転生したら月雲了になってたんだが軽く詰んでる   作:あけび

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更新遅くなりました。私が書く一織はどことなく頭が良くなさそう…


俺 悪い社長じゃないよ!

時間は1時間ほど前に遡る。

 

 

 

俺がぶつかった相手は、どうやらTRIGGERの_特に九条天のファンらしい。

 

 

俺の格好(TRIGGER公式Tシャツにタオル、リストバンドとうちわは、天のイメージカラーのピンクで統一してある)を見るなり、同志を見つけたと目を輝かせ、嬉しそうに話しかけてきた。

 

俺も悪い気はしなかったので、二人と楽しく話した。なんせ前世では、男友達が多いためかアイナナを語り合う相手は居らず、正直そういう事に関して飢えていたのだ。

 

そのまま道端で話すのもなんなので、カフェで続きは話す事になり…

 

いや〜急に語れる相手ができるとこんなにもテンションが上がるんだな。

注文したコーヒーがすっかりぬるくなっているのに気づかないくらいには夢中になっていた。

 

 

ついつい盛り上がりすぎて、近くの席のお客さん、迷惑してないかなんて思って見てみたら…見てみたらさぁ…

 

 

 

「何故、貴方が…!?」

 

 

 

それはこっちが言いたい。

 

 

 

 

 

 

和泉一織に気づかれた!月雲社長はどうする?

 

 

・無視

 

・他人のフリ

 

・神頼み

 

 

…よし!とりあえず3番目はないな!俺を月雲社長に転生させるようなヤツだし(?)

 

ここは無難に2番にするか!

 

 

 

「お、俺、悪い社長じゃナイヨー」

 

「いえ、どう見ても悪い社長(月雲社長)です」

 

 

ですよねー 変装をしてるというのに、やっぱりこの無駄なイケボは誤魔化せないっていうのか…

もう仕方がない、こうなりゃこっちから挑んでやる!

 

 

俺は一織の腕を掴むと、早口でまくし立てた。

 

 

「あはは久しぶりだね、ごめん二人とも俺こいつと話すからここまで楽しかったよありがとうばいばい!」

 

「ちょっと!何をするんですか!?」

 

「大人しくついてきてくれ!!」

 

 

唖然とする二人をよそに、俺は一織を連れてカフェを後にした。

 

 

 

 

「はぁ はぁ、人気のないところで私をどうするつもりですか」

 

 

しばらく走ったところで、一織に睨まれながらそう言われた。

別に人気のないところでどうこうするつもりはないのだが、ほら、アイドルだから顔バレしたらまずいかなって。

 

 

「別に、今日の僕はプライベートだ。特に何かするつもりはないよ」

 

 

澄ました顔で答えれば、さらに怪訝な顔をされた。やっぱコイツだからかな…

 

それでも、俺は誤解を解く必要があった。

 

なんたって相手はパーフェクト高校生一織なのだ。アイドル(特に陸)の為なら何でもするマンの彼を必要以上に刺激したら、本気で消されかねない。それに…

 

 

「折角ライブに行ってオタクの友達もできたのに、無駄に顔が良すぎて直視できないイケメン引きずってわざわざ面倒ごとに巻き込まれにいくわけないだろ!!!!」

 

「え…」

 

 

おいそこドン引くな。とりあえず今言ったことが俺がここにいる理由だ。別に君が考えてるようなやましいことなど思ってないのだよ。

 

…ふぅ仕方がない。ここまで言ってもなお疑う伊織に対して、俺は一枚カードを切ることにした。

 

 

「これなーんだ?」

 

「これは、期間限定発売のお座りロップちゃん!?」

 

 

目の前に差し出したのは、うさぎのキャラクターロップちゃんのマスコット__そう、和泉伊織が愛してやまない、人気キャラクターのグッズである。

 

 

「賢い君なら、これがどういう意味か分かるよね?」

 

 

ニヤリと笑えば、一織は俺の意図を察して顔を青くした。いやー話が早くて助かる。

 

 

「僕は君が隠したがっている事を知ってる。もちろん、君だけじゃなく他のメンバーのも…ね?」

 

「秘密を世間に公開されたくなければ、あなたの先程までの行動を見逃せということですか…」

 

 

一織は深く考え込んでいる。恐らく、二階堂大和の件もあり、俺がメンバーの秘密をかなり把握していると思っているんだろう。

 

だがな一織、お前の可愛いもの好きは別に秘密事項でもなんでもないぞ。

 

転生してから数日、情報収集や癒し(割合は3:7)の為にアイナナキャラ関連のTV番組を観ていたのだが、一織は可愛いものを見ると、僅かだが顔に出る。

ファンなりたての人ならともかく、ファン歴の長い人はとっくに気づいている。

その証拠に、一織と直接分かる表現で、彼が可愛いもの好きという旨の発言を控えることは、界隈内の暗黙の了解になっているくらいだ。

 

 

そんなどことなく残念な感じの一織は、真剣な顔つきで、今回のことは無かったことにします。と言った。

まぁ今後も普通に警戒してくるだろうから、大して意味は無いのだけど。

それでも、俺がTRIGGERのライブではしゃぎまくっていたことが外部に漏れる可能性は低くなった。

 

 

「それじゃ僕はこれで失礼するよ。それ、貰ってていいから」

 

「えっ、あなたから物を貰うわけには!で、でも、物に罪は無いし…」

 

 

ちなみに、このロップちゃんは駅前の店でたまたま見つけたものであり、一織のことを思い出してなんとなく買った代物である。それが一織の追求を逃れる為に使われるのだから万々歳だ。

 

葛藤する一織をよそに、俺は代金を払い、そさくさと退散することにした。

 

 

 

はぁ〜疲れた。

 

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