一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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クラス代表戦 終了

 

 

 

 

束さんが方が箒に会いにピットを去った後、私は薫君と鈴の試合を見ていて徐々にシールドエネルギーを削られて行く彼を見て、やはり実力の差を埋められていないと感じる

 

確かに薫君にもIS搭乗者の才能は有る、だが中国に渡り再会するまでの期間で代表候補生になった鈴と比べると才能も努力も訓練時間も足りていなかった、そう言わざる得ない

 

きっと鈴は途方もない努力をしたのだろうし、オルコットさんと違い薫君を見下す事をせずに同格の相手と認識し、全力で彼と対峙していた

 

暫くして薫君の敗北で試合が終わり

 

「・・・怪我が無くて良かった」

 

私は薫君が怪我をしなかった事に安心する

 

薫君は負けたが、そんな事は正直どうでもいい、彼が無事なら それだけで良い

 

 

「お疲れ様、薫君」

 

明石を再び展開してピットへ戻って来た薫君を出迎える

 

 

「ごめん一夏さん、負けちゃった」

 

悔しそうに少し俯き言う薫君に

 

「うぅん、君が無事なら勝敗なんて気にならないよ。さ、雷切を外して休もう? 」

 

「・・・ありがとう」

 

本当に悔しそうにしている薫君を停止位置に誘導し私は明石のクレーンを使い雷切を打鉄改から外して専用コンテナへ収納して、薫君から菖蒲を受け取る

 

 

「今回は勝てなかったけど、練習を重ねれば勝てる様になるよ、きっと」

 

と彼を元気つける為に笑んで言う

 

「そう、だね。次は勝てる様に練習するよ、ありがとう一夏さん。俺 がんばるよ」

 

私の言葉に薫君は強く頷く、その目はヤル気に満ちていた

 

 

そんな彼を見て、やっぱり カッコいいな と思いつつ

 

「そろそろ行こう? 試合を見るだけでも勉強になるからね」

 

「そうだね、じゃぁ着替えてくるね」

 

彼の言葉に頷き私はピットから出て観覧席へ向かう

 

 

後で試合の反省会をしよう、多分 薫君は鈴に何をされたか分からない事が有るだろうから

 

 

そんな事を考えながら観覧席へ行くと、箒にベッタリ抱きついている束さんと 相変わらず無表情で姿勢正しく立っているジークさんが目に入る

 

周りにいるクラスメイトは どうしたら? と困惑している様子だったので

 

「束さん、皆が困惑してるよ」

 

私が声を掛けると通常の3倍ニコニコしている束さんが振り向き

 

「おや、いーちゃん また会ったね? 今は妹成分を補給中なんだ、もう暫く待ってね? ね? 」

 

あ、ダメだ 人の話聞かないや束さん と思いチラッと箒を見ると、どうにかしてくれ と言う表情で見られたが、無理と首を横に振ると 箒は諦めた様な表情になる

 

束さんを どうにか出来るのはジークさん と姉、庵さんぐらいなのだ、束さんの言葉を信じれば、もう暫くしたら離れるだろう、多分

 

 

とりあえず空いている束さんの横の席を見て

 

「ジークさんは座らないんですか? 」

 

私よりだいぶ背の高い彼を見上げて尋ねると

 

「・・・有事の際に行動が遅れる、気遣いは感謝するが俺の事は気にしなくていい」

 

相変わらず無表情で、そう返答してくるジークさんに、変わらないなぁ と思いつつ

 

それならば と束さんの横の席に座る、ジークさんや姉とか身内以外では落ち着いて座れないだろうしね

 

そういえばクロエの姿が見えないが今日は留守番をしているのだろうか? と思い

 

「ねぇ束さん、クロエが見当たらないけど、留守番? 」

 

箒に頬擦りをしていた束さんが一旦 頬擦りを止め

 

「クーちゃん? クーちゃんなら学校だよ? 」

 

あっけからんと束さんは言い、私は少し驚く

 

何故なら各地を転々としている束さんについて彼女の世話を一手に引き受けているクロエが学校へ通っている、つまり束さんは 何処かに定住している と言う事だ

 

いや、もしかしたら転校とかするのかも知れないが、クロエを娘と言い箒や私と同じ様に可愛がっている束さんが、転校とかさせないだろうし

 

とか考えていると

 

「やっぱりクーちゃんもね、学校に通って色々と学ばないとね? 狭い世界の中では狭い考えしか出来なくなってしまうから」

 

と慈悲に満ちた表情で言う、言っている事は素晴らしいが、箒にベッタリ抱きついている状態では少し格好がつかない

 

普段は破天荒な振る舞いが目に付くが、束さんは凄く物事を考えている人だ

 

 

「いやぁ最近、クーちゃんも気になる男の子が出来たみたいでね? 私には言わないけど、見てたら分かるよねぇ〜」

 

と漸く箒から離れた束さんが凄くニコニコしながら言う、まさに母親の顔だ

 

「そうなの? クロエが・・・」

 

私から見てもクロエは美少女だ、礼儀正しく言葉遣いも丁寧で少し小柄な美少女

 

そんなクロエの心を射止めた男子が居るのか、クロエには悪いけど気になる

 

 

「うん、織部模型店のバイトの子、ほら いーちゃん の後釜に入った彼だよ」

 

「え??! 沖田君? 彼か・・・彼かぁ・・・」

 

 

束さんの言葉に、少し驚く、IS学園に入学するにあたって織部模型店のバイトを辞めた私の穴に彼・・・沖田 響 君が入った

 

織部模型店は時給自体はさほど高い訳じゃ無いけど、とても働きやすい環境だから割と人気が有るんだよね、学業優先にしてくれるし

 

 

少ししか話した事ないけど、彼は悪い人では無かったな・・・少し小柄で女装が似合いそうな子だった、まぁ本人は気にしてるみたいだから言わなかったけど

 

 

と、言う事は束さん、今は篠ノ之神社近辺に居を構えているのかな?

 

これは言わないでおこう、今 居を構えている場所が割れてしまうと引越しをする事になってクロエが転校する事になるかも知れないし、私としても友達の恋は応援したいのだから

 

 

束さんの恋も早く実れば良いな、うん

 

 

 






お待たせしました


おかしい、後半で薫君と束さんを会わせる予定が、クロエの話になってしまったw


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