4部の更新を見るたびに、胸が痛い…。しかしこっちの月雲社長は通常通りです。
俺はナギを連れて、あらかじめ停めておいた車に向かった。これなら、追手が来てもそうそうバレることは無いはずだ。
「ねぇ、自分で言うのもなんだけど、どうしてついてきてくれたんだい?」
恐る恐る聞いてみると、意外にもナギは素直に答えてくれた。
「もしワタシを嵌めようとしていたとしても、あなた1人ならどうにかできます」
…さいですか。
「それに…いえ、何でもありません。
それで、ワタシをわざわざ追っ手から匿った理由は?」
「君が今追われている理由をメンバーは知らないんだろう?ちゃんと伝えといた方がいいんじゃないかと思ってさ」
___俺がナギを連れてきたのは、彼の真意をアイナナに伝えられるようにする為であった。
アイナナの事件を未然に防ぐなんて言っときながら、こんな事しかできない自分に嫌気がさす。
それでも、本編で何も分からぬまま引き離された彼らの気持ちを思えば、やらないという選択肢は無かった。
突然メンバーが欠けてしまった彼らは、莫大な不安に押しつぶされてしまうだろうから…
俺の返答にナギは苦い顔つきになる。
「そこまで把握しているんですね…」
「どう調べたかは企業秘密ってやつだよ。さて、僕は追っ手をまくとするかな」
ナギの返答も待たずに、俺はそさくさとその場を後にした。
*
用意された高級そうな車には、何も仕掛けられていない上に、鍵も、ドアを開けたっきり車内に放置してあった。やはり罠にかけようという気は無いようだ。
ひとまずは落ち着いて座席に座ることにした。
(ちゃんと伝えたほうがいい…ですか)
自分とノースメイアを取り巻く問題は複雑だ。だからこそ直接伝えたかったのだが、あの社長の様子を見る限り、そんな悠長なことを言ってる暇もないのだろう。
スマホを取り出して通話ボタン押す。普遍的なコール音がひどく長く感じた。
『おっ、ナギ!帰りが遅いから心配してたんだぞ!』
「すみません。しかし、聞いて欲しいことがあるので、みんなを呼んできて欲しいです」
三月は困惑した様子だったが、すぐにみんなを呼んできてくれた。
それを確認し、小さく息を吸って伝えるべく口を開く。
「ワタシは、アイドリッシュセブンを辞めてしまうかもしれません」
『え…』
驚いたような声が、次第にザワザワと大きくなっていく。
「何でなんだよ!そんな辞めちゃうって…!」
「どういうことだよナギっち!」
「落ち着いてください!事情があるなら聞くのが先です」
みんなの悲痛な声。しっかり者の一織でさえ声が震えていた。
それを聞いてしまって、この先を話すのを躊躇う。でも、伝えなければならない。
「先程も言ったように、ワタシはノースメイアの第2王子なのです。国の、いえ、兄上の意思でノースメイアに戻らなければならなくなりました。…いつ帰れるかは分かりません」
『ナギくん…』
「今まで皆さんとアイドリッシュセブンとして活動できてとても嬉しかったです。貴方達はとっても大切なフレンドです。だから…」
告げようとしたお別れを、三月の声が遮った。
『なぁナギ、それでお前の気持ちはどうなんだよ』
「気持ち…?」
『色々あるかもしれないけどさ、お前はどう思ってるんだよ!?本気で、アイドリッシュセブンを辞めるのはしょうがないって思ってるのかよ!!!』
ワタシの…気持ち
「ワタシは、ワタシはまだ皆さんと一緒に歌っていたいです。まだ、アイドリッシュセブンでいたいです!!」
そっか。 そう呟いた三月の声は穏やかで、でもとても暖かいものだった。
『俺さ、お前が辞めるって聞いて、本人がそう思うなら諦めるしかないのかなって思ってた。けどさ、ホントは辞めたくないって聞いてなんか安心したっていうか。…俺たちにも力にならせてくれよ、仲間だろ』
『俺が親父のことで悩んでた時、ミツが自分の人気で悩んでいた時、他にもメンバーが困ってた時、お前はいつも力になろうとしてくれてた。だから、俺も諦めたくない。今まで本気で他人の為に全力を出したことないけどさ、ここで出さなかったらきっと後悔しちまう』
『俺たちも、ナギともっと一緒に歌っていたいから!』
暖かい言葉に、自然と涙が溢れる。
「ミツキ、ヤマト、それに皆さん。ありがとう…」
胸の中が熱くなって、心の中にある未来への不安も溶かされていく。
もう少し話していたい。でも、時間切れを告げるかのように、こちらに向かってくる足音が聞こえてくる。
「ワタシがノースメイアに行く理由については、『Sakura Massage』が関わっています。皆さん…また、会いましょう」
電話を切ると同時に、月雲社長が車の前にたどり着いた。
「伝えたられた?」
「えぇ、とても大切な人達に」
きっと、もう一度アイドリッシュセブンとして歌ってみせる。
ナギくんの心情とか書くの難しい…。
いずれ月雲社長には、物語に大きな変化をもたらしてもらう予定なのでそこに至るまでどうにか執筆し続けられるよう頑張ります。