転生したら月雲了になってたんだが軽く詰んでる   作:あけび

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今回は月雲社長のお友達の話。ちょっとだけr-15っぽい際どい表現があります。ご注意を。


*アンケートの結果、本編はシリアス多めで、番外編はギャグを入れて(入れれるとは言ってない)みたいな感じでやりたいと思います。




番外編 2 最近知り合ったアイドルオタクについて

 

 

「佐藤さん、元気にしてるかなぁ」

 

 

街の休憩スペースにあるベンチで、思わずそう呟いた。佐藤さんというのは、最近知り合ったアイドルオタクの友達である。

 

知り合ったのは、ある日のTRIGGERのライブ後。幼馴染であり同じTRIGGERファンの碧と帰る途中の事だった。

2人でライブについて熱く語っていると、誰かの肩にぶつかってしまった。慌てて謝ると、その人もまたTRIGGERの__特に天くんのファンであったのだ。

 

それからは早かった。碧と日々推しについて語ってはいたが、それ以外にアイドルオタクの知り合いなんてほとんどいなかった。

だからこそ、この機会を逃すまいと声をかけたのだ。

 

正直言うと、最初は怖い感じの人かなと、早くも声をかけたことを後悔したものだったが、相手は意外にも紳士的であった。そして、面白い人でもあった。

 

基本丁寧に話すし、話をしたカフェでのコーヒー代も払ってくれた。本人は会社の部長だと言っていたが、身につけているものからしてもっと偉い地位の人ではないのだろうか?

 

しかしその割には、TRIGGER、特に天のことになると途端に熱く語り出した。その姿は、アイドルを応援するファンの姿と何ら変わりないものだった。

 

 

「今じゃすっかり同士だもんなぁ」

 

 

連絡先を交換してからは、時々やり取りもしている。仕事の合間の癒しになりつつあった。

 

 

「るーなーコーヒー飲むー?」

 

「あお!飲む〜!」

 

 

声の方を振り向くと、碧がコーヒーの缶を2つ持ってやってきた。そういえば碧がトイレに行くからまってたんだっけ。

 

 

「なんかぼーっとしてたけど何考えてたの?」

 

「佐藤さんのことー。最近どうしてるのかなー?って」

 

「確かに。なんか忙しいみたいだし、仕事が佳境なのかな」

 

 

持ってきた缶を飲んでると、若い男達が声をかけてきた。

 

 

「君ら可愛いね〜俺らと遊ばない??」

 

「えっと…」

 

 

いかにもチャラそうな男達がナンパしてきた。きっと羽目を外した大学生か新社会人なんだろうが、あまりこういう人種は好きではない。

 

 

「でも私たち結構歳いってるよー。若い子がいいんじゃないの?」

 

「良いの良いの!おねーさんらキレイだし大丈夫だって!」

 

 

そんなこと言っといてどうせ身体目当てだろ。

男達の舐め回すような視線に不快感を覚える。ちょっと年上だからってすぐヤレるとでも思っているのだろうか?

 

 

「悪いけど君らに付き合ってるヒマないの。他当たってくれるかしら?」

 

 

碧が目の笑ってない笑顔で言い返した。碧はこういう輩嫌いだもんね。この態度をとると大体不埒なナンパ野郎は逃げ出すのだが…

 

 

「ちっ!ちょっと可愛いからって調子乗りやがって!」

 

「立場分かってないんじゃねぇーの?俺らと行こうぜ?今なら悪いようにはしねぇからさぁ」

 

 

相手は人数も多いからか強めに出てきた。なんなのこの妙な自信!しかも強引に手まで掴んできたし!!

 

どうしよう。周りに人居ないし…誰か助けて…

 

 

「お前たちは何をしているんだい?」

 

 

聞き慣れた声に思わず振り返ると、そこには佐藤さんがいた。

 

 

「佐藤さん!?」

 

「どうしてここに…?」

 

 

男達は一瞬たじろいだが、佐藤さんが1人だと分かると、大笑いしだした。

 

 

「おっさ〜ん、正義のヒーローのつもりかぁ?」

 

「ハハッ!マジでウケるな!」

 

「俺らと姉ちゃん達が遊ぶ時のおサイフになってくれなぁい?金持ちそうだし?」

 

「ギャハハ!!傑作だな!!」

 

 

でも、佐藤さんはというと意に介さず、ずんずんと歩み寄ってきた。

 

 

「佐藤さんっ!危ないって__」

 

「大丈夫だ。問題ない」

 

「さ、佐藤さん??」

 

 

さらに歩みを進める佐藤さん。

 

 

「なっなんだよ!近寄ってきてよぉ!」

 

「君らって見たところ、内定もらって羽目はずしちゃってる学生さんって感じだよね?

もしくは新入社員とかかな?」

 

「それがどうしたって…」

 

 

たじろぐ男達に、佐藤さんはとてつもなく悪い笑みを浮かべる。ヒッという引きつった声が聞こえた。

 

 

「僕って結構有名なとこの社長でさ、子会社も何個か作ってるんだよねぇ。…もし君らの勤め先が僕が関わってるところだったら、どうなるんだろうね?」

 

「えっ、いや、その」

 

「君らの華やかな人生はそこでしゅーりょー!…1度ケチのついた人間を採用する会社ってそう多くないよ?」

 

「あー、えっと…」

 

「特定される前に帰った方がいいんじゃないの?まぁモタモタしてたら、僕の部下がゴミ掃除に来ちゃうかもね」

 

 

分かってるよね?と圧をかければ、男達はたちまち逃げ出した。逃げ足は存外速い。

 

 

「佐藤さん!ありがとうございます!」

 

「本当に助かりました」

 

「いや良いよ。知り合いが困ってるとこ見たら放っておけないでしょ?」

 

 

そう言って笑う佐藤さんは、さっきとはうって変わって、いつも通りの優しい雰囲気を出していた。

 

 

「というか佐藤さん、社長だったんですね」

 

「あっ!言っちゃった…。嘘ついてごめんね」

 

「いいですよ。薄々そうじゃないかって思ってたんです。なんというか、オーラが只者じゃないので」

 

 

碧が容赦なく言うと、お願い他の人には秘密にしといて!と言ってきた。わざわざ頭を下げて頼み込むなんて、やっぱり人が良い。

 

 

「買い物もある程度したし、帰ろっか」

 

「良かったら駅まで送っていこうか?さっきみたいなのに会ったら大変だし」

 

「ありがとうございます。じゃあお願いします」

 

 

 

 

この後、近況や推しのことを語り合いながら駅まで歩いた。

 

 

「やっぱ相手を脅すには、月雲社長の真似が1番だな」

 

「?何か言いましたか?」

 

「いっ、いや、何でもない!」

 

 

色々あったけど、これでしばらく仕事も乗り切れそうと思った。

駅まで送ってもらい、佐藤さんに別れを告げた後、碧に言った。

 

 

「佐藤さん、良い人だね!」

 

 

 

 






ここでモブの説明

瑠奈→明るく社交的。推しを語れる人がいなくて悶々としていたところ月雲了に会う。手先が器用で手作り団扇のクオリティも高い。

碧→落ち着いた性格。しかし推しの話になると別。ネット関係に強く、アイドル情報の把握から、瑠奈の分のチケット獲得もこなす。


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