていいと。

 

「―――」

 

その言葉が今の龍牙にとってどれほどまでに有難かった事だろうか、両親だけではなく今まで親しく自分に真摯になってくれていた親戚までが自分の事をヴィランと叫んでいた。ヒーローである両親に憧れていた彼にとってヴィランだと言われる事がどれほどまでに心を抉った事だろうか……だが初めて会う祖父は自分の事を全く怖がらない所か平然と目の前まで来てそっと肩に手を当てる、そして自分の個性を素晴らしいと語りかけた……。

 

「ぅぁ……ぁぁぁぁっっ……」

「泣くが良い、今は唯々泣いてよい。我がそれを受け止めよう」

 

その言葉に従うように、唯々泣き続けてしまった。初めて会う祖父だが龍牙にとっては世界中で一番安心して自分を受け止めてくれる人の懐で年相応の涙を流し続けていた。それを黙って受け入れながら背中を摩りながら頭を撫でる翁に周囲は何も出来ず、沈黙と静止したまま、そして気付けば龍牙は元の姿、いや個性が解除されていた。泣き疲れたのだろう、そしてそんな龍牙を見て改めてその場の全員が本当に龍牙だったという事実を認めた。そして獣助と乱が手を伸ばそうとするが、同時に―――翁の周囲に出現した黒い外套に纏った翁の側近が出現してそれを阻んだ。

 

「あ、アンタらは……!!」

「お義父様の……!!」

『然り、我ら神使の剣、神使の盾。世界を影より守護する無数の腕にして狩人』

 

その側近こそ現代の神使の家が行うべき任務を主に行う精鋭達の中でも最高クラスの力を保持する者達。当主である翁が守護の為に参上したそれらは既に分家の者達へとその刃を、腕を向けていた。

 

『それより一歩より此方へと近づくのであれば我らが刃が心の臓腑を穿つと知れ』

「な、なにを言っているんだ!?分家の私達に何故刃を!?」

「……愚かになった者だな、神使 獣助であった者よ」

 

側近たちの中の一人、外套の奥にまるではめ込まれているかのように付けられている髑髏を模した白色の仮面を付けた男が蔑んだ視線で見つめながら言った。その男の事は獣助はよく知っていた、何故ならば……自分と共に神使の家で育ちながら自分とは違った道を選んだ弟……だがその声色は到底弟が兄へと向ける物などではない。

 

「貴様が選んだのは光の道、そしてその為の鍛錬を積み続けた結果として貴様は英雄としての栄光を掴んだ。その果てにお前は愛する我が子をヴィランと叫んだ、その瞳は随分と濁ったと見える」

「お、お前っ……た、確かに龍牙には済まない事をしたとは思ってる。だが俺達はその子の親だ!!」

「その親に龍牙殿は敵意を向けられ、己の憧れと親愛な親類からヴィランだと叫ばれたのだ。その心中を察せぬほどに鈍くなったとは……神使の分家として情けない」

 

その言葉に全員が言葉に詰まった。突然の事に対する動揺や恐怖は理解出来なくはないが、神使の家にて産まれ光の道を選んだ分家らは無数の鍛錬と多くの経験を積んでいる。それらが何も思考せずにヴィランだと叫んだ、誰もあれが龍牙だという可能性を模索すらしなかった、その果てが龍牙の心を著しく傷付けてしまった現実という結果を生んだ。

 

「愚かな分家らよ、汝らに指し示される道は―――」

「その先は我が語る」

「出過ぎた真似を……申し訳御座いませぬ」

「良い、龍牙は汝からすれば甥。その為の言の峰、汝が抱くが良い」

「―――感謝いたします、当主様……」

 

そっと、寝息を立てる孫を起こさぬように抱き渡される叔父は甥の小さな身体を抱きながらも未だに震えている事に気付いた。涙を流し尽くした末にまだ怯えている、そんな甥を護るように外套の内側に入れながら優しく、だが確りと抱きかかえる。そして翁は出現させた剣を突き刺しながら言葉を作った。

 

「聞け、神使の分家たる光の役目を授かりながらも自ら幼子に大きな闇を植え付けし愚か者達。汝らに神使の分家という役目は過分、よってこの時を以て汝らよりその地位を剥奪するものとする」

『そ、そんなっ……!?』

「光を望み光の使徒として世界を照らす役目は不要。それを望む事すら烏滸がましい」

 

翁の怒りは単純な物ではない、彼は神使の家の役割を恐らく歴代当主の中でも随一と言っていい程の順守している。それは世界を守る為の覚悟にしてその為に身を捧げた男だからこそ、光の役目を担った者達の行動が赦し難かった。

 

「相応しき者を選び汝らを束ねる家の分家とする事とする、不服だと言うのであるならば……自らの力にてそれを払拭するが良い」

 

分家の地位を失うという事は分家にとっては酷く重い処分、一般的には神使の家は認知されていない闇の一族。だがその存在は政府からは認知されており、それを外されるという事は政府との関係を断たれると同時に自分達のブランドや信頼性を失うに等しい事になるのである。政府と提携しているサポート会社の家もあるので、これは洒落にならない処分となる。だが、翁は最低限のパイプだけは残してやる事にした。下手に断ち過ぎると後にヴィランになるかもしれないという可能性が0ではないからである。

 

「そして―――我が孫、龍牙は神使の預かりとしこの時を以て神使 龍牙となる」

「そ、そんなっ……その子は私達の子なんですよ!!?」

「お父さんそんな横暴が許されると……!!」

「学習されませぬな」

「「っ―――!?」」

 

思わず、前へと出てしまった二人。子を持つ親としては当然の反応だったかもしれないが……それは警告に違反する。故にその首筋と心臓の前へと刃が添えられた、あと一歩踏み出せば容赦なく刃が命を奪う事だろう。そしてそれを躊躇する事も無く実行するだろう。唯一、龍牙を抱く叔父はその場を動いていないがその瞳はあからさまな程に失望の色が浮き出ている。

 

「龍牙殿が貴方達といる事はもう正しくない、共に居れば確実にその心は病んでいき闇への誘いを受けてしまう」

「だから、神使の家に行かせる事だった闇の道だろうが!!」

「闇とは心外ですな、我らは影。世界を照らす大いなる光が生み出す影、影の中より闇を見張る狩人。一緒にしないでいただきたいですな……ああ―――言っても理解出来ないのでしょうかね、当主の息子という役目を放り出しどこぞの娘と家を飛び出した面汚しには」

「お前ぇっ!!!」

 

殴り掛かりそうになる獣助を静止したのは当主たる翁の瞳、一睨みでたちまち動けなくなってしまうそれを受けながら刃の冷たさを思い出したかのように舌打ちをしながら静止する。

 

「言葉を慎め、その言葉を掛けるにも値もせぬ者に語る言葉など無用」

「承知致しました」

「この決定は揺るがぬ、自らの愚かさを悔いろ。そして―――何れ落ちるやも知れぬ幽谷の淵に恐れながら生を重ねるが良い」

 

刹那、姿が掻き消える。実の子供であるのにも拘らず、未だ知らぬ翁の力を目の当たりにして獣助は膝を突く。そして―――龍牙が味わったであろう困惑、そして絶望の中で生きていく事になる事に声にもならぬ声を上げた……僅かに心に浮かべた父ならば手心を……という思惑すら意味を成さず、分家の全てはそれを奪われ、新たに作られた家の分家とさせられながら生きていく事となった。

 

―――そして、大きく異なった歴史を生きる事となった黒龍は……神の使いとしての生きていく事となる。




―――詰め込んだら4500突破したぜおい……。

白鳥如何するかなぁ……後ヒロイン如何しようかなこのルート。
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