まさか第3部の時間軸までさえ過ぎていたとは…
つまり、やることやっちゃった俺は完全に犯罪者になった事になる。うん、笑えない。
頭を抱えつつ、ついでに誰が来てもいいよう身支度もしつつ、今後の行動について考えることにした。
(他にも色々調べて、この世界が4部開始直前位なのは分かった。ただ、これからどうするかだよなぁ)
とりあえず、今分かっている時点での、アイナナ4部以降の各キャラクターの状態を整理してみる。
グループ単位でまとめてみると
アイナナ→ナギ脱退の危機
TRIGGER→スキャンダルによって世間から失くした信頼が尾を引いている。(月雲社長、もとい俺のせい)
Re:valer→ユキの過去の熱愛報道を執拗に取り上げられる&前の相方を見捨てたという疑惑がでる。(これも月雲社…俺のせい)
ZOOL→ メンバーの想いがすれ違って仲が険悪になる。自分達が犯した罪の重さを自覚する。(これは4部内で結構解決する)
MEZZO"→特になし
…月雲社長よ、あんたやらかし過ぎじゃないですかね。
再び頭を抱えたくなるが、ひとまず情報は整理できた。こうして見ると、俺が今から出来ることって結構少ないのな。
ナギの脱退…に関しては、展開が分からない上、大手の会社ごときでは国をどうこうなんてできない。
TRIGGERの件にしても、自分からスキャンダルを出しておいて、今更引っ込めても不自然だ。 となると…
「Re:valerのスキャンダルを流さないようにするしかないかぁ」
うーん。他にも出来ることがあれば良かったが、今はこれしか出来ないようだ。とその時、
ピンポーン
インターフォンの音に肩をピクリとさせる。
まだ朝も早いのに、いったい誰だというのだろうか。
「はいはい、誰ですかっと」
画面を覗くとそこには、
ZOOLのリーダー__狗丸トウマがいた。
*
折角のオフだと言うのに、俺は朝早くから了さんに呼び出されていた。
了さんの突然の呼び出しはいつもの事ですっかり慣れてしまっていたが、久々にZOOLみんながオフって時に呼び出されては気が滅入る。折角あいつらを誘って出かけようと思ったのに。
そんなことを考えているうちに、了さんの住んでる部屋のドアまでたどり着いた。インターフォンを押すと、少し遅れて了さんの声がした。鍵を開けてもらって部屋の中に入る。
(今日は何言われんだろうな…)
憂鬱な気持ちの中了さんの方へ向かうと、
何故か、了さんが奇声を発しながら後ずさっていった。
*
いやいや、インターフォンの画面越しの時点では平気だったんだよ?でもさ、実物見たらさぁ、うん、死ぬ。
かっこよすぎるんだよ!!普段は抱かれたい男ランキング上位者どもに囲まれてて話題に上がんないけどめちゃくちゃイケメンだからな!!!顔面の暴力!!!
アイドルが目の前で喋っているという事実に思わず奇声を発しながらムーンウォークをしてしまった。直視できん。
ふと顔を上げると、トウマが困惑した様子でこちらを見ていた。いかんいかん、今の俺はあくまで月雲社長なのだ。
「ふん でトウマ、朝から僕に何の用?」
「何の用って、了さんが呼んだんだろ?」
…そーいや月雲社長ってこういう奴だったな。
うーむ、どうしようか。呼び出して何もないですってのも変だし、いや、月雲社長ならそんなにおかしくないのか…?何か良い案は__
ハッ!これだ!!
実は身支度をする際に、この身体は月雲社長の知識もしっかり共有されていることが分かった。お陰で、洗面所にも一発で行けたし、スーツもどこにあるか分かったわけで。
だからコイツの置き場所もバッチリ分かる。
出でよ!財布!!!
俺はやたらと高そうな財布を手に取って開くと、ゼロの多めなお札を何枚かをトウマに突きつける。
「このお金で、お仲間3人と焼肉とか行けば?」
苦し紛れの策だが、これで帰ってくれないかなぁ…
しばらくした後、トウマがだいぶ訝しみながらもお金を受け取った。こんなにいいんすか?とか聞いてくるあたり、良い人を隠しきれていないと思う。
そのまま見送り、姿が見えなくなって俺は大きく息を吐いた。
はぁ〜心臓に悪い。イケメン直視したり誤魔化したりするのは疲れるな。朝からこんなんじゃこれからどうなる事やら。
疲れた身体に癒しが欲しい。そう思い始めると、頭の中にあることが浮かぶ。
月雲社長に転生してから密かに思っていたことだが、悪役の社長だし、という理由で今まで考えないようにしていた。しかし、今はもうなりふり構ってられない。
「推しのライブに行きたい!!」
この時の俺の頭からは、今後の展開への不安や、月雲社長としてこれからどうするかなどはすっかりと抜けてしまったのであった。
誤字修正しました。