転生したら月雲了になってたんだが軽く詰んでる   作:あけび

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だいぶ遅れてしまいました。オリジナル要素多めだと描くのに時間がかかる…




ターニングポイント

 

 

 

「僕はあなたに聞きたいことがある。今、ここで答えてもらいましょうか」

 

 

 

 

ひぇぇえ…し、死ぬやつじゃんコレ。終わった…。でも、抵抗くらいさせてくれ!!

 

 

「僕に君に教える義務があるとでも?」

 

「その台詞は、この状況を理解してから言ってもらいたいですね」

 

 

あっ、ダメそう。そうだよな、天にとって絶好のチャンスなのだ。それをみすみす逃すはずはない。

 

俺だって、みんなに本当のことをいってあげたいと思う。そしたら、みんなが思い悩んでいることも解消されるだろう。これ以上苦しむことだってなくなるかもしれない。

 

でも、それじゃあ駄目だ。今まで散々酷いことをしてきたのに、急に改心したなんて信じられるわけが無い。

苦しめてきたのにも関わらず、事情は全部知っているから協力してくれなんて虫がよすぎる。

 

それに、きっと彼らにとって今必要なのは、中途半端な偽物()じゃない。

良くも悪くもアイナナに影響を与え、成長させた本物(月雲了)に、みんなは向かい合わなきゃいけないんだ。

 

 

 

 

俺が言葉に詰まっていると、天はふぅと溜息をついた。

 

 

「あなたの身に何が起きたかは大体予想がつきます。それを話したくないということも」

 

「…」

 

「口をとざすというのならこちらから言わせてもらいます。あなたは、何らかの理由で記憶が無い…」

 

 

 

 

「もしくは、誰かが成り代わっている」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー…ここまで言われちゃ話すしかないよな…」

 

 

「信じてもらえないかもしれないけど、俺が知ってること、話すよ」

 

 

 

俺は覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 

それから話した。俺が転生して月雲社長になったこと、この世界は俺の世界では架空の存在であるということ、物語に歪みを生み出しかねないから、転生について黙っていたこと。そして、これから起こる悲劇を食い止めたくて行動していたことを。

 

こんな嘘のような話を、天は笑わずに聴いてくれた。おかげで最後まで話すことができた。

 

 

「…ってのが以上だ」

 

「つまりあなたは、月雲社長の身体を使って色々と行動していたということですね」

 

「…信じてくれるのか?」

 

「にわかには信じ難いではあります。でも、あなたが嘘をついているようには見えないから」

 

 

言ってしまった…。しかし、それでこれからどうすれば良い?天はこのことを言いふらすようなやつじゃないから、口止めをする必要は無いと思うが、他に何かすべきことがあっただろうか?

 

 

 

「…その上で、あなたに言いたいことがあります」

 

 

 

 

 

「いつまでもこんな中途半端なことを続けるつもりなの?」

 

 

 

 

 

「は…?」

 

 

 

俺が、中途半端…?

 

 

 

 

「きみがこれから起こる事を防ぐために暗躍してるのは分かった。けれど、その行動に責任が感じられない」

 

「お、俺は必死に__」

 

「必死だとしても、きみがやってる事って上辺だけじゃないの?自分が知っている物語を壊したくないからってビクビクしながら行動して、それのどこが"必死にやってる"なの?」

 

 

 

 

あぁ、そうか。俺はずっと恐れていたんだ。俺は転生してからも、心のどこかで月雲社長と俺は別人だって思っていたんだ。この世界に要るのも、この世界に向き合うのも本物(月雲了)なんだって。

だから中途半端なことしかできなかった。自分の行動で、アイナナのキャラがより不幸になるのではないかと怯えてた。

 

悲劇を知っていながら、本当に止めようとはしなかった。

 

 

 

何があったとしても、今この世界に生きているのは偽物()なのに…

 

アイナナだってTRIGGERだってRe:valerだってZOOLだって、もっと別の方法で助けてやれたかもしれない…だから!

 

 

 

 

 

本来の物語に遠慮している場合じゃない。

俺は、(月雲了)としてこの世界を変えていくんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだか悩みが吹っ切れた顔してるね」

 

 

あっ、天の存在をすっかり忘れていた。

天はここにきて初めて笑顔を見せた。oh......天使スマイル…

 

 

「俺もそう思うよ。ありがとう」

 

 

なんとか耐えたものの、やはり推しの唐突なスマイルはダメージがデカい。

 

 

「…前々から思ってたんだけど、きみってもしかしなくても僕のファンだよね?」

 

「なななんで分かるんディスカ!!??」

 

「だってきみってよくTRIGGERのライブ来てたでしょ?グッズまで揃えてさ。…僕がきみが違う人になってるかもって疑ったのも、それが切っ掛けだからね」

 

 

えっ、ばれてたのか!!??変装してたのに!!?やっぱこの顔目立つんですね!!

 

 

「お、お恥ずかしい…」

 

「別に良いじゃない。どうして僕のファンになったの?」

 

 

天は面白いものを見つけたと言わんばかりに、こちらと距離を縮めてきた。あの、心臓に悪いんですが。

しかし答えなければ解放してくれそうにもないので、恥を忍んで喋る。

 

 

「天の生き方が、カッコイイって思えたから…かな?」

 

「あっ!もちろん顔とか笑顔とか、歌声とかダンスとか、全部好きなんだけれど!!」

 

 

「ふふっ」

 

「え?」

 

 

慌てて弁明する俺に、天は吹き出していた。その顔は子供らしく、そういえば天はまだ未成年なのだということを思い出す。

 

 

「ってか、そんなに笑わないでくれますか!恥ずかしい!!」

 

「あはは、ごめんね。だって君の慌てぶりが面白かったし、そんなこと言われたの、初めてだから」

 

 

優しげな笑顔だ。

 

年相応に笑う天を見て、やっぱり天のことが好きだなと思えた。

 

 

 

 

 

 

この後お茶をご馳走になって(高級そうな茶葉なので、貰い物なのかもしれない)帰る支度をする。ライブに行けなかったのは残念だが、早く連絡を入れなければ心配されてしまうだろう。

 

 

「今日はその、本当にありがとう!」

 

「どういたしまして。それに、お礼を言いたいのは僕もだから」

 

「…なんで?」

 

「僕も、迷っていたことがあったから。現状のままじゃいけないって分かっていてもつい目を背けていたから。このままじゃ、仲間も恩人もどっちも傷付けるところだった」

 

「TRIGGERと九条鷹匡のことか?」

 

「やっぱりそういうことも分かるんだね」

 

「といっても、これに関しては続きの話が分からないから解決方法とかも分からずじまいなんだけどな」

 

「大丈夫。自分で物語の結末を掴んでみせるから」

 

 

 

天の顔を見て俺も自信がみなぎってきた。

 

よし!俺も頑張るぞ!!

 

 

 

まずは何をするべきか。頭の中に考えを巡らせながら帰路についた。

 

 

 

 





今回抽象的な内容も結構あって分かりづらい気がする…他の話で補完していくかもしれないです。

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